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問題41.最も尾側で腹大動脈から分枝するのはどれか。
1.腹腔動脈
2.腎動脈
3.精巣動脈
4.下腸間膜動脈
解答4
解説
1.× 腹腔動脈は、横隔膜大動脈裂孔を出た直後(T12レベル)で腹大動脈の最初の主要分枝として出る。左胃動脈、脾動脈、総肝動脈などに分岐する。
2.× 腎動脈は、腹大動脈の中間レベル(L1〜L2)で分枝する。
3.× 精巣動脈は、腎動脈よりわずかに下(L2付近)で分枝するる。男性の場合、鼠径管を通るのが特徴である。鼠径管とは、鼠径靭帯を底面として外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋でつくられたトンネルである。
4.〇 正しい。下腸間膜動脈は、最も尾側で腹大動脈から分枝する。なぜなら、下腸間膜動脈の役割は、大腸の左側(下行結腸、S状結腸、直腸上部)を養うため。
問題42.血管の走行部位で正しいのはどれか。
1.腋窩動脈は上腕骨外科頸に沿う。
2.尺骨動脈は手根管を通る。
3.内側大腿回旋動脈は大腿骨頸に沿う。
4.前脛骨動脈は足根管を通る。
解答3
解説
1.× 腋窩動脈は、「上腕骨外科頸」ではなく腋窩(わきの下)中央部に沿う。ちなみに、外科頸に密接するのは「腋窩神経」と「後上腕回旋動脈」である。
2.× 尺骨動脈は、「手根管」ではなくギヨン管を通る。
・ギヨン管:Guyon管は、尺骨神経管ともいい、豆状骨と有鈎骨、そして豆鈎靱帯によって形成されたトンネル(管)のことである。通るものとして、①尺骨神経、②尺骨動脈である。
・手根管とは、手根骨と屈筋支帯に囲まれたトンネルである。通過するのは、①正中神経、②前腕屈筋群の腱(橈側手根屈筋腱、長母指屈筋腱、浅指屈筋腱、深指屈筋腱)である。
3.〇 正しい。内側大腿回旋動脈は、大腿骨頸に沿う。
・内側大腿回旋動脈は、大腿動脈(→深大腿動脈)から分岐する。この動脈は、大腿骨頭と関節の血液供給に重要な役割を果たす。
4.× 「前脛骨動脈」ではなく後脛骨動脈は足根管を通る。
・足根管とは、脛骨内果後下方の靭帯性の狭いトンネル部のことで、①後脛骨筋の腱、②長指屈筋の腱、③後脛骨動脈、脛骨神経、長母指屈筋の腱が通る部位である。
問題43.静脈血が下大静脈に直接流入するのはどれか。
1.胃
2.膵臓
3.肝臓
4.胆嚢
解答3
解説
具体的には・・・
①肝静脈
②腎静脈
③右精巣(卵巣)静脈
④腰静脈
⑤総腸骨静脈
※左精巣(卵巣)静脈は、腎静脈を経て流入する。
1~2,4.× 胃/膵臓/胆嚢の静脈血は、門脈へ流入する。
・門脈とは、だいたいの消化管から得られた栄養を肝臓へと運ぶ働きを持つ機能血管である。胃、腸、膵臓、脾臓、胆嚢の毛細管から静脈血を集める。
3.〇 正しい。肝臓は、静脈血が下大静脈に直接流入する。なぜなら、肝臓は「門脈系」と「肝静脈系」という二重の血流経路をもち、最終的に肝静脈から下大静脈へ直接流入する臓器であるため。肝臓のみが例外的経路を持つ。
問題44.横紋筋はどれか。
1.幽門括約筋
2.オッディの括約筋
3.外肛門括約筋
4.十二指腸提筋
解答3
解説
・平滑筋とは、横紋筋とは違いサルコメア(筋節)のない筋肉のことで出産に耐えうる丈夫な筋肉でできている。
・横紋筋とは、筋組織のひとつで筋線維(筋細胞)の集まった物で、体を動かす際に使われるため「骨格筋」とも呼ばれる。
1.× 幽門括約筋は、平滑筋である。幽門括約筋は、胃内容物を十二指腸へ送り出す速度を調整する自律的(不随意)な括約機構をもつ。
2.× オッディの括約筋は、平滑筋である。オッディの括約筋(胆管膵管括約筋)は、胆汁・膵液の流入を自律的に調整する構造で、消化管壁の平滑筋線維からなる。
3.〇 正しい。外肛門括約筋は、横紋筋(骨格筋)である。なぜなら、外肛門括約筋は随意的に肛門を閉じるための筋であり、体性神経(陰部神経)の支配を受ける骨格筋であるため。肛門を輪状に囲み、排便を意識的に制御する役割を担う。肛門括約筋には内外の2種類があり、①内肛門括約筋:平滑筋(自律神経支配)、②外肛門括約筋:横紋筋(体性神経支配)と分かれる。
4.× 十二指腸提筋は、平滑筋である。十二指腸提筋は、トライツ靭帯ともいい、横隔膜の脚から発する平滑筋性線維で、十二指腸空腸移行部を支持する。したがって、腸の位置を安定させるための支持筋であり、随意的に動かすことはできない。
・トライツ靭帯(Treitz靭帯)は、十二指腸と空腸の間(移行部)に位置している。
問題45.小網を構成するのはどれか。
1.腸間膜
2.肝胃間膜
3.肝鎌状間膜
4.横行結腸間膜
解答2
解説
・大弯とは、大網を介して横行結腸と結合する胃の左縁のことをいう。胃の下側から下方へエプロンのように腸の前面に垂れ下がった腹膜である。胃の小弯で前後2葉に分かれて胃の前面と後面を包んだ後、大弯で再び合して再度間膜をつくる。
・小網とは、肝臓の下面を覆う腹膜をいい、胃の凹状表面側、つまり上部(小弯)と十二指腸の始部へと続いている。胃の小弯は小網を介して肝臓と結合する。
1.× 腸間膜とは、腸管を腹腔後壁に連絡する膜で、2重の腹膜からなる。小腸では空腸と回腸、大腸では横行結腸・S状結腸にある。
2.〇 正しい。肝胃間膜は、小網を構成する。肝臓と胃の間を結ぶ部分が、肝胃間膜である。小網は、胃の背側から発達した腹膜の一部で、腹腔内で肝臓と上部消化管をつなぐ役割を果たしている。
【小網=肝胃間膜+肝十二指腸間膜】肝胃間膜と肝十二指腸間膜は、ともに肝臓の下面から胃(小弯)と十二指腸表面に連続する間膜である。
3.× 肝鎌状間膜とは、腹壁と肝臓を結ぶ腹膜ヒダで、肝臓を右葉と左葉に分ける境界にもなる。
・肝臓は、右側が右葉、左側が左葉と分かれている。その肝臓を左右を分けている膜を肝鎌状間膜(※読み:かんかまじょうかんまく)という。
4.× 横行結腸間膜と結合しているのは、大弯である。大網は、大弯から下方に垂れ下がり折れ返って再び上方に向かい横行結腸の表面に付着した後、横行結腸間膜に癒合して後腹壁に達する。
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