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問題16 肩関節烏口下脱臼の整復直後の確認で誤っているのはどれか。
1.運動痛の有無
2.血管損傷の有無
3.神経麻痺の有無
4.弾発性固定の有無
答え.1
解説
①弾発性固定:脱臼した位置で関節が動かなくなる状態をいう。患部を押しても反発するか、動いてもまた脱臼した位置に戻ろうとする特徴がある。
②変形:関節が元の位置から逸脱するために、見た目にも変形がみられる。一度脱臼すると、関節の構造が破壊されてしまったり、靭帯や関節包が緩んでしまったりすることで不安定性が残る可能性がある。特に肩関節は、再負傷しやすいといわれている(反復性脱臼)。
1.× 運動痛の有無の確認は必要ない。
なぜなら、整復直後は炎症が起こっているため。運動を実施することで、さらなる炎症症状の助長につながりかねない。
2.〇 正しい。血管損傷の有無
なぜなら、血管損傷が存在すると、血流が阻害され、組織の壊死や感染のリスクが高まるため。
3.〇 正しい。神経麻痺の有無
なぜなら、神経が損傷されていると、感覚や運動の障害が生じるため。
4.〇 正しい。弾発性固定の有無
なぜなら、弾発性固定が存在すると、整復しきれておらず脱臼している指標の一つとなるため。
烏口下脱臼とは、肩関節前方脱臼(約90%)のひとつである。上腕骨頭が肩甲骨関節窩から前方に脱臼した症状で、①烏口下脱臼と②鎖骨下脱臼に分類される。関節全体を覆う袋状の関節包と靭帯の一部が破れ、突き出た上腕骨頭が烏口突起の下へすべることで起こる脱臼である。介達外力が多く、後方から力が加わる、転倒するなどで手を衝くことで過度の伸展力が発生した場合(外旋+外転+伸展)などに起こる。症状として、①弾発性固定、②関節軸の変化(骨頭は前内方偏位、上腕軸は外旋)、③脱臼関節自体の変形(三角筋部の膨隆消失、肩峰が角状に突出、三角筋胸筋三角:モーレンハイム窩の消失)、④上腕仮性延長、⑤肩峰下は空虚となり、烏口突起下に骨頭が触知できる。
問題17 肘関節後方脱臼で誤っているのはどれか。
1.幼少年期に好発する。
2.前腕長が短縮する。
3.前方関節包が損傷する。
4.後療法は自動運動を基本とする。
答え.1
解説
(※図引用:「上腕骨 完全脱臼」illustAC)
好発:青壮年
原因:①肘関節過伸展の強制:肘関節伸展位で手をつく(転倒などの強い衝撃)
【症状】関節包前方断裂、疼痛、肘関節屈曲30度で弾発性固定、自動運動不可、肘頭の後方突出、上腕三頭筋腱が緊張(索状に触れる)、ヒューター三角の乱れ(肘頭高位)、前腕の短縮
【固定肢位】肘関節90°屈曲、前腕中間位(回内位も)
【固定範囲】上腕近位部からMP関節手前まで
【固定期間】靭帯損傷なし:3週間、不安定性がある場合4週間
1.× 「幼少年期」ではなく青壮年に好発する。
原因として、肘関節過伸展の強制、肘関節伸展位で手をつく(転倒などの強い衝撃)ことで生じる。
2~3.〇 正しい。前腕長が短縮する。前方関節包が損傷する。
肘関節後方脱臼の症状として、関節包前方断裂、疼痛、肘関節屈曲30度で弾発性固定、自動運動不可、肘頭の後方突出、上腕三頭筋腱が緊張(索状に触れる)、ヒューター三角の乱れ(肘頭高位)、前腕の短縮などが生じる。
4.〇 正しい。後療法は自動運動を基本とする。
なぜなら、関節の可動域を回復し、筋力を強化するためである。
後療法とは、損傷した組織を回復させる治療法の事をいう。後療法には大きく3つの治療法(物理療法・運動療法・手技療法)がある。目的は、早期に社会復帰させることである。
問題18 肘内障の所見で正しいのはどれか。
1.橈骨頭の位置異常
2.腕橈関節部に軋轢音
3.損傷部のびまん性腫脹
