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問題81 酸塩基平衡で二酸化炭素の体外への排出低下によって起こるのはどれか。
1.呼吸性アシドーシス
2.呼吸性アルカローシス
3.代謝性アシドーシス
4.代謝性アルカローシス
答え.1
解説
1.〇 正しい。呼吸性アシドーシスは、酸塩基平衡で二酸化炭素の体外への排出低下によって起こる。
呼吸性アシドーシスとは、換気が低下することが原因で、CO2が体内に蓄積している状態である。
2.× 呼吸性アルカローシス
CO2排出が亢進するとpHは上昇して呼吸性アルカローシスとなる。
3.× 代謝性アシドーシス
代謝性アシドーシスとは、HCO₃⁻(重炭酸イオン)が低下している状態である。重炭酸イオンを含んだ膵液や胆汁の喪失、腎臓での再吸収障害、体内の酸性物質が過剰になり、その中和のための消費増大によって起こる。代償として、CO₂を排出する呼吸代償(呼吸性アルカローシス)が起こる。
4.× 代謝性アルカローシス
代謝性アルカローシスは、嘔吐などで起こる。嘔吐により胃液(酸性)が失われ、HCO3−が高値となるのが特徴である。
問題82 骨格筋線維で正しいのはどれか。
1.自動性がある。
2.複数の核をもつ。
3.自律神経が支配する。
4.ギャップ結合で連絡する。
答え.2
解説
(※図引用:「筋の分類(骨格筋、心筋、平滑筋)」もりもと塾HPより)
1.× 自動性がある。
これは、心筋の特徴である。心筋は、自動性があり、洞房結節から始まった興奮によって収縮が引き起こされる。
2.〇 正しい。複数の核をもつ。
なぜなら、骨格筋線維は、複数の筋線維細胞が融合することで形成されるため。これにより、骨格筋は効率的に収縮し、力を発揮することができる。一方、心筋や平滑筋は単核(1つ)である。
3.× 自律神経が支配する。
これは、心筋や平滑筋の特徴である。骨格筋は、運動神経(体性神経:Aα)によって支配されている。
4.× ギャップ結合で連絡する。
ギャップ結合とは、細胞の介在板にみられる構造で、直径2nmの通路を隣接する細胞間で形成し、その通路をイオンや小分子が通過し、心筋の同期性収縮(繰り返される収縮のこと)に寄与していることである。これは心筋や平滑筋に見られ、この結合を介して興奮伝導が行われる。
問題83 強度の運動を続けると筋肉で増加するのはどれか。
1.乳酸
2.グルコース
3.グリコーゲン
4.クレアチンリン酸
答え.1
解説
クエン酸回路(TCA回路、クレブス回路、トリカルボン酸回路)とは、ミトコンドリアでアセチルCoAが二酸化炭素と水へと酸化されATPを生成する。グルコース→ピルビン酸→アセチルCoA→【クエン酸回路】(オキサロ酢酸)+クエン酸→イソクエン酸→α-ケトグルタル酸→サクシニルCoA→コハク酸→フマル酸→リンゴ酸→オキサロ酢酸となる。
1.〇 正しい。乳酸は、強度の運動を続けると筋肉で増加する。
乳酸とは、カラダを動かすエネルギーを作るため糖を分解している際にできる生成物で、その名の通り酸性である。筋疲労時には乳酸が蓄積する。解糖系とは、生体内に存在する生化学反応経路の名称であり、グルコースをピルビン酸などの有機酸に分解し、グルコースに含まれる高い結合エネルギー(ATP)を生物が使いやすい形に変換していくための代謝過程である。グルコースから生じたピルビン酸は、還元され最終産物として乳酸になる。このグルコースから乳酸への変換経路は、酸素の関与なしに起こりうるので、嫌気的代謝(解糖)と呼ばれる。
2.× グルコース
グルコースとは、果物や穀類などに多く含まれ、自然界に最も多く存在する単糖類である。
3.× グリコーゲン
グリコゲーンとは、多糖類の一種で、エネルギーを貯蔵し人間の活動に欠かせないものである。普段は、肝臓や骨格筋等に蓄えられており、急激な運動を行う際のエネルギー源として、あるいは空腹時の血糖維持に利用される
4.× クレアチンリン酸
ATP-CP系とは、筋内のクレアチンがリン酸と結合してクレアチンリン酸となり、ADPにリン酸を与えることでATPを再合成するという働きを担っている。しかし、クレアチンリン酸の貯蔵量も限られており、ATP-CP系の持続時間は8秒未満である。
【筋収縮の機序】
①筋小胞体から放出されたCa2+がトロポニンと結合する。
