第30回(R4年)柔道整復師国家試験 解説【午前71~75】

この記事には広告を含む場合があります。

記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。

 

問題71 意識にのぼる深部感覚の伝導路はどれか。

1.1
2.2
3.3
4.4

答え.

解説


1.〇 正しい。1(後索)が、意識にのぼる深部感覚の伝導路である。
意識にのぼる深部感覚の伝導路(振動覚、位置覚の経路)は、「後根 ⇒ 後索(下肢からの線維は薄束を通って薄束核に終わり、上肢からの線維は楔状束を通って楔状束核に終わる) ⇒ 延髄(後索核) ⇒ 毛帯交叉 ⇒ 内側毛帯 ⇒ 視床後外側腹側核 ⇒ 感覚野」となる。

2.× 2(中心管)
中心管とは、脊髄を縦走する脳脊髄液に満ちた領域である。中心管は脳室系に隣接する。中心管は神経管の遺残物である。一般的に中心管は加齢により閉鎖する。

3.× 3(前索)
前索は、錐体路や粗大な触覚・圧覚の伝導路である。
・前皮質脊髄路(錐体路の一部・運動)
大脳皮質—放線冠—内包後脚—中脳の大脳脚—橋縦束—延髄—交叉せずに脊髄前索を下降(10~25%程度)
重要事項①延髄で交差せずに同側に下降すること、②支配はL2まで。
・前脊髄視床路(粗大な触覚・圧覚)
感覚神経→脊髄後角→(交叉)→脊髄前索→視床→後脚→大脳皮質体性知覚野

4.× 4(側索)
側索は、温痛覚・粗大触圧覚の伝導路である。
外側脊髄視床路(温痛覚・粗大触圧覚)
感覚神経→脊髄後角→(交叉)→脊髄側索→視床→後脚→大脳皮質体性知覚野

 

 

 

 

 

問題72 中脳の上丘レベルで脳神経核群をもつのはどれか。

1.外転神経
2.滑車神経
3.顔面神経
4.動眼神経

答え.

中脳と橋、延髄にある脳神経核

【中脳】
Ⅲ:動眼
Ⅳ:滑車

【橋】
Ⅴ:三叉
Ⅵ:外転
Ⅶ:顔面
Ⅷ:前庭

【延髄】
Ⅸ:舌咽神経
Ⅹ:迷走神経
Ⅺ:副神経
Ⅻ:舌下神経

1.3.× 外転神経/顔面神経
橋レベルで脳神経核群をもつ。

2.× 滑車神経
中脳の下丘下部レベルで脳神経核群をもつ。

4.〇 正しい。動眼神経は、中脳の上丘レベルで脳神経核群をもつ。

(図引用:中脳断面図 Wikiより)

 

 

 

 

 

問題73 副交感性線維を含む脳神経はいくつか。

1.3
2.4
3.5
4.6

答え.

解説

自律神経機能をもつ脳神経の覚え方

自律神経機能をもつ脳神経は「港区」
(み(Ⅲ)、な(Ⅶ)、と(Ⅹ)、く(Ⅸ)番の脳神経)と覚える。
Ⅲ:動眼神経(縮瞳)
Ⅶ:顔面神経(涙腺、唾液腺)
Ⅹ:迷走神経(消化管、心臓)
Ⅸ:舌咽神経(耳下腺)

したがって、選択肢2.4個が副交感性線維を含む脳神経の数である。

 

 

 

 

 

問題74 右の反回神経が反回する動脈はどれか。

1.頸動脈
2.鎖骨下動脈
3.腕頭動脈
4.大動脈

答え.

解説

MEMO

反回神経とは、胸腔内で迷走神経から分枝した神経で、右は鎖骨下動脈、左は大動脈弓(正確には動脈管索)を前方から後方へ回り、気管と食道の間の溝を通って喉頭へ行く。気管には気管枝、食道には食道枝を送る。

1.× 頸動脈
頸動脈とは、大脳に血液を送る血管である。胸部大動脈から、総頸動脈という血管が脳へ向かい、頸部にて、脳に血液を送る内頸動脈と、顔面に流れる外頸動脈に分かれる。

2.〇 正しい。鎖骨下動脈は、右の反回神経が反回する動脈である。
鎖骨下動脈とは、椎骨動脈(脳幹や小脳を栄養する血管)を分岐した後、上肢の血管となっていく動脈である。

3.× 腕頭動脈
腕頭動脈とは、右胸鎖関節の後方より「右総頚動脈」と「右鎖骨下動脈」へとつながっている動脈のことである。

4.× 大動脈
大動脈(弓)は、左の反回神経が反回する動脈である。

反回神経とは?

反回神経は、運動神経、知覚神経を含む混合神経で声帯や嚥下機能を司っている。前枝は喉頭粘膜、声帯裂、甲状披裂筋、外側輪状披裂筋に分布する。後枝は後輪状披裂筋、横披裂筋、斜披裂筋に分布する。喉から胸にかけて走行する。

反回神経の枝は喉頭や声帯に分布し、障害により嗄声を生じる。反回神経は、右が鎖骨下動脈を、左が大動脈弓を前方から後方へ回り、この周囲に癌が浸潤することで嗄声が生じる。嗄声とは、声帯を振動させて声を出すとき、声帯に異常が起こり「かすれた声」になっている状態である。嗄声の原因は、①声帯自体に問題がある場合と、②声帯を動かす神経に問題がある場合がある。

 

 

 

 

 

問題75 仙骨神経由来はどれか。

1.陰部大腿神経
2.外側大腿皮神経
3.後大腿皮神経
4.大腿神経

答え.

解説

MEMO

腹部から下肢に分布する脊髄神経は、腰神経叢と仙骨神経叢とを形成する。腰神経叢は、T12~L4の前枝で構成され、その枝は腹部から大腿前面に分布する。一方、仙骨神経叢は、L4~S4前枝から構成され、その枝は腰部~大腿後面と下肢~足部に分布する。

腰神経叢:①腸骨下腹神経、②腸骨鼠経神経、③外側大腿皮神経、④大腿神経、⑤陰部大腿神経、⑥閉鎖神経

仙骨神経叢:①上殿神経、②下殿神経、③坐骨神経、④後大腿皮神経、⑤陰部神経

1~2.4.× 陰部大腿神経/外側大腿皮神経/大腿神経
腰神経由来である。
腰神経叢は、T12~L4の前枝で構成され、その枝は腹部から大腿前面に分布する。

3.〇 正しい。後大腿皮神経は、仙骨神経由来である。
仙骨神経叢は、L4~S4前枝から構成され、その枝は腰部~大腿後面と下肢~足部に分布する。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)