第34回(R8年)柔道整復師国家試験 解説【午後41~45】

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問題41 疾患と症状の組合せで正しいのはどれか。

1.ベーチェット病(Behçet病):筋痛
2.関節リウマチ:外陰部潰瘍
3.多発性筋炎:皮膚硬化
4.強皮症:嚥下障害

解答

解説
1.× ベーチェット病は、「筋痛」ではなく外陰部潰瘍である。
・ベーチェット病とは、自己免疫疾患で、四徴として、①口腔粘膜のアフタ性潰瘍、②ぶどう膜炎、③皮膚症状(結節性紅斑や皮下硬結)、④外陰部潰瘍である。皮膚症状として、下腿に後発する。発赤や皮下結節を伴う結節性紅斑、圧痛を伴う皮下の遊走性血栓性静脈炎、顔面・頚部・背部などにみられる毛嚢炎様皮疹または痤瘡様皮疹などが出現する。

2.× 関節リウマチは、「外陰部潰瘍」ではなく自己免疫性の滑膜炎による対称性多発関節炎である。
・関節リウマチとは、関節滑膜を炎症の主座とする慢性の炎症性疾患である。病因には、遺伝、免疫異常、未知の環境要因などが複雑に関与していることが推測されているが、詳細は不明である。関節炎が進行すると、軟骨・骨の破壊を介して関節機能の低下、日常労作の障害ひいては生活の質の低下が起こる。

3.× 多発性筋炎は、「皮膚硬化」ではなく筋炎による対称性の近位筋筋力低下である。
・多発性筋炎とは、自己免疫性の炎症性筋疾患で、主に体幹や四肢近位筋、頸筋、咽頭筋などの筋力低下をきたす。典型的な皮疹を伴うものは皮膚筋炎と呼ぶ。膠原病または自己免疫疾患に属し、骨格筋に炎症をきたす疾患で、遺伝はなく、中高年の女性に発症しやすい(男女比3:1)。5~10歳と50歳代にピークがあり、小児では性差なし。四肢の近位筋の筋力低下、発熱、倦怠感、体重減少などの全身症状がみられる。手指、肘関節や膝関節外側の紅斑(ゴットロン徴候)、上眼瞼の腫れぼったい紅斑(ヘリオトロープ疹)などの特徴的な症状がある。

4.〇 正しい。強皮症:嚥下障害
・強皮症とは、全身性の結合組織病変で、手指より始まる皮膚の硬化病変に加え、肺線維症などの諸臓器の病変を伴う。病因は不明であり、中年女性に多い。症状は、仮面様顔貌、色素沈着、ソーセージ様手指、Raynaud現象(レイノー現象)、嚥下障害、間質性肺炎、関節炎、腎クリーゼなどである。

 

 

 

 

 

問題42 尿路結石で最も多いのはどれか。

1.アンモニウム結石
2.カルシウム結石
3.シスチン結石
4.尿酸結石

解答

解説

尿路結石とは?

尿路結石症とは、尿路に、結石(尿に含まれるカルシウム・シュウ酸・リン酸・尿酸などが結晶化したもの)ができる病気である。結石のできる位置によって、腎結石(腎臓内にある結石) 、尿管結石、膀胱結石などと呼ばれる。結石ができる原因は明確に分かっていないが、リスク要因としては体質遺伝の他、生活習慣が大きく関わっているとされている。典型的な最初の症状は脇腹から下腹部にかけての突然の激痛である。 「動くと痛い」というのは結石の症状ではなく筋肉や骨からの症状のことが多いが、尿管結石の場合はじっとしていてももだえるほどの症状が出ることがある。 また、結石によって閉塞した部位の中枢側の尿路が拡張し、腰背部の仙痛発作が起こる。治療としては、①体外衝撃波腎・尿管結石破砕術、②経尿道的尿路結石除去術、③経皮的尿路結石除去術(もしくは②と③を同時に併用する手術)などがあげられる。

1.× アンモニウム結石とは、尿路感染(とくに尿素分解酵素をもつ細菌感染)に関連してできる結石である。

2.〇 正しい。カルシウム結石は、尿路結石で最も多い。なぜなら、尿の中にカルシウムやシュウ酸、リン酸が日常的に含まれ、脱水や塩分過多などで濃くなると結晶化しやすいため。ほかの結石は感染症や遺伝など特殊な条件を要することが多い。

