第20回(H24年)柔道整復師国家試験 解説【午後76~80】

この記事には広告を含む場合があります。

記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。

 

問題76.肋骨骨折で正しいのはどれか。

1.ゴルフでは第1肋骨に好発する。
2.幼小児に好発する。
3.単数骨折では肺損傷が起こりにくい。
4.絆創膏は吸気時に貼付する。

解答

解説
1.× ゴルフでは、「第1肋骨」ではなく中位肋骨(第4〜8肋骨)に好発する。ぜなら、ゴルフや野球スイング動作では、体幹の回旋筋群(前鋸筋・外腹斜筋など)に強い牽引力がかかり、これらの筋が付着する中位肋骨に繰り返しストレスが集中するため。

2.× 幼小児に好発「とはいえない」。なぜなら、小児の肋骨は、弾性に富み柔軟性が高いため。したがって、外力を受けても折れにくい。肋骨骨折は、胸部を強く打撲したり、衝突・転倒した際に起こる(交通事故でハンドルやシートベルトに胸を打つ、転倒して胸を地面や家具にぶつける)。

3.〇 正しい。単数骨折では肺損傷が起こりにくい。なぜなら、肋骨骨折が1本だけの場合は、骨片の動揺や変形が少なく、肺や胸膜の損傷は起こりにくいため。したがって、肋骨骨折による肺損傷や血気胸は、複数肋骨骨折(多発骨折)や変位骨折で、骨片が鋭く胸膜を刺すことで生じる。

4.× 絆創膏は、「吸気時」ではなく呼気時に貼付する。なぜなら、吸気時(息を吸った状態)に貼ると、呼気時に胸郭が縮む際に絆創膏にゆるみを生じさせるため。
・肋骨骨折の屋根瓦状絆創膏固定とは、絆創膏を貼付する範囲をアルコール綿で消毒し、呼気時に貼付していく。その際、乳頭部はガーゼで保護し、肋骨弓下縁から上方に向かって少しずつ重ねながら貼付していく。

 

 

 

 

 

問題77.小児の鎖骨骨折で正しいのはどれか。

1.第3骨片を生じることが多い。
2.解剖学的整復が要求される。
3.偽関節の発生が多い。
4.変形は漸次改善する。

解答

解説
1.× 第3骨片を生じること「は少ない」。なぜなら、小児の鎖骨は骨膜が厚く弾性に富み、骨折しても骨膜が連続性を保つ「若木骨折」を起こすことが多いため。ちなみに、第3骨片(介在骨片)は、成人の粉砕骨折や高エネルギー外傷でみられる。

2.× 解剖学的整復は「不要である」。なぜなら、小児は骨膜性仮骨形成が旺盛で、自然整復(リモデリング能力)が非常に高いため。したがって、多少の転位や短縮があっても、成長とともに骨軸が再形成されて正常形態に戻る。

3.× 偽関節の発生は「稀である」。なぜなら、鎖骨は、血流が豊富で、骨膜再生力も高いため。したがって、骨癒合が非常に良好である。
・偽関節とは、骨折部の癒合不全により異常可動をきたすことである。血流が少なく、骨癒合が起こりにくい部位の骨折が好発部位である。つまり、①大腿骨頸部骨折、②手の舟状骨骨折、③脛骨中下1/3骨折等は偽関節を起こしやすい。

4.〇 正しい。変形は漸次改善する。なぜなら、小児の鎖骨骨折は、成長に伴い自然矯正(リモデリング)されるため。

 

 

 

 

 

問題78.定型的鎖骨骨折で遠位骨片の転位に作用するのはどれか。

1.胸鎖乳突筋
2.大胸筋
3.棘上筋
4.大円筋

解答

解説

定型的鎖骨骨折とは?

