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問題121 出血に関する組合わせで正しいのはどれか。
1.血友病:微小血栓
2.外傷:漏出性出血
3.動脈瘤:破綻性出血
4.血小板減少:新生児メレナ
答え.3
解説
“メレナ”とは、本来“黒色便”のことです。そのため、“新生児メレナ”は新生児期の下血による黒色便を意味し、新生児が吐血や下血などの症状を呈する病気を総称して新生児メレナと呼ばれます。新生児メレナには、吐血や下血となる血液の由来が母体の血液である “仮性メレナ”と、児の血液である“真性メレナ”があります。仮性メレナの要因としては、出生時の胎盤からの出血や、授乳時に母親の乳頭裂傷などによる出血の嚥下があげられます。一方、真性メレナでは、主に児のビタミン K 欠乏による消化管出血が要因となります。両者はアプト試験(新生児血液中に多く存在するヘモグロビン F のアルカリ抵抗性を利用して母体血か新生児血かを判定する簡易検査)で鑑別することができます。ビタミン K は数種類の凝固因子の産生に必要な補助因子です。そのため、ビタミン K が欠乏すると消化管出血だけでなく、重症例では頭蓋内出血などを合併し、死亡する場合もあります。ビタミン K は胎盤通過性が悪く、母乳中のビタミン K 含量が少ないことなどから、新生児は出生時からビタミン K が欠乏しやすく、哺乳条件によっては乳児期まで欠乏しやすい状態が持続します。
(※一部引用:「Q3-6. 新生児メレナとはどんな病気ですか?」著:川口 千晴より)
1.× 血友病は、「微小血栓」ではなく微小出血である。
血友病とは、血液を固めるのに必要な「血液凝固因子(第Ⅷ因子または第Ⅸ因子)が不足・活性低下する病気のことである。伴性劣性遺伝(男児に多い)で、生まれつき発症することがほとんどであるため、幼少期から①些細なことで出血する、②出血が止まりにくいといった症状が繰り返される。治療として、凝固因子製剤の投与、関節拘縮・筋力低下に対するリハビリテーションが行われる。
2.× 外傷は、「漏出性出血」ではなく破綻性出血である。
破綻性出血とは、血管が切れて起こる出血のことである。例えば、包丁で指を切るなど、外傷によって血管が損傷した時や、動脈瘤の破裂による出血などがあげられる。一方、漏出性出血とは、血管が破れていなくても毛細血管のすき間から赤血球が漏れ出す出血ことである(※読み:ろうしゅつせいしゅっけつ)。例えば、肺うっ血では、毛細血管の圧が高くなるため、血液(赤血球)が血液中の水分とともに血管内皮細胞の間を通って肺胞に滲み出す。
3.〇 正しい。動脈瘤は、破綻性出血である。
破綻性出血とは、血管が切れて起こる出血のことである。例えば、包丁で指を切るなど、外傷によって血管が損傷した時や、動脈瘤の破裂による出血などがあげられる。
4.× 新生児メレナは、「血小板」ではなくビタミンK減少である。
血小板が減少すると、特発性血小板減少性紫斑病、急性白血病、骨髄異形成症候群、再生不良性貧血などが疑われる。骨髄異形成症候群とは、骨髄中で健常な血液細胞が充分につくられない疾患の一種である。症状のあらわれ方は、患者によって異なる。 具体的には、赤血球減少による顔色不良、全身倦怠感、動悸、息切れなどの症状や、血小板減少による皮膚・粘膜の点状出血や鼻出血などの症状がみられる。
血友病とは、血液を固めるのに必要な「血液凝固因子(第Ⅷ因子または第Ⅸ因子)が不足・活性低下する病気のことである。
【概念】
伴性劣性遺伝(男児に多い):生まれつき発症することがほとんどであるため、幼少期から①些細なことで出血する、②出血が止まりにくいといった症状が繰り返される。
血友病A:第Ⅷ凝固因子の活性低下
血友病B:第Ⅸ凝固因子の活性低下
【症状】関節内出血を繰り返し、疼痛、安静により関節拘縮を起こす。(筋肉内出血・血尿も引き起こす)肘・膝・足関節に多い。鼻出血、消化管出血、皮下出血等も起こす。
【治療】凝固因子製剤の投与、関節拘縮・筋力低下に対するリハビリテーション
(※参考:「血友病」Medical Note様HP)
問題122 塞栓とその原因の組合せで誤っているのはどれか。
1.骨髄塞栓:心臓マッサージ
2.空気塞栓:潜函病
3.脂肪塞栓:外傷
4.腫瘍塞栓:白血病
答え.4
解説
1.〇 正しい。骨髄塞栓:心臓マッサージ
