第27回(H31年)柔道整復師国家試験 解説【午前66~70】

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問題66 水溶性ビタミンはどれか。

1.ビタミンA
2.ビタミンB1
3.ビタミンD
4.ビタミンK

答え.2

解説

ビタミンとは?

ビタミンは、①脂溶性ビタミンと②水溶性ビタミンに分けられる。大部分のビタミンは体内で合成されず、食事などから摂取する必要があるため、どちらも欠乏症にはなり得る。

①脂溶性ビタミン:過剰症をきたしやすい。脂溶性ビタミンは「DAKE(だけ)」と覚えておく。

②水溶性ビタミン:水に溶けるため過剰症をきたしにくい。したがって、水溶性ビタミンとは、水に溶けやすく、油脂には溶けにくい性質のビタミンである。ビタミンB群とビタミンCが該当する。

1.× ビタミンAは、脂溶性ビタミンである。
ビタミンAとは、レチノール、レチナール、レチノイン酸の総称で、目や皮膚の粘膜を健康に保ち、抵抗力を強める役割があり、暗いところでの視力を保つ働きがある。

2.〇 正しい。ビタミンB1は、水溶性ビタミンである。
ビタミンB1とは、チアミンとも呼ばれる水溶性のビタミンで、解糖系やクエン酸回路のエネルギー代謝の一部で補酵素として関わる。ビタミンB1(チアミン)欠乏症では、①末梢神経の症状として脚気、②中枢神経の症状としてKorsakoff症候群(コルサコフ症候群)が生じる。Korsakoff症候群(コルサコフ症候群)の特徴的な症状は、①健忘、②記銘力低下、③見当識障害、④作話である。ビタミンB1の欠乏による脳障害が原因であり、治療はビタミンB1の投与である。完治しにくく後遺症を残す可能性が高い。

3.× ビタミンDは、脂溶性ビタミンである。
ビタミンDとは、カルシウムとリンの吸収を促進する働きがある。ビタミンDの欠乏によりくる病をきたす。

4.× ビタミンKは、脂溶性ビタミンである。
ビタミンKとは、血液凝固のほかに骨形成(骨をつくる骨芽細胞の働き)を促進する作用と骨吸収(骨を壊す破骨細胞の働き)を抑制する作用がある。骨粗鬆症における骨量(骨の材料であるカルシウムとリンの量)の減少を抑えたり痛みを和らげる効果がある。

 

 

 

 

 

問題67 電子伝達系で最終的に産生されるのはどれか。

1.水
2.脂肪酸
3.アンモニア
4.ピルビン酸

答え.1

解説
1.〇 正しい。は、電子伝達系で最終的に産生される。
酸化的リン酸化(電子伝達系)とは、 細胞内(ミトコンドリア)で起こる呼吸(電子伝達系の複合体を経て酸素に渡してH2Oにする)に関連した現象で一連のリン酸化(ATP合成)反応のことである。

2.× 脂肪酸は、脂肪の分解(β酸化)や合成(脂肪酸合成)の過程で関与する。
脂肪酸とは、脂肪を構成している要素である。分子の構造的な違いから①飽和脂肪酸と②不飽和脂肪酸に分類される。①飽和脂肪酸は主に動物性の脂肪に含まれる。②不飽和脂肪酸は、植物や魚の脂に多く含まれる。不飽和脂肪酸はさらに、一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸に分けられる。一価不飽和脂肪酸でよく知られているオレイン酸はオリーブ油に多く含まれ、血液中のLDLコレステロールを下げる効果がある。

3.× アンモニアは、アミノ酸の分解の過程で関与する。
アミノ酸は、窒素化合物であり、グルタミン酸脱水素酵素によってアミノ酸からアミノ基が離脱すると、アンモニアになる。アンモニアの一部はアンモニウム塩として尿中に排泄されるが、大半は肝臓で尿素に変換されて無毒化され、尿中に排泄される。

4.× ピルビン酸は、グルコースの分解の過程(クエン酸回路)で関与する。
クエン酸回路(TCA回路、クレブス回路、トリカルボン酸回路)とは、ミトコンドリアでアセチルCoAが二酸化炭素と水へと酸化されATPを生成する。グルコース→ピルビン酸→アセチルCoA→【クエン酸回路】(オキサロ酢酸)+クエン酸→イソクエン酸→α-ケトグルタル酸→サクシニルCoA→コハク酸→フマル酸→リンゴ酸→オキサロ酢酸となる。

 

 

 

 

 

問題68 膵液に含まれる重炭酸塩の役割はどれか。

1.脂肪の乳化
2.胃酸の中和
3.胆汁分泌の促進
4.ペプシノーゲンの活性化

答え.2

解説

重炭酸塩とは?

膵臓の働きは、①食べ物を消化する膵液を作り、十二指腸に送り出す、②血液中の糖分の量を調節するホルモンを作り、血液の中に送り出すなどである。膵臓から分泌される消化液にはさまざまな消化酵素とともに胃酸を中和するアルカリ性の重炭酸塩が含まれている。膵臓の膵液はpH7.5 〜8.8のアルカリ性で、十二指腸に送られ胃液で酸性になった食材を中和する働きをする。

1.× 脂肪の乳化は、胆汁の役割である。
胆汁とは、肝臓で合成されるアルカリ性の物質で、胆嚢で濃縮されたうえ、貯蔵され、消化酵素の働きを助ける作用がある。胆汁酸の働きは、脂肪を乳化し、消化・吸収させやすい形に変化させ、脂肪を分解吸収しやすくする。 さらに水に溶けない脂溶性ビタミンの吸収を助ける。排出された胆汁の大部分は小腸から吸収されて、他の吸収された栄養分と一緒に血管を通って肝臓に戻り、再利用される。 これを腸肝循環という。

