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問題6 成人の定型的鎖骨骨折ですべての固定を除去できる期間はどれか。
1.5~6週間
2.8~9週間
3.11~12週間
4.14~15週間
答え.2
解説
2.〇 正しい。8~9週間が、成人の定型的鎖骨骨折ですべての固定を除去できる期間である。固定期間は、乳幼児では2~3週間、小中学生では4~6週間程度で、低年齢児ほど短い。しかし、成人では骨折部の短縮や粉砕が強いと偽関節で痛みや不安定感を生じたり、たとえ骨がついても短縮し変形が残ったままだと痛みや運動制限などの機能障害を生じるおそれがある。したがって、骨折の程度により、保存療法より手術療法を行った方がいい場合もある。
(※図引用:北星病院様HPより)
問題7 上腕骨外科頸外転型骨折で誤っているのはどれか。
1.肩峰下に上腕骨骨頭を触知
2.三角筋部の著明腫脹
3.軽度の限局性圧痛
4.軋轢音を触知
答え.3
解説
1.〇 正しい。肩峰下に上腕骨骨頭を触知できる。
なぜなら、骨折により上腕骨骨頭が移動するため。
2.〇 正しい。三角筋部の著明腫脹が起こる。
なぜなら、骨折部位周辺の組織が損傷し、炎症や出血が起こるため。
3.× 軽度の限局性圧痛は起こらない。
なぜなら、上腕骨外科頸外転型骨折では、骨折部位に強い圧痛(疼痛そのもの)が現れることが一般的であるため。骨折部位に強い痛みが生じる。ちなみに、限局性圧痛とは、指で痛めた箇所を軽く押すと骨折部位に限局して圧迫痛を感じることである。
4.〇 正しい。軋轢音を触知できる。
なぜなら、骨折により骨折部位の動きや不安定さを示すため。ちなみに、軋轢音(※読み:あつれきおん)とは、骨折部位が擦れて軋む音をいう。
問題8 上腕骨骨幹部の三角筋付着部より遠位での骨折で転位に直接関係しないのはどれか。
1.三角筋
2.上腕筋
3.上腕二頭筋
4.上腕三頭筋
答え.2
解説
転位とは、骨折などで骨片が本来の位置からずれた状態にあることをいう。骨転位ともいう。
1.〇 三角筋は、転移に関係する。
なぜなら、三角筋は、上腕骨骨幹部の三角筋付着部より近位に位置するため。
【起始】肩甲棘、肩峰、鎖骨の外側部1/3、【停止】上腕骨三角筋粗面、【作用】肩関節外転、前部は屈曲、後部は伸展、【神経】腋窩神経。
2.× 上腕筋は、上腕骨骨幹部の三角筋付着部より遠位での骨折で転位に直接関係しない。
なぜなら、上腕筋は、上腕骨骨幹部の三角筋付着部より遠位に位置するため。
【起始】上腕骨の内側および外側前面の下半、内・外側の筋間中隔、肘関節包前面(広い)、【停止】鈎状突起と尺骨粗面(肘関節包)、【作用】肘関節屈曲、【神経】筋皮神経、外側は橈骨神経
3.〇 上腕二頭筋は、転移に関係する。
なぜなら、骨折部をまたぐため。
【起始】長頭:肩甲骨の関節上結節、短頭:肩甲骨の烏口突起、【停止】橈骨粗面、腱の一部は薄い上腕二頭筋腱膜となって前腕筋膜の上内側に放散、【作用】肘関節屈曲、回外(長頭:肩関節外転、短頭:肩関節内転)、【神経】筋皮神経
4.〇 上腕三頭筋は、転移に関係する。
なぜなら、骨折部をまたぐため。
【起始】内側頭:上腕骨後面の橈骨神経溝の下方の大部分(広い)、両側の筋間中隔、外側頭:上腕骨橈骨神経溝の上方、長頭:肩甲骨の関節下結節、【停止】尺骨の肘頭、【作用】肘関節伸展、肩関節伸展、【神経】橈骨神経
問題9 高齢者の橈骨遠位端骨折で誤っているのはどれか。
1.解剖学的整復が必須である。
2.長期固定は関節機能を障害する。
3.早期から手指の自動運動を行う。
4.発生原因として骨粗鬆症が背景にある。
答え.1
解説
1.× 解剖学的整復が「必須である」とはいえない。
なぜなら、骨折の種類や程度、患者の健康状態や年齢によって、治療法が異なるため。程度によって、非手術的治療(保存療法)や経皮的固定法が選択される。
2.〇 正しい。長期固定は関節機能を障害する。
関節が固定された状態が長期化すると、筋力の低下や関節拘縮が起こり、関節機能が悪化することがある。
3.〇 正しい。早期から手指の自動運動を行う。
手指の運動を開始することで、関節の柔軟性と筋力を維持し、関節機能の回復を促進することができる。
4.〇 正しい。発生原因として骨粗鬆症が背景にある。
骨粗鬆症とは、骨量が減って骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気である。原因として、閉経による女性ホルモンの低下や運動不足・喫煙・飲酒・栄養不足・加齢などである。骨粗鬆症の患者は、わずかな外力でも容易に圧迫骨折(特に胸腰椎)、大腿骨頚部骨折、橈骨遠位端骨折を起こしやすい(※参考:「骨粗鬆症」日本整形外科学会様HPより)。
①内的要因:加齢変化、疾患・障害、使用中の薬物など。
②外的要因:屋内外の生活環境、履き物、衣服など。
【高齢者の転倒による骨折】
①大腿骨近位部骨折
②脊椎圧迫骨折
③上腕骨近位部骨折
④橈骨遠位端骨折
問題10 コーレス(Colles)骨折の手関節固定肢位はどれか。
1.軽度伸展・軽度橈屈位
2.軽度伸展・軽度尺屈位
3.軽度屈曲・軽度橈屈位
4.軽度屈曲・軽度尺屈位
答え.4
解説
・Smith骨折(スミス骨折):Colles骨折とは逆に骨片が掌側に転位する。
・Colles骨折(コーレス骨折):Smith骨折とは逆に骨片が背側に転位する。
・Barton骨折(バートン骨折):橈骨遠位部の関節内骨折である。遠位部骨片が手根管とともに背側もしくは掌側に転位しているものをいう。それぞれ背側Barton骨折・掌側Barton骨折という。
主な治療として、骨転位が軽度である場合はギプス固定をする保存療法、骨転位が重度である場合はプレート固定を行う手術療法である。
選択肢4.軽度屈曲・軽度尺屈位は、コーレス(Colles)骨折の手関節固定肢位である。
なぜなら、骨折部分に適切な圧力をかけ、骨折の治癒を促進できるため。また、この肢位では、関節の機能を維持し、拘縮を防ぐことができる。