Lungeman(1897)によって始めて報告された肺骨塞栓症の原因としては、結核性脊椎炎や多発性骨髄腫のはか、破傷風・子病・薬剤アレルギーなど急激な筋収縮によるものなど種々の疾患が挙げられていた。しかし、最近は交通事故の骨折のほか、Lubarsch以来、胸部外科手術の際の胸骨切開や、骨移植、髄内釘固定などの骨手術のほか、閉胸式心マッサージ等の医療行為が原因となった骨髄塞栓症の報告がみられるなど、今後次第に増加することが予想される(※引用:「外傷後の肺微小塞栓症」著:山本雅博)。
2.〇 正しい。空気塞栓:潜函病
空気塞栓とは、ガス塞栓とも呼ばれ、循環器系内の空気または他の気体の、1つまたは複数の気泡によって引き起こされる血管の閉塞である。 空気は、外科的処置、肺の過膨張による損傷(圧外傷)、減圧症、および他のいくつかの原因において循環系に引き込まれる可能性がある。ちなみに、潜函病とは、スキューバダイビングや潜水作業等に関連して生じる圧力の変動によって引き起こされる健康被害のことを指す。急性減圧症候群や潜水病などとも呼ばれる。発症初期には潜水中に息切れを感じる。重篤化すると、呼吸困難や血圧の低下などを認める。
3.〇 正しい。脂肪塞栓:外傷
脂肪塞栓症候群とは、大腿骨をはじめとする長管骨骨折や髄内釘手術を契機に、非乳化脂肪滴である中性脂肪が循環系に流入し、肺、脳、皮膚に脂肪塞栓症をきたし、呼吸器症候、中枢神経症候、皮膚点状出血などを呈する症候群である。長管骨骨折での発生率は0.9~2.2%とされている。
4.× 腫瘍塞栓は、「白血病」ではなく腫瘍(がん)である。
腫瘍塞栓とは、血管の中にガン細胞が入り込み、そしてその中で増殖することによって血管が塞がれ、最終的に破壊されてしまう病気のことである。静脈で起こりやすく、血液の供給が充分でない場所が生じ、重症化すると壊死する。心臓や肺などで生じた場合は迅速な治療が必要である。ちなみに、急性白血病とは、骨髄の中にある幼若な血液細胞が癌化して白血病細胞となり骨髄の中で急速に分裂して数を増やす疾患である。白血病細胞が骨髄の中で増えてくる結果、骨髄の本来の機能である造血能が著しく障害される。初期症状として、発熱・貧血・出血傾向・骨痛・倦怠感がみられる。
問題123 出血性梗塞を起こしやすい臓器はどれか。
1.心臓
2.肺臓
3.脾臓
4.腎臓
答え.2
解説
出血性梗塞とは、脳梗塞が完成されているところに再び血流が流れ出し、血管が破け出血を生じた状態を指す。出血性梗塞の好発部位は、血管の二重支配を受ける臓器で起こりやすいため、例えば、①肺(肺動脈と気管支動脈)、②肝(肝動脈と門脈)、③小腸や大腸などの腸管(多数の腸間膜動脈枝が吻合している)などがその代表である。心原性脳塞栓症の治療に続いて起こり得る。心原性脳塞栓症とは、心臓内でできた血栓が脳の血管を閉塞して起こる脳梗塞である。 脳梗塞の中で 20~25%を占めており、他のタイプの脳梗塞と比較して前触れなく突然発症し、梗塞巣が広範囲で重症になりやすい。血栓ができる原因としては、心房細動が最も頻度が高く心原性脳塞栓症の約 7 割以上を占めており、その他には洞不全症候群、人工弁、発症4週間未満の急性心筋梗塞、心筋症などがある。
1.× 心臓
心臓とは、収縮と拡張を繰り返して、血液を循環させる働きを持つ器官である。
2.〇 正しい。肺臓は、出血性梗塞を起こしやすい臓器である。
出血性梗塞とは、脳梗塞が完成されているところに再び血流が流れ出し、血管が破け出血を生じた状態を指す。出血性梗塞の好発部位は、血管の二重支配を受ける臓器で起こりやすいため、例えば、①肺(肺動脈と気管支動脈)、②肝(肝動脈と門脈)、③小腸や大腸などの腸管(多数の腸間膜動脈枝が吻合している)などがその代表である。心原性脳塞栓症の治療に続いて起こり得る。心原性脳塞栓症とは、心臓内でできた血栓が脳の血管を閉塞して起こる脳梗塞である。 脳梗塞の中で 20~25%を占めており、他のタイプの脳梗塞と比較して前触れなく突然発症し、梗塞巣が広範囲で重症になりやすい。血栓ができる原因としては、心房細動が最も頻度が高く心原性脳塞栓症の約 7 割以上を占めており、その他には洞不全症候群、人工弁、発症4週間未満の急性心筋梗塞、心筋症などがある。
3.× 脾臓
脾臓とは、左上腹部にあり、①古くなった血球(白血球、赤血球、血小板)の処理や、②感染に対する防御など免疫に関係する働きを担う。
4.× 腎臓
腎臓とは、老廃物や余分な水分、塩分などを尿として排泄することで、体の中の水分量やナトリウムやカリウムといったイオンバランスを適正に保ったり、血液の酸性・アルカリ性を調節したり、体内を常に最適な環境にする機能がある。
問題124 化生はどれか。
