第26回(H30年)柔道整復師国家試験 解説【午前91~95】

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問91 肩関節運動で小円筋と同一の作用をもつのはどれか。

1.棘下筋
2.広背筋
3.烏口腕筋
4.肩甲下筋

答え.1

解説

小円筋の基本知識

【起始】肩甲骨後面の外側部上半
【停止】上腕骨大結節の下部、大結節稜の上端
【作用】肩関節外旋

1.〇 正しい。棘下筋は、肩関節運動で小円筋と同一の作用をもつ。棘下筋の【起始】肩甲骨の棘下窩、棘下筋膜の内側、【停止】上腕骨大結節の中部、【作用】肩関節外旋、上部は外転、下部は内転である。

2.× 広背筋の【起始】第6~8胸椎以下の棘突起、腰背腱膜、腸骨稜、第(9)10~12肋骨および肩甲骨下角、【停止】上腕骨の小結節稜、【作用】肩関節内転、伸展、多少内旋である。

3.× 烏口腕筋の【起始】烏口突起、【停止】上腕骨の内側面の中部、【作用】肩関節屈曲、内転である。

4.× 肩甲下筋の【起始】肩甲骨肋骨(肩甲下窩)と筋膜内面、【停止】上腕骨前面の小結節、小結節稜上端内側、【作用】肩関節内旋である。

 

 

 

 

 

問92 前腕回内位で肘関節を屈曲させる主動筋はどれか。

1.上腕二頭筋
2.腕橈骨筋
3.円回内筋
4.上腕筋

答え.4

解説

主動作筋

前腕回内位での肘関節:上腕筋

前腕中間位での肘関節:腕橈骨筋

前腕回外位での肘関節:上腕二頭筋

1.× 上腕二頭筋の【起始】長頭:肩甲骨の関節上結節、短頭:肩甲骨の烏口突起、【停止】橈骨粗面、腱の一部は薄い上腕二頭筋腱膜となって前腕筋膜の上内側に放散、【作用】肘関節屈曲、回外(長頭:肩関節外転、短頭:肩関節内転)である。

2.× 腕橈骨筋の【起始】上腕骨外側縁の下部、外側上腕筋間中隔、【停止】橈骨遠位下端、茎状突起、【作用】肘関節屈曲、回内位での回外、回外位での回内である。

3.× 円回内筋の【起始】上腕頭:上腕骨内側上顆と内側上腕筋間中隔、尺骨頭:尺骨鈎状突起内側、【停止】橈骨外側面の中央部、【作用】肘関節回内、屈曲である。

4.〇 正しい。上腕筋は、前腕回内位で肘関節を屈曲させる主動筋である。上腕筋の【起始】上腕骨の内側および外側前面の下半、内・外側の筋間中隔、肘関節包前面(広い)、【停止】鈎状突起と尺骨粗面(肘関節包)である。

 

 

 

 

 

問93 股関節の運動で正しいのはどれか。

1.下肢機能軸は垂直軸に平行である。
2.大腿骨頭靭帯は骨頭固定のためには機能していない。
3.骨盤を固定し片側の股関節を外転すると対側も外転する。
4.股関節の外転に働くのは恥骨筋である。

答え.2

解説
1.× 下肢機能軸は垂直軸に平行「である」と断言できない。つまり、完全に平行とはいえない。なぜなら、一般的に大腿骨の長軸と約7°の角度があるといわれているため。ちなみに、下肢機能軸とは、Mikulicz線(ミクリッツ線)ともいい、成人の立位荷重線のことで、大腿骨頭中心から足関節中心を結んだ線である。この線は、正常成人では、膝関節の中心を通過するが、大腿骨頸部の頚体角が大きい場合や、変形性膝関節症で内反変形があると、膝関節中心の内側を通過する。

