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問題116 病理解剖の目的でないのはどれか。
1.生前の疾患の正確な診断
2.疾患の本態解明
3.治療効果の検討
4.犯罪性の立証
解答4
解説
病理解剖とは、病気が原因のご遺体を解剖し、臓器、組織、細胞を直接観察して詳しい医学的検討を行うことをさす。これによってきわめて精度の高い病理診断ができ、死因を正しく理解し、治療の適切性についても検討することができる。
1.〇 生前の疾患の正確な診断は、病理解剖の目的といえる。なぜなら、生前の画像診断や血液検査だけでは確定できなかった病変(例:稀な腫瘍の種類、原因不明の炎症性疾患)を、肉眼や顕微鏡レベルで確認し、最終的な病理診断を確定することができるため。
2.〇 疾患の本態解明は、病理解剖の目的といえる。
・疾患の本態解明とは、病気がどのように発生し、進行し、最終的にどのような状態に至るのか、そのメカニズムや病態生理を深く理解することである。(※病理の「本態」とは、疾病や疾患の本質的な特徴や根源的な原因となる状態を指す)。
3.〇 治療効果の検討は、病理解剖の目的といえる。なぜなら、抗がん剤治療や放射線治療などが、実際に腫瘍の縮小や壊死を引き起こしたのか、あるいは治療にもかかわらず病変が進行していたのかなどを、直接臓器を観察することで確認できるため。
4.× 犯罪性の立証は、「病理解剖」ではなく司法解剖の目的である。
・司法解剖とは、犯罪性のある死体またはその疑いのある死体の死因などを究明するために行われる解剖のことである。
問題117 他覚的所見はどれか。
1.悪心
2.動悸
3.疼痛
4.脾腫
解答4
解説
SOAP(subjective, objective, assessment, plan)とは、叙述的経過記録方式の問題志向型記録のことである。
S=主観的データ(自覚症状などの患者の訴え)
O=客観的データ(他覚所見:診察所見・血液検査・検査所見)
A=評価(S・Oをもとにした患者の状態の評価・考察)
P=計画(Aをもとにした今後の検査・治療・患者教育の計画・方針)
で、経過を記録する。
1.× 悪心は、主観的所見である。
・悪心とは、吐き気やむかつきといった不快な感覚のことである。
2.× 動悸は、主観的所見である。
・動悸とは、心臓の拍動を自覚すること、つまり「心臓がドキドキする」「脈が飛ぶ」といった、患者自身が感じる不快な感覚のことである。
3.× 疼痛は、主観的所見である。
・疼痛とは、痛みという不快な感覚のことである。
4.〇 正しい。脾腫は、他党的所見である。
・脾腫とは、何らかの疾患の症状として、脾臓が腫大している状態を指す。これは、医師が患者の腹部を触診したり、超音波検査やCTスキャンなどの画像診断を行ったりすることで、客観的にその存在や大きさを確認する。
問題118 メタボリックシンドローム症候群の診断基準項目はどれか。2つ選べ。
1.血圧
2.血糖
3.肝機能
4.皮下脂肪量
解答1・2
解説
メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪の蓄積を基盤とし、動脈硬化の危険因子を複数合併した状態のことである。
【診断基準】
①腹部肥満(ウエストサイズ 男性85cm以上 女性90cm以上)
②中性脂肪値(HDLコレステロール値 中性脂肪値 150mg/dl以上、HDLコレステロール値 40mg/dl未満のいずれか、または両方)
③血圧(収縮期血圧130mmHg以上、拡張期血圧85mmHg以上のいずれか、または両方)
④血糖値(空腹時血糖値110mg/dl以上)
1.〇 正しい。血圧は、メタボリックシンドローム症候群の診断基準項目である。
