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問題111.統計調査と指標との組合せで正しいのはどれか。
1.患者調査:有訴者率
2.国民生活基礎調査:受療率
3.人口静態統計:常住人口
4.人口動態統計:老年人口割合
解答3
解説
目的:病院・診療所を利用する患者について、傷病状況の実態を明らかにする。
調査頻度:3年に1回、医療施設静態調査と同時期に実施している。
調査対象:標本調査(全国の病院、一般診療所、歯科診療所から層化無作為により抽出した医療施設の患者)
調査項目:患者の性別、出生年月日、住所、入院・外来の種別、受療の状況等。
調査方法:医療施設の管理者が記入。
(※参考:「患者調査(基幹統計)」厚生労働省HPより)
1.× 患者調査は、「有訴者率」ではなく患者の受療実態(受療率など)である。なぜなら、患者調査(厚生労働省)は、医療機関を対象として、受療状況・傷病別患者数・平均在院日数などを調べる調査であるため。
・有訴者率とは、「健康状態・自覚症状をもつ人の割合」であり、国民生活基礎調査の指標である
2.× 国民生活基礎調査は、「受療率」ではなく有訴者率である。
・国民生活基礎調査とは、保健、医療、福祉、年金、所得など国民生活の基礎的事項を調査し、厚生労働行政の企画及び運営に必要な基礎資料を得るとともに、各種調査の調査客体を抽出するための親標本を設定することを目的とした厚生労働省が行う基幹統計調査である。
・受療率とは、調査日に医療施設で受療した推計患者数を、人口10万人に対する割合で表したものである。医療の水準全体との関連性は低い。
3.〇 正しい。人口静態統計:常住人口
・人口静態統計とは、ある時点(時間の瞬間的な断面)における人口に関する統計のことである。人口静態統計に対し、人口の動的な側面をとらえる統計のことである。
・常住人口とは、実際に居住する人口のことである。この結果から「老年人口割合」「人口密度」などの各種指標が二次的に算出される。
4.× 人口動態統計は、「老年人口割合」ではなく人口の動き(出生・死亡・婚姻・離婚など)である。
・人口動態統計とは、一年を通して厚生労働省が集計・公表を行う出生・死亡・死産・婚姻・離婚の集計である。 日本の人口動態事象を把握し、人口及び厚生労働行政施策の基礎資料を得ることを目的とする。
・老年人口とは、65歳以上の人口を指す。日本の老年人口は、平成20(2008)年:2,821万6千人、平成30(2018)年:2,821万6千人である。
問題112.肝癌の危険因子で誤っているのはどれか。
1.喫煙
2.飲酒
3.コーヒー摂取
4.肥満
解答3
解説
肝癌の危険因子は、アフラトキシン、肝硬変、肝炎、アルコール摂取などがあげられる。
・アフラトキシンとは、穀類・落花生・ナッツ類などに寄生するかびが産生するかび毒である。
1.〇 喫煙は、肝癌の危険因子である。なぜなら、喫煙により発がん性物質(ニトロソアミンなど)が体内に取り込まれ、肝臓で代謝される過程でDNA損傷を引き起こすため。特に、慢性肝炎や肝硬変などの基礎疾患を有する人では、肝癌のリスクが上昇する。
2.〇 飲酒は、肝癌の危険因子である。なぜなら、アルコールにより、肝細胞障害と脂肪肝(→アルコール性肝炎→肝硬変)を引き起こすため。
3.× コーヒー摂取は、肝癌の危険因子ではない。むしろ、発癌リスクを低下させる保護因子である。なぜなら、コーヒーに含まれるカフェイン・ポリフェノールには抗酸化作用・肝酵素抑制作用があるため。
4.〇 肥満は、肝癌の危険因子である。なぜなら、肥満により脂肪肝を引き起こすため。慢性炎症を介して肝細胞の変異と発癌を促進する。
問題113.毒素型の食中毒を起こす原因菌はどれか。
1.病原大腸菌
2.サルモネラ菌
3.ボツリヌス菌
4.カンピロバクター