定型的鎖骨骨折は、近位骨片が胸鎖乳突筋の作用で後上方に転移するものをさす。

1.× 胸鎖乳突筋は、近位骨片を上方へ牽引する。
・胸鎖乳突筋の【起始】胸骨部:胸骨柄前面、鎖骨部:鎖骨の胸骨端、【停止】乳様突起、後頭骨の上項線の外側部、【作用】両側が同時に作用すると首をすくめて顎を突き出す。片側が働けば顔面を対側に回す。吸息の補助、【支配神経】副神経外枝、頸神経叢筋枝(C2,C3)である。

2.〇 正しい。大胸筋は、定型的鎖骨骨折で遠位骨片の転位に作用する。
・大胸筋の【起始】鎖骨部:鎖骨内側1/2~2/3、胸肋部:胸骨前面と上5~7個の肋軟骨、腹部:腹直筋鞘前葉の表面、【停止】上腕骨の大結節稜、【作用】肩関節内転・内旋、鎖骨部:肩甲骨屈曲、腹部:肩関節下制である。

3.× 棘上筋は鎖骨に付着しない
・棘上筋の【起始】肩甲骨の棘上窩、棘上筋膜の内側、【停止】上腕骨大結節の上部、【作用】肩関節外転、【支配神経】肩甲上神経:C5,C6である。

4.× 大円筋は鎖骨に付着しない
・大円筋の【起始】肩甲骨の下角部、棘下筋膜下部外面、【停止】上腕骨の小結節稜、【作用】肩関節内転、内旋、伸展、【神経】肩甲下神経である。

 

 

 

 

 

問題79.発生頻度の比較で正しいのはどれか。

1.鎖骨外端部骨折>鎖骨中・外1/3境界部骨折
2.上腕骨外科頸骨折>上腕骨解剖頸骨折
3.上腕骨外顆骨折>上腕骨顆上骨折
4.スミス(Smith)骨折>コーレス(Colles)骨折

解答

解説
1.× 鎖骨外端部骨折よりも鎖骨中・外1/3境界部骨折の頻度の方が多い
・鎖骨骨折のうち、最も多いのは鎖骨中1/3部骨折である。なぜなら、鎖骨の中1/3部は骨形状が細く、S字状に彎曲し、靭帯による支持が弱いため。したがって、外力(転倒・肩への直達外力)が加わると、応力集中が生じて折れやすい。

2.〇 正しい。上腕骨外科頸骨折>上腕骨解剖頸骨折
なぜなら、外科頸は、骨幹部と骨頭部の境界部で構造的に脆弱であるため。また、転倒時に手をついて肩へ伝わる外力が集中しやすい。

3.× 上腕骨外顆骨折よりも上腕骨顆上骨折の頻度の方が多い
なぜなら、顆上部は、成長軟骨線近くで構造的に弱く、転倒外力(伸展力)が集中しやすいため。

4.× スミス骨折よりもコーレス骨折の頻度の方が多い。なぜなら、コーレス骨折は、手掌をついて転倒(手関節背屈位での外力)により発生じるため。一方、スミス骨折は、手背をついて転倒(手関節掌屈位での外力)による骨折である。

 

 

 

 

 

問題80.肩甲骨骨折で正しいのはどれか。

1.体部骨折は縦骨折が多い。
2.頸部骨折は解剖頸骨折が多い。
3.肩峰骨折は転位が薯明である。
4.上角骨折は肩甲拳筋により転位する。

解答

解説
1.× 体部骨折では、「縦骨折」ではなく横骨折が多い。
・横骨折とは、骨折線が骨の長軸方向に対してほぼ垂直に入る骨折のことである。
・縦骨折とは、骨の長軸に並行に骨折線が入っているものである。

2.× 頸部骨折は、解剖頸骨折が多い「とはいえない」。なぜなら、肩甲骨に「解剖頸」と部位はないため。ここでいう「頸部骨折」は、肩甲骨頸部骨折のことであり、「解剖頸」は上腕骨にある。

3.× 肩峰骨折の転位では、「著しい転位はしにくい」。なぜなら、肩峰は、周囲の筋肉によって安定しているため。肩峰骨折の症状として、症状限局性圧痛、呼吸痛上腕の挙上、特に外転時に疼痛がみられるが、著明な転位はない。

4.〇 正しい。上角骨折は、肩甲拳筋により転位する
・肩甲挙筋の【起始】第1~(3)4頸椎の横突起後結節、【停止】肩甲骨の上角と内側縁の上部、【作用】肩甲骨を内上方に引く、【神経】頸神経叢の枝と肩甲背神経である。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)