この記事には広告を含む場合があります。
記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。
問題101.42歳の男性。スノーボードで滑走中、ジャンプの着地に失敗し左肩部を強打した。初診時の外観写真を下に示す。
この患者で適切でないのはどれか。

1.鎖骨の異常可動性が触知できる。
2.第3骨片が形成されている可能性が高い。
3.変形癒合を残しやすい。
4.患部を通過する絆創膏で圧迫した。
解答4
解説
・42歳の男性。
・スノーボードで滑走中、ジャンプの着地に失敗し左肩部を強打した。
・外観写真:鎖骨の連続性が絶たれている。
→本症例は鎖骨骨折が疑われる。鎖骨中1/3部骨折では、内側骨片は胸鎖乳突筋により上方へ引かれ、外側骨片は腕の重みで下方に転位する。
1.〇 鎖骨の異常可動性が触知できる。なぜなら、鎖骨が骨折すると骨連続性が断たれ、骨折部で異常な動きを触知できるため。
2.〇 第3骨片が形成されている可能性が高い。なぜなら、鎖骨には多くの筋・靱帯が付着しており、牽引力が不均等なため骨折部が粉砕しやすいため。特に、鎖骨中1/3骨折では、肋鎖靭帯や三角筋、僧帽筋などが異なる方向に牽引するため、中央に小骨片(第3骨片)が生じやすい。
3.〇 変形癒合を残しやすい。なぜなら、鎖骨骨折の転位を完全に整復固定することが難しいため。したがって、鎖骨骨折に対して、保存療法後は、「肩幅が狭くなった」「骨が出っ張っている」と訴える例は多い。
・変形癒合とは、位置がずれたまま癒合した状態であり慢性状態である。整復不良に起因し、骨癒合後に明らかになる。
4.× 患部を通過する絆創膏で圧迫「することはしない」。なぜなら、鎖骨骨折部を絆創膏や包帯で圧迫すると、骨片の転位や疼痛悪化、神経・血管の損傷を引き起こすおそれがあるため。 正しい固定法は「8の字帯」や「鎖骨バンド」であり、これは肩を後方に引いて骨折端を合わせるものである。
セイヤー絆創膏固定法とは、鎖骨骨折時の固定法である。
【役割】
腋窩枕子:末梢牽引を行うためのテコの支点の働き。
第1帯:肩を外方に引き鎖骨の短縮転位を防止する。
第2帯:患肢を挙上させて下方転位を防止する。
第3帯:前腕の重量で骨折部に圧迫力を加える。
問題102.23歳の男性。バイク走行中転倒し右肩を強打した。右肩部の隆起に気づき来所した。右鎖骨外端が上方突出している。肩の水平外転は保持でき、軋轢音は認めない。単純エックス線写真を下に示す。
考えられるのはどれか。

1.鎖骨外1/3部骨折
2.棘上筋腱断裂
3.肩鎖関節上方脱臼
4.肩関節烏口下脱臼
解答3
解説
・23歳の男性。
・バイク走行中転倒:右肩を強打。
・右肩部の隆起に気づいた。
・右鎖骨外端が上方突出している。
・肩の水平外転は保持でき、軋轢音は認めない。
・単純エックス線写真:肩鎖関節の連続性が絶たれている。
→本症例は、肩鎖関節上方脱臼が疑われる。ほかの選択肢が消去できる理由も上げられるようにしよう。
🔸病態の理解(背景)
受傷機転:バイク転倒 → 肩峰部への直接打撃(肩を地面に強打)
結果:肩峰が下方へ押し込まれ、鎖骨外端が上方へ飛び出す。
臨床所見:
肩鎖関節部の腫脹と圧痛
鎖骨外端の上方突出(ピアノ鍵症状)
肩関節の水平外転・回旋が保たれる(=肩関節自体は脱臼していない)
X線所見:
→ 鎖骨外端が肩峰より明らかに上方に位置(肩鎖間距離の拡大)
→ 烏口鎖骨靭帯の断裂を伴うことが多い。
1.× 鎖骨外1/3部骨折より優先されるものが他にある。なぜなら、本症例から軋轢音は認めないため。また、単純エックス線写真には、鎖骨の連続性は保たれている
2.× 棘上筋腱断裂より優先されるものが他にある。なぜなら、本症例から右肩部の隆起(外観の変化)が生じているため。棘上筋腱板断裂では、外観変形はほとんど見られない。
