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問題76.アルドステロンの作用はどれか。
1.カリウムの再吸収を促進する。
2.レニンの分泌を促進する。
3.血圧を上昇させる。
4.血中pHを低下させる。
解答3
解説
・アルドステロンとは、副腎皮質から分泌されるホルモンである。腎臓(遠位尿細管~集合管)に作用してナトリウムと水の再吸収を促進し、循環血漿量増加を促し血圧を上昇させる。アルドステロンが過剰に分泌されると、高血圧や低カリウム血症、筋力低下などがみられる。
・副腎皮質ホルモンとは、副腎皮質より産生されるホルモンの総称で、①アルドステロン、②コルチゾール、③アンドロゲンがある。炎症の制御、炭水化物の代謝、タンパク質の異化、血液の電解質のレベル、免疫反応など広範囲の生理学系に関わっている。
1.× カリウムの再吸収を「促進」ではなく抑制する。なぜなら、アルドステロンは腎臓の遠位尿細管・集合管に作用し、Na⁺/K⁺交換チャネルを活性化して、Na⁺を再吸収する代わりにK⁺を尿中に排泄するため。
2.× レニンの分泌を「促進」ではなく抑制する。なぜなら、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(Renin-Angiotensin-Aldosterone System:RAAS)により、血圧上昇後にはレニンの分泌は抑制され、このRAAS系の働きが低下するため。
3.〇 正しい。血圧を上昇させる。なぜなら、アルドステロンは腎の遠位尿細管・集合管でNa⁺再吸収と水の再吸収を促進することで循環血液量を増加させるため。
4.× 血中pHを「低下」ではなく上昇(アルカローシス傾向)させる。なぜなら、アルドステロンは、K⁺とともにH⁺(水素イオン)の排泄も促進するため。したがって、血液中のH⁺が減り、pHが上昇(アルカリ性)になる。
【酸塩基平衡】
血液(体液)のpH:7.40 ± 0.05
→pH7.30:酸性に傾いている状態
→pH7.50:アルカリ性に傾いている状態
アシドーシス(酸性):pHが低下している状態。
アルカローシス(アルカリ性):pHが上昇している状態。
問題77.ビタミンDで正しいのはどれか。
1.過剰摂取で骨軟化症になる。
2.紫外線によって不活性化される。
3.腎臓で活性化される。
4.腸管からのカルシウム吸収を抑制する。
解答3
解説
・ビタミンDとは、カルシウムとリンの吸収を促進する働きがある。ビタミンDの欠乏によりくる病をきたす。
・くる病とは、小児期に見られる骨の石灰化不全であり、主に成長障害と骨の弯曲が起こる疾患である。ビタミンDの代謝あるいは感受性の障害により、骨に石灰化が起こらず、強度が不足する病気である。 成人期ではビタミンD依存性骨軟化症と呼ばれる。小児期には成長も障害され、骨X線検査で特徴的な所見を呈し、ビタミンD依存性くる病とも呼ばれる。
1.× 「過剰摂取」ではなく不足で、骨軟化症(成人)やくる病(小児)になる。一方、過剰摂取で異所性石灰化が起こる。
・骨軟化症は、骨化の過程における石灰化障害が生じた結果、石灰化していない骨基質が増加し、骨強度が減弱することにより生じる。骨端線閉鎖前の小児期に発症したものをくる病という。病因は、低リン血症、ビタミンD代謝物作用障害、石灰化を障害する薬剤性(アルミニウム、エチドロネート等)などである。
2.× 紫外線によって「不活性化」ではなく活性化される。日光に当たらない生活を続けるとビタミンD欠乏が起こり、骨軟化症・骨粗鬆症のリスクが高まる。
3.〇 正しい。腎臓で活性化される。したがって、慢性腎不全では、この活性化過程が障害され、活性型ビタミンD不足により骨が脆くなる。
4.× 腸管からのカルシウム吸収を「抑制」ではなく促進する。なぜなら、活性型ビタミンDは、小腸上皮細胞の核内受容体に作用し、カルシウム結合タンパク質の合成を促進するため。したがって、Ca²⁺の吸収効率を高める。
問題78.低下するとテタニーをきたすのはどれか。
1.カルシウムイオン
2.カリウムイオン
3.ナトリウムイオン
4.マグネシウムイオン
解答1
解説
テタニーとは、血中カルシウム濃度が低下することで筋の異常収縮による硬直、痙攣、知覚障害などを生じる病態をいう。副甲状腺機能低下症では、パラトルモンの分泌低下により、血清カルシウム値が低下し、テタニーをきたす。
1.〇 正しい。カルシウムイオンが低下するとテタニーをきたす。
・カルシウムイオンとは、生体内の主要な陽イオンの1つで、血液の細胞外液中におけるその濃度は約1%である。骨石灰化や、心臓および骨格筋系の収縮、神経筋伝達、ホルモン分泌や血液凝固における一連の反応に寄与する。
