第20回(H24年)柔道整復師国家試験 解説【午後86~90】

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問題86.所見と疾患との組合せで誤っているのはどれか。

1.ドレーマン徴候:大腿骨頭すべり症
2.ナウマン症候:距骨骨折
3.ラセーグ徴候:股関節前方脱臼
4.トレンデレンブルグ徴候:股関節臼蓋形成不全

解答

解説
1.〇 正しい。ドレーマン徴候:大腿骨頭すべり症
・ドレーマン徴候(Drehmann徴候)とは、股関節を他動的に屈曲すると外転・外旋する徴候である。大腿骨頭すべり症でみられる。
・大腿骨頭すべり症とは、大腿骨近位骨端軟骨の脆弱化、体重負荷により、大腿骨頭が頚部に対して、後下方に転位する疾患である。原因として、肥満と成長期のスポーツ活動による力学的負荷が大腿骨に加わるために生じる。成長ホルモンと性ホルモンの異常で発症することもある。9歳から15歳頃の股関節の成長軟骨板(成長線)が力学的に弱い時期に発症する。

2.〇 正しい。ナウマン症候:距骨骨折
・ナウマン徴候とは、距骨骨折で生じる症状であり骨片が足関節後方に転位した際に、長母指屈筋腱を圧迫して腱には牽引力が働き第1足指が直角に屈曲する所見である。
・距骨骨折とは、足根骨の中では踵骨の次に多い骨折である。転倒時など足部が背屈位に強制されたときに脛骨の前方部が距骨の頚部に衝突して骨折が生じる。距骨体部の阻血性壊死が起こりやすい。

3.× ラセーグ徴候は、「股関節前方脱臼」ではなく坐骨神経麻痺・椎間板ヘルニアである。
・ラセーグ徴候とは、坐骨神経麻痺・椎間板ヘルニアの検査で、背臥位の患者の下肢を伸展させたまま持ち上げた際に、大腿後面に疼痛が出現し、それ以上挙上できなくなる状態を指す。

4.〇 正しい。トレンデレンブルグ徴候:股関節臼蓋形成不全
・トレンデレンブルグ徴候とは、患肢で片脚立ちをしたとき、健肢側の骨盤が下がる現象である。中殿筋が麻痺や筋力低下などの機能不全が生じているときに、患側での立脚期において健側の骨盤が下がる現象である。大腿骨頭すべり症は、大腿骨の成長板の弱さにより大腿骨頭が後方へ滑る疾患であり、大腿骨頭の異常な位置の偏位により、中殿筋の緊張が変化し筋発揮に障害をきたす。
・臼蓋形成不全とは、若年〜中年女性に多い股関節疾患(変形性股関節症)の原因となる疾患である。

 

 

 

 

 

問題87.股関節後方脱臼と大腿骨頸部内側内転型骨折とに共通するのはどれか。2つ選べ。

1.高齢者に好発する。
2.大転子高位が認められる。
3.転子果長の短縮が認められる。
4.合併症に阻血性大腿骨頭壊死が挙げられる。

解答2・4

解説

股関節後方脱臼とは?

股関節後方脱臼は、坐骨神経麻痺が生じやすい。膝および股関節を屈曲させた状態で膝に対して後方に強い力が加わった結果生じる(例:自動車のダッシュボードにぶつかる)。ちなみに、分類として、腸骨脱臼、坐骨脱臼が後方脱臼であり、恥骨上脱臼、恥骨下脱臼が前方脱臼である。

【症状】弾発性固定(股関節屈曲・内転・内旋位)、大転子高位、下肢短縮、関節窩の空虚、股関節部の変形(殿部後上方の膨隆:骨頭を触れる)

【続発症】阻血性大腿骨頭壊死、外傷性股関節炎、骨化性筋炎など

1.× 高齢者に好発するのは、「大腿骨頸部内側骨折」である。
・大腿骨頸部骨折の受傷起点は、骨粗鬆症を背景にした高齢者の転倒外傷である。
・股関節後方脱臼の受傷起点は、主に交通事故など高エネルギー外傷(若年男性に多い)である。

2.〇 正しい。大転子高位が認められる。
・股関節後方脱臼:大腿骨頭が臼蓋の後方に脱出する。
・大腿骨頸部内側内転型骨折は、骨折部で骨軸がずれ、遠位骨片が上方へ滑り込む。

3.× 両者とも、「転子果長」ではなく棘果長の短縮が認められる。なぜなら、棘果長は、上前腸骨棘から内果までの距離で、骨盤の影響を含む大腿骨や下腿の影響を含むため。
・転子果長とは、大転子から外果までの距離である。骨盤や大腿骨頸部の影響は含まない。

4.〇 正しい。合併症に阻血性大腿骨頭壊死が挙げられる。なぜなら、血行障害による骨頭壊死が考えられるため。
・股関節後方脱臼:脱臼時に大腿骨頭後方血管(閉鎖動脈枝・内側大腿回旋動脈枝)が損傷し、血流遮断される。
・大腿骨頸部内側骨折:関節包内骨折のため、骨頭への血行(大腿骨頭動脈枝)が途絶し、骨頭壊死・偽関節の危険が高い。

大腿骨頸部内側骨折とは?

