第21回(H25年)柔道整復師国家試験 解説【午後51~55】

この記事には広告を含む場合があります。

記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。

 

問題51.頭部外傷で誤っているのはどれか。

1.帽状腱膜下血腫は高齢者に多い。
2.頭蓋底骨折で髄液漏を生じる。
3.急性硬膜外血腫で意識清明期がみられる。
4.急性硬膜下出血は予後不良である。

解答

解説
1.× 帽状腱膜下血腫は、「高齢者」ではなく新生児に多い。
・帽状腱膜下血腫とは、吸引分娩や鉗子分娩の際に大きな外力が頭皮にかかり、帽状腱膜(読み:ぼうじょうけんまく)と骨膜の間に出血がおこることである。出産直後は観察されないが、生後数時間から1日のうちに出血がすすみ、頭の皮下が腫れていく。血液がにじむため、皮膚の色は暗赤色にみえ、ときに大出血を起こし、貧血やショック状態になることがあるため注意する必要がある。

2.〇 正しい。頭蓋底骨折で髄液漏を生じる
【頭蓋底骨折の症状】主に①髄液漏と②脳神経麻痺があげられる。
髄液漏とは、頭蓋底骨折をとおしてなかの脳脊髄液がもれ出てくる状態である。出てくるのは耳の穴(髄液耳漏)か鼻の穴(髄液鼻漏)で、髄液漏では頭蓋内(頭蓋骨よりも内側)に細菌が入って髄膜炎を起こす危険がある。また、髄液が流れ出る代わりに空気が頭蓋内に入る気脳症を起こすこともある。
②脳神経麻痺について、頭蓋底の孔の多くには、脳から出て顔面や内臓に至る脳神経がとおっている。この孔に骨折が及ぶと、なかをとおっている脳神経を傷つけて脳神経麻痺を来すことがある。

3.〇 正しい。急性硬膜外血腫で、意識清明期がみられる。なぜなら、急性硬膜外血腫の受傷機転は、交通外傷で頭部を打ち、一度意識を失ったが一時的に会話可能、その後昏睡状態に陥るという経過をたどるため。
・急性硬膜外血種とは、高所、階段からの転倒や、交通外傷などによって、強く頭部を打撲することで、脳を覆う硬膜という膜と頭蓋骨との隙間に血液が貯留した状態を指す。

4.〇 正しい。急性硬膜下出血は予後不良である。なぜなら、急性硬膜下血腫は、脳実質損傷を伴う重度の頭部外傷によって生じることが多いため。また、出血量が多く脳圧亢進を引き起こすことも、神経学的予後が悪い要因である。

 

 

 

 

 

問題52.ジャパン・コーマスケールⅢ-100の状態で正しいのはどれか。

1.見当識障害がある。
2.開眼しているが自分の名前がいえない。
3.普通の呼びかけで容易に開眼する。
4.痛み刺激に対し払いのける動作をする。

解答

解説

(※図引用:「意識レベル(JCS:Japan Coma Scale)」堺市HPより)

1.× 見当識障害があるのは、「JCSⅠ-2」に該当する。

2.× 開眼しているが自分の名前がいえないのは、「JCSⅠ-3」に該当する。

3.× 普通の呼びかけで容易に開眼するのは、「JCSⅡ-10」に該当する。

4.〇 正しい。痛み刺激に対し払いのける動作をする
JCSⅢ-100に該当する。

 

 

 

 

 

問題53.けいれんが生じる可能性の高いのはどれか。

1.脳挫傷
2.脳しんとう
3.慢性硬膜下血腫
4.一過性脳虚血発作

解答

解説

けいれんとは?

けいれんとは、自分の意志とは無関係に勝手に筋肉が強く収縮する状態である。高齢ではじまるてんかんの発作症状は、全身のけいれんや記憶障害などがみられる。主にもの忘れの発作を引き起こすてんかんの形態を表現する言葉として、一過性てんかん性健忘という。

1.〇 正しい。脳挫傷は、けいれんが生じる可能性の高い。なぜなら、脳挫傷は、頭部外傷により脳実質が直接損傷を受け、神経細胞の電気的活動が異常に亢進するため。
・脳挫傷とは、強く殴られたり、強い頭部打撲を来すことで衝撃が脳に伝わり脳そのものが損傷を受けることで生じる。ちなみに、脳挫傷における頭部単純CTは、出血していた場合、挫傷した部位からの出血がみられやすい。

2.× 脳しんとうとは、頭を強く打ったり急に揺さぶられたりして、脳が一時的に正常に働かなくなる状態である。意識消失がなくても起こり、頭痛やめまい、吐き気、記憶の混乱などが出る。脳しんとうを繰り返すと、ひどい場合は重い障害が残ったり、さらには頭蓋内の出血などが原因で死に至ることもある。

3.× 慢性硬膜下血腫とは、軽度の外傷により軽微な出血が起こり、経時的に血腫が増大し、やがて症状が現れる。症状として、認知障害、頭痛、尿失禁、歩行障害、片麻痺などである。CT画像から、急性硬膜下血腫に特徴的な①三日月状の高吸収域、②左側脳室体部の圧排変形、③midlineの偏位がみられる。