解答3
解説
食中毒とは、食中毒を起こすもととなる細菌やウイルス、有毒な物質がついた食べ物を食べることによって、下痢や腹痛、発熱、吐き気などの症状が出る病気のことである。①微生物(細菌、ウイルス等)によるもの、②化学物質によるもの、③自然毒によるもの及びその他に大別される。なかでも、①微生物(細菌性)の食中毒は、感染型と毒素型に大きく分類される。加熱が有効なのは感染型であり、毒素型に加熱は無効である。
【毒素型】毒素型細菌性食中毒、セレウス、黄色ブドウ球菌、ボツリヌス
1.× 病原大腸菌は、主に感染型(+毒素型)の食中毒を起こす。
・病原大腸菌とは、通常無害な大腸菌の中で、ヒトに下痢や腹痛などの消化器症状を引き起こす一部の菌株の総称である。腸管内で増殖してから病原因子を発現する「感染型」である。食べた時点では毒素は含まれず、菌が腸内で毒素を作るタイプである。
2.× サルモネラ菌は、主に感染型の食中毒を起こす。
・サルモネラ菌の食中毒の原因として、弁当類、生乳、生卵・肉類があげられる。潜伏期間は8~48時間で、38~40℃の発熱が3~5日続く。他の症状として、嘔吐(軽度)、腹痛(軽度)、下痢(中等度:ときに血便)、神経症状(なし)があげられる。サルモネラ菌は、感染した人の腸内で増殖し、腹痛や下痢などの症状を引き起こす。
3.〇 正しい。ボツリヌス菌は、毒素型の食中毒を起こす原因菌である。
・ボツリヌス菌は、土壌や水などの環境中に生息し、缶詰や瓶詰め真空パック食品で問題となることが多い。潜伏期間は12~36時間で、症状は眼症状、嚥下障害、四肢麻痺、呼吸筋麻痺・死亡などである。
4.× カンピロバクターは、主に感染型の食中毒を起こす。
・カンピロバクターとは、生肉・生乳が主な原因食品であり、鶏、牛、野鳥など多くの動物が保有する細菌である。潜伏期間は、2~7日である。症状は、腹痛を伴う下痢、発熱などである。
問題114.精神科疾患で正しいのはどれか。
1.統合失調症は器質性疾患がもととなって発症する。
2.心身症は発症や経過に心理社会因子が密接に関与する精神疾患である。
3.PTSD(心的外傷後ストレス障害)は日常のストレスが起因となって発症する。
4.認知症はいったん発達・獲得した知的機能が損なわれたり低下した状態をいう。
解答4
解説
1.× 統合失調症は、「器質性疾患」ではなく機能性疾患(原因は不明)で発症する。
・機能性疾患とは、臓器に明らかな異常がないにも関わらず、症状がある状態のことを指す。
・器質的疾患とは、臓器そのものに炎症や癌などがあり、その結果として様々な症状が出現する病気や病態のことをいう。器質性疾患が原因のうつ病でも、抗うつ薬による治療を行う。
2.× 心身症は、発症や経過に心理社会因子が密接に関与する「精神疾患」ではなく身体疾患である。
・心身症とは、各科が対応する身体疾患の内、発症や経過に心理社会的ストレスの影響で機能的(器質的)な障害を伴った疾患群である。 日常生活で仕事や対人関係などの心理社会的ストレスに無頓着や無自覚な場合に発症・悪化することが多く一般的治療では改善困難である。代表的な心身症としては、頭痛、高血圧、過敏性腸症候群、アトピー性皮膚炎、慢性じんましんなどがある。
3.× PTSD(心的外傷後ストレス障害)は、「日常のストレス」ではなく生命を脅かすような強い外傷体験(トラウマ)が起因となって発症する。
・心的外傷後ストレス障害(PTSD)とは、大規模な災害や事故の現場、他人の悲惨な死など、心理的に大きなストレスを受ける状況下に居合わせた場合、1か月以上心的外傷による障害が持続した場合に生じる。典型的な症状として、①感覚や情動の鈍化、②心的外傷を想起するような状況の回避、③再現的で侵入的な回想(フラッシュバック)や悪夢、④過覚醒、⑤驚愕反応の亢進などが認められる。
