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問題116 先天性疾患はどれか。2つ選べ。
1.関節リウマチ
2.特発性心筋症
3.ダウン(Down)症候群
4.アザラシ皮症
答え.3・4
解説
関節リウマチは、関節滑膜を炎症の主座とする慢性の炎症性疾患である。病因には、遺伝、免疫異常、未知の環境要因などが複雑に関与していることが推測されているが、詳細は不明である。関節炎が進行すると、軟骨・骨の破壊を介して関節機能の低下、日常労作の障害ひいては生活の質の低下が起こる。関節破壊(骨びらん) は発症6ヶ月以内に出現することが多く、しかも最初の1年間の進行が最も顕著である。関節リウマチの有病率は0.5~1.0%とされる。男女比は3:7前後、好発年齢は40~60歳である。
【症状】
①全身症状:活動期は、発熱、体重減少、貧血、リンパ節腫脹、朝のこわばりなどの全身症状が出現する。
②関節症状:関節炎は多発性、対称性、移動性であり、手に好発する(小関節)。
③その他:リウマトイド結節は肘、膝の前面などに出現する無痛性腫瘤である。内臓病変は、間質性肺炎、肺線維症があり、リウマトイド肺とも呼ばれる。
【治療】症例に応じて薬物療法、理学療法、手術療法などを適宜、組み合わせる。
(※参考:「関節リウマチ」厚生労働省HPより)
1.× 関節リウマチは、自己免疫疾患である。
自己免疫疾患とは、免疫システムが自分自身の体内の細胞や組織を誤って攻撃する疾患のことである。
2.× 特発性心筋症
拡張型心筋症とは、心臓を動かしている筋肉が弱くなる疾患で、厚生労働省が定める特定疾患(難病)の一つである。血縁で遺伝することもあるが、突然発症することも多く、ほとんどの原因はわかっていない。これは先天性ではなく、一般的には中年以降に発症する。
3.〇 正しい。ダウン(Down)症候群は、先天性疾患である。
ダウン症とは、染色体異常が原因で知的障害が起こる病気である。常染色体異常疾患の中で最多である。Down症候群になりうる異常核型は、3種に大別される。①標準トリソミー型:21トリソミー(93%)、②転座型(5%)、③モザイク型(2%)である。発症率は、平均1/1000人である。しかし、35歳女性で1/300人、40歳女性1/100人、45歳女性1/30人と、出産年齢が上がるにつれて確率が高くなる。症状として、①特異な顔貌、②多発奇形、③筋緊張の低下、④成長障害、⑤発達遅滞を特徴とする。また、約半数は、先天性心疾患や消化管疾患などを合併する。特異顔貌として、眼瞼裂斜上・鼻根部平坦・内眼角贅皮・舌の突出などがみられる。
4.〇 正しい。アザラシ肢症は、先天性疾患である。
アザラシ肢症とは、アザラシのように見えることから名付けられた先天性疾患の1つである。特徴として、四肢の長骨がない、または短く、手または足が直接胴体についていることなどがあげられる。その他、内臓の配置異常等の広範囲の異常を引き起こしているものもある。原因としてはさまざまなものがあると考えられるが、1950年代後半(日本では1960年代前半)に大量発症した事例は、サリドマイドによる薬害が指摘されている。極端な場合は、無肢症とも呼ばれる。
先天性疾患とは、生まれたときの体の形や臓器の機能に異常がある疾患のことを指す。先天性疾患の原因としては、①染色体、②単一遺伝子、③多因子遺伝、④環境や催奇形性因子などがあげられる。その中でも、羊水検査で診断できるのは、先天性疾患のうち染色体・遺伝子異常に限られる。
問題117 感染経路で空気感染を示すのはどれか。
1.インフルエンザ
2.日本脳炎
3.麻疹
4.C型肝炎
答え.3
解説
感染には、①接触感染、②空気感染、③飛沫感染がある。
①接触感染(例:流行性角結膜炎、疥癬、ノロウイルス感染症など)
(1)直接接触感染:感染者の皮膚粘膜との直接接触による伝播・感染する。
(2)間接接触感染:感染者の微生物で汚染された衣類、周囲の器物、環境などとの接触による伝播・感染する。
②飛沫感染(例:風疹、流行性耳下腺炎、 インフルエンザ、マイコプラズマ、百日咳など)
咳やくしゃみなどに伴って発生する飛沫(粒径5μm以上の粒子)が経気道的にヒトの粘膜に付着し感染する。飛散する範囲は1m以内であることが特徴。
③空気感染(例:結核、水痘、麻疹など)
飛沫核 (粒径5μm未満の粒子に付着した微生物)が長期間空中を浮遊し、これを吸い込むことで感染が伝播・感染する。
