第33回(R7年)柔道整復師国家試験 解説【午前71~75】

 

問題71 感覚性言語中枢が局在するのはどれか。

1.前頭葉
2.頭頂葉
3.側頭葉
4.後頭葉

解答

解説

感覚性言語中枢とは?

ウェルニッケ野とは、大脳皮質にある言語活動をつかさどる中枢で、感覚性言語中枢の役割は、言葉を聞き取って理解したり字を読んだりする。

1.× 前頭葉は、運動性言語中枢であるブローカ野がある。運動野とは、論理的思考を制御する領域である。前頭葉障害の主症状として、①遂行機能障害、②易疲労性、③意欲・発動性の低下、④脱抑制・易怒性、⑤注意障害、⑥非流暢性失語等が挙げられる。

2.× 頭頂葉とは、頭のてっぺんのやや後ろの部分に位置し、体性感覚や空間認識をつかさどる。

3.〇 正しい。側頭葉は、感覚性言語中枢が局在する。ほかにも、側頭葉は、脳の側面を占める脳領域で、視覚や聴覚などの認知機能や記憶をつかさどる。

4.× 後頭葉は、主に視覚情報の処理を担当する。

 

 

 

 

 

問題72 舌の運動を支配するのはどれか。

1.三叉神経
2.顏面神経
3.舌咽神経
4.舌下神経

解答

解説

(※図引用:「イラストでわかる歯科医学の基礎 第4版 」永未書店HPより)

1.× 三叉神経とは、咀嚼運動にかかわる脳神経である。三叉神経は、主に咀嚼筋の咀嚼運動と顔面の皮膚感覚を司る。運動神経と感覚神経を含む。

2.× 顏面神経とは、表情筋の運動、涙腺や口蓋腺などの分泌作用制御の副交感神経、および味覚を司る感覚神経を含む混合神経である。したがって、顔面神経の障害により、顔面表情筋の障害、角膜反射低下、聴覚過敏、味覚低下(舌前2/3)、涙分泌低下、唾液分泌低下などが起こる。

3.× 舌咽神経とは、知覚・運動・分泌を受けもつ混合神経で、舌の後部3分の1の感覚や咽頭筋の運動を支配する。 また分泌線維は耳下腺に分布し、唾液の分泌を司る。 鼓室粘膜の知覚もこの神経が支配する。

4.〇 正しい。舌下神経は、舌の運動を支配する。

舌は運動神経および知覚神経

味覚:舌の前2/3「顔面神経」、後1/3「舌咽神経」、喉頭蓋を迷走神経が司っている。

知覚(痛覚):舌の前2/3「三叉神経」、後1/3「舌咽神経」が司っている。

顔面神経傷害:障害側の舌の前2/3に味覚障害が生じる。

 

 

 

 

 

問題73 横隔神経の構成要素になるのはどれか。

1.第1頸神経
2.第4頸神経
3.第7頸神経
4.第1胸神経

解答

解説

横隔膜とは?

横隔膜とは、胸郭と腹郭を分ける筋膜性の膜であり、縦郭の境界をなしている。他にも、横隔膜の役割は、呼吸に関与する。

横隔膜の【起始】胸郭下口の全周で、腰椎部、肋骨部、胸骨部の3部からなる。①腰椎部は、内側脚:第1~4腰椎体、外側脚:内側弓状靭帯と外側弓状靭帯、②肋骨部は、第7~12肋軟骨(肋骨弓部)の内面、③胸骨部は、剣状突起。一部は腹横筋腱膜の内面、【停止】腱中心、【作用】その収縮によって円蓋を下げ、胸腔を広げる(吸息)、【支配神経】横隔神経と副横隔神経(30~40%で欠如)である。

・横隔膜付近の孔に通過するもの
大動脈裂孔:下行大動脈、奇静脈、胸管、交感神経(大・小内臓神経など)
大静脈孔:下大静脈、右横隔神経
食道裂孔:食道、迷走神経、左横隔神経

