第26回(H30年)柔道整復師国家試験 解説【午前66~70】

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問66 酸素分圧が最も高いのはどれか。

1.吸気
2.呼気
3.肺胞気
4.動脈血

答え.1

解説

MEMO

酸素分圧とは、大気中に含まれる酸素の圧力のことである。

1.〇 正しい。吸気は、酸素分圧が最も高い。吸気中の酸素分圧(PO₂)は、吸い込んだ新鮮な空気の中に含まれる酸素の量を反映している。大気中の酸素分圧は約160mmHgである。

2.× 呼気は、約120mmHgである。なぜなら、酸素が体内で消費され、二酸化炭素が追加されるため。

3.× 肺胞気は、約100mmHg程度である。なぜなら、肺胞内で二酸化炭素が酸素と交換されるため。

4.× 動脈血は、約95mmHg程度である。なぜなら、肺胞から血液に酸素が取り込まれる際の微小な酸素消費があるため。

血液ガス分析の基準値

 血液ガス分析では血中のpH・酸素濃度・二酸化炭素濃度・重炭酸濃度などを調べることができる。これらは呼吸数や腎臓の排泄、再吸収などで厳密にコントロールされている。

【基準値】
pH : 7.40 ±0.05
PaO2 : 80~100Torr
PaCO2 : 40±5Torr
HCO3- : 24 ± 2mEq/l

 

 

 

 

 

問67 へーリング-ブロイエル反射の受容器はどれか。

1.頚動脈洞圧受容器
2.酸素受容器
3.肺伸展受容器
4.二酸化炭素受容器

答え.3

解説
1.× 頚動脈洞圧受容器は、頚動脈洞反射(ツェルマーク・ヘーリング反射)に関与する。例えば、頸動脈洞マッサージであり、迷走神経が刺激され失神する。機序として、頚動脈洞圧迫→迷走神経が過剰な反射を起こす。徐脈となり、血圧が低下し、脳幹へ行く血液が少なくなり脳幹での酸素量減少で失神状態に陥ることもある。

2.× 酸素受容器は、血中の酸素濃度を感知する受容器で、頸動脈(頸動脈小体)と大動脈(大動脈小体)に存在する。

3.〇 正しい。肺伸展受容器は、へーリング-ブロイエル反射の受容器である。ヘーリング・ブロイエル反射とは、肺の伸展・縮小により肺伸展受容器が刺激された場合に、その刺激が迷走神経を介して延髄に伝達され、呼吸が抑制されることである。 吸気を抑制する肺膨張反射、呼気を抑制する肺縮小反射に分類される。遠心路は運動神経である。

4.× 二酸化炭素受容器は、血中の二酸化炭素濃度を感知する受容器で、延髄の腹側に存在する。

 

 

 

 

 

問68 インスリン分泌の有無に関わらずグルコースを取り込む臓器および組織はどれか。

1.脳
2.肝臓
3.骨格筋
4.脂肪組織

答え.1

解説
1.〇 正しい。は、インスリン分泌の有無に関わらずグルコースを取り込む臓器である。なぜなら、脳は、インスリンに依存しない血液脳関門を持つ構造をしているため。この構造により、脳は常に安定してグルコースをエネルギー源として利用することができる。他にも、脳の神経細胞は主にグルコーストランスポーターを使ってグルコースを取り込むことができるため。

2~4.× 肝臓/骨格筋/脂肪組織は、インスリンの影響を受ける。特に、肝臓は、炭水化物(糖質)を摂取して腸管から吸収されたグルコース(ブドウ糖)が、門脈を通って取り込まれ、グリコーゲンとして合成して貯蔵する。

グルカゴンとは?

膵臓のランゲルハンス島からは、①インスリン、②グルカゴン、③ソマトスタチンが分泌される。
①インスリンとは、膵臓のランゲルハンス島にあるβ細胞から分泌されるホルモンの一種で、①血糖低下、②脂肪合成の作用がある。

②グルカゴンとは、膵臓のランゲルハンス島にあるα細胞から分泌されるホルモンの一種で、①血糖上昇、②脂肪分解の作用がある。

③ソマトスタチンとは、膵臓のランゲルハンス島にあるγ細胞から分泌されるホルモンの一種で、成長ホルモン、インスリン、グルカゴン、ガストリン、セクレチンの分泌抑制の作用がある。

 

 

 

 

 

問69 1g当たりのエネルギー発生量が最も大きいのはどれか。

1.糖質
2.脂質
3.ビタミン
4.蛋白質

答え.2

解説
1.× 糖質(炭水化物)のエネルギー発生量は、1gあたり約4kcalである。

2.〇 正しい。脂質は、1g当たりのエネルギー発生量が最も大きい。なぜなら、脂質のエネルギー発生量は1gあたり約9kcalであるため。

3.× ビタミンは、エネルギーを発生させるための栄養素ではない。エネルギー産生栄養素である糖質や脂質、タンパク質の代謝を円滑に進める働きがある。

4.× 蛋白質(タンパク質)のエネルギー発生量は、1gあたり約4kcalである。

脂溶性ビタミンとは?

ビタミンは、①脂溶性ビタミンと②水溶性ビタミンに分けられる。大部分のビタミンは体内で合成されず、食事などから摂取する必要があるため、どちらも欠乏症にはなり得る。
①脂溶性ビタミン:尿中に排池されず体内に蓄積されるため、過剰に摂取すると組織(特に肝臓など)に影響を与え過剰症が生じやすい。脂溶性ビタミンは「DAKE(だけ)」と覚えておく。

②水溶性ビタミン:水に溶けるため過剰症をきたしにくい。水溶性ビタミンとは、水に溶けやすく、油脂には溶けにくい性質のビタミンである。ビタミンB群とビタミンCが該当する。

 

 

 

 

 

問70 門脈で正しいのはどれか。

1.動脈血が流れる。
2.肝臓から流出する血液を下大静脈に送る。
3.肝臓で合成された胆汁を十二指腸に送る。
4.腸管で吸収された栄養素を肝臓に運ぶ。

答え.4

解説

(※図引用:「看護師イラスト集」より)

1.× 「動脈血」ではなく静脈血が流れる。なぜなら、門脈は静脈であるため。静脈血とは、酸素が少なく二酸化炭素が多い血液である。

2.× 肝臓から流出する血液を下大静脈に送るのは、「門脈」ではなく肝静脈である。肝静脈とは、肝臓から血液を下大静脈に流出させる血管である。肝臓には門脈と肝動脈という流入血管があり、肝静脈は肝臓の唯一の流出血管である。

3.× 肝臓で合成された胆汁を十二指腸に送るのは、「門脈」ではなく胆管である。肝臓から十二指腸まで胆汁が通る管のことで、胆管の長さは約10~15cmで、太さは0.5~1cmである。

4.〇 正しい。腸管で吸収された栄養素を肝臓に運ぶ。門脈は、だいたいの消化管から得られた栄養を肝臓へと運ぶ働きを持つ機能血管である。胃、腸、膵臓、脾臓、胆嚢の毛細管から静脈血を集める。

(図引用:「肝臓周辺臓器 名称」illustAC様HPより)

 

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