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問題116.細菌感染による疾患はどれか。
1.C型肝炎
2.鳥インフルエンザ
3.後天性免疫不全症候群
4.流行性脳脊髄膜炎
解答4
解説
1.× C型肝炎は、ウイルス感染症(C型肝炎ウイルス)である。
・C型肝炎とは、C型肝炎ウイルス(HCV)に感染することによって起こる肝臓の病気である。C型肝炎ウイルスは、主に感染者の血液や体液から感染する。感染の危険性がある行為としては注射器の使い回しや剃刀(かみそり)の共用などがある。そのほか、妊娠中の母親から胎児への感染や性行為による感染もあるが、感染する確率は低いと考えられている。
2.× 鳥インフルエンザは、ウイルス感染症(インフルエンザウイルスA型)である。
・鳥インフルエンザとは、インフルエンザウイルスA型(H5N1など)による人獣共通感染症である。鳥類からヒトへの感染はまれだが、高病原性株では重症肺炎や多臓器不全を引き起こす。したがって、抗ウイルス薬(オセルタミビルなど)が治療の中心である。
3.× 後天性免疫不全症候群は、ウイルス感染症(ヒト免疫不全ウイルス)である。
・後天性免疫不全症候群とは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)によって引き起こされる感染症である。ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は主に血液や性行為を通じて感染する。ヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉感染症に対する治療法は飛躍的に進歩しており早期に発見することでエイズの発症を予防できるようになってきている。しかし、治療を受けずに自然経過した場合、免疫機能の低下により様々な障害が発現する。
4.〇 正しい。流行性脳脊髄膜炎は、細菌感染による疾患である。なぜなら、流行性脳脊髄膜炎は、髄膜炎菌というグラム陰性双球菌によって引き起こされる細菌感染症であるため。
・髄膜炎菌とは、飛沫感染で鼻咽腔に侵入し、血行性に髄膜に達して炎症を起こす。発熱・頭痛・嘔吐・意識障害・項部硬直などを特徴とし、致死率も高い。
問題117.感染症における感受性宿主対策はどれか。
1.手洗い
2.学級閉鎖
3.予防接種
4.マスクの使用
解答3
解説
感染が成立するためには、感染の3要素(①感染源:病原体、②感受性宿主、③感染経路)が必要である。①病原体は、病気を引き起こす微生物のことである。ちなみに、感染源とは、病原体が生存・増殖できる場所(人や動物)のことである。②感受性宿主は、いわゆる感染しやすい人のことである。③感染経路は、病原体が宿主に感染する方法である。予防接種は、これらの要素を制御することはできないが、宿主の感受性を減らすことによって、感染の拡大を防止することができる。
1.× 手洗いは、③感染経路対策である。なぜなら、手洗いは病原体を物理的に除去して感染の伝播を防ぐ行為であるため。
2.× 学級閉鎖は、①感染源・③感染経路対策である。なぜなら、学級閉鎖は感染した児童(感染源)と他の児童(感受性宿主)を物理的に隔離し、感染経路を断つため。
3.〇 正しい。予防接種は、感染症における②感受性宿主対策である。なぜなら、予防接種はワクチンにより免疫を獲得させ、感染症に対する抵抗力(免疫力)を高めることで、感受性宿主(感染を受けやすい人)を減らす手段であるため。
4.× マスクの使用は、③感染経路対策である。なぜなら、マスクは飛沫感染を遮断して感染経路を断つ目的で使用されるものであるため。
問題118.滅菌法のうち化学的方法に分類されるのはどれか。
1.乾熱滅菌
2.γ線滅菌
3.高圧蒸気滅菌
4.過酸化水素ガスプラズマ滅菌
解答4
解説
・物理的滅菌法とは、熱や放射線などの物理的な力を使って細菌やウイルスを完全に死滅させる方法である。代表的なのは高圧蒸気(オートクレーブ)や乾熱滅菌である。
・化学的滅菌法とは、薬品の力で微生物を殺す方法で、エチレンオキシドガスや過酸化水素などが使われる。物理的滅菌は確実だが熱に弱い物には使えず、化学的滅菌は低温でも可能であるが薬剤の扱いに注意が必要である。
1.× 乾熱滅菌は、物理的滅菌法である。
・乾熱滅菌とは、滅菌法の中で加熱法に分類される加熱乾燥空気で微生物を殺滅する滅菌法である。ガラス製、磁製、金属製など耐熱性の高い材質のものや鉱油、脂肪油、固形の医薬品など熱に安定なものが適している。
2.× γ線滅菌は、物理的滅菌法である。
・ガンマ線は透過力に優れているため、梱包形態の制限も、線量のバラツキも少なく、金属や水入り製品粉末、フィルム原反など高密度製品も滅菌可能である。電子線は、処理スピードが速く高線量照射や改質処理に適している。欠点としては、プラスチック(樹脂)製品の場合、材質が劣化する。
3.× 高圧蒸気滅菌は、物理的滅菌法である。
・高圧蒸気滅菌(オートクレーブ滅菌)とは、飽和水蒸気(空気が排除され蒸気で満たされた状態)の中で135℃付近まで加熱し、発生した水分により蛋白凝固を促進して微生物を死滅させる方法をいう。利点として、①浸透性が強いこと、②残留毒性がないこと、③短時間で滅菌可能であることなどがあげられる。
