第21回(H25年)柔道整復師国家試験 解説【午後96~100】

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問題96.肩関節烏口下脱臼で正しいのはどれか。

1.モーレンハイム窩の消失がみられる。
2.鎖骨下脱臼に比べ上腕骨頭がより内方に位置する。
3.上腕を胸壁につけた肩関節内転位で弾発性固定される。
4.上腕骨頭の後外側の欠損をバンカート損傷という。

解答

解説

烏口下脱臼とは?

烏口下脱臼とは、肩関節前方脱臼(約90%)のひとつである。上腕骨頭が肩甲骨関節窩から前方に脱臼した症状で、①烏口下脱臼と②鎖骨下脱臼に分類される。関節全体を覆う袋状の関節包と靭帯の一部が破れ、突き出た上腕骨頭が烏口突起の下へすべることで起こる脱臼である。介達外力が多く、後方から力が加わる、転倒するなどで手を衝くことで過度の伸展力が発生した場合(外旋+外転+伸展)などに起こる。症状として、①弾発性固定、②関節軸の変化(骨頭は前内方偏位、上腕軸は外旋)、③脱臼関節自体の変形(三角筋部の膨隆消失、肩峰が角状に突出、三角筋胸筋三角:モーレンハイム窩の消失)、④上腕仮性延長、⑤肩峰下は空虚となり、烏口突起下に骨頭が触知できる。

1.〇 正しい。モーレンハイム窩の消失がみられる。なぜなら、肩関節烏口下脱臼では、上腕骨頭が烏口突起の下方(前下方)に転位するため。
・モーレンハイム窩とは、三角筋胸筋三角ともいい、大胸筋上縁と三角筋前縁との境にある三角筋胸筋溝の上端部と鎖骨にて構成される領域のことである。

2.× 鎖骨下脱臼に比べ上腕骨頭がより「内方」ではなく外方に位置する。
・鎖骨下脱臼とは、上腕骨頭が関節窩の前方へ脱出してしまい、烏口突起よりもさらに内側に偏ってしまった状態のことである。つまり、鎖骨の下の辺りに上腕頭骨を触診することができる。上腕部を70度以上外側に向け肩甲骨を上げているような状態で支えられている。肩が骨格的に上方に突き出し、上腕が短縮して見える。

3.× 上腕を胸壁につけた肩関節「内転位」ではなく外転位で弾発性固定される。
・烏口下脱臼の弾発性固定は、やや外転位の上腕を胸壁に近づけても手を離すと直ちに元の位置に戻る。

4.× 上腕骨頭の後外側の欠損を「バンカート損傷」ではなくヒルサックス損傷という。
・ヒルサックス損傷とは、肩関節が脱臼した際に、上腕骨頭の後外側が、肩甲骨の角に押し付けられる力がかかり、陥没(圧迫)骨折を起こした状態をいう。
・バンカート損傷とは、肩が脱臼した際に関節窩の周りにある関節唇が損傷するものをいう。自然には修復されず、さらに靭帯が緩んでしまうと脱臼を繰り返す。これを反復性脱臼という。

 

 

 

 

 

問題97.前腕両骨後方脱臼で誤っているのはどれか。

1.肘頭高位がみられる。
2.関節包前面が断裂する。
3.内側側副靱帯損傷が多くみられる。
4.肘関節伸展位で固定する。

解答

解説

肘関節後方脱臼とは?

前腕両骨後方脱臼とは、肘関節後方脱臼のことを指す。

好発:青壮年
原因:①肘関節過伸展の強制:肘関節伸展位で手をつく(転倒などの強い衝撃)
【症状】関節包前方断裂、疼痛、肘関節屈曲30度で弾発性固定、自動運動不可、肘頭の後方突出、上腕三頭筋腱が緊張(索状に触れる)、ヒューター三角の乱れ(肘頭高位)、前腕の短縮
【固定肢位】肘関節90°屈曲、前腕中間位(回内位も)
【固定範囲】上腕近位部からMP関節手前まで
【固定期間】靭帯損傷なし:3週間、不安定性がある場合4週間

1.〇 正しい。肘頭高位がみられる。なぜなら、前腕骨(橈骨・尺骨)が上腕骨に対して後上方へ脱臼するため。したがって、肘頭(尺骨近位端)が正常よりも後上方に位置する。

2.〇 正しい。関節包前面が断裂する。なぜなら、外力によって肘関節が過伸展となり発生するため。

3.〇 正しい。内側側副靱帯損傷が多くみられる。なぜなら、肘関節はもともと生理的外反しているため。したがって、転倒時に手をつく際、多くはさらに外反肘(肘を外側に開く力)に力が加わる。その結果、内側側副靱帯損傷が伸張・断裂しやすい。

4.× 肘関節「伸展位」ではなく90度屈曲位で固定する。
【固定肢位】肘関節90°屈曲、前腕中間位(回内位も)

 

 

 

 

 

問題98.サファーによる月状骨脱臼の発生機序で正しいのはどれか。

1.a
2.b
3.c
4.d

解答

解説

月状骨脱臼とは?