(※参考:「医療施設等における感染対策ガイドライン」厚生労働省様HPより)
1.× インフルエンザは、飛沫感染である。
インフルエンザとは、インフルエンザウイルスへの感染を原因に発症する。A型、B型、C型の3種類があり、このうち冬季に流行する「季節性インフルエンザ」はA型とB型によるものである。症状として、38℃以上の発熱や寒気、関節痛、全身のだるさなどの全身症状と、喉の痛みや咳などの風邪のような症状が現れる。上気道症状が1週間程度続くのが典型的である。
2.× 日本脳炎は、接触感染である。
日本脳炎とは、日本脳炎ウイルスにより発生する疾病で、蚊を介して感染する。以前は子どもや高齢者に多くみられた病気である。初期症状として、突然の高熱・頭痛・嘔吐などで発病し、意識障害や麻痺等の神経系の障害を引き起こす病気で、後遺症を残すことや死に至ることもある。
3.〇 正しい。麻疹は、空気感染である。
麻疹とは、麻疹ウイルスの感染後、10~12日間の潜伏期ののち発熱や咳などの症状で発症する病気のこと。38℃前後の発熱が2~4日間続き、倦怠感(小児では不機嫌)があり、上気道炎症状(咳、鼻みず、くしゃみなど)と結膜炎症状(結膜充血、目やに、光をまぶしく感じるなど)が現れて次第に強くなる。
4.× C型肝炎は、接触感染である。
C型肝炎とは、主に感染者の血液や体液を介して感染する肝炎である。たとえば、注射針を感染者と共用した場合や、感染者と性行為をした場合などに感染することがある。潜伏期間は2週間から6か月間である。初期感染の後、感染者のおよそ80%は症状なく、感染者の急性症状では、発熱、易疲労性、食欲低下、吐き気、嘔吐、腹痛、暗色尿、灰白色便、関節痛、黄疸などがみられる。
問題118 神経性萎縮の原因となるのはどれか。
1.脊髄前角炎
2.筋ジストロフィー
3.長期間のギプス固定
4.寝たきりの生活
答え.1
解説
脊髄の運動ニューロン(脊髄の前角にある運動性神経細胞)または脊髄から出る末梢神経の障害により筋が萎縮する(やせる)状態である。
1.〇 正しい。脊髄前角炎は、神経性萎縮の原因となる。
脊髄前角炎とは、ポリオとも呼ばれ、腸内からポリオ・ウイルスが出ると脊髄の前角細胞を破壊するなど問題が生じる。血液中にポリオ・ウイルスが感染すると発熱や、咽頭痛などが生じる。徐々に前角細胞を破壊することで生き延びる。
2.× 筋ジストロフィーは、骨格筋自体の変性の原因となる。
筋ジストロフィーとは、骨格筋の変性・壊死と筋力低下を主徴とする遺伝性の疾患総称である。そのうちのDuchenne型筋ジストロフィーは、X連鎖劣性遺伝で①幼児期から始まる筋力低下、②動揺性歩行、③登攀性起立(Gowers徴候:ガワーズ徴候)、④腓腹筋などの仮性肥大を特徴とする。
3~4.× 長期間のギプス固定/寝たきりの生活は、廃用性症候群の原因となる。
廃用性症候群とは、病気やケガなどの治療のため、長期間にわたって安静状態を継続することにより、身体能力の大幅な低下や精神状態に悪影響をもたらす症状のこと。関節拘縮や筋萎縮、褥瘡などの局所性症状だけでなく、起立性低血圧や心肺機能の低下、精神症状などの症状も含まれる。一度生じると、回復には多くの時間を要し、寝たきりの最大のリスクとなるため予防が重要である。廃用症候群の進行は速く、特に高齢者はその現象が顕著である。1週間寝たままの状態を続けると、10~15%程度の筋力低下が見られることもある。
ポリオ〈急性灰白髄炎〉は、ポリオウイルスによって引き起こされ、伝播は主に経口(飲食物)を通じて感染するものである。ポストポリオ症候群は、ポリオの後遺症として60歳前後で筋力低下や手足のしびれ、疼痛などの症状が現れる障害である。ポリオウイルスによる急性灰白髄炎によって小児麻痺を生じた患者が、罹患後、数十年を経て新たに生じる疲労性疾患の総称であり、急性灰白髄炎後の症状には、筋力低下、筋萎縮、関節痛、呼吸機能障害、嚥下障害などの症状を呈する。筋力低下は急性期の小児麻痺で障害をみられなかった肢にも比較的高頻度で生じる。診断基準は、①ポリオの確実な既往があること、②機能的・神経学的にほぼ完全に回復し、15年以上も安定した期間を過ごせていたにも関わらずその後に疲労や関節痛、筋力低下などの症状が発現した場合である。
問題119 閉塞性黄疸の原因はどれか。
1.十二指腸乳頭部癌
2.溶血性貧血
3.胎児赤芽球症
4.ウイルス性肝炎
答え.1
解説
