第28回(R2年)柔道整復師国家試験 解説【午前41~45】

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問題41 医療におけるリスクマネジメントの概念で誤っているのはどれか。

1.医療事故の防止
2.危機管理
3.医療に対する苦情対応
4.利益の誘導

答え.4

解説

MEMO

アメリカは訴訟大国であるという社会環境もあり、医療におけるリスク・マネジメントが高度に発達している。リスク・マネジメントとは、「医療機関の有形および無形の資産の保護」、「患者、訪問者、従業員の傷害からの保護」、「事故の原因や紛争の火だねの検出、分析、対策」および「医療の質をモニター・改善することによる事故や紛争の予防」を目的とするものである。

(※引用:「医療安全対策委員会答申~医療におけるリスク・マネジメントについて~」日本医師会医療安全対策委員会より)

1.〇 正しい。医療事故の防止/危機管理/医療に対する苦情対応
医療におけるリスクマネジメントの概念である。予測不能なリスクや突発的な事態が生じた場合に、その影響を最小限に抑えるための戦略を立てることもリスクマネジメントのひとつである。したがって、医療者と患者またはその家族間のコミュニケーションの不足や誤解から生じるリスクを軽減するための対策も行う。患者からの苦情を適切に受け止め、解決に向けて対応することで、医療の質を改善し、患者満足度を向上させる。

4.× 利益の誘導は、医療におけるリスクマネジメントの概念ではない。
利益誘導とは、多数派の利益よりも親族や自身の選挙区民、関連団体など仲間や身内の少数派へ補助金や特権など利益をもたらそうとする行為である。政治家の場合は、支持基盤とする地域もしくは業界に政策的な便宜を図ることである。

 

 

 

 

 

問題42 柔道整復師法に規定されている免許の欠格事由で、意見の聴取が行われるのはどれか。

1.麻薬中毒
2.精神機能障害
3.罰金以上の刑
4.柔道整復の業務の不正行為

答え.2

解説
1.3~4.× 麻薬中毒/罰金以上の刑/柔道整復の業務の不正行為
これら選択肢は、第四条(欠格事由)1号ではないため。第四条(欠格事由)2~4号に該当し、意見の聴取は行われない。

2.〇 正しい。精神機能障害は、柔道整復師法に規定されている免許の欠格事由で、意見の聴取が行われる。
第四条(欠格事由)1号には、心身の障害により柔道整復師の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるものが規定されている。第七条(意見の聴取) 厚生労働大臣は、免許を申請した者について、第四条第一号に掲げる者に該当すると認め、同条の規定により免許を与えないこととするときは、あらかじめ、当該申請者にその旨を通知し、その求めがあつたときは、厚生労働大臣の指定する職員にその意見を聴取させなければならない。したがって、精神機能障害は、柔道整復師法に規定されている免許の欠格事由で、意見の聴取が行われる。

柔道整復師免許の欠格事由

第四条(欠格事由) 次の各号のいずれかに該当する者には、免許を与えないことがある。
一 心身の障害により柔道整復師の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの
二 麻薬、大麻又はあへんの中毒者
三 罰金以上の刑に処せられた者
四 前号に該当する者を除くほか、柔道整復の業務に関し犯罪又は不正の行為があつた者

第七条(意見の聴取) 厚生労働大臣は、免許を申請した者について、第四条第一号に掲げる者に該当すると認め、同条の規定により免許を与えないこととするときは、あらかじめ、当該申請者にその旨を通知し、その求めがあつたときは、厚生労働大臣の指定する職員にその意見を聴取させなければならない。

(※引用:「柔道整復師法」e-GOV法令検索様HPより)

 

 

 

 

 

問題43 業務独占と名称独占の両方を有する資格はどれか。

1.柔道整復師
2.はり師
3.理学療法士
4.医師

答え.4

解説

MEMO

名称独占資格とは、資格がなくてもその業務に従事する事はできるが、資格取得者のみ特定の資格名称(肩書き)を名乗ることができ、資格を所有していない者が法律に定める特定の名称を名乗ることができない資格のことをいう。つまり、作業療法士の仕事は、資格を無くても行うことができるが、「私は作業療法士です」と名乗ることはできないということである。

