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問題116.正しい組合せはどれか。
1.マイコプラズマ:真菌
2.ニューモシスチス:細菌
3.レジオネラ:ウイルス
4.マラリア:原虫
解答4
解説
1.× マイコプラズマは、「真菌」ではなく細菌である。
・マイコプラズマ肺炎とは、「肺炎マイコプラズマ」という細菌に感染することによって起こる呼吸器感染症である。小児や若い人の肺炎の原因としては、比較的多いものの1つである。例年、患者として報告されるもののうち約80%は14歳以下であるが、成人の報告もみられる。
2.× ニューモシスチスは、「細菌」ではなく真菌である。
・ニューモシスチス肺炎とは、細胞性免疫不全により引き起こされる日和見感染症である。つまり、免疫が低下している際に原因菌が体の中に入ることによって生じる。病原菌は、Pneumocystis jirovecii(ニューモシスチス イロベチイ)という真菌である。リスク因子として、HIV 感染、ステロイド投与、免疫抑制剤、生物学的製剤、悪性腫瘍、抗癌剤による化学療法、血液透析などがある。3主徴は発熱、乾性咳嗽、呼吸困難である。
3.× レジオネラは、「ウイルス」ではなく細菌である。
・レジオネラ症とは、レジオネラ属菌(細菌)による感染症である。 病型は、劇症型のレジオネラ肺炎と一過性のポンティアック熱の二つに分類される。 流行は季節によらず、中高年に多く発生している。レジオネラ肺炎は、全身倦怠感、頭痛、食欲不振、筋肉痛などの症状に始まり、咳や38℃以上の高熱、寒気、胸痛、呼吸困難が見られる。主な感染源は、レジオネラ属菌に汚染された循環式浴槽水、シャワー、ジャグジー、冷却塔水、加湿器などの人口環境水の目に見えないほど細かい水滴(エアロゾル)が主な原因となる。
4.〇 正しい。マラリア:原虫
・マラリアとは、マラリア原虫という寄生虫で引き起こされる疾患で、マラリア原虫が感染した蚊に刺されることで伝搬される。地球温暖化により、蚊が生息できる地域が広がる可能性があり、それに伴いマラリアの感染リスクも増加する。刺されてから発症するのは1週間位後で、はじめは発熱や頭痛、そして寒気や吐き気といった風邪に似た症状が多い。したがって、マラリアだと気づきにくいのが特徴である。その後、脳症や、じん臓・肝臓の機能障害、重症貧血といった合併症で死に至る危険がある。
問題117.免疫で正しいのはどれか。
1.個体に病原体への感受性がない状態を抵抗力があるという。
2.免疫を引き起こす微生物の一部分や毒素は凝集素と呼ばれる。
3.予防接種により成立する免疫を人工受動免疫という。
4.母乳を介し母親の免疫抗体を受け取ることにより成立する免疫を自然能動免疫という。
解答1
解説
・能動免疫とは、自分の免疫系が反応して抗体を作る。
・受動免疫とは、他者由来の抗体をもらうだけである。
1.〇 正しい。個体に病原体への感受性がない状態を「抵抗力がある」という。
・免疫とは、病原体に対して感受性がなくなり、感染を防御できる状態(抵抗力をもつ状態)を指す。
・感受性とは、敏感であるかを示す物理的な指標である。
2.× 免疫を引き起こす微生物の一部分や毒素は、「凝集素」ではなく抗原と呼ばれる。
・抗原とは、免疫反応を誘導する能力をもつ物質(=免疫応答を引き起こす微生物・毒素など)である。
・凝集素とは、赤血球などを凝集させる抗体(例:ABO血液型抗体)を指す。
3.× 予防接種により成立する免疫を、「人工受動免疫」ではなく人工能動免疫という。
・人工能動免疫とは、予防接種ではワクチン(抗原)を体内に投与して自分自身が抗体を作る(能動的)ものである。
・人工受動免疫とは、免疫グロブリン投与のように、外部から「抗体そのもの」を与えるものである。
4.× 母乳を介し母親の免疫抗体を受け取ることにより成立する免疫を「自然能動免疫」ではなく自然受動免疫という。母体からの免疫抗体移行は、妊娠中に胎盤を通じて、また母乳を介して母親のIgGやIgAが移行することで獲得する。これは「他者(母親)の抗体を受け取る」こと、つまり、受動免疫が該当する。また、自然に起こるため「自然受動免疫」となる。
抗原とは、感染症における細菌やウイルスそのものを指しますが、 抗原となるものは細菌やウイルスなどの病原体に限りません。花粉症の人に対する花粉や、卵アレルギーの人に対する卵など、生体に入った際に免疫反応を起こす物質の総称を抗原と呼びます。
抗体とは、生体内に侵入した異物(抗原)に特異的に結合して、その異物を生体内から除去する物質です。生体には、異物が侵入した場合に、その異物に合う抗体を作ることができる機能(免疫機能)が備わっています。
(一部引用:「抗原検査と抗体検査」)
問題118.B型肝炎ウイルスに関する院内感染予防で誤っているのはどれか。(※解2つ)
1.血液を扱う場合は使い捨てのゴム手袋を使用する。
2.手指の汚染にはグルコン酸クロルヘキシジンを用いる。
3.内視鏡は次亜塩素酸ナトリウム溶液に浸漬する。
4.耐熱性の器具の場合は高圧蒸気滅菌を行う。
解答2・3
解説
