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問106 良性腫瘍の特徴はどれか。
1.膨張性増殖
2.組織破壊
3.悪液質
4.壊死傾向
答え.1
解説
腫瘍とは、体の中にできた細胞のかたまりのことである。悪性腫瘍とは、このような腫瘍のうち、無秩序に増殖しながら周囲にしみ出るように広がったり(浸潤)、体のあちこちに飛び火して新しいかたまりを作ったり(転移)するもののことをいう。一方、良性腫瘍とは、浸潤や転移をせず、周りの組織を押しのけるようにしてゆっくりと増える腫瘍のことをいう。
1.〇 正しい。膨張性増殖は、良性腫瘍の特徴である。細胞が局所的に増殖し、周囲の組織を圧迫するように成長する。したがって、浸潤性の成長や転移はみられない。
2.4.× 組織破壊/壊死傾向は、悪性腫瘍の特徴である。壊死は腫瘍の内部で細胞が死んでしまう現象である。良性腫瘍では血流が比較的安定しており、壊死や組織破壊はあまりみられにくい。
3.× 悪液質は、悪性腫瘍の特徴である。悪液質とは、がんの病状に伴い体重減少や食欲不振を特徴とする合併症である。進行したがん患者さんに多くみられる症状である。進行を伴う悪性腫瘍に関連する。
問107 誤っている組合せはどれか。
1.伴性劣性遺伝:血友病A
2.常染色体優性遺伝:マルファン症候群
3.常染色体劣性遺伝:ウィルソン病
4.性染色体異常:ダウン症候群
答え.4
解説
染色体には性染色体と常染色体がある。常染色体優性遺伝とは、遺伝によって子孫に伝えられる性質(形質)が常染色体上の遺伝子で決定され、その形質が現れる場合のことを指す。
1.〇 正しい。伴性劣性遺伝:血友病A
血友病とは、血液を固めるのに必要な「血液凝固因子(第Ⅷ因子または第Ⅸ因子)が不足・活性低下する病気のことである。伴性劣性遺伝(男児に多い)で、生まれつき発症することがほとんどであるため、幼少期から①些細なことで出血する、②出血が止まりにくいといった症状が繰り返される。治療として、凝固因子製剤の投与、関節拘縮・筋力低下に対するリハビリテーションが行われる。
2.〇 正しい。常染色体優性遺伝:マルファン症候群
マルファン症候群とは、全身の結合組織の働きが体質的に変化しているために、骨格の症状(高身長・細く長い指・背骨が曲がる・胸の変形:漏斗胸など)、眼の症状(水晶体(レンズ)がずれる・強い近視など)、心臓血管の症状(動脈がこぶのようにふくらみ、裂けるなど)などを起こす病気である。ほかにも、漏斗胸は、くる病の症状である。ちなみに、漏斗胸とは、前胸壁が陥没し、あたかも漏斗のような外観を示す変形である。骨強度の減弱により生じる。
3.〇 正しい。常染色体劣性遺伝:ウィルソン病
ウィルソン病とは、まれな遺伝性疾患(常染色体劣性遺伝)で、肝臓が正常時のように余分な銅を胆汁中に排泄せず、結果として肝臓に銅が蓄積して肝臓が損傷する病気である。銅は肝臓、脳、眼やその他の臓器に蓄積し、ウィルソン病の患者では、振戦(ふるえ)、発語困難、嚥下(えんげ)困難、協調運動障害、人格変化、肝炎がみられる。
4.× ダウン症候群は、「性染色体異常」ではなく常染色体異常である。具体的には、21番染色体が通常の2本ではなく3本あるトリソミー21によって引き起こされる(※詳細は下参照)。
