第22回(H26年)柔道整復師国家試験 解説【午前86~90】

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問題86.運動の法則で誤っているのはどれか。

1.静止している物体はいつまでも静止している。
2.作用・反作用は運動の第3法則である。
3.一様の運動をしている物体はいつまでも等速運動を続ける。
4.加速度は物体の質量に正比例する。

解答

解説

運動の法則

【第1:慣性の法則】
止まっている物体は力を加えない限り止まり続け、動いている物体は力を加えない限り動きを続ける法則である。物体はその時点での状態を保とうとする性質があるということ。

【第2:運動方程式】
運動の力(Force)を導き出す式。《力とは、物体の質量(Mass)に、それを動かす勢い(加速度:Acceleration)を乗じたもの》であることを裏付ける式。よってF = m×a、即ち「F=ma」と記述される。

【第3:作用反作用の法則】
「作用」とは物体に力を加えること。力を加えられた物体は、その作用とは反対向きかつ同じ値の力=「反作用」を生み出すという法則。

1.〇 正しい。静止している物体は、いつまでも静止している
これは、第1法則(慣性の法則)に該当する。

2.〇 正しい。作用・反作用は運動の第3法則である
・作用とは、物体に力を加えることである。運動の第3法則とは、力を加えられた物体は、その作用とは反対向きかつ同じ値の力=「反作用」を生み出すという法則である。

3.〇 正しい。一様の運動をしている物体はいつまでも等速運動を続ける
これは、第1法則(慣性の法則)に含まれる内容である。外力が作用しない限り、物体は速度や方向を変えずにそのままの運動を続ける。

4.× 加速度は物体の質量に、「正比例」ではなく反比例する。
これは、第2法則(運動方程式)に該当する。ニュートンの第2法則は、「F=ma」と記述され、同じ力(F)を加える場合、質量mが大きいほど加速度aは小さくなる。つまり、加速度は「力に比例し、質量に反比例」する。

 

 

 

 

 

問題87.筋線維で正しいのはどれか。

1.SO線維(赤筋)の収縮速度は速い。
2.SO線維(赤筋)はミトコンドリアの量が少ない。
3.FG線維(白筋)はミオグロビンの含有量が多い。
4.FG線維(白筋)は疲労しやすい。

解答

解説

MEMO

・赤筋線維の特徴は、持久力に優れた筋線維で、ミトコンドリアの量が多く、酸素利用能力が高い特徴がある。

・白筋線維の特徴は、短時間で高い力(瞬発的な力)を発揮する筋線維で、ミトコンドリアの量が少ない。

1.× SO線維(赤筋)の収縮速度は「速い」ではなく遅い。なぜなら、赤筋線維は、酸化的代謝(有酸素エネルギー産生)を主に使うため。

2.× SO線維(赤筋)はミトコンドリアの量が「少ない」ではなく豊富である。なぜなら、赤筋線維は、主に酸化的代謝(有酸素エネルギー産生)でATPを作るため。ちなみに、酸素運搬に必要なミオグロビン(筋内ヘモグロビン)も豊富で赤く見える。
・ミトコンドリアとは、細胞内に存在する細胞内小器官で、 ATPの生成やアポトーシス(細胞死)において重要な働きを担っている。

3.× FG線維(白筋)はミオグロビンの含有量が「多い」ではなく少ない。なぜなら、白筋線維は、解糖系(無酸素的代謝)でATPを得るため。したがって、酸素を運ぶミオグロビンをあまり必要としない。
・ミオグロビンとは、筋肉中にあって酸素分子を代謝に必要な時まで貯蔵する色素タンパク質である。

4.〇 正しい。FG線維(白筋)は疲労しやすい。なぜなら、白筋線維は、解糖系(無酸素的代謝)を主に利用してATPを産生するため。乳酸が蓄積しやすく、pH低下によって代謝が阻害されやすい。

 

 

 

 

 