1.× 第1頸神経は、主に後頭下筋群や舌下神経のループ(頸神経ワナ)の一部に関与する。

2.〇 正しい。第4頸神経は、横隔神経の構成要素になる。
・横隔神経とは、第四頚神経を中心に構成され、首から縦隔を通って横隔膜にいたる。横隔神経は、運動神経、感覚神経、交感神経の線維を含む。 横隔膜は、この神経のみで運動と感覚を支配されている。感覚神経は、腱中心からの情報を受け取る。胸郭においては、縦隔胸膜と心膜に枝を出す。

3.× 第7頸神経は、主に腕神経叢の形成に寄与し、上肢の運動や感覚に関わる重要な神経である。

4.× 第1胸神経は、腕神経叢の形成に寄与するとともに、肋間神経として胸壁の筋肉や感覚を支配する。

 

 

 

 

 

問題74 神経叢と支配筋の組合せで正しいのはどれか。

1.頸神経叢:肩甲挙筋
2.腕神経叢:僧帽筋
3.腰神経叢:恥骨筋
4.仙骨神経:外閉鎖筋

解答

解説
1.× 肩甲挙筋は、「頸神経叢のみ」ではなく頸神経叢の枝と肩甲背神経である。
・肩甲挙筋の【起始】第1~(3)4頸椎の横突起後結節、【停止】肩甲骨の上角と内側縁の上部、【作用】肩甲骨を内上方に引く、【支配神経】頸神経叢の枝と肩甲背神経:C2~C5である。

2.× 僧帽筋は、「腕神経叢」ではなく副神経(外枝)と頸神経叢の筋枝である。
・僧帽筋の【起始】後頭骨上項線、外後頭隆起、項靭帯、第7頸椎以下全胸椎の棘突起および棘上靭帯、【停止】肩甲骨の肩甲棘と肩峰の上縁および鎖骨外側1/3(三角筋の起始範囲とほぼ同じ)、【作用】上部:肩甲骨と鎖骨の肩峰端を内上方にあげる。中部:肩甲骨を内側に引く。下部:肩甲骨を内下方に引き下げると同時にその下角を外側に回旋する、【神経】副神経(外枝)と頸神経叢の筋枝である。

3.〇 正しい。腰神経叢:恥骨筋
・恥骨筋の【起始】恥骨櫛、恥骨筋膜、【停止】恥骨筋線、【作用】股関節内転、屈曲、【神経】大腿神経、閉鎖神経前枝:L2,L3である。
大腿神経、閉鎖神経前枝は、腰神経叢である(※下参照)。

4.× 外閉鎖筋は、「仙骨神経」ではなく閉鎖神経である。
・外閉鎖筋の【起始】閉鎖膜の外面とそのまわり、【停止】大腿骨転子窩、【作用】股関節外旋、内転、【神経】閉鎖神経:L3,L4である。

腰神経叢

腹部から下肢に分布する脊髄神経は、腰神経叢と仙骨神経叢とを形成する。腰神経叢は、T12~L4の前枝で構成され、その枝は腹部から大腿前面に分布する。一方、仙骨神経叢は、L4~S4前枝から構成され、その枝は腰部~大腿後面と下肢~足部に分布する。

腰神経叢:①腸骨下腹神経、②腸骨鼠経神経、③外側大腿皮神経、④大腿神経、⑤陰部大腿神経、⑥閉鎖神経

仙骨神経叢:①上殿神経、②下殿神経、③坐骨神経、④後大腿皮神経、⑤陰部神経

 

 

 

 

 

問題75 筋皮神経の枝はどれか。

1.後上腕皮神経
2.内側上腕皮神経
3.外側前腕皮神経
4.内側前腕皮神経

解答

解説


1.× 後上腕皮神経は、橈骨神経の枝である。

2.× 内側上腕皮神経は、尺骨神経の枝である。

3.〇 正しい。外側前腕皮神経は、筋皮神経の枝である。

4.× 内側前腕皮神経は、腕神経叢の内側神経束から直接分岐する。

 

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