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問題81.整復翌日に助手を2人使ったコーレス(Colles)骨折の副子固定で包帯交換を行うときに助手への指示で正しいのはどれか。
1.肘関節は伸展位で保持する。
2.手関節は整復終了時の肢位で保持する。
3.固定がすべて外れたら前腕を回外位にする。
4.包帯が把時部を通過するときは両手を離して通過させる。
解答2
解説
合併症:舟状骨骨折、尺骨茎状突起骨折、月状骨脱臼 、遠位橈尺関節離解、神経損傷などが生じる。
続発症・後遺症:長母指伸筋腱の断裂、手根管症候群、変形癒合、変形性関節症、指~肩関節の拘縮、反射性交感神経性ジストロフィー、前腕の回内・回外運動障害、橈骨遠位骨端軟骨損傷による成長障害、橈骨・尺骨・正中神経麻痺などが生じる。
固定肢位:肘関節直角屈曲、前腕回内、手関節軽度屈曲・軽度尺屈位で、上腕近位部からMP関節手前まで4~5週間固定する。
1.× 肘関節は、「伸展位」ではなく直角屈曲(約90°)で保持する。前腕全体の安定性を確保し、筋緊張などを最小限にできる。
2.〇 正しい。手関節は整復終了時の肢位で保持する。なぜなら、コーレス骨折は整復後、骨片の再転位を防ぐため。
3.× あえて、固定がすべて外れたら前腕を「回外位」にする必要はない。むしろ、前腕回内位で保持することが多い。これは、前腕回外位にすると、重力により、遠位骨片が手背方向へ転位するため。つまり、コーレス骨折の増悪(橈骨遠位端の背側転位が再発)を助長する。
4.× 包帯が把時部を通過するとき、両手を「離さず」通過させる。なぜなら、整復後の骨折部は不安定であるため。両手が一瞬でも手を離すと、重力で手関節が下がり、背側転位が起こりやすい。
問題82.手根骨骨折で正しいのはどれか。
1.三角骨骨折ではスナッフボックスに腫脹がみられる。
2.キーンベック(Kienböck)病は舟状骨の骨折である。
3.有頭骨骨折はベネット(Bennett)骨折との鑑別を要する。
4.有鉤骨鉤骨折はギヨン(Guyon)管症候群の要因となる。
解答4
解説

(※引用:「イラスト素材:手の骨」illustAC様より)
1.× 「三角骨骨折」ではなく舟状骨骨折ではスナッフボックスに腫脹がみられる。
・スナッフボックスとは、嗅ぎタバコ入れのことである。手背の母指基部の専用のタバコ粉末を置いて匂いをかぐ楽しみの一つで使用されていた部位であることから、その名がつけられた。手背には長母指伸筋の腱、掌側には短母指伸筋の腱と長母指外転筋の腱が並んで走行している。解剖学的嗅ぎタバコ入れで、大菱形骨と舟状骨を触れることができるため、スナッフボックスの圧痛は、大菱形骨や舟状骨の損傷・骨折が疑われる。
2.× キーンベック(Kienböck)病は、「舟状骨」ではなく月状骨の骨折である。
・Kienböck病(キーンベック病:月状骨軟化症)とは、月状骨がつぶれて扁平化する病気をいう。月状骨は手首(手関節)に8つある手根骨の1つでほぼ中央に位置している。月状骨は、周囲がほぼ軟骨に囲まれており血行が乏しいため、血流障害になり壊死しやすい骨の1つである。10~50歳代、男性、大工など手をよく使う人に好発する。治療は、初期では装具固定、進行例では手術療法を検討する。
3.× 有頭骨骨折は、ベネット(Bennett)骨折との鑑別を「必要としないことが多い」。なぜなら、有頭骨は手根骨の中央に位置し、ベネット骨折(母指中手骨基部の関節内骨折)とは解剖学的位置も原因機序も全く異なるため。
・ベネット骨折とは、第一中手骨基部の関節内骨折で、第一中手骨の脱臼を伴いやすい。母指先端にボールが当たったり喧嘩やボクシングで母指の先端に力が加わった際に起こりやすい。骨棘は、骨折や関節の摩耗により関節周囲の骨が増殖する現象である。
4.〇 正しい。有鉤骨鉤骨折は、ギヨン(Guyon)管症候群の要因となる。なぜなら、有鉤骨鉤は手掌尺側で尺骨神経と尺骨動脈が通るギヨン管のすぐ外側を形成しているため。したがって、この部位が骨折すると、ギヨン管内の神経・血管を圧迫または損傷する。
・Guyon管(尺骨神経管)とは、豆状骨と有鈎骨、そして豆鈎靱帯によって形成されたトンネル(管)のことである。通るものとして、①尺骨神経、②尺骨動脈である。Guyon管症候群は、尺骨神経麻痺が起こる。
問題83.骨折と関与する組織との組合せで正しいのはどれか。
1.腸骨稜骨折:縫工筋
2.下前腸骨棘骨折:大腿直筋
3.脛骨内果骨折:脛腓靭帯
4.第5中足骨基部骨折:長腓骨筋
解答2
解説
1.× 腸骨稜骨折:縫工筋
・縫工筋の【起始】上前腸骨棘、【停止】脛骨粗面の内側(鵞足を形成)、【作用】股関節屈曲、外転、外旋、膝関節屈曲、内旋、【神経】大腿神経である。