4.× 一過性脳虚血発作とは、一時的に脳への血流が不十分になった状態である。動脈硬化により引き起こされ、症状は一過性で発作後24時間以内に改善されるものをいう。発作の起こり方は急速である。約1/3が脳血栓症に移行するといわれている。

 

 

 

 

 

問題54.18歳の男性。バイク運転中にスリップして転倒した。明らかな出血はみられないが動く気配がない。近くに居合わせた通行人が救急要請した。
 救急車到着を待つ間、最初に行うべきことは何か。

1.人工呼吸を行う。
2.心臓マッサージを行う。
3.AEDを装着する。
4.声を掛けて開眼するか確認する。

解答

解説

本症例のポイント

・18歳の男性。
・バイク運転中にスリップして転倒した
・明らかな出血はみられないが動く気配がない
・近くに居合わせた通行人が救急要請した。
→ほかの選択肢が消去できる理由も上げられるようにしよう。一時救命処置(BLS)の手順をおさえておこう。

1~2.× 人工呼吸/心臓マッサージを行うより優先されるものが他にある。人工呼吸は、「意識→呼吸→循環」の順で評価後、心停止なら実施(心肺蘇生)する。

3.× AEDを装着するより優先されるものが他にある。なぜなら、まずは意識確認と呼吸確認を行うため。一般的に、心停止が疑われた段階で、通報と同時にAEDの準備を依頼する。
・自動体外式除細動器(AED)とは、心臓がけいれんし血液を流すポンプ機能を失った状態(心室細動)になった心臓に対して、電気ショックを与え、正常なリズムに戻すための医療機器である。AEDの除細動の適応は、①心室細動(VF)、②無脈性心室頻拍(VT)である。

4.〇 正しい。声を掛けて開眼するか確認する。最初に行うのは反応(意識)の確認である。本症例は、「明らかな出血はみられないが動く気配がない」と期待されていることから、単に気を失っているだけか、心停止に陥っているかを評価する必要がある。

一時救命処置(BLS)とは?

一時救命処置(BLS)とは、Basic Life Supportの略称で、心肺停止または呼吸停止に対する一次救命処置のことである。正しい知識と適切な処置の仕方さえ知っていれば誰でも行うことができる。

1.周囲の安全を確認
救助者の安全を最優先し、二次災害を防ぐためにまずは周囲の安全を確認する。

2.緊急通報とAEDを要請
大声で叫んで助けを呼ぶなど、周囲の人に119番通報とAEDの手配を頼む。  

3.呼吸を確認
普通の呼吸が確認できたら、回復体位(横向き)にして救急車を待つ。
呼吸をしていない、もしくは正常な呼吸でない場合はCPRを開始する。

4.CPR(心肺蘇生法)を開始
胸骨圧迫からはじめる。人工呼吸ができるようなら行うが、胸骨圧迫のみでも構わない。 

5.(AEDが入手できた場合)AEDで解析する

 

 

 

 

 

問題55.関節軟骨にみられるのはどれか。2つ選べ。

1.フォルクマン管
2.プロテオグリカン
3.毛細血管
4.Ⅱ型コラーゲン

解答2・4

解説

関節軟骨とは?

関節軟骨とは、関節の相対する骨端の表面にある厚さ2~4 mmの組織(硝子軟骨)で、血管、神経、リンパ管に乏しいという組織学的特徴がある。つまり、関節軟骨は、関節の動きによって栄養素や酸素が適切に供給される。

1.× フォルクマン管は、骨組織にみられる血管や神経の通り道である。
・骨の長軸方向に平行に走るハバース管に対して、皮質骨にはもうひとつ、垂直方向に血管を通す「フォルクマン管(貫通管)」と呼ばれる管がある。骨の外部と内部を結ぶフォルクマン管を通って皮質骨に導入された血管や神経は枝分かれし、ハバース管を走行する。

2.〇 正しい。プロテオグリカンは、関節軟骨にみられる。
・プロテオグリカンとは、たんぱく質に糖が結合した糖たんぱく質のことである。軟骨の構成成分は、約70%が水分で、次にⅡ型コラーゲン、プロテオグリカンの順で多くを占めている。プロテオグリカンは、編み状に張り巡らされたⅡ型コラーゲンの間に存在し保水力が高い。したがって、軟骨の役割を果たすのに重要な粘弾性を与えている。

3.× 毛細血管は、関節軟骨にみられない。なぜなら、関節軟骨は、血管・リンパ管・神経が乏しいため。

4.〇 正しい。Ⅱ型コラーゲンは、関節軟骨にみられる。むしろ、関節軟骨の主成分コラーゲンはⅡ型コラーゲンである。コラーゲンにはⅠ〜Ⅳ型などのタイプがあり、Ⅱ型は軟骨特有の線維成分として網目構造を作り、弾力性を付与している。Ⅰ型は骨・皮膚・腱に、Ⅱ型は軟骨・硝子体に多く含まれる。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)