3.〇 正しい。肩鎖関節上方脱臼が最も疑われる。なぜなら、なぜなら、鎖骨外端が上方に突出(ピアノキー症状)し、肩の水平外転保持が可能であり、X線で鎖骨が肩峰より明らかに上に位置しているため。
4.× 肩関節烏口下脱臼より優先されるものが他にある。なぜなら、本症例から肩関節烏口下脱臼の症状がみられないため。
・烏口下脱臼とは、肩関節前方脱臼(約90%)のひとつである。上腕骨頭が肩甲骨関節窩から前方に脱臼した症状で、①烏口下脱臼と②鎖骨下脱臼に分類される。関節全体を覆う袋状の関節包と靭帯の一部が破れ、突き出た上腕骨頭が烏口突起の下へすべることで起こる脱臼である。介達外力が多く、後方から力が加わる、転倒するなどで手を衝くことで過度の伸展力が発生した場合(外旋+外転+伸展)などに起こる。症状として、①弾発性固定、②関節軸の変化(骨頭は前内方偏位、上腕軸は外旋)、③脱臼関節自体の変形(三角筋部の膨隆消失、肩峰が角状に突出、三角筋胸筋三角:モーレンハイム窩の消失)、④上腕仮性延長、⑤肩峰下は空虚となり、烏口突起下に骨頭が触知できる。
問題103.7歳の男児。5日前から右膝部痛を訴えている。運動会の練習が始まった時期で様子をみていたが、痛みに変化がなく、歩き方がおかしいので本日来所した。膝に、既往歴、炎症所見、可動域制限、運動痛および圧痛はみられなかった。
適切なのはどれか。
1.体育の制限が必要ないことを説明する。
2.股関節の診察を行う必要性を説明する。
3.積極的な筋力訓練が必要であることを説明する。
4.生後の定期検診で異常がなければ問題ないことを説明する。
解答2
解説
・7歳の男児。
・5日前:右膝部痛を訴えている。
・運動会の練習が始まった時期。
・様子をみていたが、痛みに変化がなく、歩き方がおかしい。
・膝に、既往歴、炎症所見、可動域制限、運動痛および圧痛はみられなかった。
→本症例の所見から、最悪の場合、ペルテス病が疑われる。坐骨神経痛や大腿骨頭すべり症、股関節疾患による放散痛なども可能性として考えられる。一度、専門機関への受診が望ましい。
1.× 体育の制限が必要ないことを説明する「のは早計である」。なぜなら、本症例は重大な股関節疾患(ペルテス病や一過性股関節炎など)の可能性があるため。運動によって病状が悪化するおそれがある。
2.〇 正しい。股関節の診察を行う必要性を説明する。なぜなら、本症例は重大な股関節疾患(ペルテス病や一過性股関節炎など)の可能性があるため。一度、医療機関に検査(MRI検査など)してもらうことが重要である。
3.× 積極的な筋力訓練が必要であることを説明する「のは早計である」。なぜなら、なぜなら、原因不明の疼痛期に筋トレを行うと、隠れた骨・関節疾患を悪化させる可能性があるため。
4.× 生後の定期検診で異常がなければ問題ないことを説明する「必要はない」。なぜなら、ペルテス病や大腿骨頭すべり症は、学童期以降に発症する病気もあるため。
男女比は4:1で、小柄な男児に多く見られる。小児期における血行障害による大腿骨頭・頚部の阻血性壊死(虚血と阻血は同義であり、動脈血量の減少による局所の貧血のこと)が原因で骨頭・頚部の変形が生じる骨端症である。初期症状は、跛行と股関節周囲の疼痛(大腿部にみられる関連痛)、股関節の可動域制限である。治療は、大腿骨頭壊死の修復が主な目標である。治療後は歩容の異常がなく、通常の日常生活を送れるようになることが多い。
問題104.50歳の男性。スキー滑走中に転倒、右下肢を負傷した。患肢の股関節および膝関節を軽度屈曲位でベッド上に背臥位で寝かせたところ、膝蓋骨は正面を向いているが、足部は軸が床面と平行で外側を向いていた。
最も考えられる損傷はどれか。
1.大腿骨骨幹部骨折
2.膝蓋骨外側脱臼