2.× カリウムイオンとは、ナトリウムとともに、細胞の浸透圧を維持しているほか、酸・塩基平衡の維持、神経刺激の伝達、心臓機能や筋肉機能の調節、細胞内の酵素反応の調節などの働きをしている。
3.× ナトリウムイオンとは、細胞外液中の陽イオンの90%を占め、血漿浸透圧や酸塩基平衡、細胞外液量の調整に重要である。 成人の人体の約60%はナトリウムなどの電解質を含む水分で構成されている。血漿浸透圧と膠質浸透圧の違いを理解し、血漿浸透圧は電解質、膠質浸透圧はアルブミンによって維持されていることを抑えておく。
4.× マグネシウムイオンとは、酵素反応の補酵素として重要である。マグネシウムは、生体内で約50~60%がリン酸塩や炭酸塩として骨に沈着し、残りの約40%は筋肉や脳、神経に存在している。細胞が正常に働くために必須の物質である。
問題79.有髄線維の髄鞘を除去したときに起こる変化はどれか。
1.神経伝導速度の上昇
2.跳躍伝導の消失
3.両側性伝導の消失
4.シナプス遅延の消失
解答2
解説
髄鞘とは、ミエリン鞘ともいい、神経細胞の軸索のまわりを幾重にも包み込む、脂質に富んだ膜構造のことである。グリア細胞(中枢神経ではオリゴデンドロサイト、末梢神経ではシュワン細胞)から供給され、神経細胞の軸索が一定の径に達すると、髄鞘形成が開始される。
1.× 神経伝導速度は、「上昇」ではなく低下する。なぜなら、跳躍伝導が消失するため。
2.〇 正しい。跳躍伝導の消失は、有髄線維の髄鞘を除去したときに起こる変化である。なぜなら、有髄神経は髄鞘は、跳躍伝導を担うため。
3.× 両側性伝導の消失「は起こらない」。なぜなら、神経の伝導方向は髄鞘ではなく、神経線維の構造によって決まるため。
4.× シナプス遅延の消失「は起こらない(関係がない)」。なぜなら、シナプス遅延は、神経伝達の物理的特性である。つまり、神経伝達物質による時間差で、髄鞘とは別問題である。シナプス前ニューロンから放出された神経伝達物質が、シナプス後ニューロンに到達して反応を引き起こすまでの遅延時間(通常約0.5ms)を指す。
①絶縁性(隔絶)伝導:1本の神経線維の興奮は、隣接するほかの神経線維を興奮させない。
②不滅衰伝導:興奮は減衰せずに伝わる。
③両方向(両側)性伝導:神経線維の一部を刺激すると、興奮は両方向に伝導する。ただし、シナプスからの出力は原則一方向性である。
(※④等速伝導:1本の軸索上の興奮は一定の速度で伝導していく。ただし、有髄線維では跳躍伝導が起こる。)
問題80.除脳固縮でみられるのはどれか。
1.伸張反射の消失
2.屈曲反射の消失
3.抗重力筋の弛緩
4.ダイテルス核の活動停止
解答2
解説
除脳姿勢(除脳反応、除脳硬直、伸展肢位など)とは、外部刺激に対する上肢の不随意的な伸展と表現される。頭部伸展位、上肢は両脇に沿って伸展し下肢も伸展する。肘関節伸展することが多い。【機序】 全身の筋に対するγ運動ニューロンの活動性が亢進する。全身の筋紡錘の感度が上昇し、全身の筋紡錘が刺激される。全身の筋で伸張反射が亢進・屈曲反射の消失四肢を伸ばし、頚を立てた姿勢で固縮がみられる。
1.× 伸張反射の「消失」ではなく亢進が起こる。なぜなら、除脳状態では脊髄レベルの反射活動が抑制されずに残存し、上位中枢(大脳皮質や赤核)からの抑制入力が消失するため。頭部伸展位、上肢は両脇に沿って伸展し下肢も伸展する。肘関節伸展することが多い。
・伸張反射とは、単シナプス性で、筋紡錘に存在する一次終末から、Ⅰa群神経線維を介して、α運動神経にシナプスを形成する。他動関節可動域運動は、筋が収縮(関節運動の阻害)しないようゆっくり動かすのが基本である。
2.〇 正しい。屈曲反射の消失は、除脳固縮でみられる。なぜなら、除脳により赤核脊髄路(主に屈筋を促進)が遮断されるため。
3.× 抗重力筋の「弛緩」ではなく過緊張が起こる。全身の筋で伸張反射が亢進・屈曲反射の消失四肢を伸ばし、頚を立てた姿勢で固縮がみられる。
・抗重力筋とは、重力に逆らって体を支えるために働く筋肉全体を指す。ただし、その中でも常に持続的に活動する筋と、必要に応じて一時的に働く筋肉がある。
4.× ダイテルス核の活動は、「停止」ではなく残存または亢進している。なぜなら、除脳では中脳より上が切断されているため。
・ダイテルス核とは、外側前庭神経核のことで、前庭神経からの信号を受け取り、体の平衡感覚や姿勢の維持に関わる重要な神経核である。
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