第20回(H24年)柔道整復師国家試験 解説【午前96~100】

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問題96.組織標本の一般染色法はどれか。

1.チール・ネルゼン染色
2.グラム染色
3.ヘマトキシリン・エオジン(HE)染色
4.ワンギーソン染色

解答

解説

組織標本の一般染色とは?

・目的:組織の基本構造を把握するために、核や細胞質、結合組織などを区別して観察する。最も標準的な方法は、ヘマトキシリン・エオジン染色(Hematoxylin–Eosin染色)である。病理診断や組織学の観察の第一段階の染色法である。

1.× チール・ネルゼン染色は、抗酸菌(例:結核菌)の検出に用いられる染色法である。抗酸菌は、ミコール酸を含む細胞壁を持ち、通常の染色では脱色されにくい「抗酸性」を示す。主に、喀痰や組織切片で赤く染まる桿菌が見られれば抗酸菌(例:結核菌)が疑われる。

2.× グラム染色とは、主として細菌類を色素によって染色する方法の一つである。細菌を分類する基準の一つで、デンマークの学者ハンス・グラムによって発明された。

3.〇 正しい。ヘマトキシリン・エオジン(HE)染色は、組織標本の一般染色法である。
・ヘマトキシリン・エオジン染色とは、最も基本的で広く使われる組織染色法である。ヘマトキシリンは細胞の核を青紫色に、エオジンは細胞の外側や筋肉・結合組織を赤やピンク色に染める。これにより細胞の形や配置がはっきり見え、病気の有無や種類を判断しやすくなる。病理診断の第一歩として欠かせない方法である。

4.× ワンギーソン染色とは、組織標本において膠原線維と筋線維などを識別するための染色法である。病理検査で広く用いられ、膠原線維は赤色、筋線維や細胞質は黄色に染色される。この色調の差により、線維化の程度や組織構造の変化を明瞭に観察することが可能であり、結合組織の評価に有用である。肝線維化や心筋線維化などの評価に応用される。

 

 

 

 

 

問題97.女性に多い疾患はどれか。

1.肝硬変
2.胆石症
3.胃癌
4.肺癌

解答

解説
1.× 肝硬変は、男性に多い疾患である(男女比2:1)。
・肝硬変とは、B型・C型肝炎ウイルス感染、多量・長期の飲酒、過栄養、自己免疫などにより起こる慢性肝炎や肝障害が徐々に進行して肝臓が硬くなった状態をいう。 慢性肝炎が起こると肝細胞が壊れ、壊れた部分を補うように線維質が蓄積して肝臓のなかに壁ができる。クモ状血管腫や手掌紅斑などがみられる。

2.〇 正しい。胆石症は、女性に多い疾患である(男女比1:2)。なぜなら、エストロゲン(女性ホルモン)が胆汁中のコレステロール分泌を増加させ、胆汁酸とのバランスが崩れてコレステロール結石ができやすくなるため。さらに、妊娠・肥満・中高年などもリスクを高める。
・胆石症とは、胆石(胆嚢や胆管にできる結石)によって引き起こされる病気の総称である。肝臓で作られた胆汁は一度胆嚢に蓄えられた後、胆管を通って十二指腸に流れ、その胆汁中の成分が析出することにより、胆嚢で石となるためそれを胆石(胆嚢内結石)と呼ぶ。主に影響を受けるのは、直接ビリルビンである。

3.× 胃癌は、男性に多い疾患である(男女比2:1)。なぜなら、リスク因子の影響(喫煙・塩分摂取・ヘリコバクター・ピロリ感染など)が男性で高い傾向にあるため。

4.× 肺癌は、男性に多い疾患である(男女比2:1)。なぜなら、喫煙率の高さ影響するため。
・肺癌とは、肺の気管支や肺胞の細胞が何らかの原因でがん化した病気である。肺がんは、肺細胞の遺伝子に傷がつくことで発生し、喫煙との関連が非常に深い。初期には自覚症状がないことが多く、他の呼吸器疾患との区別がつきにくい。主な所見として、咳、痰、血痰、発熱、息苦しさ、動悸、 胸痛などがあげられる。

 

 

 

 

 

問題98.放射線に対して感受性の低いのはどれか。

1.腸上皮細胞
2.筋細胞
3.造血細胞
4.精祖細胞

解答

解説

放射線感受性とは?

