第28回(R2年)柔道整復師国家試験 解説【午前21~25】

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問題21 ヤーガソンテストで抵抗を加える時の患者への動作指示はどれか。

1.肘の屈曲
2.肘の伸展
3.前腕の回内
4.前腕の回外

答え.4

解説

上腕二頭筋腱炎(上腕二頭筋長頭炎)とは?

 上腕二頭筋腱炎(上腕二頭筋長頭炎)は、上腕二頭筋長頭腱が、上腕骨の大結節と小結節の間の結節間溝を通過するところで炎症が起こっている状態のことである。腱炎・腱鞘炎・不全損傷などの状態で肩の運動時に痛みが生じる。Speedテスト(スピードテスト)・Yergasonテスト(ヤーガソンテスト)で、上腕骨結節間溝部に疼痛が誘発される。治療は保存的治療やステロイド局所注射となる。

1~3.× 肘の屈曲/肘の伸展/前腕の回内
ヤーガソンテストで抵抗を加える時の患者への動作指示とはいえない。

4.〇 正しい。前腕の回外が、ヤーガソンテストで抵抗を加える時の患者への動作指示である。
Yergasonテスト(ヤーガソンテスト)の陽性は、上腕二頭筋腱炎を疑う。患者の肘90°屈曲させ、検者は一側の手で肘を固定して、他方の手で患側手首を持つ。次に患者にその前腕を外旋・回外するように指示し、検者はそれに抵抗を加える。

 

 

 

 

 

問題22 大腿部前面打撲の合併症で正しいのはどれか。

1.骨化性筋炎
2.関節強直
3.脂肪塞栓症
4.フォルクマン(Volkmann)拘縮

答え.1

解説
1.〇 正しい。骨化性筋炎は、大腿部前面打撲の合併症である
骨化性筋炎とは、打撲などの外傷によって、筋肉の中に骨と同じような組織ができてしまう疾患のことである。 外傷性骨化性筋炎、骨化性筋炎とも言う。 損傷を受けた筋肉が出血して血腫ができたところに、カルシウムが沈着し、石灰化しておこる。

2.× 関節強直
関節強直とは、徒手的には改善困難な関節可動域制限の状態で、関節が破壊されて変形を起こし、機能しなくなった状態である。原因は先天性、骨折による関節面の破壊や感染、後天性があり、強直を有する病名には顎関節強直症、強直性脊椎炎、関節リウマチなどがある。 

3.× 脂肪塞栓症
脂肪塞栓症とは、脂肪細胞に血管を塞栓された臓器が虚血による不全を起こす事が本症の病態である。塞栓される臓器によって様々な臓器不全を起こす。外傷時に脂質代謝が変化し血液内の脂肪が脂肪滴になるため、あるいは外傷部分の血管から骨髄などの脂肪が入り込むためと考えられている。 全身性の脂肪塞栓症の原因としては、骨折の他に、皮下脂肪組織の挫滅、脂肪肝による障害、急性膵炎、減圧症、広範囲の火傷、糖尿病、骨髄炎などがある。

4.× フォルクマン(Volkmann)拘縮
フォルクマン拘縮とは、前腕屈筋群の虚血性壊死と神経の圧迫性麻痺により拘縮を起こすものである。骨折部の腫脹によって上腕動脈が圧迫され、血行障害が生じ、前腕屈曲群の虚血性壊死と神経圧迫麻痺(正中・尺骨神経麻痺)が起こり、特有の拘縮をきたすことをいう。前腕回内位、手関節屈曲位、母指内転、MP関節伸展、IP関節屈曲位の肢位をとる。Volkmann拘縮の症状として、①疼痛、②脈拍消失、③運動麻痺、④蒼白、⑤知覚麻痺、⑥腫脹などである。骨折による血管損傷が直接原因となる一次性のものと、遠位の組織の腫脹による循環障害が原因の二次性のものとがある。二次性のものには、ギプス固定などもその一因となるため、病院によっては屈曲位ギプスを決して行わず、入院して垂直牽引で保存的に加療するか、内反肘予防も含めて観血的整復固定術で早期に確実に治す方法を選択することも多い。

 

 

 

 

 

問題23 膝関節内側側副靭帯損傷の所見はどれか。

1.軋轢音が著明である。
2.内側に限局した圧痛を認める。
3.嵌頓症状を認める。
4.内反動揺性が出現する。

答え.2

解説
1.× 軋轢音が著明なのは、「骨折」の所見である。
軋轢音とは、骨折部位を押したときに触知する異常音である。骨折部位が擦れて軋む音をいい、耳で聞こえるレベルの音ではなく、触知で認識できるレベルの音である。

