第30回(R4年)柔道整復師国家試験 解説【午前86~90】

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問題86 小脳損傷で起こるのはどれか。

1.推尺異常
2.仮面様顔貌
3.静止時振戦
4.バビンスキー反射

答え.

解説
1.〇 正しい。推尺異常は、小脳損傷で起こる。
測定障害(推尺異常:すいしゃくいじょう)とは、距離を正確に計ることが出来ず、協同筋の収縮終了の遅れと、拮抗筋の収縮開始の遅れが出現する。目標物まで到達する前に動作が止まっ たり、断続的な動作になったりする。指鼻試験や視線追跡試験などで観察される。

2.× 仮面様顔貌
仮面様顔貎は、パーキンソン病でみられる。仮面様顔貌とは、表情が乏しく、仮面をつけているような顔のこと。

3.× 静止時振戦
パーキンソニズムの一つである。パーキンソニズムとは、パーキンソン病の症状(①安静時振戦、②筋強剛(筋固縮)、③無動・寡動、④姿勢反射障害)を呈する疾患の総称のことをいう。パーキンソニズムは、脳の病気、脳損傷、または特定の薬剤や毒素によって引き起こされる。

4.× バビンスキー反射
錐体路障害で陽性となる。ちなみに、バビンスキー反射は、原始反射のひとつであり、出生時からみられ1~2歳で消失するため。足底外側を踵からつま先へ向かってこすると母趾が背屈し、他の4本の趾が扇状に外側に開く反射である。

 

 

 

 

 

問題87 右視索が障害されたとき両眼で欠損するのはどれか。

1.右側視野
2.左側視野
3.鼻側(内側)視野
4.耳側(外側)視野

答え.

解説

左同名半盲とは?

障害視野:両眼の視野の左半部。
障害部位:右視索、右外側膝状体、右視放線、右後頭葉など。

1.× 右側視野
左視索が障害されたとき両眼で欠損する。

2.〇 正しい。左側視野は、右視索が障害されたとき両眼で欠損する。
左側視野は、左同名半盲である。

3.× 鼻側(内側)視野
両鼻側半盲は視野欠損の中で稀である。なぜなら、視交叉の両側に同時に存在せねばならないという特殊な状況が必要となるため。

4.× 耳側(外側)視野
視交叉の障害で起こる。

 

 

 

 

 

問題88 ホルモン過剰症で高血圧と高血糖をきたすのはどれか。

1.インスリン
2.オキシトシン
3.コルチゾール
4.プロラクチン

答え.

解説
1.× インスリン
インスリンが過剰分泌された場合、低血糖を来す。インスリンとは、膵臓のランゲルハンス島にあるβ細胞から分泌されるホルモンの一種で、①血糖低下、②脂肪合成の作用がある。

2.× オキシトシン
あまりオキシトシンの過剰分泌よる弊害は報告されていない。オキシトシンとは、脳下垂体後葉から分泌される。乳汁射出、子宮収縮作用がある。また、分娩開始前後には分泌が亢進し、分娩時に子宮の収縮を促し、胎児が下界に出られるように働きかける。

3.〇 正しい。コルチゾールは、ホルモン過剰症で高血圧と高血糖をきたす。
コルチゾールが過剰分泌された場合、クッシング症候群をきたす。副腎皮質ホルモンには、コルチゾール・アルドステロン・アンドロゲン(男性ホルモン)などがある。コルチゾール:血糖値の上昇や脂質・蛋白質代謝の亢進、免疫抑制・抗炎症作用、血圧の調節など、さまざまな働きがあるが、過剰になるとクッシング症候群、不足するとアジソン病を引き起こす。

4.× プロラクチン
プロラクチンが過剰分泌された場合、排卵障害や黄体機能不全による月経不順などが起こり、不妊の原因となる。プロラクチン(催乳ホルモン)は、下垂体前葉から分泌されるホルモンである。プロラクチン放出ホルモンは視床下部から分泌される。乳腺の発育と乳汁の産生に働く。

クッシング症候群とは?