ダウン症候群(Down症候群)とは、染色体異常が原因で知的障害が起こる病気である。常染色体異常疾患の中で最多である。Down症候群になりうる異常核型は、3種に大別される。①標準トリソミー型:21トリソミー(93%)、②転座型(5%)、③モザイク型(2%)である。発症率は、平均1/1000人である。しかし、35歳女性で1/300人、40歳女性1/100人、45歳女性1/30人と、出産年齢が上がるにつれて確率が高くなる。症状として、①特異な顔貌、②多発奇形、③筋緊張の低下、④成長障害、⑤発達遅滞を特徴とする。また、約半数は、先天性心疾患や消化管疾患などを合併する。特異顔貌として、眼瞼裂斜上・鼻根部平坦・内眼角贅皮・舌の突出などがみられる。
乳児期の特徴としては、全身の筋緊張が低く、発達の遅れを伴う。理学療法では、バランスボールなどダウン症児の興味関心を抱きやすい環境で筋緊張を高められる運動(主に体幹筋群)を提供する。スカーフ徴候陽性や、シャフリング移動がみられる。スカーフ徴候の正常(陰性)の場合、腕を首に巻きつけるようにすると抵抗するが、陽性の場合は抵抗がみられない。シャフリング移動とは、お座り姿勢のまま移動する(いざり)ことである。脚の動かし方、手の使い方のバリエーションが少なかったり、下半身の筋肉の張りが弱く、筋肉量も少ないために行うことがある。Down症候群の子供では、立位歩行の獲得が遅れるため、シャフリング移動がみられる。正常発達の乳児期前半では、背臥位にて手で足をつかむ動作を行うようになるが、ダウン症乳児の場合、全身の筋緊張が低下しているため、背臥位では股関節外転・外旋した「蛙様肢位(蛙状肢位)」となり、足の持ち上げが難しくなる。読み方は、そのまま「カエルヨウ肢位、カエルジョウ肢位、カエル肢位」などと読む。
問108 女性に多い先天性疾患はどれか。
1.血友病A
2.口唇裂
3.ターナー症候群
4.先天性風疹症候群
答え.3
解説
1.× 血友病Aは、男児に多い。血友病とは、血液を固めるのに必要な「血液凝固因子(第Ⅷ因子または第Ⅸ因子)が不足・活性低下する病気のことである。伴性劣性遺伝(男児に多い)で、生まれつき発症することがほとんどであるため、幼少期から①些細なことで出血する、②出血が止まりにくいといった症状が繰り返される。治療として、凝固因子製剤の投与、関節拘縮・筋力低下に対するリハビリテーションが行われる。
2.× 口唇裂は性差ない。口唇裂とは、口唇および顎骨前方部に裂がみられものである。
3.〇 正しい。ターナー症候群は、女性に多い先天性疾患である。ターナー症候群とは、典型的には身長が低く、首の後ろに皮膚のたるみ(翼状頸)があり、学習障害がみられ、思春期が始まらないのが特徴である。2本のX染色体のうち1本の部分的または完全な欠失によって引き起こされる性染色体異常である。女性特有の染色体異常である。
4.× 先天性風疹症候群は性差ない。先天性風疹症候群とは、風しんウイルスの胎内感染(垂直感染)によって先天異常を起こす感染症である。3徴は、白内障、先天性心疾患、難聴である。その他先天性緑内障、色素性網膜症、紫斑、脾腫、小頭症、精神発達遅滞、髄膜脳炎、骨のX線透過性所見、生後24時間以内に出現する黄疸などを来しうる。臨床的特徴として、先天異常の発生は妊娠週齢と明らかに相関し、妊娠12週までの妊娠初期の初感染に最も多くみられ、20週を過ぎるとほとんどなくなる。
問109 医療計画で誤っているのはどれか。
1.医療圏を設定する。
2.必要病床数を算定する。
3.5疾病5事業について記載する。
4.地域保健法により策定が定められている。
答え.4
解説
医療計画とは、地域における体系的な医療の提供を実現することを目的として、都道府県が策定する計画である。医療計画は6年ごと(平成29年度までは5年ごと)に見直される。
~医療計画の記載事項~
【5疾病】①がん、②脳卒中、③心筋梗塞などの心血管疾患、④糖尿病、⑤精神疾患
【5事業】①救急医療、②災害医療、③へき地医療、④周産期医療、⑤ 小児医療(小児救急を含む)