4.〇 正しい。過酸化水素ガスプラズマ滅菌は、滅菌法のうち化学的方法に分類される。
・プラズマ滅菌とは、過酸化水素とプラズマ発生装置を用いた滅菌方法である。錆びやすい医療機器や耐熱性のない医療機器も滅菌することができる。低温、低湿度、短時間で滅菌が可能で、手術器具などの医用器材を滅菌するのに用いられる。
問題119.事務所の屋内空気の衛生環境基準で誤っているのはどれか。
1.気積:10㎥/人以上
2.湿度:40〜70%
3.気流:0.5m/秒以上
4.浮遊粉じん:0.15mg/㎥以下
解答3
解説
1.〇 気積:10㎥/人以上
・事務所衛生基準規則の第二条(気積)には、「事業者は、労働者を常時就業させる室(以下「室」という。)の気積を、設備の占める容積及び床面から四メートルをこえる高さにある空間を除き、労働者一人について、十立方メートル以上としなければならない」と記載されている。
・気積(※読み:きせき)とは、部屋や建物の中にある空気の体積、つまり空気の量のことである。事務所でいう気積は、床面積に天井までの高さを掛けて求められる。気積が大きいほど空気が多く、換気しやすく快適な環境を保ちやすい。逆に気積が小さいと空気がこもり、二酸化炭素や熱がたまりやすくなるため、労働環境の衛生管理で重要な指標となる。
2.〇 湿度:40〜70%
・事務所衛生基準規則の第五条3項(空気調和設備等による調整)には、「事業者は、空気調和設備を設けている場合は、室の気温が十八度以上二十八度以下及び相対湿度が四十パーセント以上七十パーセント以下になるように努めなければならない」と記載されている。
3.× 気流は、0.5m/秒「以上」ではなく以下と決められている。
・事務所衛生基準規則の第五条2項(空気調和設備等による調整)には、「事業者は、前項の設備により室に流入する空気が、特定の労働者に直接、継続して及ばないようにし、かつ、室の気流を〇・五メートル毎秒以下としなければならない」と記載されている。
4.〇 浮遊粉じん:0.15mg/㎥以下
・事務所衛生基準規則の第五条1項(空気調和設備等による調整)には、「浮遊粉じん量(一気圧、温度二十五度とした場合の当該空気一立方メートル中に含まれる浮遊粉じんの重量をいう。以下同じ。)が、〇・一五ミリグラム以下であること」と記載されている。
(※各選択肢の参照:「事務所衛生基準規則」e-GOV法令検索様HPより)
問題120.公害に関する組合せで誤っているのはどれか.
1.鉛:イタイイタイ病
2.ヒ素:宮崎土呂久鉱害
3.メチル水銀:新潟水俣病
4.二酸化いおう:四日市喘息
解答1
解説
①四日市喘息(三重県):主に亜硫酸ガスによる大気汚染を原因。
②新潟水俣病:有機水銀(メチル水銀)による水質汚染や底質汚染を原因。
③イタイイタイ病(富山県):カドミウムによる水質汚染を原因
④熊本水俣病:有機水銀(メチル水銀)による水質汚染や底質汚染を原因
1.× イタイイタイ病は、「鉛」ではなくカドミウムである。カドミウムは、主に土壌や水質汚染の原因(大気汚染にも関与)となり、工場排水や鉱山からの流出により、農作物や地下水が汚染され、慢性中毒(イタイイタイ病など)を引き起こすことがある。
2.〇 正しい。ヒ素:宮崎土呂久鉱害
・宮崎県延岡市土呂久地区では、戦前からの亜ヒ酸製造(ヒ素精錬)による大気・土壌汚染が原因で、慢性ヒ素中毒が発生した事例である。住民に皮膚の色素沈着・角化症・末梢神経障害・皮膚癌などが多発した。
3.〇 正しい。メチル水銀:新潟水俣病
・新潟水俣病とは、阿賀野川流域で発生したメチル水銀中毒であり、熊本県の「水俣病」と同じく有機水銀による汚染が原因である。工場排水中のメチル水銀が魚介類に蓄積し、それを摂取した住民に中枢神経障害(四肢のしびれ・構音障害・視野狭窄・運動失調)が発生した。
4.〇 正しい。二酸化いおう:四日市喘息
・四日市喘息とは、三重県四日市市の石油化学コンビナートからの硫黄酸化物(SO₂)が原因で、訴訟に発展した4大公害である。大気汚染により喘息・慢性気管支炎・肺気腫が多発した。
公害病(こうがいびょう)とは、人間の産業活動により排出される有害物質により引き起こされる健康被害である。人体に有害な物質が、水(地下水や河川水)、空気中の浮遊物、ガス、食物などを通じ摂取されることによって、引き起こされる。狭義には、環境基本法に定義される公害が原因となる。大気汚染が原因のぜんそく、水質汚濁が原因の有機水銀中毒やカドミウム中毒、大気や川のヒ素汚染による慢性ヒ素中毒などがあげられる。近年は広義で、シックハウスが原因の揮発性有機化合物等の吸引によるアトピーやアレルギーや、原子力発電所からの放射能汚染による人的被害も、公害病と呼ばれることがある。日本の高度経済成長期(1950年代後半から1970年代)に、公害により住民へ大きな被害が発生した。このうち被害の大きいものを「四大公害病」という。これを受け公害対策として、1967年に『公害対策基本法』、1973年に『公害健康被害補償法』などが制定された。したがって、選択肢2.1960年から1970年代が、公衆衛生上の問題として認識され始めた時期である。
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