この記事には広告を含む場合があります。
記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。
問題91 不足すると骨軟化症の原因となるのはどれか。
1.ビタミンA
2.ビタミンB
3.ビタミンC
4.ビタミンD
答え.4
解説
骨軟化症は、骨化の過程における石灰化障害が生じた結果、石灰化していない骨基質が増加し、骨強度が減弱することにより生じる。骨端線閉鎖前の小児期に発症したものをくる病という。病因は、低リン血症、ビタミンD代謝物作用障害、石灰化を障害する薬剤性(アルミニウム、エチドロネート等)などである。
1.× ビタミンA
ビタミンA欠乏で、夜盲症となる。夜盲症とは、暗いところではたらく網膜の細胞に異常があり暗順応が障害されて、暗いところや夜に見えにくくなる病気である。
2.× ビタミンB
ビタミンB欠乏(ビタミンB12欠乏)で、悪性貧血となる。悪性貧血とは、ビタミンB12または葉酸の欠乏によって生じる巨赤芽球性貧血の中である。最も発生頻度が高いビタミンB12欠乏性の貧血が悪性貧血である。ビタミンB12は胃液中の内因子との結合によって小腸下部で吸収され、葉酸とともに骨髄内での赤血球生成に利用される。悪性貧血は、高度の萎縮性胃炎による内因子分泌の欠乏が一次的原因である。その結果、回腸末端部からのビタミンB12の吸収障害をおこす。欠乏症状として①動悸、②めまい、③耳鳴り、④全身倦怠感、⑤舌炎、⑥悪心、⑦嘔吐、⑧下痢、⑨神経症状として四肢の知覚異常、⑩歩行困難、⑪視力障害などがおこる。時には興奮,軽い意識混濁などの精神障害をきたすこともある。
3.× ビタミンC
ビタミンC欠乏で、壊血病となる。壊血病は、結合組織の異常から毛細血管が脆弱化して出血しやすくなる。
4.〇 正しい。ビタミンDが、不足すると骨軟化症の原因となる。
ビタミンDの働きは、腸管からのカルシウムの吸収や骨・筋の同化作用などである。したがって、ビタミンD欠乏は、小児ではくる病、成人では骨軟化症や骨粗鬆症をきたす。ちなみに、くる病とは、小児期に見られる骨の石灰化不全であり、主に成長障害と骨の弯曲が起こる疾患である。ビタミンDの代謝あるいは感受性の障害により、骨に石灰化が起こらず、強度が不足する病気である。 成人期ではビタミンD依存性骨軟化症と呼ばれる。小児期には成長も障害され、骨X線検査で特徴的な所見を呈し、ビタミンD依存性くる病とも呼ばれる。
問題92 体温調節中枢に作用してセットポイントを上昇させる物質はどれか。
1.エリスロポエチン
2.コルチゾール
3.ヒスタミン
4.プロスタグランジン
答え.4
解説
セットポイントとは、設定値と直訳でき、体温調節中枢には、体温を一定に保つ働きがあり、こうして設定された体温のことを指す。体温のセットポイント(設定値)が突然高く設定された場合(つまり、通常の体温が低く寒い)と認識するため、寒冷にさらされた場合と同様に体温を上昇させる反応が起こる。
1.× エリスロポエチン
エリスロポエチンとは、赤血球の産生を促進する造血因子の一つである。加齢に伴い、腎臓の機能が低下してエリスロポエチンの分泌が少なくなる。すると赤血球も減少するため、貧血症状があらわれやすくなる。
2.× コルチゾール
コルチゾールとは、副腎皮質から分泌されるホルモンで、血糖値の上昇や脂質・蛋白質代謝の亢進、免疫抑制・抗炎症作用、血圧の調節など、さまざまな働きがあるが、過剰になるとクッシング症候群、不足するとアジソン病を引き起こす。
3.× ヒスタミン
ヒスタミンとは、アレルギー様症状を呈する化学物質である。組織周辺の肥満細胞や血中の好塩基球がアレルギー反応の際に分泌される。血圧降下血管透過性亢進、血管拡張作用がある。
4.〇 正しい。プロスタグランジンは、体温調節中枢に作用してセットポイントを上昇させる物質である。
