第26回(H30年)柔道整復師国家試験 解説【午前1~5】

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問1 ヒトの体細胞内の常染色体数はどれか。

1.42
2.44
3.46
4.48

答え.2

解説
1.4.× 42/48は、ヒトの体細胞内の常染色体数ではない。

2.〇 44がヒトの体細胞内の常染色体数である。ヒトの細胞には通常46本の染色体があり、そのうち44本(22対)は常染色体である。あとは、性染色体2本(1対)である。

3.× 46は、ヒトの体細胞内の染色体数(常染色体+性染色体)である。常染色体とは、雌雄の性を決定する遺伝子をもたない染色体のことである。

 

 

 

 

 

問2 乳頭突起があるのはどれか。

1.頸椎
2.胸椎
3.腰椎
4.仙椎

答え.3

解説
1~2.4.× 頸椎/胸椎/仙椎は、乳頭突起がない。
頚椎は、可動性を確保している。胸椎は主に臓器を守る役割を持つ。腰椎は主に体重を支える役割を持つ。仙椎は5個の仙椎が癒合してできた骨である。

3.〇 正しい。腰椎は、乳頭突起がある。乳頭突起は、多裂筋(脊柱起立筋)の起始部である。多裂筋の【起始】仙骨後面、全腰椎の乳頭突起、全胸椎の横突起、第4~5頸椎までの関節突起、【停止】腰椎以上軸椎までの棘突起である。

(※図引用:「イラスト素材:脊柱(側面)」illustAC様より)

 

 

 

 

 

問3 関節円板があるのはどれか。

1.肩関節
2.胸鎖関節
3.股関節
4.膝関節

答え.2

解説
1.× 肩関節/股関節は、関節円板がない。ただし、肩関節/股関節には、関節唇がある。関節唇とは、関節窩の縁にあり、肩関節の安定性を高めると同時に、さまざまな衝撃から守るクッションの役割を果たしている。

2.〇 正しい。胸鎖関節は、関節円板がある。関節円板とは、帽子のように下顎頭にぶらさがっていて、顎が動くときに、骨と骨がこすれないように、クッションの役割をはたす組織である。ほかにも、関節円板は、①顎関節、②胸鎖関節、③肩鎖関節、④下橈尺関節、⑤橈骨手根関節にある。

4.× 膝関節は、関節円板がない。ただし、膝関節には関節包や半月板がある。関節包とは、骨と骨があたる部分にはやわらかな軟骨があり、そのまわりは丈夫な袋の構造である。関節包の内面は、滑膜でおおわれ、滑膜から潤滑油のように滑らかな液が分泌されて、関節の滑りをよくしている。

 

 

 

 

 

問4 黒質があるのはどれか。

1.間脳
2.中脳
3.橋
4.延髄

答え.2

解説

黒質とは?

黒質とは、中脳の被蓋と大脳脚との間に位置し、運動制御に関わる脳の一部であり、ドーパミン生成細胞が多く存在する。神経伝達物質となっている。

1.× 間脳とは、大脳と中脳の間にある脳の一部である。間脳は、神経細胞で大脳皮質、大脳基底核、脳幹、大脳辺縁系とつながっており、聴覚を除く感覚に関する情報を伝達し、自律神経の働きを調節する。

2.〇 正しい。中脳は、黒質がある。中脳とは、間脳と橋の間に位置する脳構造である。中脳水道より背側の中脳蓋と、腹側の中脳被蓋、大脳脚の3つの部分に大別される。

3.× 橋とは、中脳と延髄に挟まれた、脳幹の一部である。運動に関する情報を大脳から小脳に伝える役割をもつ。

4.× 延髄とは、呼吸や循環、消化機能などの生命維持に関係する様々な中枢が集まっている。橋や延髄は脳幹と呼ばれる。

(図引用:中脳断面図 Wikiより)

ドーパミンとは?

ドパミンとは、運動調節や意欲・学習などに関わる脳内の神経伝達物質である。脳内のドパミン量が不足するとパーキンソン病になり、過剰になると統合失調症になると考えられている。 統合失調症の治療薬は、ドパミンD2受容体に結合して不活性化させる。

パーキンソン病とは、黒質のドパミン神経細胞の変性を主体とする進行性変成疾患である。4大症状として①安静時振戦、②筋強剛(筋固縮)、③無動・寡動、④姿勢反射障害を特徴とする。また、自律神経障害による便秘や起立性低血圧、排尿障害、レム睡眠行動障害などが起こる。レム睡眠行動障害とは、レム睡眠の時期に体が動き出してしまう睡眠障害の1つである。 睡眠時随伴症に分類される。

 

 

 

 

 

問5 ATPを必要とする物質移動はどれか。

1.ろ過
2.浸透
3.単純拡散
4.能動輸送

答え.4

解説

拡散とは?

拡散とは、物質粒子(あるいは分子、イオン)がある空間を拡がり散る現象のことをいう。また、受動輸送とは、エネルギーを必要としない栄養素の吸収方法である。拡散(受動輸送)には、①単純拡散と②促進拡散とよばれる2つのタイプがあり、③能動輸送があげられる。

①単純拡散とは、細胞膜を通して起こる溶質の拡散のことである。単純拡散によって通過する物質には、脂溶性物質や酸素や二酸化炭素のようなガス体がある。また分子量の小さなイオン等はイオンチャネルを単純拡散で通過する。

②促進拡散とは、単純拡散で細胞膜を通過できないような分子量の大きい溶質を、輸送タンパクを利用して拡散させる方法をいう。これは、濃度勾配または電気的勾配に従い移動が行われる。例えば、グルコースやアミノ酸などが該当する。濃度勾配または電気的勾配に従った方向に輸送する場合は、エネルギーを必要としない。

③能動輸送とは、エネルギーを使いながら、濃度の低い方から高い方へ濃度勾配に逆らって、積極的な栄養素の吸収を行うものをさす。例えば、糖質やアミノ酸など輸送される。能動輸送で栄養素が吸収される場合には、担体が必要である。

1.× ろ過は、ATPを必要としない。なぜなら、ろ過は圧力勾配に基づいて物質が膜を通過する過程であるため(物理的なプロセス)。

2.× 浸透は、ATPを必要としない。なぜなら、浸透は水分子が半透膜を通じて高濃度から低濃度へ移動する過程であるため。能動輸送ではなく、受動輸送の一種である。

3.× 単純拡散は、ATPを必要としない。単純拡散とは、細胞膜を通して起こる溶質の拡散のことである。単純拡散によって通過する物質には、脂溶性物質や酸素や二酸化炭素のようなガス体がある。また分子量の小さなイオン等はイオンチャネルを単純拡散で通過する。能動輸送ではなく、受動輸送の一種である。

4.〇 正しい。能動輸送は、ATPを必要とする物質移動である。能動輸送とは、エネルギーを使いながら、濃度の低い方から高い方へ濃度勾配に逆らって、積極的な栄養素の吸収を行うものをさす。例えば、糖質やアミノ酸など輸送される。能動輸送で栄養素が吸収される場合には、担体が必要である。

 

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