第27回(H31年)柔道整復師国家試験 解説【午前91~95】

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問題91 大腿骨に起始があるのはどれか。

1.長腓骨筋
2.短腓骨筋
3.腓腹筋
4.ヒラメ筋

答え.3

解説
1.× 長腓骨筋
長腓骨筋の【起始】腓骨頭、腓骨体外側面の上半、一部は筋膜と前下腿筋間中隔、【停止】第1,2中足骨底、内側楔状骨、【作用】足関節底屈、外返し、【神経】浅腓骨神経である。

2.× 短腓骨筋
短腓骨筋の【起始】腓骨外側面、前下腿筋間中隔、【停止】第5中足骨粗面、【作用】足関節底屈、外返し、【神経】浅腓骨神経である。

3.〇 正しい。腓腹筋は、大腿骨に起始がある。
腓腹筋の【起始】外側頭:大腿骨外側上顆、内側頭:大腿骨内側上顆、【停止】踵骨腱(アキレス腱)となり踵骨隆起後面の中部、【作用】膝関節屈曲、足関節底屈、踵の挙上、【支配神経】脛骨神経:S1,S2である。

4.× ヒラメ筋
ヒラメ筋の【起始】腓骨頭と腓骨後面、脛骨のヒラメ筋線と内側縁、腓骨と脛骨間のヒラメ筋腱弓、【停止】踵骨腱(アキレス腱)となり踵骨隆起後面の中部、【作用】膝関節底屈、踵の挙上、【支配神経】脛骨神経:L5~S2である。

 

 

 

 

 

問題92 立位姿勢の安定性が良いのはどれか。

1.重心の位置が高い。
2.支持基底の面積が狭い。
3.重心線が支持基底の辺縁に近い。
4.接触面との摩擦抵抗が大きい。

答え.4

解説

ボディメカニクス

ボディメカニクスとは、「body=身体」と「mechanics=機械学」の造語で、人間が動作するときに骨や筋肉、関節が相互にどのように作用するかといった力学的関係を活用したものである。介護を行うときには、介護者の負担の軽減のためにも身につけておきたい。

①重心の高さは、低い方が安定する。
②支持基底面の広さは、広い方が安定する。
③摩擦抵抗の有無は、有った方が踏ん張りが効き安定する。
④支持基底面と重心の距離は、短い方が足腰への負担は少ない。

1.× 重心の位置が「高い」と安定性は低い
なぜなら、物体の重心が地面に近いほど、位置エネルギーが少ないため。

2.× 支持基底の面積が「狭い」と安定性は低い
なぜなら、広い支持基底を持つ物体は、重心の動揺がみられても余裕があるため。

3.× 重心線が支持基底の「辺縁」に近いと安定性は低い
なぜなら、重心線が支持基底から外れると、新たに支持基底面を作成するステップ反応が必要となるため。

4.〇 正しい。接触面との摩擦抵抗が大きい
なぜなら、摩擦抵抗が大きいと、足が地面に滑ることなく、体を支えることができるため。

 

 

 

 

 

問題93 ニューロンの髄鞘形成が遅いのはどれか。

1.運動神経根
2.小脳
3.錐体路
4.大脳交連

答え.4

解説

髄鞘とは?

髄鞘とは、ミエリン鞘ともいい、神経細胞の軸索のまわりを幾重にも包み込む、脂質に富んだ膜構造のことである。グリア細胞(中枢神経ではオリゴデンドロサイト、末梢神経ではシュワン細胞)から供給され、神経細胞の軸索が一定の径に達すると、髄鞘形成が開始される。

1.× 運動神経根の髄鞘形成は1歳で完了する。
運動神経根とは、前方に位置する運動神経根は前根とも呼ばれ、脊髄からの信号を筋肉に伝えて筋肉の運動(収縮)を引き起こす神経線維のことをさす。

2.× 小脳の髄鞘形成は2歳で完了する。
小脳の髄鞘形成も早期に開始されます。小脳は運動制御に重要な役割を果たし、その機能は出生直後から必要とされます。

3.× 錐体路の髄鞘形成は1歳で完了する。
錐体路とは、大脳皮質運動野―放線冠―内包後脚―大脳脚―延髄―錐体交叉―脊髄前角細胞という経路をたどる。

4.〇 正しい。大脳交連は、ニューロンの髄鞘形成が遅い。
大脳の髄鞘形成は、10歳で完了することが多い。大脳交連の成熟は、複雑な認知機能の発達と関連している。大脳交連は、半球間の情報交換を行い、それにより個体が心的統合を保つ。

 

MEMO

例えば手足を動かす場所(運動野)から脊髄へ降りている神経(20)の髄鞘化は生まれたときに始まり、1才で完了します。これがほぼ完成するのは生後4,5ヶ月くらいです。視覚野へ来る神経(13)は生まれたとき始まり4,5ヶ月くらいで完成します。音が聞こえる場所(視覚野)へ来る神経(15)も生まれてしばらくたって髄鞘化が始まり1才とちょっとでほぼ完成に近づきます。筋肉につながる神経(1)、外の感覚器から脊髄へ来る神経(2)はだいたい生まれたときにできています。また脳幹(3~11)も多くのところで髄鞘ができています。髄鞘化の時期は脳の場所によって違います。1年ほどたつと手足に触れると分かるようになる部分(皮膚感覚野)がほぼ完成します。また手足に命令を出す場所(運動野)も1年くらいでやっと動かせるようになります。(※引用:「子ども探検」新宿せいが子ども園HP様)

 

 

 

 

 

問題94 乳幼児の運動と初めて可能となる時期の組合せで誤っているのはどれか。

1.頭位保持:6か月
2.つかまり立ち:8か月
3.独り歩き:1歳
4.スキップ:5歳

答え.1

解説


1.× 頭位保持(定頸)は、「6か月」ではなく4か月で可能である。

2.〇 正しい。つかまり立ちは、8か月で可能である。

3.〇 正しい。独り歩きは、1歳で可能である。

4.〇 正しい。スキップは、5歳で可能である。

 

 

 

 

 

問題95 床反力で正しいのはどれか。

1.垂直分力は歩行周期で2つの主峰を持つ。
2.前後分力は踵接地で前向きに働く。
3.側方分力は片脚支持期の間は外向きに働く。
4.垂直分力は下向きに働くことが多い。

答え.1

解説

1.〇 正しい。垂直分力は歩行周期で2つの主峰を持つ
歩行時には、①足が地面に接地し体重を支える際(踵接地)と、②足が地面から離れる際(踵離地)に2つの主要な峰がある。ちなみに、直抗力(垂直分力)とは、物体が接触している他の物体や地面等の固体の面を押しているとき、その力の面に垂直な成分に対し、同じ大きさで反対向きの、固体の面が物体を押し返す力のことである。

2.× 前後分力は踵接地で、「前向き」ではなく後向きに働く。
なぜなら、踵接地時、前進速度を減速するため。

3.× 側方分力は片脚支持期の間は、「外向き」ではなく内向きに働く。
なぜなら、片脚支持期に重心を足底に乗せて安定性を保つため。

4.× 垂直分力は、「下向き」ではなく上向きに働くことが多い。
なぜなら、地面からの反作用力として働くため。つまり、上向き(体重を支える)に作用する。

 

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