第28回(R2年)柔道整復師国家試験 解説【午前106~110】

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問題106 解剖学的立位姿勢で正しいのはどれか。

1.顔面を上方に向ける。
2.踵を離す。
3.つま先を閉じる。
4.前腕を回外する。

答え.4

解説

姿勢と基本肢位

①基本的立位肢位とは、立位で手掌を体側につけた「気をつけ」の姿勢である 。関節可動域の測定は基本肢位を0度としている 。
②解剖学的立位肢位とは、前腕と手掌は顔面の向きと同一の方向を向く姿勢である。このとき顔面と同じ方向を向く身体部分を前面とし、その反対方向を向く部分を後面という 。(※図引用:「生活支援のための運動学」社会福祉推進事業様より)

1.× 顔面を「上方」ではなく前面(正面)に向ける。

2.× 踵を「離す」のではなく揃える
解剖学的立位では、踵を付けるように揃え、つま先が前外方を向くように置く。

3.× つま先を「閉じる」のではなく開ける
解剖学的立位では、踵を付けるように揃え、つま先が前外方を向くように置く。

4.〇 正しい。前腕を回外する
解剖学的立位肢位とは、前腕と手掌は顔面の向きと同一の方向を向く姿勢である。このとき顔面と同じ方向を向く身体部分を前面とし、その反対方向を向く部分を後面という 。

 

 

 

 

 

問題107 筋収縮で筋長が長くなっていくのはどれか。

1.求心性収縮
2.遠心性収縮
3.静止性収縮
4.等尺性収縮

答え.2

解説
1.× 求心性収縮
求心性収縮とは、筋は負荷に打ち勝つだけの張力を発生して、筋の短縮が起こる状態のこと。骨格はてこ・関節は支点として働く。

2.〇 正しい。遠心性収縮は、筋収縮で筋長が長くなっていく。
遠心性収縮とは、加えられた負荷が筋張力よりも大きく、筋は収縮しているが伸びる状態のこと。これは最大張力の場合だけでなく、種々の筋張力レベルで起こる。日常の運動動作は、重力方向との関係で身体の種々の部分で遠心性収縮が起きている。遠心性収縮は、筋力増強効果が大きいとされるが、筋の損傷も大きい。筋力増強効果は、遠心性→等尺性→求心性の順に大きい。

3~4.× 静止性収縮/等尺性収縮
静止性収縮とは、等尺性収縮ともいい、筋が収縮しても筋の全長に変化のない状態である。拮抗筋間で同一の張力を発生したとき、負荷に抗して静止姿勢を保つときなどに起こる。

 

 

 

 

 

問題108 多シナプス反射はどれか。

1.膝蓋腱反射
2.伸張反射
3.屈筋反射
4.アキレス腱反射

答え.3

解説
1.× 膝蓋腱反射は単シナプス反射である。
膝蓋腱反射の【中枢】L2~L4(大腿神経)、【検査法】背臥位検査:患者を背臥位にし両膝を軽く屈曲し立てる。検者は前腕をその膝の下に入れて下肢を支える。または、一側の下肢を膝立て位にして、その膝の上に他側の膝を乗せる。膝蓋腱部を触知してその腱部を叩打する。【判定】膝関節の伸展が起これば反射出現(+)

2.× 伸張反射は単シナプス反射である。
伸張反射は、筋紡錘に存在する一次終末からのIa線維を介してα運動ニューロンにシナプスを形成するもので、単シナプス性の反射経路をとる。筋を伸張すると筋紡錘も引き伸ばされ、感覚神経の終末が変形する。この機械的刺激が感覚神経に求心性発射活動を引き起こす。

3.〇 正しい。屈筋反射は、多シナプス反射である。
屈筋反射(屈曲反射)とは、四肢の皮膚に強い刺激(痛み刺激)を加えると、その肢が屈曲する反射である。反射中枢が脊髄にある。

4.× アキレス腱反射は単シナプス反射である。
アキレス腱反射は、S1・2(脛骨神経)である。背臥位検査の他に、①両下肢の股関節を軽度屈曲、外転、外旋位にして、膝関節を軽度屈曲させて両踵をつける。検者は足関節を背屈位にしてアキレス腱部を叩打する方法、②一側下腿の前面に健側下腿をのせ、足関節を背屈位にしてアキレス腱部を叩打する方法がある。

 

 

 

 

 

問題109 痙性片麻痺で健側下肢を外転させると患側下肢が外転するのはどれか。

1.レミスト反応
2.対側性連合反応
3.屈筋共同運動
4.伸筋共同運動

答え.1 or 2
※レミスト反応も対側性連合反応も同じである。

解説
1.〇 正しい。レミスト反応は、痙性片麻痺で健側下肢を外転させると患側下肢が外転する。
レミスト反応とは、片麻痺の回復期に出現しやすく、麻痺側のみでは随意的筋収縮を生じえないときに、健側股関節の内・外転を命じて抵抗を加えると、麻痺側股関節の内・外転が生じる現象である(※引用:「運動機能のリハビリテーション」Dokkyo Journal of Medical Sciencesより)

2.〇 正しい。対側性連合反応は、痙性片麻痺で健側下肢を外転させると患側下肢が外転する。
連合反応とは、身体の一部の運動が、身体他部の運動を不随意的に引き起こすような現象のことである。対側性連合反応とは、上肢では左右対称性に、下肢では内外転は対称性で、屈伸は相反性である(レミスト反応、レイミスト現象)。これらは健側の運動に対して患側の運動が鏡に映るように反対側に生じるので対側性連合反応という。

3~4.× 屈筋共同運動/伸筋共同運動
共同運動とは、発病の当初は随意性を喪失しているものをさす。やがて、肩・肘・手指全体を生理学的な屈曲あるいは伸展方向に同時にのみ動かせる運動ができる。

 

 

 

 

 

 

問題110 長胸神経麻痺による翼状肩甲の原因となる筋はどれか。

1.菱形筋
2.前鋸筋
3.小胸筋
4.鎖骨下筋

答え.2

解説

翼状肩甲とは?

翼状肩甲とは、肩甲骨内側縁が後方に突出して鳥の翼のような形状をとることをいう。原因として、長胸神経の障害である。長胸神経支配の前鋸筋麻痺があげられる。

1.× 菱形筋
(大・小)菱形筋の神経は、肩甲背神経である。ちなみに、作用は、肩甲骨を内上方に引く。

2.〇 正しい。前鋸筋は、長胸神経麻痺による翼状肩甲の原因となる筋である。
前鋸筋の【起始】第1~8(~10)肋骨前外側面、【停止】第1,2肋骨とその間の腱弓からの筋束は肩甲骨上角。第2,3肋骨からは分散して広く肩甲骨内側縁。第4肋骨以下からは下角、【作用】全体:肩甲骨を前方に引く。下2/3:下角を前に引いて肩甲骨を外方に回旋し、上腕の屈曲と外転を補助。最上部:肩甲骨をやや引き上げる、【神経】長胸神経である。

3.× 小胸筋
小胸筋の【起始】第2(3)~5肋骨表面、【停止】肩甲骨の烏口突起、【作用】肩甲骨を前下に引く。このとき下角が後内側に回旋する。肩甲骨を固定すると肋骨を引き上げる。【支配神経】内側および外側胸筋神経:C7,C8,(T1)である。

4.× 鎖骨下筋
鎖骨下筋の【起始】第1肋骨上面の胸骨端、【停止】鎖骨の中部下面、【作用】鎖骨を下方に引く、【神経】鎖骨下筋神経C5,(C6)である。

 

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