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問題101 食前と比べて食後60分に血液中の値が低下するのはどれか。
1.血糖
2.尿素窒素
3.インスリン
4.グルカゴン
答え.4
解説
1.× 血糖
血糖値は、血液中に含まれるブドウ糖(グルコース)の濃度のことである。食事に含まれる糖質が消化・吸収されると、血液中のグルコース濃度が増加する。
2.× 尿素窒素
尿素窒素とは、血液のなかの尿素に含まれる窒素成分のことで、蛋白質が利用された後にできる残りかすである。通常は、腎臓で濾過されて尿中へ排出されるが、腎臓の機能低下で、ろ過しきれない分が血液のなかに残る。食後、摂取されたたんぱく質が分解されることで、尿素窒素の生成が増えることが多い。
3.× インスリン
インスリンとは、膵臓のβ細胞で産生されるペプチドホルモンである。血中を流れるブドウ糖が、肝臓、脂肪細胞、骨格筋細胞に取り込まれるよう促し、炭水化物、タンパク質、脂肪の代謝を調節する。したがって、食事により血糖値が上昇すると、膵臓からインスリンが分泌される(インスリンが上昇する)。
4.〇 正しい。グルカゴンは、食前と比べて食後60分に血液中の値が低下する。
グルカゴンとは、膵臓のランゲルハンス島にあるα細胞から分泌されるホルモンの一種で、①血糖上昇、②脂肪分解の作用がある。したがって、食後、血糖値が上昇すると、インスリンの分泌が促される一方で、グルカゴンの分泌は抑制される。
問題102 図の血管A、Bで正しいのはどれか。
1.Aには動脈血が流れる。
2.Bには動脈血が流れる。
3.消化管で吸収された栄養素はAに流れる。
4.肝臓で合成されたアルブミンはAに流れる。
答え.3
解説
設問の図は、肝臓小葉構造である。
A:門脈
B:下大静脈
門脈とは、だいたいの消化管から得られた栄養を肝臓へと運ぶ働きを持つ機能血管である。胃、腸、膵臓、脾臓、胆嚢の毛細管から静脈血を集める。
1.× A(門脈)には、「動脈血」ではなく静脈血が流れる。
門脈は、胃、腸、膵臓、脾臓、胆嚢の毛細管から静脈血を集める。
2.× B(下大静脈)には、「動脈血」ではなく静脈血が流れる。
下大静脈には、下半身から戻る静脈血が流れる。動脈血とは、酸素を豊富に含んだ血液である。一方、静脈血とは、酸素が少なく二酸化炭素が多い血液である。
3.〇 正しい。消化管で吸収された栄養素はA(門脈)に流れる。
門脈とは、だいたいの消化管から得られた栄養を肝臓へと運ぶ働きを持つ機能血管である。肝臓では、栄養素の代謝や解毒が行われるため、門脈を通ることが重要である。
4.× 肝臓で合成されたアルブミンは、「A(門脈)」ではなくB(下大静脈)に流れる。
下大静脈の役割として、①下半身の静脈血や腰静脈・腎静脈・肝静脈などの静脈血を集めて右心房に送ること、②全身へ栄養素やアルブミンを運ぶことなどがあげられる。
(※図引用:「看護師イラスト集」看護roo!)
