第20回(H24年)柔道整復師国家試験 解説【午後26~30】

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問題26.半月弁の閉鎖によって生じる心音はどれか。

1.Ⅰ音
2.Ⅱ音
3.Ⅲ音
4.Ⅳ音

解答

解説

心音について

正常心音は、Ⅰ〜Ⅳ音に分類されるが、健康成人ではⅠ音とⅡ音しか確認できないことが多い。

Ⅰ音(心室収縮時に起きる音:おもに僧帽弁閉鎖音、大動脈弁開放音)
Ⅱ音(心室拡張の始まりに起きる音:おもに大動脈弁閉鎖音(ⅡA)と肺動脈弁閉鎖音(ⅡP))
Ⅲ音(心室拡張期の終わり:心室筋の伸展による音)
Ⅳ音(心房収縮音:Ⅰ音の直前)

1.× Ⅰ音は、房室弁(僧帽弁・三尖弁)の閉鎖によって生じる。

2.〇 正しい。Ⅱ音は、半月弁(大動脈弁・肺動脈弁)の閉鎖によって生じる心音である。
・半月弁とは、左心室から大動脈に出る大動脈弁と、右心室から肺動脈に出る肺動脈弁の総称である。

3.× Ⅲ音は、心室筋の伸展による音である。

4.× Ⅳ音は、心房収縮による心室壁の振動音である。

 

 

 

 

 

問題27.筋の仮性肥大を生じるのはどれか。

1.筋萎縮性側索硬化症
2.多発性筋炎
3.デュシェンヌ(Duchenne)型筋ジストロフィー
4.筋緊張性ジストロフィー

解答

解説

仮性肥大とは?

仮性肥大とは、ふくらはぎが異常に太くなることである。原因は、ふくらはぎに筋肉ではなく、脂肪や結合織が増えることにより、筋肉が再生されなくなるためで起こる。

1.× 筋萎縮性側索硬化症とは、主に中年以降に発症し、一次運動ニューロン(上位運動ニューロン)と二次運動ニューロン(下位運動ニューロン)が選択的にかつ進行性に変性・消失していく原因不明の疾患である。病勢の進展は比較的速く、人工呼吸器を用いなければ通常は2~5年で死亡することが多い。男女比は2:1で男性に多く、好発年齢は40~50歳である(※参考:「2 筋萎縮性側索硬化症」厚生労働省様HPより)。

2.× 多発性筋炎とは、自己免疫性の炎症性筋疾患で、主に体幹や四肢近位筋、頸筋、咽頭筋などの筋力低下をきたす。典型的な皮疹を伴うものは皮膚筋炎と呼ぶ。膠原病または自己免疫疾患に属し、骨格筋に炎症をきたす疾患で、遺伝はなく、中高年の女性に発症しやすい(男女比3:1)。5~10歳と50歳代にピークがあり、小児では性差なし。四肢の近位筋の筋力低下、発熱、倦怠感、体重減少などの全身症状がみられる。手指、肘関節や膝関節外側の紅斑(ゴットロン徴候)、上眼瞼の腫れぼったい紅斑(ヘリオトロープ疹)などの特徴的な症状がある。合併症の中でも間質性肺炎を併発することは多いが、患者一人一人によって症状や傷害される臓器の種類や程度が異なる。予後は、5年生存率90%、10年でも80%である。死因としては、間質性肺炎や悪性腫瘍の2つが多い。悪性腫瘍に対する温熱療法は禁忌であるので、その合併が否定されなければ直ちに温熱療法を開始してはならない。しかし、悪性腫瘍の合併の有無や皮膚症状などの禁忌を確認したうえで、ホットパックなどを用いた温熱療法は疼痛軽減に効果がある。(※参考:「皮膚筋炎/多発性筋炎」厚生労働省様HPより)。

3.〇 正しい。デュシェンヌ(Duchenne)型筋ジストロフィーは、筋の仮性肥大を生じる。
・Duchenne型筋ジストロフィーとは、幼児期から始まる筋力低下・動揺性歩行・登攀性歩行・仮性肥大を特徴とするX連鎖劣性遺伝病である。筋ジストロフィー症の中でもっとも頻度が高い。3歳頃に歩行や粗大運動の異常で気がつかれることが多い。

 

 

 

 

 

問題28.頻脈がみられるのはどれか。

1.甲状腺機能亢進
2.黄疸
3.脳圧亢進
4.房室ブロック

解答

解説
1.〇 正しい。甲状腺機能亢進は、頻脈がみられる。
・バセドウ病とは、甲状腺刺激ホルモン受容体に対する自己抗体による甲状腺機能亢進症である。症状は、眼球突出、頻脈、びまん性甲状腺腫が特徴的である。

2.× 黄疸とは、皮膚や粘膜が胆汁色素(ビリルビン)で黄色に染まることで、胆汁色素の血漿中濃度の上昇により生じる。原因としては、①溶血によるもの、②肝細胞の障害によるもの、③胆汁の流れの障害によるもの、④体質によるもの、などがある。胆汁は肝臓で作られ、胆管を通じて十二指腸に排出されるが、その流れが障害されたときに生じる黄疸のことを閉塞性黄疸と呼ぶ。多くは総胆管結石や腫瘍により、胆管が閉塞することが原因となる。随伴症状として、①腹痛、②発熱、③背中の痛み、④吐き気、⑤嘔吐、⑥腹部膨満、⑦皮膚の痒みなどである。