4.〇 正しい。認知症は、いったん発達・獲得した知的機能が損なわれたり低下した状態をいう。
・認知症とは、脳の病気や障害など様々な原因により、認知機能が低下し、日常生活全般に支障が出てくる状態をいう。アルツハイマー型認知症は、認知症の中で最も多く、脳神経が変性して脳の一部が萎縮していく過程でおきる認知症である。次いで、多い血管性認知症は、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害によっておきる認知症である。
問題115.保健所の業務でないのはどれか。
1.人口動態統計
2.栄養の改善
3.難病対策
4.生活保護
解答4
解説
保健所とは、精神保健福祉・健康・生活衛生など地域保健法に定められた14の事業(主に疾病予防・健康増進・環境衛生などの公衆衛生活動)を中心に行っている。保健所では保健師や精神保健福祉士、医師などが生活面や社会復帰について相談にのってくれる。都道府県、特別区、指定都市、中核市、『地域保健法施行令』で定める市に必置である。
【保健所が実施する事業】
保健所は、次に掲げる事項につき、企画、調整、指導及びこれらに必要な事業を行う。
①地域保健に関する思想の普及及び向上に関する事項。
②人口動態統計その他、地域保健に係る統計に関する事項。
③栄養の改善及び食品衛生に関する事項。
④住宅、水道、下水道、廃棄物の処理、清掃その他の環境の衛生に関する事項。
⑤医事及び薬事に関する事項。
⑥保健師に関する事項。
⑦公共医療事業の向上及び増進に関する事項。
⑧母性及び乳幼児並びに老人の保健に関する事項。
⑨歯科保健に関する事項。
⑩精神保健に関する事項。
⑪治療方法が確立していない疾病その他の特殊の疾病により、長期に療養を必要とする者の保健に関する事項。
⑫エイズ、結核、性病、伝染病その他の疾病の予防に関する事項。
⑬衛生上の試験及び検査に関する事項。
⑭その他地域住民の健康の保持及び増進に関する事項。
(※一部引用:「地域保健法 第6条」e-GOV法令検索様HPより)
1.〇 人口動態統計は、保健所の業務である。【保健所が実施する事業】の②人口動態統計その他、地域保健に係る統計に関する事項に該当する。
・人口動態統計とは、一年を通して厚生労働省が集計・公表を行う出生・死亡・死産・婚姻・離婚の集計である。 日本の人口動態事象を把握し、人口及び厚生労働行政施策の基礎資料を得ることを目的とする。
2.〇 栄養の改善は、保健所の業務である。【保健所が実施する事業】の③栄養の改善及び食品衛生に関する事項に該当する。
3.〇 難病対策は、保健所の業務である。【保健所が実施する事業】の⑪治療方法が確立していない疾病その他の特殊の疾病により、長期に療養を必要とする者の保健に関する事項に該当する。
4.× 生活保護は、保健所の業務でない。なぜなら、生活保護は福祉事務所(市区町村の生活福祉課)が行う業務であるため。
・福祉事務所とは、『社会福祉法』に定める「福祉に関する事務所」のことをいう。福祉六法(生活保護法、児童福祉法、母子及び寡婦福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法及び知的障害者福祉法)に定める援護、育成又は更生の措置に関する事務を司る第一線の社会福祉行政機関である。
・生活保護とは、『日本国憲法』25条の理念に基づき、生活困窮者を対象に、国の責任において、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、その自立を助長することを目的としている。8つの扶助(生活扶助、住宅扶助、教育扶助、医療扶助、介護扶助、出産扶助、生業扶助、葬祭扶助)があり、原則現金給付であるが、医療扶助と介護扶助は現物給付である。被保護人員は約216.4万人(平成27年度,1か月平均)で過去最高となっている。
国試オタク 