問題103 体温調節で正しいのはどれか。
1.体温の調節中枢は延髄にある。
2.黄体ホルモンは体温を低下させる。
3.皮膚血管は環境温が下がると拡張する。
4.プロスタグランジンは体温上昇作用を持つ。
答え.4
解説
1.× 体温の調節中枢は、「延髄」ではなく視床下部(間脳)にある。
視床下部は、体温の変化に応じて体の冷却や温熱産生メカニズムを制御することで、恒常的な体温を維持する。セットポイントとは、設定値と直訳でき、体温調節中枢には、体温を一定に保つ働きがあり、こうして設定された体温のことを指す。体温のセットポイント(設定値)が突然高く設定された場合(つまり、通常の体温が低く寒い)と認識するため、寒冷にさらされた場合と同様に体温を上昇させる反応が起こる。
2.× 黄体ホルモンは体温を、「低下」ではなく上昇させる。
プロゲステロン(黄体ホルモン)は、基礎体温を上げ、受精卵が着床しやすい状態にする作用を持つ。プロゲステロン(黄体ホルモン)は、性周期が規則的で健常な成人女性において、着床が起こる時期に血中濃度が最も高くなるホルモンである。着床が起こる時期とは、月経の黄体期である。黄体期は、排卵した後の卵胞(黄体)から黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されるようになる時期である。
3.× 皮膚血管は環境温が下がると、「拡張」ではなく収縮する。
なぜなら、体熱の放出が抑制させ、体温を維持するため。逆に、環境温が上昇すると、皮膚血管は拡張し、体熱の放出が促進する。
4.〇 正しい。プロスタグランジンは体温上昇作用を持つ。
プロスタグランジンは、細菌感染による急性炎症反応で増加する。プロスタグランジンは、①血管拡張、②気管支平滑筋収縮、③急性炎症時の起炎物質で発痛作用がある。特に、プロスタグランジンE2(PGE2)は、視床下部に作用し、体温調節セットポイントを上昇させることで発熱を引き起こす。
問題104 加齢に伴う変化はどれか。
1.ミトコンドリア数の減少
2.細胞膜の流動性の増加
3.テロメアの増長
4.細胞分裂の増加
答え.1
解説
1.〇 正しい。ミトコンドリア数の減少は、加齢に伴う変化である。
これにより、エネルギー産生能力が低下し、細胞の老化が進行する。ちなみに、ミトコンドリアとは、細胞内に存在する細胞内小器官で、 ATPの生成やアポトーシス(細胞死)において重要な働きを担っている。
2.× 細胞膜の流動性は、「増加」ではなく減少する。
細胞膜の流動性とは、細胞膜の脂質二重層内でのリン脂質分子の動きである。加齢による細胞内小器官の変化として、核や核小体が大きくなり、核小体に関しては数の増加、ミトコンドリアでは数の減少とその大きさの増加などがみられる。
3.× テロメアは、「増長」ではなく短縮する。
テロメアとは、染色体DNAの末端部分をいい、染色体の構造を安定化するなどの役割をもつ。細胞老化のテロメア説は、細胞分裂を繰り返すとテロメアが端から短縮し、細胞老化が生じるとする説である。
4.× 細胞分裂は、「増加」ではなく低下する。
細胞分裂の可能回数には限界があり、限界まで分裂を繰り返すと分裂を停止し、この分裂の限界に向かう細胞の変化を細胞老化という。
問題105 持久能の運動トレーニングで増加しないのはどれか。
1.最大心拍数
2.最大心拍出量
3.最大酸素摂取量
4.最大動静脈酸素較差
答え.1
解説
1.× 最大心拍数は、持久能の運動トレーニングで増加しない。
なぜなら、最大運動負荷時の心拍数(最大心拍数)は、「220 - 年齢」で示されるため。最大心拍数とは、心臓にかかる負荷が最大の時に、心臓が動くことのできる1分あたりの心拍数の最大数値のことを指す。
2.〇 最大心拍出量
持久能の運動トレーニングで増加する。なぜなら、心臓容積の増大や一回拍出量増加が見られるため。心拍出量は、「1分間の心拍出量(CO)=1回の拍出量(SV)×1分間の心拍数(HR)」と表す。
3.〇 最大酸素摂取量
持久能の運動トレーニングで増加する。肺に対する効果として、①呼吸筋筋力増強による一回換気量の増加、②肺血流量の増加による肺拡散容量増加、③肺容量の増加、④肺胞と肺毛細血管との接触面積増加などがあげられる。全身持久力トレーニング(有酸素運動)は、呼吸筋や肺コンプライアンスを向上させ、運動耐容能を向上につながる。
4.〇 最大動静脈酸素較差
持久能の運動トレーニングで増加する。動静脈酸素交差とは、動脈を流れる血液中の酸素量と静脈中を流れる血液の酸素量の差を表す。つまり、体各組織、特に筋線維が血液中から酸素を抜き取る力である。
1) 骨格筋に対する効果
ミトコンドリア量増加
ミオグロビン含有量増加
ATP含有量増加
グリコーゲン含有量増加
毛細血管密度増大
筋血流量増加
2) 心臓に対する効果
毛細血管密度増大
心臓容積増大
全血液量増加
循環血液量増加
一回拍出量増加
安静時末梢血管抵抗低下
心筋活動量の増加
3) 肺に対する効果
呼吸筋筋力増強による一回換気量の増加
肺血流量の増加による肺拡散容量増加
肺容量の増加
肺胞と肺毛細血管との接触面積増加
4) その他
体脂肪の減少
血中コレステロール量の減少