3.脛・腓両骨骨幹部骨折
4.腓骨骨幹部骨折
解答3
解説
・50歳の男性。
・スキー滑走中に転倒、右下肢を負傷。
・背臥位(患肢の股・膝関節を軽度屈曲位):膝蓋骨は正面を向いているが、足部は軸が床面と平行で外側を向く。
→ほかの選択肢が消去できる理由も上げられるようにしよう。
1.× 大腿骨骨幹部骨折より優先されるものが他にある。なぜなら、大腿骨骨折では膝蓋骨自体の向きも変わるため。本症例は、「膝蓋骨は正面を向いている」=「股関節の回旋(大腿骨の骨折)」はみられない。
2.× 膝蓋骨外側脱臼より優先されるものが他にある。なぜなら、本症例の膝蓋骨は正面を向いているため。膝蓋骨外側脱臼の場合、膝蓋骨の位置に異常(特に、膝蓋骨外側偏位)をきたす。
3.〇 正しい。脛・腓両骨骨幹部骨折が最も疑われる。なぜなら、本症例の膝蓋骨は正面を向いているが、足部は軸が床面と平行で外側を向く状態の説明と合致するため。スキーやサッカーなどで下腿にねじり力が加わると、脛骨と腓骨の両方が骨幹部で骨折し、下腿全体が不安定となる。
4.× 腓骨骨幹部骨折より優先されるものが他にある。なぜなら、腓骨単独骨折では、脛骨が残存していることから下腿全体の回旋変形は生じないため。
問題105.34歳の男性。バレーボールの練習中、ジャンプでつま先から着地し足部を捻り来所した。足背部外側の腫脹と疼痛を訴える。受傷時の肢位を強制すると写真に示す部位の疼痛が増強し、同部に圧痛を認める。足関節の前方引き出し症状はない。写真を下に示す。
考えられる損傷はどれか。

1.遠位前脛腓靱帯損傷
2.二分靱帯損傷
3.腓骨筋腱脱臼
4.前距腓靭帯損傷
解答2
解説
・34歳の男性。
・バレーボール中:ジャンプでつま先から着地し足部を捻った。
・足背部外側の腫脹と疼痛を訴える。
・受傷時の肢位を強制すると疼痛が増強し、同部に圧痛あり。
・足関節の前方引き出し症状はない。
→ほかの選択肢が消去できる理由も上げられるようにしよう。
1.× 遠位前脛腓靱帯損傷より優先されるものが他にある。なぜなら、遠位前脛腓靱帯損傷の場合、疼痛部位は、外果上方を中心に腫脹・圧痛が出やすい。
・前脛腓靭帯は、脛腓関節を強固する靭帯である。内反捻挫を起こした際に脛骨腓骨の間が広がるように外力が働くと損傷されやすい。背屈荷重テストで痛みがあれば陽性となる。
2.〇 正しい。二分靱帯損傷が最も考えられる損傷である。なぜなら、本症例の症状と一致するため。踵立方関節背側に疼痛が出ることが特徴である。
・二分靱帯とは、縦足弓の外側部を支持するY靭帯のことである。他にも外側の踵骨・立方骨・舟状骨を硬く締結する。つま先立ちやジャンプの着地で内反捻挫をした際に損傷を受ける。
3.× 腓骨筋腱脱臼より優先されるものが他にある。なぜなら、腓骨筋腱脱臼の場合、疼痛部位は外果の後下方で発生することが多いため。
・腓骨筋腱脱臼とは、足関節をひねることで腓骨筋腱が本来の位置からずれて、くるぶしの上に乗り上げた状態をいう。スキーで足を板に固定されている状態で足首をひねったり、サッカー・バスケットボールでの切り返し動作時に足を地面に固定した状態で足首をひねったりしたときなどに発生する。初回脱臼時には、4~6週間のギプス固定を行なうが、ギプス固定による治癒率は約50%といわれているため、早期にスポーツ復帰を望む場合には手術することもある。
4.× 前距腓靭帯損傷より優先されるものが他にある。なぜなら、本症例は、足関節前方引き出し症状がみられないため。また、疼痛部位も、外果前方を中心に腫脹・圧痛が出やすい。
・足関節前方引き出しとは、足関節内反の捻挫(特に前距腓靭帯損傷)の評価で行われる徒手検査である。脛骨に対して距骨が前方にずれる動き(不安定性)を確認し、靭帯の損傷度合いを評価する。
国試オタク 