3.× 脳圧亢進は、徐脈を呈する。
・頭蓋内圧亢進により、①頭痛、②嘔気・嘔吐、③うっ血乳頭、④複視(外転神経麻痺)などを生じる。Cushing現象(脳ヘルニアの直前状態)で、①血圧上昇、②徐脈、③緩徐深呼吸などの症状が出現する。これらは、脳幹下部の脳圧亢進による乏血状態に対する生体の代償作用である。

4.× 房室ブロックは、徐脈を呈する。
・房室ブロックとは、洞結節からの電気信号が房室まで伝わらない状態で、程度に応じてペースメーカーの植え込みが必要である。

 

 

 

 

 

問題29.検者の指をあててその上をハンマーで叩く手技でみるのはどれか。2つ選べ。

1.下顎反射
2.上腕二頭筋反射
3.上腕三頭筋反射
4.アキレス腱反射

解答1・2

解説
1.〇 正しい。下顎反射は、者の指をあててその上をハンマーで叩く手技でみる。
・下顎反射とは、軽く口を開かせて、下顎のオトガイ部に検者の左母指あるいは示指を当て、その指の上を叩打するものである。下顎が上昇すれば亢進。下顎反射は、【求心性神経】【遠心性神経】ともに三叉神経である。

2.〇 正しい。上腕二頭筋反射は、者の指をあててその上をハンマーで叩く手技でみる。
・上腕二頭筋反射の【中枢】C5~C6(筋皮神経)、【検査法】上肢を軽度外転させ、肘をやや屈曲位にして、前腕を回内外中間位にする。上腕二頭筋付着部近くに検者の母指を当て、その上を叩打する。【判定】肘関節屈曲が起これば反射出現(+)。

3.× 上腕三頭筋反射の【中枢】C6ー8(主にC7)、【検査法】腕部をつかみ肘を軽く屈曲位にして、肘頭上部の上腕三頭筋腱部を直接叩打する。【判定】肘関節伸展が起これば反射出現(+)。

4.× アキレス腱反射の測定方法は、背臥位検査の他に、①両下肢の股関節を軽度屈曲、外転、外旋位にして、膝関節を軽度屈曲させて両踵をつける。検者は足関節を背屈位にしてアキレス腱部を叩打する方法、②一側下腿の前面に健側下腿をのせ、足関節を背屈位にしてアキレス腱部を叩打する方法がある。

 

 

 

 

 

問題30.肝硬変の症状でないのはどれか。

1.女性化乳房
2.腹水
3.メズサの頭
4.輪状紅斑

解答

解説

肝硬変とは?

肝硬変とは、B型・C型肝炎ウイルス感染、多量・長期の飲酒、過栄養、自己免疫などにより起こる慢性肝炎や肝障害が徐々に進行して肝臓が硬くなった状態をいう。 慢性肝炎が起こると肝細胞が壊れ、壊れた部分を補うように線維質が蓄積して肝臓のなかに壁ができる。

1.〇 女性化乳房は、肝硬変の症状である。なぜなら、肝臓は本来、エストロゲン(女性ホルモン)を分解・不活化する役割を持つが、肝硬変でその機能が低下すると、男性でも体内エストロゲンが過剰となり、乳腺が発達して女性化乳房を呈するため。

2.〇 腹水は、肝硬変の症状である。門脈圧亢進症状の1つである。なぜなら、肝硬変により肝血流がうっ滞し、門脈圧が上昇すると、血漿成分が腹腔内に漏出するため。

3.〇 メズサの頭は、肝硬変の症状である。なぜなら、門脈圧亢進症による腹壁静脈の拡張し、門脈圧が上昇し、血液が側副路を通って腹壁の静脈に流れ込むため。
・メドゥーサの頭とは、お腹の皮膚の静脈が膨れ上がり、放射状にコブのような模様のことを指す。

4.× 輪状紅斑は、「肝硬変」ではなくリウマチ熱の症状である。
・リウマチ熱とは、A群レンサ球菌と呼ばれる細菌に感染することによって起こる病気である。子どもの頃に感染・発症することが一般的で、中年期になってから僧帽弁狭窄症を引き起こすことがある。
・輪状紅斑とは、皮膚血管炎や免疫反応により生じる環状皮疹である。リウマチ熱で輪状紅斑が生じる原因は、溶連菌感染後の免疫系の誤作動である。菌を攻撃するための抗体が、誤って自らの皮膚組織を攻撃する「自己免疫反応」が起こる。この炎症が中心から外側へ円状に広がり、中心部が先に治まることで特徴的な輪の形を成す。

エストロゲンとは?

エストロゲンとは、主に卵巣から分泌される女性らしさをつくるホルモンで、成長とともに分泌量が増え、生殖器官を発育・維持させる働きをもっている。女性らしい丸みのある体形をつくったり、肌を美しくしたりする作用もあるホルモンである。分泌量は、毎月の変動を繰り返しながら20代でピークを迎え、45~55歳の更年期になると急激に減る。

 

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