問題88.骨の機能でないのはどれか。

1.造血
2.血球の貯蔵
3.無機塩類の貯蔵
4.内臓諸器官の保護

解答

解説
1.〇 造血は、骨の機能である。なぜなら、骨の内部には、骨髄(特に赤色骨髄)があり、ここで赤血球・白血球・血小板などの血球成分が作られるため。

2.× 血球の貯蔵は、骨の機能でない。なぜなら、骨は血球を「生成」する場であって、貯蔵する場ではないため。血球(特に赤血球や血小板)を一時的に貯蔵・放出するのは脾臓の役割である。
・脾臓とは、①古くなった血球(白血球、赤血球、血小板)の処理や、②感染に対する防御など免疫に関係する働きを担う。

3.〇 無機塩類(カルシウム・リンなど)の貯蔵は、骨の機能である。なぜなら、骨基質の約2/3は、無機塩(リン酸カルシウムなど)で構成され、これが体内のカルシウム貯蔵庫となっているため。

4.〇 内臓諸器官の保護は、骨の機能である。例えば、、肋骨や頭蓋骨、骨盤がその役割を担う。

 

 

 

 

 

問題89.脊髄に中枢を持つ反射はどれか。

1.伸張反射
2.緊張性頸反射
3.緊張性迷路反射
4.立ち直り反射

解答

解説
1.〇 正しい。伸張反射は、脊髄に中枢を持つ反射である。
・伸張反射は、筋紡錘に存在する一次終末からのIa線維を介してα運動ニューロンにシナプスを形成するもので、単シナプス性の反射経路をとる。筋を伸張すると筋紡錘も引き伸ばされ、感覚神経の終末が変形する。この機械的刺激が感覚神経に求心性発射活動を引き起こす。
【伸張反射の反射弓】筋紡錘→Ia線維→脊髄前角→α運動ニューロン→骨格筋

2.× 緊張性頸反射の中枢は、延髄である。
・非対称性緊張性頸反射とは、背臥位にした子どもの顔を他動的に一方に回すと、頸部筋の固有感覚受容器の反応により、顔面側の上下肢が伸展し、後頭側の上下肢が屈曲する。生後4~6か月には消失する。

3.× 緊張性迷路反射の中枢は、延髄である。
・緊張性迷路反射とは、背臥位では伸展緊張が促通され、腹臥位では屈曲緊張が促通される反射である。胎児期後期から、5~6ヵ月までにみられ、脳幹レベルの姿勢反射である。

4.× 立ち直り反射の中枢は、延髄である。立ち直り反射とは、姿勢反射の一つで、姿勢を保持するときに働く機能系である。例えば、①頸の立ち直り反射や②視性立ち直り反射などがあげられる。頸筋性や視覚性のほかにも、迷路性、体性があげられる。

延髄とは?

延髄とは、呼吸や循環、消化機能などの生命維持に関係する様々な中枢が集まっている。橋や延髄は脳幹と呼ばれる。

 

 

 

 

 

問題90.筋とその起始・停止との組合せで正しいのはどれか。

1.大円筋:肩甲骨・上腕骨
2.烏口腕筋:鎖骨・上腕骨
3.三角筋:鎖骨・肩甲骨
4.橈側手根屈筋:橈骨・中手骨

解答

解説
1.〇 正しい。大円筋:肩甲骨・上腕骨
・大円筋の【起始】肩甲骨の下角部、棘下筋膜下部外面、【停止】上腕骨の小結節稜、【作用】肩関節内転、内旋、伸展、【支配神経】肩甲下神経である。

2.× 烏口腕筋:鎖骨・上腕骨
・烏口腕筋の【起始】烏口突起、【停止】上腕骨の内側面の中部、【作用】肩関節屈曲、内転、【支配神経】筋皮神経である。

3.× 三角筋:鎖骨・肩甲骨
・三角筋の【起始】肩甲棘、肩峰、鎖骨の外側部1/3、【停止】上腕骨三角筋粗面、【作用】肩関節外転、前部は屈曲、後部は伸展、【支配神経】腋窩神経である。

4.× 橈側手根屈筋:橈骨・中手骨
・橈側手根屈筋の【起始】上腕骨の内側上顆、前腕筋膜内面、【停止】第2中手骨底、【作用】手関節掌屈、橈屈、肘関節回内、【神経】正中神経である。

 

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