2.〇 正しい。下前腸骨棘骨折:大腿直筋
・大腿直筋の【起始】下前腸骨棘および寛骨臼の上縁、【停止】膝蓋骨、脛骨粗面、【作用】膝関節伸展、股関節屈曲、【支配神経】大腿神経:L2~L4である。
3.× 脛骨内果骨折:脛腓靭帯
・大腿筋膜張筋の【起始】上前腸骨棘と大腿筋膜の内側、【停止】腸脛靭帯、脛骨外側顆前面の粗面、【作用】股関節屈曲、内旋、外転。膝関節伸展、【支配神経】上殿神経:L4~S1である。
・腸脛靭帯は、大腿筋膜の外側が肥厚した強靭な線維性組織である。骨盤から大腿骨外側、そして下腿外側の脛骨まで走行している。大殿筋と大腿筋膜張筋が連結する。
4.× 第5中足骨基部骨折:長腓骨筋
・長腓骨筋の【起始】腓骨頭、腓骨体外側面の上半、一部は筋膜と前下腿筋間中隔、【停止】第1,2中足骨底、内側楔状骨、【作用】足関節底屈、外返し、【神経】浅腓骨神経である。
問題84.下腿骨近位端骨折と検査との組合せで正しいのはどれか。
1.内側側副靭帯付着部骨折:内反ストレステスト
2.脛骨後十字靭帯付着部骨折:アプライテスト
3.脛骨顆間隆起骨折:前方引き出しテスト
4.腓骨頭骨折:後方引き出しテスト
解答3
解説
1.× 内側側副靭帯付着部骨折は、「内反」ではなく外反ストレステストである。
・外側側副靭帯損傷は、内反ストレステストが陽性の場合疑える。原因として、膝が外側に入ってしまい、膝関節外側の靭帯に強い内反ストレスが加わることで損傷が生じる。 具体的には、サッカーやラグビーなどで内側からタックルを食らった時に起こります。
2.× アプライテストは、「脛骨後十字靭帯付着部骨折」ではなく半月板損傷や側副靭帯損傷を疑う。
一般的にApleyテスト(アプレーテスト)といっても、アプレー・スクラッチテスト(Apley scratch test)やアプレー圧迫・牽引テストとApleyとつくテストがいくつかある。アプレー・スクラッチテスト(Apley scratch test)は、棘上筋腱の変性性筋炎を疑う。アプレー圧迫テストは半月板損傷、アプレー牽引テストは、側副靭帯損傷を疑う。
3.〇 正しい。脛骨顆間隆起骨折:前方引き出しテスト
・脛骨顆間隆起骨折は、膝関節の急激な屈曲や伸展により前十字靱帯が強く牽引された結果、脛骨の顆間隆起部分に力が加わって引き起こされる。8~12歳の小児や交通事故によって成人も発生することも多い。
・前方引き出しテストは、膝関節前十字靱帯損傷の検査である。背臥位にて患側膝90°屈曲位で、検者は下腿を前方に引く。陽性の場合、脛骨は止まることなく前方に出てくる。
4.× 後方引き出しテストは、「腓骨頭骨折後」ではなく膝関節の後十字靭帯損傷である。
・後方引き出しテストは、背臥位にて患側膝90°屈曲位で、検者は下腿を後ろ方に押す。陽性の場合、脛骨は止まることなく後方に押し込める。
問題85.足部裂離骨折と起因靱帯との組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。
1.距骨後突起外側結節骨折:踵腓靭帯
2.チロー(Tillaux)骨折:前脛腓靱帯
3.外果骨折:骨間距踵靱帯
4.踵骨前方突起骨折:二分靱帯
解答2・4
解説
外側靭帯は、前距腓靭帯、踵腓靭帯、後距腓靭帯を合わせていう。
【足関節靭帯損傷の受傷原因】
足関節の内反や外反が強い外力でかかる捻挫が最も多い。
内反捻挫は、足関節外側靭帯(前距腓靭帯、踵腓靭帯、後距腓靭帯)が損傷される。
外反捻挫は、足関節内側靭帯(三角靭帯)が損傷される。
【頻度】
外反捻挫より内反捻挫が多い。
足関節外側靭帯(前距腓靭帯、踵腓靭帯、後距腓靭帯)の中でも前距腓靭帯が多く損傷される。
なぜなら、足関節の可動域が、外反より内反の方が大きく、内反・底屈に過強制力がかかるため。
1.× 距骨後突起外側結節骨折は、「踵腓靭帯」ではなく後距腓靭帯の牽引で起こる。
2.〇 正しい。チロー(Tillaux)骨折:前脛腓靱帯
・チロー骨折とは、前脛腓靭帯の強い牽引力によって生じた脛骨側での剥離骨折である。前脛腓靱帯は、内返し捻挫時に損傷しやすい。
3.× 外果骨折は、「骨間距踵靱帯」ではなく外側靭帯(前距腓靭帯、踵腓靭帯、後距腓靭帯)の牽引で起こる。
4.〇 正しい。踵骨前方突起骨折:二分靱帯
・踵骨前方突起骨折とは、前方突起縁の二分靭帯がついている部分の裂離骨折である。踵骨前方突起は内返しで剥離骨折となり、外返しで距骨と衝突して圧迫骨折となる。初期段階で骨折を発見できれば、3週間程度ギブス固定をすると、後遺障害を残さずに完治することが多い。疼痛が改善しない場合、偽関節が起こっていることが考えられ、手術が検討される。
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