第31回(R5年)柔道整復師国家試験 解説【午前76~80】

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問題76 耳下腺を支配しているのはどれか。

1.動眼神経
2.顔面神経
3.舌咽神経
4.迷走神経

答え.3

解説
1.× 動眼神経
動眼神経は、上直筋・下直筋・内側直筋・下斜筋を支配する。上斜筋は滑車神経、外側直筋は外転神経が支配する。動眼神経支配の上眼瞼挙筋を外眼筋に含めることもある。

2.× 顔面神経
顔面神経は、表情筋の運動、涙腺や口蓋腺などの分泌作用制御の副交感神経、および味覚を司る感覚神経を含む混合神経である。したがって、顔面神経の障害により、顔面表情筋の障害、角膜反射低下、聴覚過敏、味覚低下(舌前2/3)、涙分泌低下、唾液分泌低下などが起こる。

3.〇 正しい。舌咽神経は、耳下腺を支配している。
舌咽神経は、舌の後1/3の知覚・味覚、咽頭の大部分の感覚(咽頭口から下方のみ迷走神経)を伝える。

4.× 迷走神経
迷走神経とは、感覚神経・運動神経の一つである。嚥下運動や声帯の運動、耳介後方の感覚などに作用する。内臓(胃、小腸、大腸や心臓、血管など)に多く分布し、体内の環境をコントロールしている。刺激すると徐脈、咳、嘔吐などを生じる。強い痛みや精神的ショックなどが原因で、迷走神経が過剰に反応すると、心拍数や血圧の低下、失神などを引き起こす(迷走神経反射)。

眼球運動の筋と支配神経

【眼球運動:筋】
外側:外直筋
内側:内直筋
外上方:外直筋+上直筋
内上方:内直筋+下斜筋
外下方:外直筋+下直筋
内下方:内直筋+上斜筋

【支配神経】
①動眼神経:内側直筋・上直筋・下直筋・下斜筋
②滑車神経:上斜筋
③外転神経:外側直筋

 

 

 

 

 

問題77 皮膚の内部構造物と部位の組み合わせで正しいのはどれか。

1.アポクリン汗腺:表皮
2.エクリン汗腺:真皮
3.パチニ小体:真皮
4.マイスナー小体:皮下組織

答え.2

解説

(※図引用:「皮膚に分布するヒトの触覚センサー、指の表面変形を捉える」著:田中 由浩)

1.× アポクリン汗腺は、「表皮」ではなく真皮である。
主に脇や陰部などに存在する。

2.〇 正しい。エクリン汗腺は、真皮である。
エクリン腺は全身の皮膚に分布する。エクリン腺は口唇・亀頭・陰唇を除く全身の皮膚に分布する。手掌・足底・額に特に多い。エクリン汗の成分はアポクリン腺からの汗(アポクリン汗)に比べて薄い。

3.× パチニ小体は、「真皮」は皮下組織である。
皮膚の感覚受容器で、振動や圧力を感知する。

4.× マイスナー小体は、「皮下組織」ではなく真皮である。
皮膚の感覚受容器で、触覚を感知する。

 

 

 

 

 

問題78 眼球に付着しないのはどれか。

1.上斜筋
2.下直筋
3.外側直筋
4.上眼瞼挙筋

答え.4

解説

眼球運動の筋と支配神経

【眼球運動:筋】
外側:外直筋
内側:内直筋
外上方:外直筋+上直筋
内上方:内直筋+下斜筋
外下方:外直筋+下直筋
内下方:内直筋+上斜筋

【支配神経】
①動眼神経:内側直筋・上直筋・下直筋・下斜筋
②滑車神経:上斜筋
③外転神経:外側直筋

1.〇 上斜筋/下直筋/外側直筋
眼球の外側に付着し、眼球運動に作用する。

4.× 上眼瞼挙筋は、眼球に付着しない。
開眼運動に寄与する。上眼瞼挙筋が収縮すると、腱膜に引っ張られるようにして瞼板が持ち上がりまぶたを開く。ちなみに、上眼瞼挙筋は、途中から薄い膜状の腱膜となり、まぶたの先端部分にある瞼板という板状の組織の前面に付着している。

 

 

 

 

 

問題79 平衡斑があるのはどれか。

1.前庭
2.蝸牛管
3.鼓室階
4.半規管

答え.1

解説

(※画像引用:やまだカイロプラクティック院様)

1.〇 正しい。前庭は、平衡斑がある。
平衡斑は、体の動きに合わせて絶えずバランスを保ち、まっすぐに体を保てるように働き続ける役割を持つ。平衡斑とは、上から、耳石層、ゼラチン層、クプラ下層の3層構造からなっている。最下層(クプラ下層)に有毛細胞が並んでおり、その上をゼラチン状の物質が覆い、最上層に炭酸カルシウムの結晶が載っている。この炭酸カルシウムの結晶を平衡砂(または耳石)といい、ゼラチン状の物質は平衡砂膜(または耳石膜)と呼ばれている。

2.× 蝸牛管
内耳に位置する。螺旋状の構造で、聴覚に関連する。

3.× 鼓室階
中耳に位置する。空気を含んだ空間で、鼓膜と聴小骨(槌骨、砧骨、琴柱)が音振動を伝達する。

4.× 半規管
内耳の前庭に位置する。回転加速度を感知する。

 

 

 

 

 

問題80 肩、臀部における筋肉注射で正しいのはどれか。

1.尺骨神経損傷に注意する。
2.肩峰より5横指下に注射する。
3.下臀動脈損傷に注意する。
4.臀部の下外側1/4に注射する。

答え.3

解説
1.× 尺骨神経損傷に注意する必要はない
なぜなら、尺骨神経は肘の尺側を走行しているため。肩における筋肉注射において、注意するべき神経は腋下神経である。

2.× 肩峰より「5横指下」ではなく3横指下に注射する。
三角筋中央の位置で行う。

3.〇 正しい。下臀動脈損傷に注意する
臀部での筋肉注射は、通常、腸骨稜最後部の線から外側上方に45度で引いた1/4で注射する(四分三分法)。この領域は、重要な神経や血管がなく、便や尿などで汚染されにくい特徴はあるものの、下臀動脈損傷に注意する必要がある。

4.× 臀部の「下外側」ではなく上外側1/4に注射する。
臀部での筋肉注射は、通常、腸骨稜最後部の線から外側上方に45度で引いた1/4で注射する(四分三分法)。

 

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