プロスタグランジンとは、細菌感染による急性炎症反応で増加する。プロスタグランジンは、①血管拡張、②気管支平滑筋収縮、③急性炎症時の起炎物質で発痛作用がある。非ステロイド性抗炎症薬<NSAIDs>は、炎症などを引き起こすプロスタグランジンの生成を抑え、抗炎症作用や解熱、鎮痛に働く。副作用として、消化器症状(腹痛、吐き気、食欲不振、消化性潰瘍)、ぜんそく発作、腎機能障害が認められる。したがって、非ステロイド性抗炎症薬が効果的であるのは、侵害受容性疼痛である。
問題93 ACTH分泌を抑制するのはどれか。
1.副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン
2.コルチゾール
3.ストレス負荷
4.睡眠からの覚醒
答え.2
解説
ACTHとは、副腎皮質刺激ホルモンである。副腎皮質ホルモンには、コルチゾール・アルドステロン・アンドロゲン(男性ホルモン)などがある。コルチゾール:血糖値の上昇や脂質・蛋白質代謝の亢進、免疫抑制・抗炎症作用、血圧の調節など、さまざまな働きがあるが、過剰になるとクッシング症候群、不足するとアジソン病を引き起こす。副腎皮質ホルモンは血糖値を上昇させる作用があるため、高血糖、高血圧などが生じる。
1.× 副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモンは、ACTH分泌を増加する。
副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモンとは、視床下部によって分泌される因子で、下垂体を刺激して副腎皮質刺激ホルモンの分泌を促すホルモンである。
2.〇 正しい。コルチゾールは、ACTH分泌を抑制する。
ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)およびCRH(副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン)の分泌は、コルチゾールによるネガティブフィードバックにより抑制されるため。高齢者では、視床下部下垂体-副腎系の感受性が低下し、コルチゾール分泌におけるネガティブフィードバックが減少する。ちなみに、コルチゾールは、副腎皮質から分泌されるホルモンの1つであり、肝臓での糖の新生、筋肉でのたんぱく質代謝、脂肪組織での脂肪の分解などの代謝の促進、抗炎症および免疫抑制などを行う。
3.× ストレス負荷は、ACTH分泌を増加する。
コルチゾールは、副腎皮質から分泌されるホルモンの一種で、心身がストレスを受けると、急激に分泌が増えることから、「ストレスホルモン」とも呼ばれている。コルチゾールの分泌過多は、ストレスから身を守ろうとして起こる現象である。
4.× 睡眠からの覚醒は、ACTH分泌を増加する。
体内時計は、朝方になると、覚醒作用を持つ副腎皮質ホルモン(コルチゾール)の分泌を促す。なぜなら、副腎皮質ホルモンは、日中は体温を高く保ち、夜は体から熱を放散し、特に脳を冷やし、身体を休ませる働きをするため。同時に、体内時計を調整するホルモンであるメラトニンが分泌を始め、入眠を促す。
【ネガティブフィードバック】
①エストロゲンレベルが上昇したらゴナドトロピンが低下する → ネガティブフィードバック
②エストロゲンレベルが低下したらゴナドトロピンが上昇する → ネガティブフィードバック
【ポジティブフィードバック】
①エストロゲンレベルが上昇したらゴナドトロピンも上昇する → ポジブフィードバック
※ポジブフィードバックは一定条件が整わないと発現しません。ヒトではストラジオールが 200 pg/ml 以上に達し、それが 48 時間以上持続した時のみ発現します。間脳や下垂体でどのような現象が起きているかは考慮する必要がありません。
(※図・一部引用:「ポジティブフィードバックとネガティブフィードバック」より)
問題94 バゾプレッシン分泌を抑制するのはどれか。
1.血圧低下
2.血糖値低下
3.循環血液量減少
4.体液浸透圧低下
答え.4
解説
バゾプレッシンとは、下垂体後葉から分泌される水溶性ホルモンで、役割として、抗利尿作用がある。バソプレッシンは、集合管の受容体に作用し、水の透過性を亢進する。水の再吸収を促進する抗利尿作用・血圧上昇が起こる。尿を濃くし尿量を減らす作用がある。
