第27回(H31年)柔道整復師国家試験 解説【午前86~90】

この記事には広告を含む場合があります。

記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。

 

問題86 骨格筋の最も小さい構造はどれか。

1.筋原線維
2.筋線維
3.筋束
4.筋フィラメント

答え.4

解説

(※図引用:「筋肉解剖」illustAC様HPより)

1.× 筋原線維とは、筋肉の微細構造の構成単位であり、筋繊維内をその長さの方向に走っている多数の微小繊維である(※読み:きんげんせんい)。

2.× 筋線維とは、小さな筋芽細胞が細胞どうしで融合を繰り返し、融合後まっすぐに伸びることで形作られている(※読み:きんせんい)。

3.× 筋束とは、多数の筋線維が束になった構造で、筋線維の束が全体として骨格筋を形成する(※きんそく)。

4.〇 正しい。筋フィラメントは、骨格筋の最も小さい構造である。
筋フィラメントとは、筋原繊維を構成する、線状のアクチンフィラメントとミオシンフィラメントのことを指す。筋肉の運動は、この2種類のフィラメント間での滑り運動が源となる。

 

 

 

 

 

問題87 脊椎とその数の組合せで正しいのはどれか。

1.頸椎:8
2.胸椎:11
3.腰椎:4
4.仙椎:5

答え.4

解説

(※図引用:「イラスト素材:脊柱(側面)」illustAC様より)

脊椎の数

頸椎:7個
胸椎:12個
腰椎:5個
仙椎:5個で構成されている。

1.× 頸椎は、「8」個ではなく7個ある。

2.× 胸椎は、「11」個ではなく12個ある。

3.× 腰椎は、「4」個ではなく5個ある。

4.〇 正しい。仙椎は、5個ある。
仙椎は、成長の過程で癒合し一つの骨を形成し可動性に乏しいのが特徴である。

 

 

 

 

 

問題88 随意運動の発現で正しいのはどれか。

1.運動への動機づけは大脳連合野が担う。
2.大脳辺縁系からの信号は大脳感覚野に伝達される。
3.大脳運動野からの運動指令は基底核に伝達される。
4.小脳には運動のフィードバック調節機能がある。

答え.4

解説


1.× 運動への動機づけは、「大脳連合野」ではなく前頭葉(一次運動野)が担う。
動機づけとは、行動を始発させ、目標に向かって維持・調整する過程・機能である。一方、大脳連合野とは、さまざまな異なった情報を統合し、判断、記憶するとともに、その情報に応じて適切な指令を出す高度な機能を営む。運動野と感覚野を除いた脳の部分を大脳連合野を指す。

2.× 大脳辺縁系からの信号は、「大脳感覚野」ではなく交感神経に伝達される。
大脳辺縁系とは、脳梁を取り囲むように大脳の内側部に存在し、本能・情動・記憶などを司る構造物の総称である。構成要素としては、辺縁葉(梁下野、帯状回、海馬傍回)、海馬、扁桃体、乳頭体、中隔核などがあげられる。一方、大脳感覚野とは、感覚刺激を知覚する大脳皮質の領域のことで、人では、視覚は後頭葉に、聴覚は側頭葉に、味覚は体性感覚の領域の後下部に接した所にある。

3.× 大脳運動野からの運動指令は、「基底核」ではなく運動神経に伝達される。
大脳運動野とは、大脳皮質の中で運動に特異的に関係している領域をいう。一方、大脳基底核とは、①線条体(被殻 + 尾状核)、②淡蒼球、③黒質、④視床下核である。小脳とともにからだの運動をスムーズにする役割がある。

4.〇 正しい。小脳には、運動のフィードバック調節機能がある
運動の遂行時に視覚や体性感覚の情報を参考に運動を修正し、より適切な運動を行うという機能である。

 

 

 

 

 

問題89 胸鎖乳突筋で正しいのはどれか。

1.両側同時に収縮することはない。
2.右側の収縮で頭部は左側に回旋する。
3.左側の収縮で頚部は右側に側屈する。
4.呼吸運動に作用しない。

答え.2

解説

胸鎖乳突筋について

・【起始】胸骨部:胸骨柄前面、鎖骨部:鎖骨の胸骨端。
・【停止】乳様突起、後頭骨の上項線の外側部。
・【作用】両側が同時に作用すると首をすくめて顎を突き出す。片側が働けば顔面を対側に回す。吸息の補助。
・【支配神経】副神経外枝、頸神経叢筋枝(C2,C3)。

1.× 両側同時に収縮する「こともある」。
両側が同時に作用すると首をすくめて顎を突き出す。

2.〇 正しい。右側の収縮で頭部は左側に回旋する

3.× 左側の収縮で頚部は、「右側」ではなく左側に側屈する。
片側が働けば顔面を対側に回す。

4.× 呼吸運動に作用「する」。
特に、吸息の補助に働く。

 

 

 

 

 

問題90 後腹壁を形成するのはどれか。

1.腹直筋
2.外腹斜筋
3.内腹斜筋
4.腰方形筋

答え.4

解説

後腹膜とは?

後腹膜とは、解剖学的に腹膜の外側のことを指す用語である。後腹壁は後背筋・腰方形筋・腰筋・固有背筋等から成り、腹腔より背中側に存在し、膵臓や腎臓、大動脈などが含まれる。一方、前腹壁とは、腹直筋の単層、側腹壁は外腹斜筋・内腹斜筋・腹横筋があげられる。

1.× 腹直筋は、腹部の前方に走行する筋である。
腹直筋の【起始】恥骨結合と恥骨結節との間、【停止】第5~第7肋軟骨、剣状突起の前面、【作用】胸郭の前部を引き下げまたは骨盤の前部を引き上げ、また脊柱を前方に曲げる。

2.× 外腹斜筋は、腹部の前方に走行する筋である。
外腹斜筋の【起始】第5(6)~12肋骨の外面、【停止】腱膜は腹直筋鞘の前葉に入って白線に終わる。鼠経靭帯、恥骨稜、最後部:腸骨稜外唇。【作用】肋骨の引き下げ、脊柱の屈曲、骨盤の引き上げ、また脊柱を同時に曲げ、上体を対側に回す。腹圧を高め、腹式呼吸のとき呼息を行う。

3.× 内腹斜筋は、腹部の前方に走行する筋である。
内腹斜筋の【起始】白線・恥骨稜・腸骨稜、【停止】腰腱膜、【作用】上体を同側に回す。腹圧を高め、腹式呼吸のとき呼息を行う。

4.〇 正しい。腰方形筋は、後腹壁を形成する。
腰方形筋の【起始】腸骨稜と腸腰靭帯、腰椎肋骨突起、【停止】第12肋骨、腰椎肋骨突起、【作用】腰椎を同側に曲げる。両側が働けば腰椎を後ろへ曲げる(腰を反らす)である。したがって、右腰方形筋を伸張させるには、腰椎を伸展させ、反対側を側屈させる。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)