2.〇 正しい。内側に限局した圧痛を認める
なぜなら、内側側副靭帯に炎症が生じていると考えられるため。炎症4徴候として、疼痛や腫脹、発赤、熱感があげられる。基本的に、RICE処置を実施する。RICE処置とは、疼痛を防ぐことを目的に患肢や患部を安静(Rest)にし、氷で冷却(Icing)し、弾性包帯やテーピングで圧迫(Compression)し、患肢を挙上すること(Elevation)である。頭文字をそれぞれ取り、RICE処置といわれる。

3.× 嵌頓症状を認めるのは、膝半月板損傷である。
嵌頓症状とは、膝に物がはさまり、曲げ伸ばしがしにくくなる状態である。(※読み:かんとん)膝半月板損傷でみられるいわゆる「膝ロッキング現象」である。

4.× 「内反」ではなく外反動揺性が出現する。
内側側副靭帯とは、膝の外側からのストレス(外反ストレス)に抵抗することで、関節の内側部分が開きすぎるのを防ぐ役割を持つ靭帯である。外反ストレステストは、背臥位にて患側膝30°屈曲位と伸展位の両方で、検者は外反方向にゆっくりと強制する。側方動揺性や関節裂隙の開大が認められれば陽性と判断する。

 

 

 

 

 

問題24 膝関節側副靭帯損傷の検査法はどれか。

1.ラックマンテスト
2.牽引アプライテスト
3.マックマレーテスト
4.前方引き出しテスト

答え.2

解説
1.× ラックマンテスト
Lachmanテスト(ラックマンテスト)は、膝関節前十字靱帯損傷の検査である。背臥位で膝関節を20~30度屈曲させて、下腿部近位端を斜め前方へ引き出す。陽性の場合、脛骨は止まることなく前方に出てくる。

2.〇 正しい。牽引アプライテストは、膝関節側副靭帯損傷の検査法である。
アプレー圧迫テストは半月板損傷、アプレー牽引テストは、側副靭帯損傷を疑う。アプレー牽引テストは、うつ伏せで膝を90°屈曲し、大腿部を検者の膝で固定する。下腿を上方に引っ張り上げて膝の関節包を緊張させ、疼痛が誘発されると陽性である。

3.× マックマレーテスト
マックマレーテスト(McMurray Test)は、半月板損傷を検査する。①背臥位で膝を完全に屈曲させ片手で踵部を保持する。②下腿を外旋させながら膝を伸展させたときに痛みやクリックを感じれば内側半月の損傷、下腿を内旋させながら膝を伸展させたときに生じるならば外側半月の損傷を示唆する。

4.× 前方引き出しテスト
前方引き出しテストは、膝関節前十字靱帯損傷の検査である。背臥位にて患側膝90°屈曲位で、検者は下腿を前方に引く。陽性の場合、脛骨は止まることなく前方に出てくる。

 

 

 

 

 

問題25 前十字靱帯損傷で受傷直後にみられないのはどれか。

1.運動痛
2.後方落込徴候
3.不安定感
4.スポーツ活動の続行困難

答え.2

解説
1~2.4.〇 運動痛/不安定感/スポーツ活動の続行困難は、前十字靱帯損傷で受傷直後にみられる。
前十字靭帯とは、膝関節の中で、大腿骨と脛骨をつないでいる強力な靭帯である。役割は、主に①大腿骨に対して脛骨が前へ移動しないような制御(前後への安定性)と、②捻った方向に対して動きすぎないような制御(回旋方向への安定性)である。前十字靭帯損傷とは、スポーツによる膝外傷の中でも頻度が高く、バスケットボールやサッカー、スキーなどでのジャンプの着地や急な方向転換、急停止時に発生することが多い非接触損傷が特徴的な靭帯損傷である。Lachman test(ラックマンテスト)/軸移動テスト(pivot shift test:ピポットシフトテスト)/Jerkテスト(ジャークテスト)は、膝前十字靭帯損傷を検査する。

2.× 後方落込徴候は、「前十字靱帯」ではなく後十字靭帯で受傷直後にみられる。
後方落込徴候(サギング徴候)とは、後十字靭帯損傷の検査で、膝屈曲位での下腿の後方落ち込む現象のことを指す。後十字靭帯損傷の検査である。

 

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