3.× シスチン結石は、遺伝性のシスチン尿症で尿中シスチンが増えてできる結石である。若年から結石を繰り返す患者で、家族歴があり、尿中に特徴的な結晶を認める場合にはシスチン結石を疑う。

4.× 尿酸結石は、尿酸が尿中で結晶化してできる結石で、脱水や高たんぱく食で生じやすいものである。痛風や高尿酸血症がある患者、あるいは酸性尿が続く患者では尿酸結石を疑う。

 

 

 

 

 

問題43 パーキンソン(Parkinson)病に特徴的なのはどれか。

1.安静時振戦
2.姿勢時振戦
3.睡眠時振戦
4.動作時振戦

解答

解説

パーキンソン病とは?

パーキンソン病とは、黒質のドパミン神経細胞の変性を主体とする進行性変成疾患である。4大症状として①安静時振戦、②筋強剛(筋固縮)、③無動・寡動、④姿勢反射障害を特徴とする。また、自律神経障害による便秘や起立性低血圧、排尿障害、レム睡眠行動障害などが起こる。レム睡眠行動障害とは、レム睡眠の時期に体が動き出してしまう睡眠障害の1つである。 睡眠時随伴症に分類される。

1.〇 正しい。安静時振戦は、パーキンソン病に特徴的である。
・安静時振戦とは、手や足を力を抜いて休めている時に目立つふるえである。動かし始めると軽くなる、または消えることが多く、パーキンソン病でみられやすい。

2.× 姿勢時振戦とは、腕を前に伸ばすなど、ある姿勢を保っている時に出るふるえである。じっとしていても、重力に逆らって支える姿勢で目立つのが特徴である。

3.× 睡眠時振戦とは、睡眠中に起こるふるえを指す言い方であるが、一般的な振戦分類の主要区分ではない

4.× 動作時振戦とは、手を伸ばす、物を持つ、字を書くなど、自分で動かしている時に出るふるえである。動作時振戦のうち、目標に近づくほど強くなる企図振戦なら小脳障害を示唆される。

 

 

 

 

 

問題44 40歳の女性。頸椎捻挫の施術中に前頸部の腫れに気が付いた。本人から話を聞いたところ、半年ほど前から仕事をする気力がなくなり、3か月ほど前から皮膚の乾燥と便秘が続いており、寒がりになっているとのことであった。脈拍は46/分・整。下腿前面に指圧痕の残らない浮腫がみられる。
 考えられるのはどれか。

1.うつ病
2.心不全
3.橋本病
4.バセドウ(Basedow)病

解答

解説

本症例のポイント

・40歳の女性。
・頸椎捻挫の施術中:前頸部の腫れ
・半年ほど前:仕事をする気力がなくなった。
・3か月ほど前:皮膚の乾燥便秘が続いており、寒がりになっている。
・脈拍は46/分
・下腿前面に指圧痕の残らない浮腫がみられる。
→ほかの選択肢が消去できる理由もあげられるようにしよう。

1.× うつ病より優先されるものが他にある。なぜなら、本症例がうつ病の場合では、皮膚乾燥や脈拍46/分の徐脈、前頸部腫脹、非圧痕性浮腫が説明できないため。

2.× 心不全より優先されるものが他にある。なぜなら、心不全の浮腫は、一般的に圧痕性浮腫であるため。
・浮腫には2種類ある。指で数秒間強く押したあとに圧痕が残る①圧痕性浮腫と、圧痕が残らない②非圧痕性浮腫である。くるぶしや脛骨前面がわかりやすい。圧痕性浮腫は間質液膠質浸透圧の上昇により、水分が貯留するためで生じる。ネフローゼ症候群、肝硬変、心不全、熱傷でみられる。一方、非圧痕性浮腫は、間質の蛋白濃度(間質液の膠質浸透圧)が増加するリンパ浮腫やムコポリサッカライドが増加する甲状腺機能低下症でみられる。

3.〇 正しい。橋本病が考えられる。
・橋本病とは、甲状腺に炎症が引き起こされることによって徐々に甲状腺が破壊され、甲状腺ホルモンの分泌が低下していく病気のことである。慢性甲状腺炎とも呼ばれる。甲状腺機能低下症になると、全身の代謝が低下することによって、無気力、疲れやすさ、全身のむくみ、寒がり、体重増加、便秘、かすれ声などが生じる。