2.〇 正しい。大腿骨頭靭帯は、骨頭固定のためには機能していない。なぜなら、骨頭固定は、主に関節包、坐骨大腿靱帯/恥骨大腿靱帯/腸骨大腿靱帯によって保たれているため。ちなみに、大腿骨頭靱帯とは、大腿骨頭と臼蓋を連結しているため股関節内転を制限し、脱臼の予防に働く靭帯である。大腿骨頭靱帯(大腿骨頭)の主要な血液供給源の動脈は、大腿骨頭靭帯動脈である。この動脈は閉鎖動脈から分岐される。大腿骨頭靭帯動脈の特徴として、細い血管であるため、栄養血管としての役割は小さい。

3.× 骨盤を固定し片側の股関節を外転すると対側も外転するのは、「対側性連合反応」である。対側性連合反応とは、痙性片麻痺でみられる異常な反応である。連合反応とは、身体の一部の運動が、身体他部の運動を不随意的に引き起こすような現象のことである。対側性連合反応とは、上肢では左右対称性に、下肢では内外転は対称性で、屈伸は相反性である(レミスト反応、レイミスト現象)。これらは健側の運動に対して患側の運動が鏡に映るように反対側に生じるので対側性連合反応という。

4.× 股関節の外転に働くのは、「恥骨筋」ではなく中殿筋や小殿筋である。恥骨筋の【起始】恥骨櫛、恥骨筋膜、【停止】恥骨筋線、【作用】股関節内転、屈曲、【神経】大腿神経、閉鎖神経前枝:L2,L3である。ちなみに、小殿筋は、中殿筋の深層にある。中殿筋の【起始】腸骨翼の外面で前および後殿筋線の間、腸骨稜外唇および殿筋筋膜、【停止】大転子の外側面、【作用】股関節外転、前部:内旋、後部:外旋、【支配神経】上殿神経:L4~S1である。

 

 

 

 

 

問94 足関節伸展に働くのはどれか。

1.第3腓骨筋
2.長腓骨筋
3.腓腹筋
4.ヒラメ筋

答え.1

解説
1.〇 正しい。第3腓骨筋は、足関節伸展(背屈)に働く。第3腓骨筋の【起始】前下腿筋間中隔の下部、腓骨の前縁、【停止】第5中足骨底背側、【作用】足関節背屈、外返しである。

2.× 長腓骨筋の【起始】腓骨頭、腓骨体外側面の上半、一部は筋膜と前下腿筋間中隔、【停止】第1,2中足骨底、内側楔状骨、【作用】足関節底屈、外返しである。

3.× 腓腹筋の【起始】外側頭:大腿骨外側上顆、内側頭:大腿骨内側上顆、【停止】踵骨腱(アキレス腱)となり踵骨隆起後面の中部、【作用】膝関節屈曲、足関節底屈、踵の挙上、【支配神経】脛骨神経である。

4.× ヒラメ筋の【起始】腓骨頭と腓骨後面、脛骨のヒラメ筋線と内側縁、腓骨と脛骨間のヒラメ筋腱弓、【停止】踵骨腱(アキレス腱)となり踵骨隆起後面の中部、【作用】膝関節底屈、踵の挙上、【支配神経】脛骨神経である。

 

 

 

 

 

問95 物を投げる動作が正確にできるようになる時期はどれか。

1.6か月
2.1歳
3.2歳
4.3歳

答え.4

解説


1.× 6か月は、積み木をとったり、持ち替えたり、支えなしに座ることが獲得できる時期である。

2.× 1歳は、両手の積み木を打ち合わせたり、親指と人差し指の指先で掴む、上手に歩くことができる時期である。

3.× 2歳は、上手投げでボールを投げる(物を投げる動作)の達成率は、50~75%程度であるため。上の図の「日本版デンバー式発達スクリーニング検査」において、標準枠のなかで色付けされている部分は、75~90%の達成率を表している。上手投げでボールを投げることができるのは、3歳である。

4.〇 正しい。3歳は、物を投げる動作が正確にできるようになる時期である。3歳になると、上手投げでボールを投げる項目の標準枠のなかで色付けされている部分に該当する。標準枠のなかで色付けされている部分は、75~90%の達成率を表している。

 

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