月状骨脱臼とは、手関節の強制背屈により生じた月状骨の掌側脱臼である。手首と手が痛み、形状にゆがみが生じることがある。迅速に治療されない場合、合併症として正中神経麻痺や月状骨の虚血性壊死が起こる。

1.× a/c/dは、月状骨脱臼および月状骨周囲脱臼のSaffar(サファー)の分類に該当しない。

2.〇 正しい。bがサファーによる月状骨脱臼の発生機序である。特に、bの最後はⅢ型の形に該当する。
【Saffarの分類】
Ⅰ型:月状骨は本来の位置に残り、遠位列が背側に脱臼(月状骨周囲脱臼)
Ⅱ型:近位列・遠位列のそれぞれが橈骨遠位端の辺縁に乗った状態になる
Ⅲ型:月状骨は掌側に脱臼し橈骨遠位関節面とはもはや相対しない(月状骨脱臼

 

 

 

 

 

問題99.膝蓋骨脱臼で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.Q角が増大すると生じやすい。
2.FTAが減少すると生じやすい。
3.サギングを認める。
4.固定は膝関節完全伸展位で行う。

解答1・2

解説

膝蓋骨脱臼とは?

膝蓋骨脱臼とは、膝蓋骨がはずれる疾患である。ほとんどは外側に外れる。ジャンプの着地などの時に太ももの筋肉が強く収縮してはずれることが多く、はずれた時には膝に強い痛みや腫れを生じる。脱臼は自然に整復されることもある。

1.〇 正しい。Q角が増大すると生じやすい。なぜなら、Q角が大きいと、大腿四頭筋の力が外側へ働き、膝蓋骨が外方へ引っ張られやすくなるため。
・Q角(Quadliceps Angle:Q angle)とは、大腿四頭筋が膝蓋骨を引っ張る力を示す力線のことである。「上前腸骨棘と膝蓋骨の真ん中とを結んだ直線」と「膝蓋骨の真ん中と脛骨粗面の上縁とを結んだ直線」の交わる角度である。

2.〇 正しい。FTAが減少すると生じやすい。なぜなら、FTAの減少は、外反膝(X脚)となるため。外反膝になるほど、膝蓋骨の大腿骨顆間溝に対する位置が外側にずれ、膝蓋骨外側への逸脱が起こりやすくなる。
・FTAとは、大腿骨の長軸と脛骨の長軸のなす角度である。FTA(femoro-tibial angle)が減少すると、外反膝を示す。正常で約176°(内反5〜6°)であるが、これが減少(外反方向に傾く)すると、膝蓋骨が外側へ引かれる力(外側方向の剪断力)が強くなり、外側脱臼を起こしやすくなる。

3.× サギングを認めるのは、後十字靱帯損傷に特徴的な所見である。
・後十字靭帯は、脛骨の後方への逸脱を防ぐ靭帯である。検査は、膝屈曲位での下腿の後方落ち込み現象(サギング)を観察する。

4.× 固定は、膝関節「完全伸展位」ではなく軽度屈曲位(10〜20°)で行う。なぜなら、膝関節軽度屈曲位は、膝蓋骨が大腿骨溝に安定するため(再脱臼を防げるため)。また、膝関節完全伸展位は、膝蓋骨が関節溝から浮いて再脱臼や関節拘縮を起こすおそれがある。

 

 

 

 

 

問題100.疾患とその徴候との組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。

1.動揺性肩関節:サルカス徴候
2.円回内筋症候群:フローマン徴候
3.大腿骨頭すべり症:ドレーマン徴候
4.前十字靭帯損傷:ルドロフ徴候

解答1・3

解説

動揺性肩関節とは?

動揺性肩関節とは、原因が外力や肩関節の軟部組織に異常がないにも関わらず、肩関節に動揺性を認める関節不安定症をいう。若年者や女性、投球やスパイクなどでオーバーアーム動作を行うスポーツ選手に多い。急性期は安静、ストレッチ、痛み止め・湿布の使用、物理療法などを行う。 回復期はリハビリテーション(筋力強化、ストレッチなど)の機能回復を行う。また、リハビリでは再発予防の指導も適宜行う。

1.〇 正しい。動揺性肩関節:サルカス徴候
・サルカスサインとは、反復性肩関節脱臼などの肩関節不安定性を評価する検査である。肩関節外転外旋位で、上腕骨頭を後方から前方へ押し出すストレスをかけた際の不安感を確認する。ストレスをかけた際に不安感や怖さを感じたら陽性である。

2.× 円回内筋症候群:フローマン徴候
・円回内筋症候群とは、円回内筋の支配神経で上肢腹側の真ん中を通っている正中神経が、肘関節周辺で圧迫されて痛みや痺れ、筋肉の衰えなどの症状を起こす疾患である。
・フローマン徴候とは、尺神経麻痺の診断に使用されるテストである。母指の内転ができなくなり、母指と示指で紙片を保持させると母指が屈曲位をとることである。ちなみに、尺骨神経麻痺は指の開閉運動障害や鷲手変形を生じる。

3.〇 正しい。大腿骨頭すべり症:ドレーマン徴候
・大腿骨頭すべり症とは、大腿骨近位骨端軟骨の脆弱化、体重負荷により、大腿骨頭が頚部に対して、後下方に転位する疾患である。
・ドレーマン徴候とは、大腿骨頭すべり症でみられ、股関節を他動的に屈曲すると外転・外旋がみられる徴候である。

4.× 前十字靭帯損傷:ルドロフ徴候
・前十字靭帯損傷とは、スポーツによる膝外傷の中でも頻度が高く、バスケットボールやサッカー、スキーなどでのジャンプの着地や急な方向転換、急停止時に発生することが多い非接触損傷が特徴的な靭帯損傷である。Lachman test(ラックマンテスト)/軸移動テスト(pivot shift test:ピポットシフトテスト)/Jerkテスト(ジャークテスト)は、膝前十字靭帯損傷を検査する。
・ルドロフ徴候とは、大腿骨の小転子が腸腰筋の収縮によって引きちぎられる「裂離骨折」をしたときに起こる徴候である。イスなどに座ったときに、膝関節以上に足を上げることができなくなるが、あおむけになった場合は可能となる所見である。

 

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