放射線感受性とは、細胞や組織が放射線に対してどの程度に敏感であるかを示す物理的な指標である。放射線治療において、癌細胞が高い放射線感受性を持つほど、効果的に放射線によって殺すことができるため、放射線治療は高感受性の細胞に対して特に効果的である。

1.× 腸上皮細胞は、放射線感受性が高い細胞である。なぜなら、腸上皮は常に新陳代謝が盛んで、腸陰窩で活発に分裂・再生しているため。
・腸上皮細胞とは、管腔面に接する単層立方上皮を構成する細胞である。主な働きは、栄養と水分の消化吸収、ならびに体内への異物の侵入を防ぐバリア、内分泌機能による消化液の分泌と腸管運動の調節などである。

2.〇 正しい。筋細胞(特に骨格筋)は、放射線に対して感受性の低い。なぜなら、筋細胞はすでに高分化した非分裂性細胞であり、細胞周期が停止しているため。したがって、神経細胞も分裂しないため放射線感受性は低い。

3.× 造血細胞は、放射線感受性が高い細胞である。なぜなら、骨髄中で絶えず細胞分裂を繰り返しており、未分化で代謝が盛んなため。
・造血細胞とは、骨髄中で絶えず分裂して血球を産生している未分化細胞である。

4.× 精祖細胞は、放射線感受性が高い細胞である。なぜなら、活発に分裂して精子形成を行う未熟な生殖細胞であるため。
・精祖細胞とは、精細管基底膜上に存在するまだ分化していない精細胞のことをいう。精細管の中には、胎児のときから、精子のもとになる精祖細胞があり、思春期になると、精祖細胞から精母細胞がつくられ、さらに精母細胞は精子細胞となる。

 

 

 

 

 

問題99.加齢に伴い心筋細胞内にみられるのはどれか。

1.メラニン
2.ビリルビン
3.ヘモジデリン
4.リポフスチン

解答

解説
1.× メラニンとは、肌や毛髪・瞳の色を構成する黒色の色素のことで紫外線から皮膚の細胞を守る働きがある。皮膚の基底層や毛髪の毛母細胞にあるメラノサイトで生成される。

2.× ビリルビンとは、赤血球が壊れたときにできる黄色い色素のことである。総ビリルビンは、①間接ビリルビンと②直接ビリルビンをあわせていう。基準値:0.2〜1.2mg/dLである。肝細胞の障害により、直接ビリルビンが上昇する。急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、肝臓がん、自己免疫性肝炎などがあげられる。腎臓からも排泄され、主に肝臓で代謝されるため、肝臓や胆嚢の状態を知るための重要な指標となる。

3.× ヘモジデリンとは、ヘモグロビンの鉄を含む色素である。成人男性は50mg/kg、成人女性は35mg/kgの鉄分を体内に持ち、そのうちの約2/3はヘモグロビンの構成成分として用いられている。残りの1/3のうちほとんどは、フェリチンやヘモジデリンといった貯蔵鉄として、脾臓、骨髄、肝臓中に含まれる。

4.〇 正しい。リポフスチンは、加齢に伴い心筋細胞内にみられる。
・リポフスチンとは、加齢とともに 蓄積する老化色素であり、血管に溜まることでくすみの原因になると考えられている。特に心筋などの長寿命な細胞での沈着が一般的である。

 

 

 

 

 

問題100.肉芽組繊の構成細胞でないのはどれか。

1.線維芽細胞
2.血管内皮細胞
3.炎症細胞
4.神経細胞

解答

解説

肉芽とは?

肉芽とは、毛細血管に富んだ新生結合組織(幼若な結合組織)である。

1.〇 線維芽細胞は、肉芽組繊の構成細胞である
・線維芽細胞とは、真皮線維芽細胞ともいい、皮膚の真皮にある細胞である。肌の元となる成分(コラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸)を作り出す役割を担う。細胞分裂周期が早く、古くなったら分解し細胞分裂によって絶えず新しい線維芽細胞を増やし続けている。

2.〇 血管内皮細胞は、肉芽組繊の構成細胞である
・血管内皮細胞とは、血管の内腔を覆う細胞である。血管内皮細胞は血管の構成要素となるだけでなく、血液と組織が酸素や栄養素などの物質交換を行う場として働き、さらには様々な生理活性物質を産生して組織や臓器の機能を維持する働きを担う。

3.〇 炎症細胞は、肉芽組繊の構成細胞である
・炎症細胞とは、マクロファージ・リンパ球・形質細胞などのことを指し、肉芽組織の重要構成成分である。マクロファージ・リンパ球・形質細胞が壊死組織を除去し、サイトカインや成長因子を分泌して線維芽細胞や血管内皮細胞の増殖を誘導する。

4.× 神経細胞は、肉芽組繊の構成細胞でない。なぜなら、神経細胞は高分化・非分裂性の細胞であり、組織修復における増殖・再生過程に関与しないため。ちなみに、中枢神経系が損傷した場合は、肉芽組織は形成されず、グリア細胞による「グリア瘢痕」が生じる。
・神経細胞とは、脳や脊髄などの神経系を構成する細胞で、電気信号を発して情報をやりとりする特殊な細胞である。

 

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