4.回外強制でのバネ様抵抗感
答え.4
解説
肘内障とは、乳幼児に特有の外傷で、橈骨頭が引っ張られることによって、橈骨頭を取り巻いている輪状靭帯と回外筋が橈骨頭からずれた状態(亜脱臼)になったものである。5歳くらいまでの子どもに発症する。 輪状靭帯の付着がしっかりする6歳以降では起こりにくい。
1.× 橈骨頭の位置異常
なぜなら、輪状靭帯と回外筋が橈骨頭からずれた状態(亜脱臼)であるため。
2.× 腕橈関節部に軋轢音
軋轢音とは、骨折部位を押したときに触知する異常音である。骨折部位が擦れて軋む音をいい、耳で聞こえるレベルの音ではなく、触知で認識できるレベルの音である。
3.× 損傷部のびまん性腫脹
びまん性とは、病変が比較的均等に広がっている状態のことを指す。
4.〇 正しい。回外強制でのバネ様抵抗感は、肘内障の所見である。
肘内障の症状として、受傷後は、突然に泣き出し肘関節部に激痛を訴え、患肢に触れようとすると嫌がる。他にも、患肢は肘伸展位、前腕回内位で下垂し、健側の手で肘以外の部分を支える様子がある。また、他動的に肘関節屈曲または前腕回外位させると疼痛が増大する(バネ様抵抗感)。局所の腫脹、発赤は認めないことがあげられる。
問題19 示指PIP関節背側脱臼で正中索損傷を合併している場合の固定はどれか。
1.1
2.2
3.3
4.4
答え.2
解説
【種類】
①背側脱臼:掌側板損傷する
②掌側脱臼:正中索損傷する(ボタン穴変形)
③側方脱臼:側副靱帯損傷する(側方動揺性)
【固定法】
①DIP・PIP関節:軽度屈曲位
②正中索損傷の場合:PIP伸展位
③側副靭帯損傷の場合:隣接指間にパットを挟み固定
※示指PIP関節背側脱臼で正中索損傷を合併している稀な症例であるが、基本的に正中索損傷する(ボタン穴変形)に対する固定方法を行う。
1.3.× 1.3は、背側脱臼で掌側板損傷した場合に行う。
2.〇 正しい。2が、示指PIP関節背側脱臼で正中索損傷を合併している場合の固定である。正中索の断裂によりボタン穴変形が起こる。なぜなら、側索が掌側へ移動するため。ちなみに、ボタン穴変形は、DIP過伸展・PIP屈曲する変形である。
4.× 4は、DIP関節が過度に屈曲している。あまり用いられない固定方法である。
問題20 陳旧性の腱板損傷の症状でないのはどれか。
1.肩関節の腫脹
2.大結節の圧痛
3.外転時の痛み
4.就寝中の痛み
答え.1
解説
陳旧性とは、急性期や亜急性期よりも時間が経過した状態のことをさす。腱板損傷には、①外傷性(転倒や落下などや・重たいものを持ったりと急激な肩への負荷で切れてしまう)のほか、②陳旧性(加齢性の変化で徐々に腱板が徐々にすり減り切れる変性による断裂、およびそれに軽微な外傷が加わって起こる)ものがある。
1.× 肩関節の腫脹
これは、陳旧性の腱板損傷では、一般的には肩関節の腫脹はみられない。なぜなら、腫脹は急性の損傷による炎症症状のひとつであるため。ちなみに、炎症4徴候として、疼痛や腫脹、発赤、熱感があげられる。
2.〇 大結節の圧痛
なぜなら、大結節は腱板の付着する部位であるため。大結節は、上腕骨頭の後外側の隆起で、棘上筋、棘下筋、小円筋が付着する。腱板(回旋筋腱板:ローテーターカフ)とは、肩甲骨と上腕骨をつないでいる4つの筋肉の腱の総称である。① 棘上筋、②棘下筋、③小円筋、④肩甲下筋から成る。
3.〇 外転時の痛み
なぜなら、腱板断裂の棘上筋は肩関節外転に作用するため。腱板損傷は、肩峰や上腕骨頭とのインピンジメント(衝突)で損傷されやすい棘上筋腱の損傷がほとんどである。
4.〇 就寝中の痛み
なぜなら、寝ている間に肩が不自然な位置(もしくは体幹に押しつぶされる位置)になることで痛みが引き起こされるため。