第29回(R3年)柔道整復師国家試験 解説【午前101~105】

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問題101 神経筋接合部のアセチルコリン受容体で正しいのはどれか。

1.神経終末に存在する。
2.電位作動性イオンチャネルである。
3.活性化によって筋細胞膜に過分極を起こす。
4.アセチルコリンの結合でイオンチャネルが開く。

答え.4

解説

神経筋接合部とは?

神経筋接合部とは、神経の末端が骨格筋組織と交わる部分である。筋肉を収縮させる信号は、神経伝達物質であるアセチルコリンなどの化学物質によって発せられ、この物質が神経の末端(運動神経終板)から筋肉に送られる。

1.× 「神経終末」ではなく筋肉細胞の表面に存在する。
アセチルコリン受容体は、神経筋接合部の筋細胞側に存在する。

2.× 「電位作動性」ではなく、アセチルコリンイオンチャネルである。
アセチルコリン受容体とは、神経伝達物質であるアセチルコリンの受容体である。アセチルコリンによって刺激される。アセチルコリン受容体には、①イオンチャネル型のニコチン受容体と②代謝型受容体であるムスカリン受容体がある。

3.× 活性化によって筋細胞膜に、「過分極」ではなく脱分極を起こす。
アセチルコリンがアセチルコリン受容体に結合すると、アセチルコリン受容体のナトリウムチャンネルが開き、ナトリウムイオン(Na+)が細胞内に流れ込み、脱分極を起こし、細胞内の電位がプラス側に傾く。これを興奮性シナプス後電位(EPSP)が発生する、あるいは、終板電位が発生するともいう。

4.〇 正しい。アセチルコリンの結合でイオンチャネルが開く
アセチルコリンがアセチルコリン受容体に結合すると、アセチルコリン受容体のナトリウムチャンネル(イオンチャネル)が開き、ナトリウムイオン(Na+)が細胞内に流れ込み、脱分極を起こし、細胞内の電位がプラス側に傾く。これを興奮性シナプス後電位(EPSP)が発生する、あるいは、終板電位が発生するともいう。

 

 

 

 

 

問題102 平滑筋細胞に存在しないのはどれか。

1.アクチン
2.カルモジュリン
3.トロポニン
4.ミオシン

答え.3

解説
1.4.〇 アクチン/ミオシン
【筋収縮の機序】①筋小胞体から放出されたCa2+がトロポニンと結合する。②ATPエネルギーを利用したミオシンの頭部首振り運動が起こる。③アクチンフィラメントを引き寄せながらミオシンフィラメント上を滑走して筋収縮が起こる。

2.〇 カルモジュリン
カルモジュリンとは、至る所にあるカルシウム結合タンパク質で、多くの種類のタンパク質を対象として制御を行うため、様々な細胞機能に影響を与え、炎症、代謝、アポトーシス、筋肉収縮、細胞内移動、短期記憶、長期記憶、神経成長、免疫反応などさまざまな過程とかかわっている。

3.× トロポニンは、平滑筋細胞に存在しない。
トロポニンは骨格筋と心筋に存在するが、平滑筋には存在しない。トロポニンTとは、横紋筋の薄いフィラメント上でトロポニンI・Cとともにトロポニン複合体を形成し、筋収縮の調節に関与している分子量39,000の蛋白である。 平滑筋には存在せず、しかも構造が心筋と骨格筋とで異なるため、両者を明確に識別することが可能となり、現在最も特異的な心筋障害のマーカーと考えられている。トロポニンは、心筋の構成成分であるため、これが血液中に出現する場合には、急性心筋梗塞などの心筋傷害を意味する。

 

 

 

 

 

問題103 感覚神経線維を脳内へ直接伸ばす感覚細胞はどれか。

1.味蕾の味細胞
2.網膜の視細胞
3.嗅上皮の嗅細胞
4.半規管の有毛細胞

答え.3

解説
1.× 味蕾の味細胞
味蕾とは、味細胞の集まりで、味蕾の数は乳幼児で約1万個、成人になるにつれて約7500個まで減少するといわれている。味蕾にある30~70個ある味細胞が味を識別する。味覚の伝導路は、味蕾(味細胞)→顔面神経(舌前2/3)、舌咽神経(舌後1/3)→延髄孤束核→視床→大脳味覚野となる。