1.× 血圧低下は、バゾプレッシン分泌を増加する。
なぜなら、血圧低下すると抗利尿が促されるため。抗利尿作用のあるバゾプレッシンは、抗利尿の目的のため水の再吸収の促進、血圧上昇が起こる。つまり、尿を濃くし尿量を減らす作用がある。
2.× 血糖値低下は、バゾプレッシン分泌を増加する。
なぜなら、血糖低下すると抗利尿が促されるため。低血糖症状は、①自律神経症状と②中枢神経症状に分けられる。①自律神経症状は、冷感・顔面蒼白・頻脈・動悸・発汗・手の震え・空腹感などである。②中枢神経症状は、頭痛・集中力低下・視力低下・痙攣・昏睡などである。予防法として、飴や角砂糖などを携帯してもらう。
3.× 循環血液量減少は、バゾプレッシン分泌を増加する。
なぜなら、血糖低下すると抗利尿が促されるため。抗利尿作用のあるバゾプレッシンは、抗利尿の目的のため水の再吸収の促進、血圧上昇が起こる。つまり、尿を濃くし尿量を減らす作用がある。
4.〇 正しい。体液浸透圧低下は、バゾプレッシン分泌を抑制する。
体液浸透圧低下(大量の汗をかいたにもかかわらず、長時間水分をとらなかったりすると)、細胞外液の電解質濃度は急上昇し、血液の浸透圧も上がってしまう。脳の視床下部がそれをキャッチすると、視床下部から下垂体後葉へ抗利尿ホルモン(バソプレッシン:ADH)を分泌するよう、指令が出る。抗利尿ホルモン(バゾプレッシン)は、尿細管に働き、水の再吸収を増やすホルモンですから、水分をなるべく体内に留め、尿を少なくする働きがある。
高血糖症状は、著しい口渇、多飲、多尿、全身倦怠感などがある。これは、高血糖状態が続くと血漿浸透圧が上昇し、利尿が進むことで水・電解質の喪失が起こり、脱水状態に来す。高血糖の他にも、肝機能障害などの合併症、血流感染や静脈炎などのリスクがある。
問題95 インスリンがグルコースの取り込みを促進させるのはどれか。
1.骨格筋
2.腸粘膜
3.腎尿細管細胞
4.大脳皮質のニューロン
答え.1
解説
膵臓のランゲルハンス島からは、①インスリン、②グルカゴン、③ソマトスタチンが分泌される。
①インスリンとは、膵臓のランゲルハンス島にあるβ細胞から分泌されるホルモンの一種で、①血糖低下、②脂肪合成の作用がある。
②グルカゴンとは、膵臓のランゲルハンス島にあるα細胞から分泌されるホルモンの一種で、①血糖上昇、②脂肪分解の作用がある。
③ソマトスタチンとは、膵臓のランゲルハンス島にあるγ細胞から分泌されるホルモンの一種で、成長ホルモン、インスリン、グルカゴン、ガストリン、セクレチンの分泌抑制の作用がある。
1.〇 正しい。骨格筋は、インスリンがグルコースの取り込みを促進させる。
インスリンとは、グルコース(ブドウ糖)の細胞内への取り込みを促進させる。このインスリンの作用は、筋肉(特に骨格筋)の筋肉細胞、脂肪組織の脂肪細胞で起こる。インスリンは、脳(視床下部を除く)、腎尿細管、胃腸の細胞には、作用しない。
2.× 腸粘膜
腸粘膜とは、腸壁の一部を形成する粘膜である。腸壁は腸の内側の組織で、4つの同軸状の層に分けられる(※読み:ちょうねんまく)。小腸の粘膜層からは消化酵素が分泌され、アミノ酸、ブドウ糖、グリセリド、脂肪酸などの最終的な分解物に消化する。そして、この食物と消化液のまざったものを、収縮と弛緩を繰り返し、移動させながら吸収している。この運動は消化液と食物を混合するのに役立つと共に、粘膜との接触を多くし、吸収をよくするのに役立っている。
3.× 腎尿細管細胞
腎臓の尿細管細胞とは、原尿中からNa+やCl-を再吸収し、原尿中にH+やK+を分泌する細胞のことを指す。形態的特徴は、大きさが10~35μm前後で扁平上皮細胞や移行上皮細胞の深層型とほぼ同大あるが、細胞辺縁はケバケバ、ギザギザして凹凸していることが多い。
4.× 大脳皮質のニューロン
大脳皮質とは、大脳の表層を覆うシワシワの部分で、前頭葉、頭頂葉、側頭葉などと呼ばれる部位の総称である。全身から送られてくる外界の情報を処理して思考・判断を行い、随意運動の指令を送り出している。ニューロンとは、生物の脳を構成する神経細胞のことである。