4.× バセドウ(Basedow)病は、甲状腺機能亢進症を起こす。
・バセドウ病とは、甲状腺刺激ホルモン受容体に対する自己抗体による甲状腺機能亢進症である。症状は、眼球突出、頻脈、びまん性甲状腺腫が特徴的である。

 

 

 

 

 

問題45 28歳の女性。3か月前から夕方になると瞼が重く、開けづらく感じた。1か月前から疲れると物が二重に見えるようになった。硬いものを噛んでいると顎が疲れて動かなくなるので、休みながら食事をしている。
 この患者でみられるのはどれか。

1.振戦
2.反復運動での症状の増悪
3.ロンベルグ徴候
4.バビンスキー反射

解答

解説

本症例のポイント

・28歳の女性。
・3か月前から夕方になると瞼が重く、開けづらく感じた。
・1か月前から疲れると物が二重に見えるようになった。
・硬いものを噛んでいると顎が疲れて動かなくなるので、休みながら食事をしている。
→本症例は、重症筋無力症が疑われる(詳しくは解説下参照)。ほかの選択肢が消去できる理由をあげられるようにしよう。

・重症筋無力症では、眼瞼下垂、複視、咀嚼困難、嚥下困難、構音障害などの随意筋の疲れやすさが中心である。

1.× 振戦はみられない。なぜなら、重症筋無力症の本質は「筋の易疲労性」と「変動する筋力低下」であるため。

2.〇 正しい。反復運動での症状の増悪でこの患者でみられる。なぜなら、重症筋無力症は、神経筋接合部の障害によって起こり、筋を繰り返し使うほど神経筋伝達が破綻しやすくなり、筋力低下が目立つようになるため。本症例では、夕方にまぶたが重くなる、疲れると複視が出る、硬いものを噛み続けると顎が動かなくなる、というすべてがこの特徴に一致する。

3.× ロンベルグ徴候はみられない。なぜなら、重症筋無力症の本質は「筋の易疲労性」と「変動する筋力低下」であるため。
・Romberg徴候(ロンベルグ徴候)は、深部感覚障害でみられる。被検者につま先を揃えてまっすぐ立ってもらい、開眼で体の動揺をみる。次いで、閉眼で体の動揺をみる開眼時にはみられない動揺が、閉眼時にみられれば、Romberg徴候陽性とする。陽性であれば、脊髄後索障害、末梢神経障害、前庭神経系の障害を考える。開眼時・閉眼時ともに動揺がみられる場合は小脳障害を考える。

4.× バビンスキー反射はみられない。なぜなら、重症筋無力症は、末梢の神経筋接合部の病気で、感覚や深部腱反射は通常正常であるため。
・バビンスキー反射とは、下肢の病的反射で、皮膚への刺激によって母趾がゆっくりと背屈すれば陽性(母趾現象または伸展足底反射)ときには他の4指が開く(開扇現象)。正常では足底反射より母趾屈曲が起こる。

重症筋無力症とは?

 重症筋無力症とは、末梢神経と筋肉の接ぎ目(神経筋接合部)において、筋肉側の受容体が自己抗体により破壊される自己免疫疾患のこと。全身の筋力低下、易疲労性が出現し、特に眼瞼下垂、複視などの眼の症状をおこしやすいことが特徴(眼の症状だけの場合は眼筋型、全身の症状があるものを全身型と呼ぶ)。嚥下が上手く出来なくなる場合もある。重症化すると呼吸筋の麻痺をおこし、呼吸困難を来すこともある。日内変動が特徴で、午後に症状が悪化する。クリーゼとは、感染や過労、禁忌薬の投与、手術ストレスなどが誘因となって、急性増悪し急激な筋力低下、呼吸困難を呈する状態のことである。
【診断】テンシロンテスト、反復誘発検査、抗ACh受容体抗体測定などが有用である。
【治療】眼筋型と全身型にわかれ、眼筋型はコリンエステラーゼ阻害 薬で経過を見る場合もあるが、非有効例にはステロイド療法が選択される。胸腺腫の合併は確認し、胸腺腫合併例は、原則、拡大胸腺摘除術を施行する。難治例や急性増悪時には、血液浄化療法や免疫グロブリン大量療法、ステロイド・パルス療法が併用 される。

(※参考「11 重症筋無力症」厚生労働省HPより)

 

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