第29回(R3年)柔道整復師国家試験 解説【午前46~50】

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問題46 柔道整復師が広告できないのはどれか。

1.駐車施設の位置
2.学会の役職名
3.出張施術の実施
4.施術所の名称

答え.2

解説

広告の制限

第二十四条(広告の制限) 柔道整復の業務又は施術所に関しては、何人も、文書その他いかなる方法によるを問わず、次に掲げる事項を除くほか、広告をしてはならない。
①柔道整復師である旨並びにその氏名及び住所
②施術所の名称、電話番号及び所在の場所を表示する事項
③施術日又は施術時間
④その他厚生労働大臣が指定する事項
2 前項第一号及び第二号に掲げる事項について広告をする場合においても、その内容は、柔道整復師の技能、施術方法又は経歴に関する事項にわたつてはならない。(※引用:「柔道整復師法」e-GOV法令検索様HPより)

【その他厚生労働大臣が指定する事項】
①ほねつぎ(又は接骨)
②柔道整復師法第十九条第一項前段の規定による届出をした旨
③医療保険療養費支給申請ができる旨(脱臼きゆう又は骨折の患部の施術に係る申請については医師の同意が必要な旨を明示する場合に限る。)
④予約に基づく施術の実施
⑤休日又は夜間における施術の実施
⑥出張による施術の実施
⑦駐車設備に関する事項
(※引用:「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会」厚生労働省様HPより)

1.〇 駐車施設の位置/出張施術の実施/施術所の名称
柔道整復師が広告できる。

2.× 学会の役職名は、柔道整復師が広告できない。
なぜなら、学会の役職名を広告することが、柔道整復師の技能、施術方法又は経歴に関する事項に該当する可能性が高いため。また、その学会を知らないものからすれば、施術の質や能力を誇大に示す可能性があるため。

 

 

 

 

 

問題47 医療法の目的で誤っているのはどれか。

1.医療保険に関する事項
2.医療の安全を確保するために必要な事項
3.医療施設の開設・管理・監督に関する事項
4.医療に関する適切な選択の支援に関する事項

答え.1

解説

医療法とは?

医療法とは、病院、診療所、助産院の開設、管理、整備の方法などを定める日本の法律である。①医療を受けるものの利益と保護、②良好かつ適切な医療を効率的に提供する体制確保を主目的としている。

1.× 医療保険に関する事項は、医療法の目的ではない。
医療保険の根拠となる法律には、健康保険法、船員保険法、国民健康保険法、高齢者の医療の確保に関する法律などがある。 年金保険の根拠となる法律は、厚生年金保険法、国民年金法である。 老人福祉法は年金については規定していない。ちなみに、(公的)医療保険とは、私たちやその家族が、病気やケガをしたときに医療費の一部を公的な機関が負担する制度のことである。日本では「国民皆保険」といって、すべての人が何らかの公的医療保険に加入している。

2~4.〇 医療の安全を確保するために必要な事項/医療施設の開設・管理・監督に関する事項/医療に関する適切な選択の支援に関する事項は、医療法の目的である。
これは医療法第1条「この法律は、医療を受ける者による医療に関する適切な選択を支援するために必要な事項、医療の安全を確保するために必要な事項、病院、診療所及び助産所の開設及び管理に関し必要な事項並びにこれらの施設の整備並びに医療提供施設相互間の機能の分担及び業務の連携を推進するために必要な事項を定めること等により、医療を受ける者の利益の保護及び良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を図り、もつて国民の健康の保持に寄与することを目的とする」と記載されている(※引用:「医療法」e-GOV法令検索様HPより)。

 

 

 

 

 

問題48 医師の守秘義務が規定されている法律はどれか。

1.医師法
2.刑法
3.医療法
4.個人情報保護法

答え.2

解説
1.× 医師法
医師法とは、医師全般の職務・資格などを規定する日本の法律である。つまり、一般人には禁止されている医療行為を、医師という有資格者に限って許可する法律である。

2.〇 正しい。刑法は、医師の守秘義務が規定されている法律である。
刑法とは、犯罪とそれに対する刑罰の関係を規定する法である。 刑法には、医師・薬剤師・助産師などに対し、職務上の秘密を漏らした場合の罰則規定があるが、保健師は含まれていない。(刑法第134条)医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士、弁護人、公証人又はこれらの職にあった者が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、6月以上の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

3.× 医療法
医療法とは、病院、診療所、助産院の開設、管理、整備の方法などを定める日本の法律である。①医療を受けるものの利益と保護、②良好かつ適切な医療を効率的に提供する体制確保を主目的としている。

4.× 個人情報保護法
個人情報保護法とは、個人情報の保護に関する法律の略称である。個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的とした個人情報の取扱いに関連する日本の法律である。定義(第2条)には、「この法律において『個人情報』とは、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述などにより特定の個人を識別できるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む)をいう」とされている。

