第24回(H28年)柔道整復師国家試験 解説【午前51~55】

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問題51.射精に先立ちアルカリ性の液体を分泌するのはどれか。

1.精嚢
2.前立腺
3.尿道球腺
4.大前庭腺

解答

解説
1.× 精嚢は、「射精前」ではなく「射精時」に分泌する。
・精嚢とは、前立腺の後ろに一対ある長さ5cmほどの袋状の器官で、精嚢液を分泌して射精のときに精子と混ぜ合わせ精液を作る。

2.× 前立腺は、「射精前」ではなく「射精時」に分泌する。
・前立腺とは、男性にしかない生殖器の一つで、前立腺液といわれる精液の一部を作り、精子に栄養を与えたり、精子を保護する役割を持っている。前立腺は、直腸と恥骨の間にあり、膀胱の出口で尿道を取り囲んでいる。

3.〇 正しい。尿道球腺は、射精に先立ちアルカリ性の液体を分泌する。
・尿道球腺とは、尿道球腺液(カウパー腺液)を分泌する腺である。弱アルカリ性の粘性がある無臭無色透明な液体で、これにより尿道が中和され、精子の通過を容易にする。

4.× 大前庭腺は、女性の外陰部にある腺である。
大前庭腺とは、バルトリン腺ともいい、性的興奮時に粘液を分泌し腟をなめらかにする機能がある。

 

 

 

 

 

問題52.正しいのはどれか。

1.子宮円索は鼡径管を通る。
2.子宮頸部は子宮広間膜に覆われる。
3.黄体は子宮内膜で形成される。
4.卵胞は卵管膨大部で成熟する。

解答

解説

鼡径管の構成要素

鼠径管とは、鼠径靭帯を底面として外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋でつくられたトンネルである。
鼠径管の中は、
男性:精管・精巣動脈・精巣静脈を含む精索と精巣挙筋が通る。
女性:子宮円索が通る。

1.〇 正しい。子宮円索は鼡径管を通る(※上参照)。
・子宮円索とは、子宮底から始まり、鼠径管を通って大陰唇に至る靱帯である。子宮の位置安定に関与する。

2.× 子宮頸部は子宮広間膜に「覆われない」。なぜなら、子宮広間膜は、腹膜の二重層で、子宮体部や卵管を被覆しているが、子宮頸部までは覆わないため。
・子宮広間膜とは、子宮の両側に張り出したひだ(腹膜)のことをいう。

3.× 黄体は、「子宮内膜」ではなく卵巣で形成される。黄体は卵巣で形成され、子宮内膜を維持するホルモンを分泌する。
・子宮内膜とは、子宮の内側を覆う粘膜である。子宮は筋肉でできており、内側は子宮内膜と呼ばれる粘膜でおおわれている。子宮内膜は、卵巣から分泌されるエストロゲン(卵胞ホルモン)というホルモンの作用を受けると、受精卵の着床に備え、増殖して厚くなる。

4.× 卵胞は、「卵管膨大部」ではなく卵巣内で成熟する。卵胞の発育・成熟は、卵巣の皮質で行われ、排卵によって卵管采に取り込まれ卵管膨大部へ移動する。ちなみに、卵管膨大部で起こるのは「受精」である。

(図引用:「女性器の解剖と整理」医学出版様より)

 

 

 

 

 

問題53.写真を下に示す。尾状核はどれか。

1.a
2.b
3.c
4.d

解答

解説
1.× aは、脳梁である。脳梁とは、左右の大脳半球をつなぐ交連線維の太い束である。左右の大脳皮質の間で情報をやり取りする経路である。脳梁は、いわゆる高次脳機能、認知機能に分類される症状を担っている。

2.〇 正しい。bは、尾状核である。大脳基底核の一部で、主に運動制御に関与している。大脳基底核は、①線条体(被殻 + 尾状核)、②淡蒼球、③黒質、④視床下核である。

3.× cは、視床である。視床とは、嗅覚以外のあらゆる感覚情報(体性感覚、痛覚、視覚、聴覚、味覚など)を大脳皮質に送る一大中継基地を担う。

4.× dは、脳弓である。

 

 

 

 

 

問題54.外側膝状体が中継核となるのはどれか。

1.触覚
2.痛覚
3.聴覚
4.視覚

解答

解説
1.× 触覚
・深部感覚と精密な触覚の伝導路は、「後根 ⇒ 後索(下肢からの線維は薄束を通って薄束核に終わり、上肢からの線維は楔状束を通って楔状束核に終わる) ⇒ 延髄(後索核) ⇒ 毛帯交叉 ⇒ 内側毛帯 ⇒ 視床後外側腹側核 ⇒ 感覚野」となる。

2.× 痛覚
・外側脊髄視床路(温痛覚・粗大触圧覚)は、「感覚神経→脊髄後角→(交叉)→脊髄側索→視床→後脚→大脳皮質体性知覚野」となる。

3.× 聴覚
・聴覚の伝導路は、【蝸牛神経→蝸牛神経核→上オリーブ核→中脳下丘→内側膝状体→上側頭回】となる。

4.〇 正しい。視覚
視覚伝導路は、「視神経―視交叉―視索―外側膝状体―視放線―視覚野」である。

 

 

 

 

 

問題55.錐体交叉があるのはどれか。

1.中脳
2.橋
3.延髄上部
4.延髄下部

解答

解説

錐体路とは?

錐体路とは、大脳皮質運動野―放線冠―内包後脚―大脳脚―延髄―錐体交叉―脊髄前角細胞という経路をたどる。障害されることで片麻痺などの症状をきたす。

1.× 中脳とは、間脳と橋の間に位置する脳構造である。中脳の特徴的な構造は「大脳脚(錐体路の通過部)」「黒質」「赤核」などである。

2.× 橋とは、中脳と延髄に挟まれた、脳幹の一部である。運動に関する情報を大脳から小脳に伝える役割をもつ。

3.× 延髄上部は、錐体やオリーブ核が存在する。

4.〇 正しい。延髄下部に、錐体交叉がある。皮質脊髄路(錐体路)の線維は延髄下部で交叉し、対側の脊髄側索に下行する(外側皮質脊髄路)。これにより、大脳皮質の支配は基本的に「対側の身体」へ及ぶ。

 

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