問題66 胸膜腔の説明で正しいのはどれか。
1.肺と肺胸膜の間
2.左右の肺胸膜の間
3.左右の壁側胸膜の間
4.肺胸膜と壁側胸膜の間
解答4
解説
胸膜腔とは、肺表面を覆う臓側胸膜と胸壁内面を覆う壁側胸膜に囲まれた空間のことである。縦隔とは、左右の肺(胸膜腔)と胸椎・胸骨に囲まれた部分を指す。手術部位である心臓や大血管の周囲に感染を発症し、膿が貯留する。それらの臓器に由来してできる腫瘍を「縦隔腫瘍」といい、①上縦隔、②前縦隔、③中縦隔、④後縦隔の4つの区画に分けられる。
1.× 肺と肺胸膜の間は、直接密着している。したがって、肺と肺胸膜の間には実質的な空間は存在しない。
2.× 左右の肺胸膜の間は、縦隔という空間である。
3.× 壁側胸膜とは、胸壁の内側を覆う薄い膜である。肺を覆うのは臓側胸膜、胸壁を覆うのが壁側胸膜である。
4.〇 正しい。肺胸膜と壁側胸膜の間が、胸膜腔である。
問題67 子宮で正しいのはどれか。
1.直腸の後面に位置する。
2.子宮底は膣に包まれる。
3.子宮頸に卵管が開口する。
4.子宮体に粘膜が存在する。
解答4
解説
(図引用:「女性器の解剖と整理」医学出版様より)
1.× 直腸の「後面」ではなく前面に位置する(※上図参照)。
2.× 「子宮底」ではなく子宮頸部は膣に包まれる。子宮底とは、子宮の一番上の部分、つまり子宮の頭頂部を指す。
3.× 「子宮頸」ではなく子宮底に卵管が開口する。卵管とは、卵巣から卵子を子宮へと運ぶ管であり、子宮の最も上部である子宮底付近に開口する。
4.〇 正しい。子宮体に粘膜が存在する。これを子宮内膜という。この粘膜は、月経周期に合わせて厚みを増し、受精卵が着床する際のベッドのような役割を担う。
問題68 卵胞刺激ホルモンを分泌するのはどれか。
1.視床下部
2.下垂体前葉
3.副腎皮質
4.卵巣
解答2
解説
卵胞刺激ホルモンとは、卵胞期に増加する。卵胞刺激ホルモンは、脳下垂体前葉から合成・分泌される。卵胞刺激ホルモンと黄体形成ホルモンを性腺刺激ホルモンと呼ぶ。卵胞刺激ホルモンは、卵巣の卵胞の成熟を促進し、エストロゲンの分泌を刺激する。
1.× 視床下部とは、間脳に位置し、内分泌や自律機能の調節を行う総合中枢である。 ヒトの場合は脳重量のわずか0.3%、4g程度の小さな組織であるが、多くの神経核から構成されており、体温調節やストレス応答、摂食行動や睡眠覚醒など多様な生理機能を協調して管理している。つまり、視床下部は自律神経の最高中枢である。
・視床下部ホルモンのうち放出ホルモンは、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン、性腺刺激ホルモン放出ホルモン、成長ホルモン放出ホルモン、プロラクチン放出ホルモンおよびメラニン細胞刺激ホルモン放出ホルモンである。
2.〇 正しい。下垂体前葉は、卵胞刺激ホルモンを分泌する。脳下垂体前葉から分泌されるホルモンは、①成長ホルモン(欠損すると小人病)、②甲状腺刺激ホルモン、③副腎皮質刺激ホルモン(欠損するとアジソン病)、④性腺刺激ホルモン(卵胞刺激ホルモン・黄体形成ホルモン)、⑤プロラクチン(催乳ホルモン)である。
3.× 副腎皮質から、コルチゾール・アルドステロン・アンドロゲン(男性ホルモン)などが分泌される。コルチゾールは、血糖値の上昇や脂質・蛋白質代謝の亢進、免疫抑制・抗炎症作用、血圧の調節など、さまざまな働きがあるが、過剰になるとクッシング症候群、不足するとアジソン病を引き起こす。
4.× 卵巣から分泌されるホルモンは、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)である。
エストロゲンとは、女性らしさをつくるホルモンで、成長とともに分泌量が増え、生殖器官を発育・維持させる働きをもっている。女性らしい丸みのある体形をつくったり、肌を美しくしたりする作用もあるホルモンである。分泌量は、毎月の変動を繰り返しながら20代でピークを迎え、45~55歳の更年期になると急激に減る。
問題69 上皮小体(副甲状腺)で正しいのはどれか。
1.体表から触知できる。
2.甲状腺の頭側に位置する。
3.濾胞で構成される。
4.主細胞と酸好性細胞からなる。
解答4
解説
副甲状腺ホルモン(上皮小体ホルモン)とは、副甲状腺から分泌され、腎臓のカルシウム再吸収およびリンの排泄促進作用などがあり、血中のカルシウム濃度を上昇させる。つまり、副甲状腺ホルモンの分泌が低下すると、血中カルシウム濃度が低下する。それに伴い、しびれ感、テタニー(手指の不随意な筋収縮)、けいれんなどの症状が起こる。別名:パラトルモンである。
1.× 体表から触知「できない」。なぜなら、上皮小体は、米粒程度の大きさ(約3~6mm)で、甲状腺の裏側に埋め込まれるように存在しているため。
2.× 甲状腺の「頭側」ではなく背側に位置する。上皮小体は、通常4つ存在し、甲状腺の上下端に付着している。
3.× 濾胞で構成されるのは、甲状腺である。
・濾胞とは、リンパ節などにある球状の構造のことである。リンパ節の濾胞はリンパ濾胞といわれる。通常のリンパ節では、ウイルスや細菌などの異物が入ってくると、リンパ濾胞の中心部でB細胞が増殖する。このため、風邪をひくとリンパ節が腫れることがある。
・甲状腺とは、のどぼとけの下にある蝶ような形をした臓器で、甲状腺ホルモン(T3およびT4)とカルシトニンを分泌している。甲状腺ホルモンは、カラダ全体の新陳代謝を促進する働きがある。カルシトニンは、甲状腺から分泌されるホルモンで、骨吸収を抑制する働きを持つ。
4.〇 正しい。主細胞と酸好性細胞からなる。
・上皮小体の主細胞が、パラトルモンを分泌する。
・上皮小体の細胞型である酸好性細胞は、その機能は完全には解明されていないが、主細胞の成熟型や、パラトルモン分泌の調節に関与すると考えられている。
問題70 大脳白質(大脳髄質)はどれか。
1.海馬
2.脳梁
3.尾状核
4.レンズ核
解答2
解説
1.× 海馬とは、記憶を司っている部位である。
2.〇 正しい。脳梁は、大脳白質(大脳髄質)である。
・脳梁とは、左右の大脳半球をつなぐ交連線維の太い束である。左右の大脳皮質の間で情報をやり取りする経路である。小脳は、3対の脳脚により脳幹と結合している。それぞれの小脳脚は上小脳脚・中小脳脚・下小脳脚と呼ばれる。結合は上小脳脚で中脳と、中小脳脚で橋と、下小脳脚で延髄と結合している。
3.× 尾状核は、大脳基底核の一部で、主に運動制御に関与している。大脳基底核は、①線条体(被殻 + 尾状核)、②淡蒼球、③黒質、④視床下核である。
4.× レンズ核とは、「被殻」と「淡蒼球」から成り、内包はその内側(尾状核との間)を通過する。