1.トレーニングによって骨格筋の筋細胞の容積が増大した。
2.エストロゲンの作用によって乳腺組織が増大した。
3.進行性筋ジストロフィーで下肢遠位筋組織内に脂肪が増えた。
4.気管支粘膜の慢性炎症によって扁平上皮への置換が起こった。
答え.4
解説
化生(かせい)とは、分化・成熟した細胞が異なる形態や機能をもつ他の細胞に変化する現象である。したがって、扁平上皮化生とは、正常状態では線毛円柱上皮で覆われている気管支上皮が、扁平上皮で置き換えられる現象である。
1.× トレーニングによって骨格筋の筋細胞の容積が増大した。
これは、筋肥大の説明である。筋肥大とは、骨格筋の筋細胞の容積や体積が増大するプロセスを指す。
2.× エストロゲンの作用によって乳腺組織が増大した。
これは、ホルモン刺激による組織の肥大・増殖(発育)の説明である。エストロゲンとは、女性らしさをつくるホルモンで、成長とともに分泌量が増え、生殖器官を発育・維持させる働きをもっている。女性らしい丸みのある体形をつくったり、肌を美しくしたりする作用もあるホルモンである。分泌量は、毎月の変動を繰り返しながら20代でピークを迎え、45~55歳の更年期になると急激に減る。
3.× 進行性筋ジストロフィーで下肢遠位筋組織内に脂肪が増えた。
これは、進行性筋ジストロフィーの病的過程(仮性肥大)の説明である。仮性肥大とは、ふくらはぎが異常に太くなることである。原因は、ふくらはぎに筋肉ではなく、脂肪や結合織が増えることにより、筋肉が再生されなくなるためで起こる。ちなみに、進行性筋ジストロフィーとは、骨格筋の変性及び壊死を主病変とし、進行性の筋力低下や萎縮をきたす遺伝性疾患である。
4.〇 正しい。気管支粘膜の慢性炎症によって扁平上皮への置換が起こった。
化生(かせい)とは、分化・成熟した細胞が異なる形態や機能をもつ他の細胞に変化する現象である。したがって、扁平上皮化生とは、正常状態では線毛円柱上皮で覆われている気管支上皮が、扁平上皮で置き換えられる現象である。
・単層扁平上皮:薄いので物質の交換などに向く。
(胸膜、腹膜、血管内皮、肺胞など)
・単層立方上皮:甲状腺の濾胞細胞など。
(甲状腺の濾胞上皮、尿細管など)
・単層円柱上皮:吸収と分泌を行う場所に向く。
消化器系(胃、小腸、大腸)、卵管・子宮など
・重層扁平上皮:摩擦など機械的刺激に強い。
皮膚、口腔~食道、肛門、膣など。
・多列線毛上皮:表面に線毛があり、杯細胞が豊富。線毛と粘液で塵や異物をからめとる。
鼻腔~気管・気管支(気道)
・移行上皮:伸び縮みすることができる。
腎杯~尿管~膀胱(尿路)
問題125 血漿由来の炎症メディエーターはどれか。
1.セロトニン
2.ヒスタミン
3.ブラジキニン
4.ロイコトリエン
答え.3
解説
1.× セロトニン
セロトニンとは、うつ病と関連が深い神経伝達物質である。脳内だけに分泌される神経伝達物質で、交感神経を刺激し、血圧を上昇させる作用がある。ノルアドレナリンやドーパミンの暴走を抑え、心のバランスを整える作用のある伝達物質でもある。
2.× ヒスタミンは、炎症のケミカルメディエーターである。
ヒスタミンとは、胃酸分泌を促進する神経伝達物質である。胃酸の分泌を促進させる神経伝達物質として主にヒスタミン、アセチルコリン、ガストリンの3種類があり、これらの伝達物質が胃壁細胞にある各々の受容体に作用することで胃酸分泌への指令が伝わっていく。 ヒスタミンは自身のH2(ヒスタミンH2)受容体に作用し、H2受容体を活性化させ胃酸分泌を促進させる。
3.〇 正しい。ブラジキニンは、血漿由来の炎症メディエーターである。
ブラジキニン(生理活性ペプチド)は炎症やアレルギー反応に関与する。発痛作用、血管拡張(血圧降下作用)、血管透過性亢進といったさまざまな作用をもつ。ブラジキニンは、プロテアーゼの作用により血漿中のグロブリン前駆体から生成される物質である。
4.× ロイコトリエンは、炎症のケミカルメディエーターである。
ロイコトリエンとは、生理活性物質(ケミカルメディエーター)の一つである。役割として、好中球の走化性を活性化し、気管支収縮作用、血管拡張作用、血管透過性の亢進などを担う。
ケミカルメディエーターとは、化学伝達物質ともいい、細胞間の情報伝達に作用する化学物質のことである。肥満細胞が放出するケミカルメディエーターは、さまざまなアレルギー反応(血管透過性の亢進、血流の増加、炎症細胞の遊走など)を起こす。
【例】
・ヒスタミン
・ロイコトリエン
・トロンボキサン
・血症板活性化因子
・セロトニン
・ヘパリンなど。