2.〇 正しい。胃酸の中和は、膵液に含まれる重炭酸塩の役割である。
膵臓の働きは、①食べ物を消化する膵液を作り、十二指腸に送り出す、②血液中の糖分の量を調節するホルモンを作り、血液の中に送り出すなどである。膵臓から分泌される消化液にはさまざまな消化酵素とともに胃酸を中和するアルカリ性の重炭酸塩が含まれている。膵臓の膵液はpH7.5 〜8.8のアルカリ性で、十二指腸に送られ胃液で酸性になった食材を中和する働きをする。

3.× 胆汁分泌の促進は、十二指腸の役割である。
十二指腸で分泌されるホルモンのひとつに、コレシストキニンがあげられ、これは、脂質の多いものが入ってくると十二指腸の粘膜から分泌され、胆汁や膵液の分泌を促進させる。

4.× ペプシノーゲンの活性化は、胃液の役割である。
胃主細胞から分泌されたペプシノーゲンは、壁細胞が分泌する塩酸によりペプシンとなる。ちなみに、蛋白質は、①胃液のペプシン、②膵液のトリプシン、③キモトリプシンが分解する。

 

 

 

 

 

問題69 消化管からそのまま吸収されるのはどれか。

1.グルコース
2.蛋白質
3.中性脂肪
4.デンプン

答え.1

解説
1.〇 正しい。グルコースは、消化管からそのまま吸収される。
なぜなら、最終的な単糖であるため。グルコースとは、果物や穀類などに多く含まれ、自然界に最も多く存在する単糖類である。血液中の主要な糖分であり、脳のエネルギー源として関与する。小腸上皮でブドウ糖(グルコース)や果糖(フルクトース)などの単糖に分解され、吸収される。

2.× 蛋白質
蛋白質は、アミノ酸ペプチドに分解され、小腸で吸収される。

3.× 中性脂肪
中性脂肪は、十二指腸で、肝臓でつくられた胆汁酸と一緒になり、さらに、リパーゼという酵素によって遊離脂肪酸モノグリセリドに分解されたあと、吸収されやすい形(ミセル)になって、小腸から吸収される。

4.× デンプン
デンプンは小腸で、消化酵素により単糖類(ブドウ糖)まで分解されて体内に吸収される。

 

 

 

 

 

問題70 血漿膠質浸透圧への影響が大きいのはどれか。

1.アルブミン
2.グルコース
3.グロブリン
4.ナトリウム

答え.1

解説

膠質浸透圧とは?

膠質浸透圧とは、血漿中のタンパク質によって生じる浸透圧のことである。タンパク質には水をひきつける力があり、毛細血管のような半透膜を隔てて濃い液と薄い液があると、水は濃い液のほうにひき寄せられ、同じ濃度になるように働く。したがって、膠質浸透圧が低下(血漿アルブミンの減少など)すると、血管内に水分を引き留めておく作用が低下し、組織液が増加して浮腫となる。

1.〇 正しい。アルブミンは、血漿膠質浸透圧への影響が大きい。
膠質浸透圧とは、血漿蛋白質による浸透圧(水を血管内に保とうとする力)のことをいい、約28mmHgである。これに対し組織の膠質浸透圧は23mmHg程度である。血漿蛋白質にはアルブミンとグロブリンがあり、グロブリンよりもアルブミンの分子数がはるかに多いため、膠質浸透圧はアルブミンの濃度によって上下する。つまり、アルブミンの特徴でもある高い溶解度と低い分子量により、血管内部の液体を保持し、浮腫(組織間に液体がたまる状態)の防止に役立つ。

2.× グルコース
グルコースとは、果物や穀類などに多く含まれ、自然界に最も多く存在する単糖類である。血液中の主要な糖分であり、脳のエネルギー源として関与する。小腸上皮でブドウ糖(グルコース)や果糖(フルクトース)などの単糖に分解され、吸収される。

3.× グロブリン
(免疫)グロブリンとは、免疫活性を持つたんぱく質で、B細胞リンパ球より産生される。侵入した異物の排除に働く。これも血漿中のタンパク質であるが、その濃度はアルブミンよりも低く、血漿膠質浸透圧への影響はアルブミンほど大きくない。

4.× ナトリウム
ナトリウムイオンとは、電解質の一つである。 ナトリウムは、細胞外液中の陽イオンの90%を占め、血漿浸透圧や酸塩基平衡、細胞外液量の調整に重要である。 成人の人体の約60%はナトリウムなどの電解質を含む水分で構成されている。血漿浸透圧と膠質浸透圧の違いを理解し、血漿浸透圧は電解質、膠質浸透圧はアルブミンによって維持されていることを抑えておく。血液中の浸透圧は、イオンなどの低分子による血漿浸透圧と、血漿タンパク質による膠質浸透圧で決まる。膠質浸透圧が低下すると、毛細血管から組織液(間質)へ水が移動し浮腫が起こる。

浮腫とは?

浮腫とは、体液のうち間質液が異常に増加した状態を指す。主に皮下に水分が貯留するが、胸腔に溜まった場合は胸水・腹腔に溜まった場合は腹水と呼ばれる。軽度の浮腫であれば、寝不足や塩分の過剰摂取、長時間の起立などが要因で起こることがある。病的な浮腫の原因はさまざまだが、①血漿膠質浸透圧の低下(低アルブミン血症など)、②心臓のポンプ機能低下による血液のうっ滞(心不全など)、③リンパ管の閉塞によるリンパ液のうっ滞、④血管透過性の亢進(アナフィラキシーショックなど)に大別することができる。

 

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