②ATPエネルギーを利用したミオシンの頭部首振り運動が起こる。
③アクチンフィラメントを引き寄せながらミオシンフィラメント上を滑走して筋収縮が起こる。
【運動による筋疲労によって起こる事象】
①代謝産物の蓄積(乳酸の増加やpHの低下)
②エネルギー供給率の低下(ATP低下、ADP増加、グリコーゲン低下)
③興奮収縮連関不全(筋小胞体へのCa2+取り込み低下)
問題84 大脳皮質領野と損傷症状の組合せで正しいのはどれか。
1.前頭連合野:視覚失認
2.頭頂連合野:半側空間失認
3.側頭連合野:自発運動の減少
4.ウェルニッケ野:運動性失語
答え.2
解説
【前頭葉障害の主症状】
・遂行機能障害
・易疲労性
・意欲・発動性の低下
・脱抑制・易怒性
・注意障害
・非流暢性失語
1.× 前頭連合野:視覚失認
前頭連合野が障害されると、主に遂行機能障害、易疲労性、意欲・発動性の低下などがみられる。ちなみに、視覚失認は、後頭葉の障害で起こる。左後頭葉の視覚前野から側頭葉の側頭連合野にかけての障害で生じる。視覚失認とは、視覚を介して対象を認知することができなくなる症状である。聴覚や触覚など、別の感覚様式からの情報では認知することは可能である。
2.〇 正しい。頭頂連合野:半側空間失認
半側空間無視(大脳半球の障害により一側からの情報を認識できなくなる症状)とは、劣位半球頭頂葉の障害でみられる。ちなみに、優位半球の頭頂連合野(角回)が障害されると、Gerstmann症候群(ゲルストマン症候群)が起こる。症状として、①手指失認、②左右失認、③失算、④失書などである。
3.× 側頭連合野:自発運動の減少
側頭連合野の障害により、視覚失認が起こる。視覚失認とは、視覚を介して対象を認知することができなくなる症状である。聴覚や触覚など、別の感覚様式からの情報では認知することは可能である。ちなみに、自発運動の減少は、前頭連合野の障害で起こる。
4.× ウェルニッケ野:運動性失語
ウェルニッケ野の障害により、感覚性失語が起こる。話し方は滑らかであるが、言い間違いが多かったり、言葉が支離滅裂になったりして、自分の言いたいことが思うように伝えられなくなってしまうという特徴がある。したがって、復唱・言語理解は不良、言葉の流暢性は良好である。失語は、優位半球の前頭葉(ブローカ野)や側頭葉(ウェルニッケ野)の障害で起こる。失語とは、読む、書く、話す、聞くなどの言語機能が失われた状態である。
問題85 除脳固縮でみられるのはどれか。
1.屈曲反射の亢進
2.伸張反射の亢進
3.α運動ニューロンの抑制
4.γ運動ニューロンの抑制
答え.2
解説
除脳姿勢(除脳反応、除脳硬直、伸展肢位など)とは、外部刺激に対する上肢の不随意的な伸展と表現される。頭部伸展位、上肢は両脇に沿って伸展し下肢も伸展する。肘関節伸展することが多い。【機序】 全身の筋に対するγ運動ニューロンの活動性が亢進する。全身の筋紡錘の感度が上昇し、全身の筋紡錘が刺激される。全身の筋で伸張反射が亢進・屈曲反射の消失四肢を伸ばし、頚を立てた姿勢で固縮がみられる。
1.× 屈曲反射の亢進はみられない。
頭部伸展位、上肢は両脇に沿って伸展し下肢も伸展する。肘関節伸展することが多い。
屈曲反射とは、四肢の皮膚に強い刺激(痛み刺激)を加えると、その肢が屈曲する反射である。
2.〇 正しい。伸張反射の亢進は、除脳固縮でみられる。
頭部伸展位、上肢は両脇に沿って伸展し下肢も伸展する。肘関節伸展することが多い。
伸張反射とは、単シナプス性で、筋紡錘に存在する一次終末から、Ⅰa群神経線維を介して、α運動神経にシナプスを形成する。他動関節可動域運動は、筋が収縮(関節運動の阻害)しないようゆっくり動かすのが基本である。
3.× α運動ニューロンの抑制はみられない。
伸張反射は、筋紡錘(錘内筋線維)に存在する一次終末からのIa線維を介してα運動ニューロンにシナプスを形成するもので、単シナプス性の反射経路をとる。筋を伸張すると筋紡錘も引き伸ばされ、感覚神経の終末が変形する。この機械的刺激が感覚神経に求心性発射活動を引き起こす。
4.× γ運動ニューロンは、「抑制」ではなく亢進する。
除脳固縮の機序として、全身の筋に対するγ運動ニューロンの活動性が亢進する。全身の筋紡錘の感度が上昇し、全身の筋紡錘が刺激される。全身の筋で伸張反射が亢進・屈曲反射の消失四肢を伸ばし、頚を立てた姿勢で固縮がみられる。