黄疸とは、皮膚や粘膜が胆汁色素(ビリルビン)で黄色に染まることで、胆汁色素の血漿中濃度の上昇により生じる。原因としては、①溶血によるもの(溶血性貧血)、②肝細胞の障害によるもの(肝実質性黄疸)、③胆汁の流れの障害によるもの(閉塞性黄疸)、④体質によるもの(体質性黄疸)、などがある。胆汁は肝臓で作られ、胆管を通じて十二指腸に排出されるが、その流れが障害されたときに生じる黄疸のことを閉塞性黄疸と呼ぶ。多くは総胆管結石や腫瘍により、胆管が閉塞することが原因となる。
1.〇 正しい。十二指腸乳頭部癌は、閉塞性黄疸の原因である。
十二指腸乳頭部癌は、十二指腸の乳頭部(胆汁と膵液が腸に流れ出る部分)に発生する癌である。胆汁の流れを阻害し、閉塞性黄疸を引き起こす。ちなみに、閉塞性黄疸の原因として、ほかにも膵頭部癌や尿管結石、胆管癌などがあげられる。
2.× 溶血性貧血は、溶血性黄疸の原因である。
溶血性貧血とは、血管の中を流れる赤血球が破壊される(溶血)ことにより起こる貧血の一種である。これにより、血液中の赤血球の数が減少し、貧血状態になる。溶血性貧血は、血液中のビリルビン(赤血球の分解産物)の量が増加することで黄疸となる。
3.× 胎児赤芽球症は、溶血性黄疸の原因である。
胎児赤芽球症とは、胎児赤血球に対する母体の抗体が経胎盤的に移行することによって起こる胎児(または新生児では新生児赤芽球症)の溶血性貧血である。
4.× ウイルス性肝炎は、肝実質性黄疸の原因である。
ウイルス性肝炎は、肝臓を侵すウイルスによって引き起こされ、肝臓の機能を損ない(肝臓のビリルビン処理能力の低下)、肝実質性黄疸を引き起こす可能性がある。
ウイルス性肝炎とは、A、B、C、D、E型などの肝炎ウイルスの感染によって起こる肝臓の病気である。A型、E型肝炎ウイルスは主に食べ物を介して感染し、B型、C型、D型肝炎ウイルスは主に血液を介して感染する。中でもB型、C型肝炎ウイルスについては、感染すると慢性の肝臓病を引き起こす原因ともなる。
問題120 症候と疾患の組合せで正しいのはどれか。
1.喀血:胃潰瘍
2.吐血:肺結核
3.タール便:直腸癌
4.血尿:膀胱癌
答え.4
解説
喀血とは、気道(気管・肺)から出血した時に見られる出血である。気道の出血が少量であれば痰に血が混じっている状態、血痰という。喀血は血液そのものを咳とともに吐く状態である。一方、吐血との区別は口から血が出たときに伴う症状で区別する。①喀血:下気道(気管支肺)からの出血、②吐血:上部消化管からの出血がある。したがって、喀血は吐血と比べると赤みが強く、泡が混じることが多く、固まりにくいという特徴がある。
1.× 胃潰瘍は、「喀血」ではなく吐血である。
胃潰瘍とは、胃粘膜が炎症を起こし、粘膜の一部が欠損している状態である。症状として、みぞおちを中心とした鋭い痛み、吐き気、嘔吐、胸やけ、頻繁なげっぷ、食欲不振などである。
2.× 肺結核は、「吐血」ではなく喀血である。
喀血:下気道(気管支肺)からの出血、②吐血:上部消化管からの出血である。
3.× 直腸癌は、「タール便」ではなく鮮紅色便である。
鮮紅色便は、下部消化管出血や直腸・肛門周囲の出血によって引き起こされる。ちなみに、タール便とは、胃潰瘍など上部消化管出血のときに排出される血便の一種である。一般的に食道、胃、十二指腸からの出血は、ヘモグロビンの鉄が胃酸で酸化されるため起こる。
4.〇 正しい。膀胱癌は、「血尿」が起こる。
膀胱がんの主な症状には、血尿や頻尿、排尿時の痛み、尿が残る感じ、切迫した尿意などがある。血尿には、尿の色が赤や茶色になり目で見てわかる血尿と、顕微鏡で確認できる血尿がある。がんが進行すると、尿が出にくくなったり、わき腹や腰、背中が痛んだり、足がむくんだりすることもある。
肺結核とは、結核菌による感染症で、体の色々な臓器に起こることがあるが多くは肺のことである。結核菌は、喀痰の中に菌が出ている肺結核の患者と密閉空間で長時間(一般的には数週間以上)接触することにより空気感染でうつる。リンパ節結核や脊椎カリエス(骨の結核)など、肺に病気のない結核患者からはうつらない。また肺結核でも、治療がうまくいって喀痰の中に菌が出ていない患者さんからはうつることはない。また、たとえ感染しても、発病するのはそのうち1割ぐらいといわれており、残りの9割の人は生涯何ごともなく終わる。感染してからすぐに発病することもあるが、時には感染した後に体の免疫が働いていったん治癒し、その後数ヶ月から数十年を経て、免疫が弱ったときに再び結核菌が増えて発病することもある。結核の症状には、咳、痰、血痰、熱、息苦しさ、体のだるさなどがある。