大腿骨頸部内側骨折とは、大腿骨頭と骨頸(頸部)の間(関節包内)で起こる骨折である。主に高齢者(特に女性)の転倒で発生する。関節包内に位置するため、血行障害(骨頭壊死・偽関節)を起こしやすい。

阻血性骨壊死になりやすい骨折として、①上腕骨解剖頸骨折、②手の舟状骨骨折、③大腿骨頸部内側骨折、④距骨骨折があげられる。これらの部位の骨折は栄養血管損傷を起こしやすく、血流が障害されやすい。

 

 

 

 

 

問題88.股関節内旋位となるのはどれか。

1.大腿骨転子間骨折
2.大腿骨頸部内側骨折
3.股関節腸骨脱臼
4.股関節恥骨上脱臼

解答

解説

股関節後方脱臼とは?

股関節後方脱臼は、坐骨神経麻痺が生じやすい。膝および股関節を屈曲させた状態で膝に対して後方に強い力が加わった結果生じる(例:自動車のダッシュボードにぶつかる)。ちなみに、分類として、腸骨脱臼、坐骨脱臼が後方脱臼であり、恥骨上脱臼、恥骨下脱臼が前方脱臼である。

【症状】弾発性固定(股関節屈曲・内転・内旋位)、大転子高位、下肢短縮、関節窩の空虚、股関節部の変形(殿部後上方の膨隆:骨頭を触れる)

【続発症】阻血性大腿骨頭壊死、外傷性股関節炎、骨化性筋炎など

1~2.× 大腿骨転子間骨折/大腿骨頸部内側骨折は、股関節外旋位となりやすい。なぜなら、外旋筋群による牽引によるため。

3.〇 正しい。股関節腸骨脱臼は、股関節内旋位となる(後方脱臼)。股関節は、「屈曲、内転、内旋位」となる。ほかにも、①大転子高位、②股関節部の変形、③股関節部の無抵抗、④弾発性固定となる。

4.× 股関節恥骨上脱臼は、大腿骨頭が恥骨の上方、つまり体の前方に移動する股関節の前方脱臼を指す。股関節過伸展・外転・外旋(恥骨上脱臼)への介達外力で生じる。症状として、軽度屈曲・外転・強度外旋位となる。ほかにも、①骨頭を鼠蹊部に触知、②大腿の運動とともに骨頭の移動が確認、③弾発性抵抗、④他動的内転不能、⑤殿部の隆起現象、⑥大転子の触知不能などがみられる。

 

 

 

 

 

問題89.誤っているのはどれか。

1.大腿骨顆上屈曲型骨折は遠位骨片が前方に転位する。
2.分裂膝蓋骨は外上方に認めることが多い。
3.大腿骨外顆骨折は外反膝を呈する。
4.脛骨顆間隆起骨折では前方への不安定性がみられる。

解答

解説
1.× 大腿骨顆上屈曲型骨折は、遠位骨片が「前方」ではなく後方に転位する。なぜなら、骨折後に、下腿三頭筋が遠位骨片を後方へ引くため。
・伸展型:遠位骨片は前方転位
・屈曲型:遠位骨片は後方転位に転移する。

2.〇 正しい。分裂膝蓋骨は、外上方に認めることが多い。なぜなら、大腿四頭筋(特に、外側広筋の付着部位であること)、さらに血行供給量の低下が関連しているため。
・分裂膝蓋骨とは、先天的なものであり、通常は痛みがないが、膝蓋骨が2つ以上に分かれている状態のことをいう。10代のスポーツをしている子に多く、症状が出ない場合もある。有痛性分裂膝蓋骨は、激しいスポーツ動作などをきっかけに分裂した箇所にストレスが加わることで痛みが出現する。症状が出ている場合(痛みが出ている場合)を有痛性と分類される。有痛性分裂膝蓋骨の症状は、膝蓋骨の割れた分裂部に炎症が起き、ズキズキした痛みを伴う。膝の曲げ伸ばしにはお皿が押し付けられるような力や、大腿四頭筋の牽引力が加わり、痛みが起こり、ジャンプなど運動強度が増すと痛みが増す。

3.〇 正しい。大腿骨外顆骨折は、外反膝を呈する。なぜなら、下肢の外側支持が失われ、膝関節の内側構造(内側靭帯など)が相対的に緊張するため。

4.〇 正しい。脛骨顆間隆起骨折では、前方への不安定性がみられる。なぜなら、半月板や前・後十字靭帯の損傷を合併しやすいため。特に、前十字靭帯の付着部損傷を伴う。
・脛骨顆間隆起とは、前・後十字靭帯が付着する部位である。また、内外側には半月板が位置する。

 

 

 

 

 

問題90.デュピュイトラン(Dupuytren)骨折はどれか。

1.a
2.b
3.c
4.d

解答

解説
1.× aは、ポット骨折である。
・ポット骨折とは、三角靱帯断裂、遠位脛腓関節の完全離開、腓骨骨幹部または頸部の螺旋状骨折を合併したものである。

2.× bは、コットン骨折である。
・コットン骨折とは、足関節果部骨折のうち、内果・外果・後果の三果の同時骨折(脛骨・腓骨の同時骨折)を指す。

3.× cは、チロー骨折である。
・チロー骨折とは、前脛腓靭帯の強い牽引力によって生じた脛骨側での剥離骨折である。前脛腓靱帯は、内返し捻挫時に損傷しやすい。

4.〇 正しい。dがデュピュイトラン(Dupuytren)骨折である。
・デュピュイトラン骨折とは、内果骨折、遠位脛腓関節の完全離開、腓骨骨幹部または頭部の螺旋状骨折を合併したものである。

 

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