この記事には広告を含む場合があります。
記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。
問111 わが国の人口動態統計で正しいのはどれか。2つ選べ。
1.全数調査である。
2.5年に一度実施される。
3.婚姻についてのデータが得られる。
4.得られたデータから人口ピラミッドを作成する。
答え.1・3
解説
人口動態統計とは、一年を通して厚生労働省が集計・公表を行う出生・死亡・死産・婚姻・離婚の集計である。 日本の人口動態事象を把握し、人口及び厚生労働行政施策の基礎資料を得ることを目的とする。
1.〇 正しい。全数調査である。人口動態調査とは、出生、死亡、婚姻、離婚および死産の全数を対象とした悉皆調査(しっかいちょうさ)、全数調査である。それらの事象(人口動態事象)を把握する調査である。
2.4.× 5年に一度実施される/得られたデータから人口ピラミッドを作成するのは、「国勢調査」である。人口動態統計は毎年実施される。なぜなら、人口の変動を毎年把握するため。ちなみに、国勢調査とは、日本に住んでいるすべての人を対象に5年に1回行う調査で、国内の人口や世帯の実態を把握するために行われる。男女の別、出生の年月、就業状態、従業地または通学地、世帯員の数、住居の種類、住宅の建て方などを調べる調査である。
3.〇 正しい。婚姻についてのデータが得られる。人口動態統計とは、一年を通して厚生労働省が集計・公表を行う出生・死亡・死産・婚姻・離婚の集計である。
問112 母子保健法で規定されているのはどれか。
1.小児癌の登録
2.母子健康手帳の交付
3.麻しんの定期予防接種
4.小児慢性特定疾患対策
答え.2
解説
母子保健法とは、母性、乳幼児の健康の保持および増進を目的とした法律である。母子保健に関する原理を明らかにするとともに、母性並びに乳児及び幼児に対する保健指導、健康診査、医療その他の措置を講じ、もって国民保健の向上に寄与することを目的として制定された法律である。各種届出は市町村長または特別区、指定都市の区長に届け出る。
1.× 小児癌の登録は、「がん登録等の推進に関する法律(がん登録法)」に規定されている(※下参考)。
2.〇 正しい。母子健康手帳の交付は、「母子保健法」に規定されている。母子健康手帳とは、母子保健法に定められた市町村が交付する、妊娠、出産、育児の一貫した母子の健康状態を記録する手帳のことである。
3.× 麻しんの定期予防接種は、「予防接種法」に規定されている。予防接種法とは、公衆衛生の観点から伝染のおそれがある疾病の発生・まん延を予防するためにワクチンの予防接種を行うとともに、予防接種による健康被害の迅速な救済を図ることを目的として制定された日本の法律である。予防接種法に基づく予防接種には、①定期予防接種と②臨時予防接種があり、定期予防接種の対象疾患には、①A類疾病と②B類疾病がある。さらに同法に基づかない任意接種もある。
・A類疾病:主に集団予防、重篤な疾患の予防に重点を置き、国の積極的な勧奨があり、本人(保護者)に努力義務がある。
疾患:結核、ジフテリア、破傷風、百日咳、ポリオ、麻疹、風疹、日本脳炎、ヒブ(インフルエンザ菌b型)感染症、小児の肺炎球菌感染症、水痘、ヒトパピローマウイルス感染症、B型肝炎
・B類疾病:主に個人予防に重点を置き、国の積極的な勧奨なく、本人(保護者)に努力義務はない。
疾患:季節性インフルエンザと高齢者の肺炎球菌感染症(参考:「予防接種とは?」東京都医師会HPより)
4.× 小児慢性特定疾患対策は、「児童福祉法」に規定されている。児童福祉法とは、児童の福祉を担当する公的機関の組織や、各種施設及び事業に関する基本原則を定める日本の法律である。児童が良好な環境において生まれ、且つ、心身ともに健やかに育成されるよう、保育、母子保護、児童虐待防止対策を含むすべての児童の福祉を支援する法律である。「児童福祉法」については、児童福祉法(第六条の三)に、「この法律で、乳児家庭全戸訪問事業とは、一の市町村の区域内における原則として全ての乳児のいる家庭を訪問することにより、厚生労働省令で定めるところにより、子育てに関する情報の提供並びに乳児及びその保護者の心身の状況及び養育環境の把握を行うほか、養育についての相談に応じ、助言その他の援助を行う事業をいう」と記載されている(※一部引用:「児童福祉法」e-GOV法令検索様HPより)。
平成25(2013)年12月に 「 がん登録等の推進に関する法律 (がん登録推進法) 」が成立、平成28(2016)年1月から施行された。この法律は、 全国がん登録の実施やこれらの情報の利用及び提供、保護等について定めるとともに、院内がん登録等の推進に関する事項等を定められた。