クッシング症候群は、副腎皮質ホルモンであるコルチゾールの過剰分泌により起こる内分泌系疾患である。満月様顔貌や中心性肥満などの特徴的な症状を呈する。主に、副腎腺腫、副腎癌、副腎過形成、ACTH産生下垂体腺腫などによりコルチゾールの過剰分泌が起こる。

 

 

 

 

 

問題89 血漿K+濃度を下げるホルモンはどれか。

1.アンドロゲン
2.アドレナリン
3.アルドステロン
4.心房性ナトリウム利尿ペプチド

答え.

解説
1.× アンドロゲン
副腎には、①副腎皮質と②副腎髄質からホルモンが分泌される。①副腎皮質ホルモンとは、副腎皮質より産生されるホルモンの総称で、①アルドステロン、②コルチゾール、③アンドロゲンがある。炎症の制御、炭水化物の代謝、タンパク質の異化、血液の電解質のレベル、免疫反応など広範囲の生理学系に関わっている。②副腎髄質からはアドレナリンとノルアドレナリンが分泌される。

2.× アドレナリン
アドレナリンとは、腎臓の上にある副腎というところの中の髄質から分泌されるホルモンである。主な作用は、心拍数や血圧上昇などがある。自律神経の交感神経が興奮することによって分泌が高まる。

3.〇 正しい。アルドステロンは、血漿K+濃度を下げるホルモンである。
アルドステロンとは、腎臓に作用してナトリウムと水の再吸収を促進し、循環血漿量増加を促し血圧を上昇させる。アルドステロンが過剰に分泌されると、高血圧や低カリウム血症、筋力低下などがみられる。副腎皮質ホルモンには、①アルドステロン、②コルチゾール、③アンドロゲンがある。

4.× 心房性ナトリウム利尿ペプチド
心房性ナトリウム利尿ペプチドとは、主として心房で合成・貯蔵され、血液中に分泌されるホルモンである。水・ナトリウムの利尿、血管の拡張、レニン・アルドステロンの分泌抑制、循環血漿量の減少など多彩な生理作用を介して、生体の体液バランスならびに血圧調整に関与する。

 

 

 

 

 

問題90 性分化の組合せで誤っているのはどれか。

1.生殖隆起:卵巣
2.ウォルフ管:子宮
3.生殖結節:陰核
4.尿道ヒダ:小陰唇

答え.

解説

性分化とは?

性分化とは、胎生期に染色体に存在する遺伝子のプログラムのもとに、体の性(性腺、内性器および外性器の性)が分化する過程の総称である。性染色体(X染色体とY染色体のことを指します)に基づき精巣や卵巣が発育し、男女それぞれに特徴的な内性器(体の中の性器)や外性器(体の外側の性器)が造られる過程を指す。

1.〇 正しい。生殖隆起:卵巣
生殖隆起とは、体腔上皮細胞から構成されている細胞層が増殖、肥厚して、背方に向かって索状に伸びだす過程をいう。 この索状の組織の中へ生殖細胞が取り込まれる。生殖隆起は、胚発生の初期段階で形成される構造であり、成長と発達の過程で卵巣に分化する。

2.× ウォルフ管:子宮
女性の場合、ウォルフ管が退縮する。男性の場合は、ウォルフ管が精巣上体・輸精管・精嚢に分化する。ウォルフ管とは、ライディッヒ細胞から分泌されるテストステロンが存在するとき(男性になるとき)、精巣上体・輸精管・精嚢に分化する。テストステロンが存在しないとき(女性になるとき)は退縮する。性管・外性器は、胎児精巣由来ホルモンの有無に依存して分化する。

3.〇 正しい。生殖結節:陰核
生殖結節とは、将来生殖器官になる細胞が形成する塊状の組織である。したがって、陰核の先祖細胞であり、発達の過程で陰核に分化する。

4.〇 正しい。尿道ヒダ:小陰唇
尿道ヒダは、小陰唇の発達の基となる構造であり、発達の過程で小陰唇に分化する。

 

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