 

 

 

 

 

問題49 平成29年度の国民医療費で正しいのはどれか。

1.介護保険費用が含まれる。
2.財源は公費が50%を占める。
3.柔道整復療養費は1%を下回る。
4.年齢階級別では65歳以上が80%を占める。

答え.3

解説

(※図引用:「平成29年度 国民医療費の概況」厚生労働省HPより)

1.× 介護保険費用は、「含まれない」。
国民医療費とは、当該年度内の医療機関等における保険診療の対象となり得る傷病の治療に要した費用を推計したものである。この費用には、医科診療や歯科診療にかかる診療費、薬局調剤医療費、入院時食事・生活医療費、訪問看護医療費等が含まれる。なお、保険診療の対象とならない評価療養(先進医療(高度医療を含む)等)、選定療養(入院時室料差額分、歯科差額分等)及び不妊治療における生殖補助医療などに要した費用は含まない。また、傷病の治療費に限っているため、(1)正常な妊娠・分娩に要する費用、(2)健康の維持・増進を目的とした健康診断・予防接種等に要する費用、(3)固定した身体障害のために必要とする義眼や義肢等の費用も含まない。(※一部抜粋:「国民医療費の範囲と推計方法の概要」厚生労働省HPより)

2.× 財源は公費が50%を「占めない」。
国民医療費を財源別に見ると、公費は16兆4715億円(構成割合38.9%)、そのうち国庫は10兆8699億円(同25.7%)、地方は5兆6016億円(同13.2%)となっている。ちなみに、公費とは、国家または公共団体の費用のことをさす。

3.〇 正しい。柔道整復療養費は1%を下回る
柔道整復療養費は3213億円(0.7%)、あん摩マッサージ指圧は757億円(0.2%)、はり・きゅうは441億円(0.1%)である。

4.× 年齢階級別では65歳以上が、「80%」ではなく約55%を占める。
年齢階級別にみると、0~14歳は2兆2326億円(6.4%)、15~44歳は4兆8362億円(13.9%)、45~64歳は8兆7397億円(25.1%)、65歳以上は18兆9999億円(54.6%)となっている。

令和元年度 国民医療費の概況

国民医療費とは、当該年度内の医療機関等における保険診療の対象となり得る傷病の治療に要した費用を推計したものである。
・令和元年度の国民医療費は44兆3,895億円、前年度の43兆3,949億円に比べ9,946億円、2.3%の増加している。
・人口一人当たりの国民医療費は35万1,800円、前年度の34万3,200円に比べ8,600円、2.5%の増加している。
・国民医療費の国内総生産(GDP)に対する比率は7.93%(前年度7.79%)、国民所得(NI)に対する比率は11.06%(同10.79%)している。(※データ引用:「令和元(2019)年度 国民医療費の概況」厚生労働省HPより)

 

 

 

 

 

問題50 施術管理者のみができるのはどれか。

1.複数の施術所の開設
2.柔道整復の施術所の開設
3.受領委任の療養費の請求
4.療養費の償還払いの取り扱い

答え.3

解説

施術管理者とは?

施術管理者とは、施術所に勤務する柔道整復師、はり師、きゅう師又はあん摩マッサージ指圧師が行う施術も含め、施術所における療養費の受領委任に係る取扱い全般を管理する者のことを指します。

1~2.× 複数の施術所の開設/柔道整復の施術所の開設
施設管理者以外にも行うことができる。施術所の構造設備基準と衛生上必要な措置が基準の条件に当てはまる必要がある。

3.〇 正しい。受領委任の療養費の請求は、施術管理者のみができる。
施術管理者は、患者からの委任を受けて、療養費の請求を行うことができます。これは、施術管理者が患者の代わりに保険会社や政府機関に対して療養費の支払いを請求することを意味します。受領委任とは、施術者が、医療保険(療養費)で定める施術を行い、患者等から一部負担金を受け取り、患者等に代わって療養費支給申請書を作成・保険者等へ提出し、患者等から受領の委任を受けた施術者等が療養費を受け取る取扱いである。

4.× 療養費は、「償還払い」ではなく受領委任払いを取り扱う。
受領委任払いとは、償還払いでは約2か月後に返る介護保険の請求の権利を事業者に委任することにより利用者の一時的な負担をなくそうとするものである。ちなみに、償還払いとは、いったん費用の全額を立て替えて支払い、申請により後で規定の額が払い戻される仕組みのことをいう。ほかに高額介護サービス費の支給も償還払いとなる。つまり、償還払いは、患者(被保険者)が請求する。一方、代理受領、受領委任については、施術所等が請求するものとなる。

(※図引用:「柔道整復師の資格を取得される皆様、関係の皆様へ」全国柔整鍼灸協同組合)

 

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