診断基準項目③:血圧(収縮期血圧130mmHg以上、拡張期血圧85mmHg以上のいずれか、または両方)に該当する。
2.〇 正しい。血糖は、メタボリックシンドローム症候群の診断基準項目である。
診断基準項目④:血糖値(空腹時血糖値110mg/dl以上)に該当する。
3.× 肝機能は、脂肪肝やアルコール性肝障害に関連する項目である。
4.× 「皮下脂肪量」ではなく腹部肥満(内臓脂肪)がメタボリックシンドローム症候群と関連する。
問題119 萎縮と臟器の組合せで正しいのはどれか。
1.圧迫性萎縮:肝臓
2.神経性萎縮:副腎
3.無為性萎縮:腎臟
4.内分泌性萎縮:胸腺
解答1
解説
1.〇 正しい。圧迫性萎縮:肝臓
・圧迫性萎縮とは、臓器が外部からの持続的な圧力によって血流障害や栄養供給の不足を起こし、その結果として細胞や組織が縮小する状態を指す。
・肝臓は、腹部に位置する大きな臓器であり、様々な原因で圧迫を受ける可能性がある。例えば、肝臓の内部にできる巨大な嚢胞や腫瘍、あるいは隣接する臓器の腫大(例:腎臓の巨大な嚢胞)などが、肝臓の一部を持続的に圧迫することで、その部分の肝細胞が萎縮する。
2.× 神経性萎縮:副腎
・神経性萎縮とは、神経支配が失われたり、神経の機能が障害されたりすることで、その神経が支配する組織(特に筋肉)が萎縮することを指す。神経性萎縮の最も典型的な例は、筋萎縮である。例えば、脊髄損傷や末梢神経の損傷によって神経支配を失った筋肉は、使用されなくなり、急速に萎縮する。
3.× 無為性萎縮:腎臟
・無為性萎縮とは、臓器や組織が使われなくなる(機能が低下する)ことによって生じる萎縮を指す。無為性萎縮の典型的な例は、ギプスで固定された手足の筋肉の萎縮である(廃用性)。長期間使用しないことで筋肉量が減少する。
4.× 内分泌性萎縮:胸腺
・内分泌性萎縮とは、あるホルモンの分泌が不足することによって、そのホルモンによって刺激される臓器が萎縮することを指す。内分泌性萎縮の典型的な例は、下垂体機能低下による副腎皮質の萎縮(ACTHの不足)、性腺機能低下による乳腺や子宮の萎縮などが挙げられる。
・胸腺は、思春期以降に生理的に退縮(萎縮)する臓器である。したがって、加齢に伴う「生理的萎縮」または「退縮」が該当する。
問題120 疾患と原因の組合せで正しいのはどれか。
1.壊血病:ビタミンK欠乏
2.血友病A:第Ⅷ因子欠乏
3.新生児メレナ:ビタミンC欠乏
4.特発性血小板減少性紫斑病:血管壁脆弱
解答2
解説
1.× 壊血病:ビタミンK欠乏
・壊血病とは、ビタミンC欠乏が原因で起こる結合組織の異常から毛細血管が脆弱化して出血しやすくなる病気である。
2.〇 正しい。血友病A:第Ⅷ因子欠乏
・血友病とは、血液を固めるのに必要な「血液凝固因子(第Ⅷ因子または第Ⅸ因子)が不足・活性低下する病気のことである。伴性劣性遺伝(男児に多い)で、生まれつき発症することがほとんどであるため、幼少期から①些細なことで出血する、②出血が止まりにくいといった症状が繰り返される。治療として、凝固因子製剤の投与、関節拘縮・筋力低下に対するリハビリテーションが行われる。
・血友病A:第Ⅷ凝固因子の活性低下
・血友病B:第Ⅸ凝固因子の活性低下
3.× 新生児メレナ:ビタミンC欠乏
・新生児メレナとは、生後数日以内の赤ちゃんに黒色便(タール状の便)が見られる状態で、消化管からの出血が原因である。主にビタミンK不足による出血性疾患で起こる。早期発見とビタミンK投与が重要である。
4.× 特発性血小板減少性紫斑病:血管壁脆弱
特発性血小板減少性紫斑病とは、血液中の血小板が減少することにより出血しやすくなる病気である。原因は不明であるが、体の中の免疫反応が過剰になり、自分の血小板を攻撃してしまうために、血小板が減少するといわれている。