2.× 網膜の視細胞
視覚の伝導路は、視神経→視交叉→外側膝状体→視放線→視覚野となる。

3.〇 嗅上皮の嗅細胞は、感覚神経線維を脳内へ直接伸ばす感覚細胞である。
嗅神経は、嗅上皮の嗅細胞から始まり、一次嗅覚中枢である嗅球でシナプスを形成する。つまり、嗅覚情報(匂い)を感じる感覚神経として機能する。

4.× 半規管の有毛細胞
半規管は、平衡感覚のリンパ液の動きが関与し平衡感覚を司る。耳内の前庭と三半規管であり、内リンパ液と外リンパ液が関連する。平衡感覚をつかさどるのは、内耳の前庭と三半規管であり、どちらもリンパ液で満たされている。身体の回転などによりリンパ流が生じると、有毛細胞が刺激され水平・垂直方向の直線加速度と回転加速度(角加速度)を感知する。

嗅覚の伝導路とは?

嗅覚は鼻腔上部の嗅部の粘膜上皮(嗅上皮)の嗅細胞で受容される。嗅細胞の中枢性突起が嗅神経となり、篩骨篩板を通って嗅球に入る。嗅球から後方に向かって嗅索が走り、その線維は大部分外側嗅条を通って海馬旁回の嗅覚野に達する。

①嗅細胞→②嗅神経→③嗅球→④嗅索→⑤嗅覚野(1次感覚野)に達する。
・一次中枢:①嗅細胞→②嗅神経→③嗅球まで。
・二次中枢:④嗅索→⑤嗅覚野(1次感覚野)

 

 

 

 

 

問題104 音波の伝達で耳小骨が直接振動させるのはどれか。

1.鼓膜
2.蓋膜
3.前庭窓
4.基底膜

答え.3

解説

(※図引用:「耳の構造・説明図」illustAC様より)

1.× 鼓膜
鼓膜とは、外耳と中耳を隔てる薄い膜状の構造物で、音波の振動を受け取り、骨伝導によって中耳へ伝達する。鼓膜から、ツチ骨→キヌタ骨→アブミ骨の順に伝わっていく。

2.× 蓋膜
蓋膜とは、内耳の表面にある小さな毛の上に、毛の先端が刺さる形で存在する。内耳の微細な毛は、異なった音の周波数に感応する房で覆われており、感覚受容器として機能する。内耳の微細な毛が音に反応する仕方は、その先端が接している蓋膜の動作に強く影響される。

3.〇 正しい。前庭窓は、音波の伝達で耳小骨が直接振動させる。
耳小骨(ツチ骨・キヌタ骨・アブミ骨)は、中耳にあり、鼓膜と内耳の間で音の振動を伝達する役割を果たしている。前庭窓とは、中耳の鼓室の内耳側の壁にある小孔である。中耳ではあぶみ骨に連なっており、内耳の前庭へ通ずる。

4.× 基底膜
基底膜とは、上皮が下方向に細胞を増殖するのを防ぐ壁としての役割をもつ細胞間物質からなる非常に薄い膜のことである。内耳のうずまき細管の底面で、うずまき管の鼓室階に接する。

 

 

 

 

 

問題105 筋肉の痛みの感覚受容器はどれか。

1.筋紡錘
2.パチニ小体
3.ルフィニ小体
4.自由神経終末

答え.4

解説
1.× 筋紡錘
筋紡錘とは、骨格筋の収縮を感知する感覚器(筋の長さとそれが変化する速さを感知する感覚器)であり、腱をたたいて骨格筋を急速に伸ばすと起こる筋単収縮(伸張反射)に関与する。

2.× パチニ小体
パチニ小体とは、振動や圧力の感覚受容器である。

3.× ルフィニ小体
Ruffini終末(ルフィニ小体)は、触圧覚や痛覚などの感覚受容器である。皮膚の伸張を感じ取る。

4.〇 正しい。自由神経終末は、筋肉の痛みの感覚受容器である。
自由神経終末は、痛覚・温覚・冷覚などの感覚受容器である。

 

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