B型肝炎ウイルスとは、DNA型の肝炎ウイルスで、ヘパドナウイルス科に分類される。 直径約42nmの球状ウイルスで、外被(エンベロープ)とコアの二重構造を有している。母子感染、体液感染、血液感染が主な感染経路であり、母子感染、乳幼児感染では無症候性キャリアを経て慢性化し、肝硬変や肝細胞癌に至ることもある。さらに劇症肝炎の原因として最多でもある。
1.〇 正しい。血液を扱う場合は、使い捨てのゴム手袋を使用する。なぜなら、B型肝炎ウイルス(HBV)は血液や体液を介して感染するため。したがって、標準予防策(スタンダードプリコーション)が基本である。
・標準予防策(standard precaution)とは、院内感染の防止策として推奨されている方法であり、感染の有無に関わらず入院患者すべてに適用される予防対策であり、患者の血液や体液、分泌、排泄されるすべての湿性物質、粘膜、創傷の皮膚は感染のおそれがあるとみなして、対応、行動する方法である。
2.× 手指の汚染には、「グルコン酸クロルヘキシジン」ではなく、消毒用エタノールや次亜塩素酸ナトリウムを用いる。なぜなら、B型肝炎ウイルスには脂質膜もち、グルコン酸クロルヘキシジンは無効であるため。
・クロルヘキシジンとは、手術時手洗い、手術部位の皮膚、創傷部位(創傷周辺皮膚)、血管内留置カテーテル挿入部位の皮膚などに使用する。特にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に対しても有効である。
3.× 内視鏡は、「次亜塩素酸ナトリウム溶液」ではなく専用の高水準消毒薬に浸漬する。なぜなら、内視鏡は精密機器であり、次亜塩素酸ナトリウムでは腐食や損傷を起こす危険があるため。
・次亜塩素酸ナトリウムとは、ノロウイルス感染症に罹患した患者の嘔吐物が床に飛び散っているこの処理に使用する消毒薬である。ノロウイルスの消毒には、通常のアルコール製剤や逆性石鹸は有効でないため、塩素系消毒剤(0.1%次亜塩素酸ナトリウム)を用いる。ただし、次亜塩素酸ナトリウムの注意点として、毒性が強く、吸い込んでしまったり、目に入ってしまった場合には呼吸器や粘膜へ損傷を与える危険を伴う。
4.〇 正しい。耐熱性の器具の場合は高圧蒸気滅菌を行う。
・高圧蒸気滅菌(オートクレーブ滅菌)とは、飽和水蒸気(空気が排除され蒸気で満たされた状態)の中で135℃付近まで加熱し、発生した水分により蛋白凝固を促進して微生物を死滅させる方法をいう。利点として、①浸透性が強いこと、②残留毒性がないこと、③短時間で滅菌可能であることなどがあげられる。
問題119.温熱因子(温熱の4要素)に含まれないのはどれか。
1.気圧
2.気流
3.湿度
4.輻射熱
解答1
解説
①気温、②湿度、③気流、④放射熱(輻射熱)
④放射熱(輻射熱)は、温度の高い物体から低い物体へと電磁波のかたちで熱が伝わる現象のこと。
1.× 気圧は、温熱因子(温熱の4要素)に含まれない。
・気圧とは、地球を覆う空気(大気)の重さによって生じる圧力のことである。気圧が変わると高山病などに関連する。
2~4.〇 気流/湿度/輻射熱は、温熱の4要素の1つである。
熱には3つの熱伝導形態があり、①熱伝導、②対流熱、③熱放射である。
①熱伝導は、物質を介して熱が伝わることをいう。(簡単にいうと、直接触れることによる熱の移動)
②対流熱は、液体や気体の流れに乗って熱が移動することをいう。
③熱放射は、温度差がある物体の間で、熱が移動することをいう。
④エネルギー変換熱は、電磁波や超音波など体内で吸収されて熱エネルギーに変換することをいう。
問題120.環境基本法で規定された公害に該当しないのはどれか。
1.悪臭
2.地盤沈下
3.土壌汚染
4.原子力災害
解答4
解説
環境基本法とは、日本の環境政策の根幹を定める基本法である。国・地方公共団体・事業者・国民の責務、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築、国際的協調による地球環境保全の積極的推進、環境基本計画や環境基準の策定などを規定している。
1.〇 悪臭は、環境基本法で定める公害の1つである。工場・事業場などから発生する悪臭物質(アンモニア・硫化水素など)による生活環境の被害を防止することが、環境行政の対象とされている。
2.〇 地盤沈下は、環境基本法で定める公害の1つである。地下水の過剰な汲み上げなどにより地盤が沈下し、建物や農地に被害を与える現象が生活環境の悪化をもたらす。
3.〇 土壌汚染は、環境基本法で定める公害の1つである。工場跡地などにおける有害物質(重金属・有機溶剤など)の残留が、農作物や地下水を汚染して人の健康を害するおそれがある。
4.× 原子力災害は、環境基本法で規定された公害に該当しない。環境基本法の第2条第3項において、「公害とは、環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下及び悪臭によって、人の健康又は生活環境に係る被害が生ずることをいう」と規定されている(※参考:「環境基本法」e-GOV法令検索様より)。
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