業務独占とは、国家資格を持たないものが、その名称を用いて当該業務に従事することはできないこと。(例:医者など)

1.× 柔道整復師/はり師は、業務独占のみの職種である。
ほかにも、きゅう師、あん摩、歯科技工士があげられる。

3.× 理学療法士は、名称独占のみの職種である。
ほかにも、保健師、作業療法士、衛生検査技師などがあげられる。

4.〇 正しい。医師は、業務独占と名称独占の両方を有する資格である。
ほかにも、看護師、助産師、歯科医師、歯科衛生士、診療放射線技師などがあげられる。医師とは、患者の容態・問診・検査データなどから病名と病状を確定する診断と、投薬や手術などにより病状を改善させる治療を行う専門職種である。これは医師法により定められている行為で、医師だけに許されている。ちなみに、医師法とは、医師全般の職務・資格などを規定する日本の法律である。つまり、一般人には禁止されている医療行為を、医師という有資格者に限って許可する法律である。

 

 

 

 

 

問題44 柔道整復師法で医師の同意が必要な施術はどれか。

1.骨折・脱臼の応急処置
2.骨折・脱臼の後療法
3.打撲・捻挫の応急処置
4.打撲・捻挫の後療法

答え.2

解説

柔道整復師法第十七条(施術の制限)

柔道整復師は、医師の同意を得た場合のほか、脱臼又は骨折の患部に施術をしてはならない。ただし、応急手当をする場合は、この限りでない。

(※引用:「柔道整復師法」e-GOV法令検索様HPより)

1.3.× 骨折・脱臼の応急処置/打撲・捻挫の応急処置
柔道整復師法第十七条(施術の制限)に、「柔道整復師は、医師の同意を得た場合のほか、脱臼又は骨折の患部に施術をしてはならない。ただし、応急手当をする場合は、この限りでない」と記載されている。

2.〇 正しい。骨折・脱臼の後療法は、柔道整復師法で医師の同意が必要な施術である。
柔道整復師法第十七条(施術の制限)に、「柔道整復師は、医師の同意を得た場合のほか、脱臼又は骨折の患部に施術をしてはならない。」と記載されている。

4.× 打撲・捻挫の後療法
打撲・捻挫は該当していない。後療法とは、損傷した組織を回復させる治療法のことをいう。後療法には、大きく3つの治療法(物理療法・運動療法・手技療法)があり、それぞれを相乗的に作用させて、早期に社会復帰させることを目的におこなわれる。

 

 

 

 

 

問題45 柔道整復師の施術における医師の同意で誤っているのはどれか。

1.同意は書面でも口頭でもよい。
2.患者が医師から同意を得てもよい。
3.同意は歯科医師でもよい。
4.医師の診察は必要である。

答え.3

解説
1.〇 正しい。同意は書面でも口頭でもよい。
ただし、言ったor言わないで揉めることにもなりかねないため、書面でもらうようにするほうが良い。

2.〇 正しい。患者が医師から同意を得てもよい。
ただし、患者はそのリスクや専門用語が理解しにくいところもあるため、専門職が同意を得たほうが良い。
誰がどのように、同意を得るといった条件は、法律として規定されているわけではない。

3.× 同意に、歯科医師は含まれない
同意を得る医師は、整形外科医に限定したものではないが、主治医から得るのが望ましい。ただし、歯科医師の同意書は認められない。なぜなら、医師と歯科医師は、根本的に別の資格であるため。

4.〇 正しい。医師の診察は必要である。
医師の同意を得るためには、主治医の診察が不可欠である。柔道整復師法第十七条(施術の制限)において、「柔道整復師は、医師の同意を得た場合のほか、脱臼又は骨折の患部に施術をしてはならない。ただし、応急手当をする場合は、この限りでない」と記載されている(※引用:「柔道整復師法」e-GOV法令検索様HPより)。

 

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