・全国がん登録:国・都道府県による利用・提供の用に供するため、国が国内におけるがんの罹患、診療、転帰等に関する情報をデータベースに記録し、保存すること。
・院内がん登録:病院において、がん医療の状況を適確に把握するため、がんの罹患、診療、転帰等に関する情報を記録し、保存すること。
【がん登録とは?】
がんの罹患や転帰(最終的にどうなったか)という状況を登録・把握し、分析する仕組みであり、がんの患者数や罹患率、生存率、治療効果の把握など、がん対策の基礎となるデータを把握するために必要なものである。がん対策を推進するためには、正確ながんの実態把握が必要であり、その中心的な役割を果たすのが、がん登録である。
(※参考:「がん登録」厚生労働省HPより)
問113 小学校の学校保健統計調査で最も高い被患率を示すのはどれか。
1.う歯
2.肥満傾向
3.心電図異常
4.胸郭・脊柱異常
答え.1
解説
(※データ引用:令和元(2019)年度の学校保健統計調査)
健康状態
(1)疾病・異常の被患率等別状況
疾病・異常を被患率等別にみると,幼稚園及び小学校においては「むし歯(う歯)」の者の割合が最も高く、次いで「裸眼視力 1.0 未満の者」の順となっている。
中学校,高等学校においては,「裸眼視力 1.0 未満の者」の割合が最も高く,次いで「むし歯(う歯)」の順となっている。
(※引用:「調査結果の概要」文部科学省HPより)
1.〇 正しい。う歯は、小学校の学校保健統計調査で最も高い。被患率は、約35%である。
2.× 肥満傾向は、約10%で低下傾向である(「調査結果の概要」P10に記載あり)。
3.× 心電図異常は、約3%である。
4.× 胸郭・脊柱異常は、約0.2%である。
「学校保健統計調査」は、学校(幼稚園、小学校、中学校、高等学校および中等教育学校)における幼児、児童、および生徒の発育、および健康の状態を明らかにすることを目的とした調査である。
問114 近年のわが国の雇用統計にみる完全失業率の概数として正しいのはどれか。
1.0~1%
2.3~6%
3.10~15%
4.20~25%
答え.2
解説
完全失業率とは、労働力人口(15歳以上の働く意欲のある人)のうち、完全失業者(職がなく、求職活動をしている人)が占める割合で、雇用情勢を示す重要指標のひとつである。
1.3~4.× 0~1%/10~15%/20~25%は、日本の完全失業率とはいえない。
2.〇 正しい。3~6%は、近年のわが国の雇用統計にみる完全失業率の概数である。
(※引用:「第1-(2)-1図 有効求人倍率と完全失業率の推移」厚生労働省様HPより)
問115 わが国の疾病で正しいのはどれか。
1.心疾患が死因の第一位である。
2.胃癌による死亡率が増加している。
3.糖尿病と虚血性心疾患の発症に関連がない。
4.高血圧は脳血管疾患の主要なリスクである。
答え.4
解説
1.× 「心疾患」ではなくがん(悪性新生物)が死因の第一位である。死因別にみると、死因順位の第1位は悪性新生物<腫瘍>(24.6%)、 第2位は心疾患(高血圧性を除く)( 14.8%)、第3位は老衰(11.4%)となっている(※データ引用:「令和4年(2022)人口動態統計月報年計(概数)の概況」厚生労働省様HPより)。
2.× 胃癌による死亡率は、「増加」ではなく減少している。これは、医療技術の進歩や早期発見の取り組みが要因としてあげられる。また、ピロリ菌除菌の普及や食生活の改善(塩分摂取量の減少・野菜果物摂取量増加など)があげられる。
3.× 糖尿病と虚血性心疾患の発症に関連が「ある」。糖尿病(特に2型)は動脈硬化のリスクを高め、虚血性心疾患の発症リスクを上昇させる主要因となる。
4.〇 正しい。高血圧は脳血管疾患の主要なリスクである。なぜなら、血圧が高い状態が続くと脳内の小動脈にダメージが蓄積し、出血や梗塞のリスクが上昇するため。ちなみに、脳血管疾患とは、脳の血管のトラブルによって、脳細胞が破壊される病気の総称である。おもな脳血管疾患には「出血性脳血管疾患」と「虚血性脳血管疾患」の2つのタイプがあり、これらは「脳卒中」とも呼ばれている。脳血管疾患の予防には、減塩などの食事、運動、禁煙、禁酒、生活習慣、健康管理があげられる。
虚血性心疾患とは、心筋の酸素需要量を冠血流によってまかなうことができなくなり、心筋細胞が虚血を来す疾患群の総称である。虚血によって壊死が生じた場合を心筋梗塞、壊死のない状態を狭心症とよぶ。特に心筋梗塞では重症感があり、30分以上痛みが継続している場合、冷汗がみられる場合、硝酸薬の効果が少ない場合などは注意を要する。一般的に心筋梗塞では締めつけられるような激しい痛みが特徴的だが、基礎疾患として糖尿病に罹患している場合、重篤な痛みを訴えないこともある。