【記載事項】
①5疾病の治療または予防に係る事業、5事業の医療の確保に必要な事業。
②5疾病5事業に関する目標、医療連携体制(施設間の機能分担・業務連携の確保)、情報提供の推進。
③居宅等における医療の確保。
④地域医療構想に関する事項。
⑤地域医療構想の達成に向けた病床の機能の分化及び連携の推進。
⑥病床の機能に関する情報提供の推進。
⑦外来医療の確保。
⑧医師の確保。
⑨医療従事者(医師を除く)の確保
⑩医療の安全の確保
⑪医療圏の設定(二次、三次医療圏を定める)
⑫医師少数区域等の設定
⑬基準病床数(一般病床、療養病床、結核病床、精神病床、感染症病床)
⑭地域医療支援病院等の整備目標。
⑮その他医療提供体制の確保に関する必要事項。
(※参考:「医療計画について」厚生労働省HPより)
1.〇 正しい。医療圏を設定する。医療計画の記載事項である⑪医療圏の設定(二次、三次医療圏を定める)に該当する。一次医療圏とは、医療圏の中でもっとも小さい単位で、健康管理、予防、一般的な病気や怪我などに対応して住民の日常生活に密着した医療、保健、福祉サービスを提供する区域のこと。一般的には市区町村の単位で設定されている。
2.〇 正しい。必要病床数を算定する。医療計画の記載事項である⑬基準病床数(一般病床、療養病床、結核病床、精神病床、感染症病床)に該当する。
3.〇 正しい。5疾病5事業について記載する。医療計画の記載事項である②5疾病5事業に関する目標、医療連携体制(施設間の機能分担・業務連携の確保)、情報提供の推進に該当する。
4.× 「地域保健法」ではなく医療法により策定が定められている。これは、医療法の第二節 医療計画に規定されている(※参考:「医療法」e-GOV法令検索様HPより)。
・地域保健法とは、地域保健対策の推進に関する基本指針、保健所の設置その他地域保健対策の推進に関し基本となる事項を定めることにより、母子保健法その他の地域保健対策に関する法律による対策が地域において総合的に推進されることを確保し、地域住民の健康の保持及び増進に寄与することを目的として制定された法律である。
医療法とは、病院、診療所、助産院の開設、管理、整備の方法などを定める日本の法律である。①医療を受けるものの利益と保護、②良好かつ適切な医療を効率的に提供する体制確保を主目的としている。
問110 二次予防に相当する行動はどれか。
1.ラジオ体操に毎日参加する。
2.脳梗塞発症後に言語療法を受ける。
3.インフルエンザワクチンを接種する。
4.市が実施する胃がん検診を受診する。
答え.4
解説
疾病の進行段階に対応した予防方法を一次予防、二次予防、三次予防と呼ぶ。
一次予防:「生活習慣を改善して健康を増進し、生活習慣病等を予防すること」
二次予防:「健康診査等による早期発見・早期治療」
三次予防:「疾病が発症した後、必要な治療を受け、機能の維持・回復を図ること」
1.× ラジオ体操に毎日参加する。
これは、一次予防に相当する行動である。なぜなら、ラジオ体操は日常的な運動習慣を通じて健康を保つことを目的としているため。
2.× 脳梗塞発症後に言語療法を受ける。
これは、三次予防に相当する行動である。なぜなら、三次予防は、病気や障害の悪化を防ぎ、機能の回復や再発の防止を目指すリハビリテーションや治療を指すため。
3.× インフルエンザワクチンを接種する。
これは、一次予防に相当する行動である。なぜなら、ワクチン接種は感染症の発症を防ぐための予防的措置であり、病気になる前に行う予防策であるため。
4.〇 正しい。市が実施する胃がん検診を受診する。
これは、二次予防に相当する行動である。二次予防は、健康診査等による早期発見・早期治療である。