第20回(H24年)柔道整復師国家試験 解説【午後56~60】

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問題56.理学療法の適応で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.感覚神経障害に温熱療法を行う。
2.脊髄損傷患者に水中訓練を行う。
3.神経麻痺による筋委縮に低周波療法を行う。
4.心臓ペースメーカー装着患者に極超短波療法を行う。

解答2・3

解説
1.× 感覚神経障害に温熱療法を行うのは禁忌である。なぜなら、感覚神経障害がある部位(感覚が鈍麻している部位)は熱さや痛みを感じにくいため。温熱療法(ホットパック・温浴など)を実施すると、やけど(熱傷)の危険性が高い。

2.〇 正しい。脊髄損傷患者に水中訓練を行う。なぜなら、水中では浮力により体重負担が軽減し、関節・筋肉への負荷が減るため。したがって、安全に運動ができる。また、水の抵抗や水圧が呼吸筋を刺激し、呼吸機能の改善にも効果がある。(※ただし、すべてのレベルの脊髄損傷患者が適応とは限らない。極端に言えば、C4残存レベルでは溺れてしまう可能性もあるため。)

3.〇 正しい。神経麻痺による筋委縮に低周波療法を行う。なぜなら、低周波療法によって、廃用性萎縮の予防・筋力維持・循環改善を図れるため。特に、末梢神経麻痺や長期臥床による筋萎縮予防に適している。
・低周波療法とは、一定のリズムで断続する電流を人体に通電し治療効果を図る電気刺激療法の1つである。筋肉の収縮や血流促進を目的としている。

4.× 心臓ペースメーカー装着患者に極超短波療法を行うのは禁忌である。なぜなら、なぜなら、極超短波療法は、電磁干渉によりペースメーカーが誤作動や停止する危険があるため。
・極超短波療法とは、深部温熱療法である。2450MHzの電磁波を利用し、エネルギーの半価層(エネルギーが半減する深度)は、3~4cm、筋の加温に有効である。極超短波療法(マイクロ波)の禁忌は、①温熱療法一般の禁忌(急性炎症部位、悪性腫瘍、出血傾向、知覚麻痺)、②金属部位への照射(衣服、装飾品、体内金属含む)、③心臓ペースメーカー使用者、④眼球、男性生殖器、妊婦の腹部、⑤小児の骨端線である。

 

 

 

 

 

問題57.牽引療法と適応との組合せで正しいのはどれか。

1.ブライアント牽引:小児大腿骨骨幹部骨折
2.クラッチフィールド牽引:腰椎脱臼骨折
3.グリソン係蹄牽引:大腿骨頸部骨折
4.ダンロップ牽引:小児前腕骨骨折

解答

解説
1.〇 正しい。ブライアント牽引:小児大腿骨骨幹部骨折
・ブライアント牽引とは、小児(2~3歳以下)の大腿骨骨幹部骨折に対する牽引法である。垂直に両下肢を牽引するのが特徴である。3~8歳児には、ラッセル牽引が適応となり、股関節を30度曲げた位置にして牽引する。2~12歳児に対し、ウエーバー牽引が適応となり、股関節と膝関節を90度曲げた位置にして牽引する。

2.× クラッチフィールド牽引は、「腰椎脱臼骨折」ではなく頸椎損傷(頸椎骨折)に行う。
・クラッチフィールド牽引とは、頸椎損傷(頸椎骨折)に用い、頭蓋骨にピンを刺入し、骨を直接牽引する方法である。

3.× グリソン係蹄牽引は、「大腿骨頸部骨折」ではなく頸椎疾患に行う。
・グリソン牽引とは、グリソン係蹄(頭部を把持し、頸椎に牽引力を働かせる装置)を用いた介達持続牽引する方法であり、頸椎疾患(頸椎症性神経根症・むち打ち損傷など)に対して使用される。

4.× ダンロップ牽引は、「小児前腕骨骨折」ではなく上腕骨顆上骨折に行う。
・ダンロップ牽引とは、小児上腕骨顆上骨折に対して行う牽引法であり、上腕水平・前腕垂直に牽引、肘角度90°にて行う。

 

 

 

 

 

問題58.骨折の治癒過程で最も時間を要するのはどれか。

1.炎症期
2.細胞増殖期
3.仮骨形成期
4.リモデリング期

解答

解説

MEMO

骨折の治癒過程において、「①炎症期→②仮骨形成期→③仮骨硬化期→④リモデリング期」となる。

①炎症期:骨折後2〜3日で活動のピークを迎える。骨折した人が経験する初期の痛みのほとんどがこの炎症によるものである。
②仮骨形成期:骨折後1週間が過ぎると骨芽細胞が活動し、1週間目から14週目ぐらいに仮骨が形成する時期である。仮骨とは、骨折した場合に折れたり欠損したりした骨の代わりに、新たにできる不完全な骨組織のことである。
③仮骨硬化期:8週間目から36週間目ぐらいにあたる。
④リモデリング期:硬化仮骨が患部の機能とともに回復に、本体の骨に吸収、添加作用していく時期である。これが20週目から52週目ぐらいにあたる。

1.× 炎症期は、骨折直後に起こる短期間(約1週間以内)の反応期である。

2.× 細胞増殖期は、骨修復の初期段階であり、比較的短期間(約1〜3週)で終了する。

3.× 仮骨形成期は、骨折部をつなぐ仮骨が形成される時期であり、中期的(数週〜2か月)に経過する。

4.〇 正しい。リモデリング期は、骨折の治癒過程で最も時間を要する。数か月〜数年の長期間を要する。なぜなら、仮骨が形成されてもまだ海綿骨状で不安定なため。したがって、骨吸収と再構築を繰り返して強固な骨に変化するまで長期間を要する。

 

 

 

 

 

問題59.骨形成不全症で見られるのはどれか。2つ選べ。

1.角膜混濁
2.歯牙形成不全
3.難聴
4.カフェオレ斑

解答2・3

解説

骨形成不全症とは?

骨形成不全症とは、「骨が非常にもろい」という特徴を持つ、遺伝性の病気である。骨形成不全症の90%以上の症例では、結合組織の主要な成分であるⅠ型コラーゲンの遺伝子変異(COL1A1,COL1A2)により、質的あるいは量的異常が原因で発症するとされている。症状として、骨折のしやすさ、骨の変形などの骨の弱さに加え、成長障害、目の強膜が青い、歯の形成が不十分、難聴、関節皮膚が伸びやすい、背骨の変形による呼吸の障害、心臓の弁(大動脈弁、僧帽弁に多い)の異常による心不全などが引き起こされることがある。
【治療】①内科的治療(骨粗鬆症に使用されるビスホスホネート製剤投与)、②外科的治療(骨折した際に外科的な骨接合術、四肢の変形に対して骨切り術、四肢の長い骨の骨折変形予防を目的とした髄内釘挿入術、背骨の変形に対する矯正固定術など)が行われる。

1.× 「角膜混濁」ではなく強膜の色調異常(青色)がみられる。なぜなら、コラーゲンの薄化によって青色強膜がみられるため。ちなみに、角膜混濁はムコ多糖症(モルキオ病)によってみられる。

2.〇 正しい。歯牙形成不全は、骨形成不全症で見られる。なぜなら、Ⅰ型コラーゲンは歯の象牙質の主要構成成分でもあり、その合成異常によって歯の形成・硬化が不十分となるため。したがって、歯は黄褐色で脆く、欠けやすくなる(歯牙形成不全)。

3.〇 正しい。難聴は、骨形成不全症で見られる。なぜなら、耳小骨(ツチ骨・キヌタ骨・アブミ骨)などの中耳骨の脆弱化・変形により、音の伝達が障害されるため。したがって、伝音性難聴がみられる。

4.× カフェオレ斑(皮膚色素沈着)は、神経線維腫症Ⅰ型(フォン・レックリングハウゼン病)に併発しやすい。
・概要神経線維腫症Ⅰ型(フォン・レックリングハウゼン病)とは、カフェオレ斑と神経線維腫を主徴とし、その他骨、眼、神経系、(副腎、消化管)などに多彩な症候を呈する母斑症であり、常染色体性優性の遺伝性疾患である。
・カフェオレ斑とは、楕円形のものが多く、子供では5mm以上、大人では15mm以上もある。重症合併症を有する割合は少ないが、健常人と比べて悪性腫瘍を合併する割合がやや高いと言われている。原因は17番染色体であり遺伝子疾患であるが、患者の半数以上は無症状の両親から生まれている。他の症状としては、脊柱側弯や長管骨の狭細化・弯曲・偽関節である。

 

 

 

 

 

問題60.筋萎縮性側索硬化症でみられないのはどれか。

1.筋力低下
2.構音障害
3.膀胱直腸障害
4.呼吸障害

解答

解説

”筋萎縮性側索硬化症とは?”

 筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、主に中年以降に発症し、一次運動ニューロン(上位運動ニューロン)と二次運動ニューロン(下位運動ニューロン)が選択的にかつ進行性に変性・消失していく原因不明の疾患である。病勢の進展は比較的速く、人工呼吸器を用いなければ通常は2~5年で死亡することが多い。男女比は2:1で男性に多く、好発年齢は40~50歳である。
【症状】3型に分けられる。①上肢型(普通型):上肢の筋萎縮と筋力低下が主体で、下肢は痙縮を示す。②球型(進行性球麻痺):球症状(言語障害、嚥下障害など)が主体、③下肢型(偽多発神経炎型):下肢から発症し、下肢の腱反射低下・消失が早期からみられ、二次運動ニューロンの障害が前面に出る。
【予後】症状の進行は比較的急速で、発症から死亡までの平均期間は約 3.5 年といわれている。個人差が非常に大きく、進行は球麻痺型が最も速いとされ、発症から3か月以内に死亡する例もある。近年のALS患者は人工呼吸器管理(非侵襲的陽圧換気など)の進歩によってかつてよりも生命予後が延長しており、長期生存例ではこれらの徴候もみられるようになってきている。ただし、根治療法や特効薬はなく、病気の進行に合わせて薬物療法やリハビリテーションなどの対症療法を行うのが現状である。全身に筋萎縮・麻痺が進行するが、眼球運動、膀胱直腸障害、感覚障害、褥瘡もみられにくい(4大陰性徴候)。終末期には、眼球運動と眼瞼運動の2つを用いたコミュニケーション手段が利用される。

(※参考:「2 筋萎縮性側索硬化症」厚生労働省様HPより)

1~2.4.〇 筋力低下/構音障害/呼吸障害は、筋萎縮性側索硬化症でみられる。なぜなら、運動ニューロンの障害により骨格筋への運動指令が伝わらなくなるため。
【球麻痺とは?】延髄にある神経核が障害された状態を指し、舌咽・迷走・舌下神経が障害される。したがって、嚥下・構音障害、舌萎縮、線維束攣縮などがみられる。

3.× 膀胱直腸障害は、筋萎縮性側索硬化症でみられない。なぜなら、ALSの病変は運動ニューロン(錐体路・前角細胞)に限局しており、感覚神経・自律神経系(膀胱・直腸を支配する副交感神経・交感神経)は障害されないため。
・筋萎縮性側索硬化症の4大陰性徴候として、①眼球運動、②膀胱直腸障害、③感覚障害、④褥瘡もみられにくい。

 

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