第22回(H26年)柔道整復師国家試験 解説【午後11~15】

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問題11.国際生活機能分類(International Classification of Functioning,Dis Abilityand Health:ICF)で正しいのはどれか。

1.障害の負の面をとらえている。
2.社会的不利という用語を用いる。
3.背景因子に環境因子と個人因子を設定している。
4.疾病と障害は原因と結果の関係にある。

解答

解説

(※画像引用:Job Medley様HPより)

ICFとは?

ICF(International Classification of Functioning, Disability and Health)は、人間の生活機能と障害分類法として2001年5月、世界保健機関(WHO)において採択された。これまでの ICIDH(国際障害分類、1980)が「疾病の帰結(結果)に関する分類」であったのに対し、ICF は「健康の構成要素に関する分類」であり、新しい健康観を提起するものとなった。生活機能上の問題は誰にでも起りうるものなので、ICF は特定の人々のためのものではなく、「全ての人に関する分類」である。

1.× 障害の「負の面(できない・欠けている)」ではなく正の面(できる・残存能力)も評価する。「障害の負の側面」を中心にしていたのは、従来のICIDH(国際障害分類)である。

2.× 社会的不利という用語を用いるのは、ICIDH(国際障害分類)である。
・ICIDHとは、一方向に「疾病変調→機能障害→能力障害→社会的不利」とマイナス面のみを評価するものである。ICIDH(国際障害分類)に対する批判から、医療福祉の専門家と障害者団体が関わって、その結果を結集してICFの改訂へと至っている。
①機能障害:病気やけがによる一次的な生物学的障害
②能力低下:けがによって歩けないといった個人レベルの障害
社会的不利:けがによって就職できないといった社会レベルの障害

3.〇 正しい。背景因子に環境因子と個人因子を設定している(※上図参照)。
・環境因子とは、人々が生活し、人生を送っている物的な環境や社会的環境、人々の社会的な態度による環境を構成する因子である。
・個人因子とは、年齢・性別・生活歴・価値観・ライフスタイルなどである。

4.× 疾病と障害は、「原因と結果(単純な因果関係)」ではなく相互に影響し合う関係にある。なぜなら、ICFは、環境・個人要因を含めた多次元的な相互作用によって生活機能が形成されているため。

 

 

 

 

 

問題12.関節と起こりにくい拘縮との組合せで正しいのはどれか。

1.肩関節:内転・内旋
2.股関節:屈曲・外旋
3.手関節:伸展(背屈)
4.膝関節:屈曲

解答

解説

関節拘縮とは?

関節拘縮とは、関節の不動により、線維化することで 関節可動域減少が引き起こされ固定することである。

1.× 肩関節は、「内転・内旋拘縮」が起こりやすい。なぜなら、臥位では、腕をおなかに持っていく姿勢(肩関節内旋・内転位)が多くとらえるため。

2.× 股関節の拘縮は、「屈曲・外旋拘縮」が起こりやすい。なぜなら、臥位では、重力により股関節屈曲・外旋位となるため。

3.〇 正しい。手関節:伸展(背屈)は、拘縮が起こりにくい。むしろ、手関節屈曲(掌屈)拘縮をきたしやすい。なぜなら、臥位では、自然と手関節・手指ともに屈曲位をとりやすいため。

4.× 膝関節は、「屈曲拘縮」が起こりやすい。なぜなら、臥位では、自然と膝関節ともに屈曲位をとりやすいため。

 

 

 

 

 

問題13.機能的自立度評価法(FIM)の尺度で介助の程度が修正自立のレベルはどれか。

1.3
2.4
3.5
4.6

解答

解説

FIMとは、日常生活動作(ADL)を評価する尺度で、運動項目(13項目)と認知項目(5項目)の計18項目を7段階で採点する。【運動項目】セルフケア(食事、整容、清拭、更衣:上・下、トイレ動作)、移乗(ベッド・椅子・車椅子移乗、トイレ移乗、浴槽・シャワー移乗)、排泄コントロール(排尿管理、排便管理)、移動(歩行・車椅子、階段)、【認知項目】コミュニケーション(理解、表出)、社会的認知(社会的交流、問題解決、記憶)で評価する。

【FIMの採点方法】
「介助者なしの自立レベル」
7 完全自立(時間、安全性を含めて)
6 修正自立(補装具などを使用)

「介助者ありの部分自立レベル」
5 監視や準備だけをすれば可能
4 最少介助(患者自身で75%以上可能)
3 中等度介助(患者自身で50%以上可能)

「完全介助レベル」
2 最大介助(患者自身で25%以上可能)
1 全介助(患者自身で25%未満)

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1.× 3は、中等度介助(患者自身で50%以上可能)である。

2.× 4は、最少介助(患者自身で75%以上可能)である。

3.× 5は、監視や準備だけをすれば可能である。

4.〇 正しい。6は、修正自立のレベルである。

 

 

 

 

 

問題14.腹臥位で関節可動域測定(日本整形外科学会・日本リハビリテーション医学会基準による)をするのはどれか。

1.肩内旋
2.前腕回外
3.股伸展
4.膝屈曲

解答

解説
1.× 肩内旋は、座位(または立位)で測定する。

2.× 前腕回外は、座位(または立位)で測定する。

3.〇 正しい。股伸展は、腹臥位で関節可動域測定をする。

4.× 膝屈曲は、背臥位で測定する。

 

 

 

 

 

問題15.小脳性運動失調の評価に用いるのはどれか。

1.徒手筋力テスト
2.ブルンストロームのステージ分類
3.指鼻試験
4.線分二等分テスト

解答

解説
1.× 徒手筋力テスト(MMT:manual muscle testing)は、筋力を測定するための方法のひとつである。筋収縮のまったくみられない場合「0」、正常を「5」として6段階で評価する。
0(Zero:ゼロ):「筋収縮のまったくみられない」状態である。
1(trace:不可):「関節の運動は起こらないが、筋のわずかな収縮は起こる。筋収縮がみえる、または触知できる」状態である。
2(poor:可):「重力を除けば全可動域動かせる」状態である。
3(fair:良):「重力に打ち勝って全可動域動かせるが、抵抗があれば行えない」状態である。
4(good:優):「ある程度、徒手抵抗を加えても、全可動域動かせる」状態である。
5(normal:正常):「強い抵抗(最大抵抗)を加えても、完全に運動できる」状態である。

2.× ブルンストロームのステージ分類は、脳卒中片麻痺の回復段階を示す指標である。
Ⅰ:弛緩期→反射的にも随意的にも運動、筋収縮を得ることができない状態。
Ⅱ:痙性発現期→わずかな痙性と共同パターンが出現し、連合反応あるいは随意的に起こる筋収縮がいられてくる状態。
Ⅲ:痙性極期→共同パターンが最も強くなる時期で、随意的に共同運動またはその一部の要素による運動を起こすことができる状態。
Ⅳ:痙性減弱期→共同パターンが弱まり、徐々に分離運動が出現していた状態。
Ⅴ:痙性減少期→共同パターンがさらに弱まり、かなりの分離運動が可能な状態。
Ⅵ:痙性最小期→単関節を自由に動かせ、ほぼ正常な動作ができる状態。

3.〇 正しい。指鼻試験は、小脳性運動失調の評価に用いる。
・指鼻試験とは、患者の指で患者の鼻と看護師の指を交互にすばやく触れる動作を行う試験である。小脳の運動失調により指鼻試験は陽性となり、企図振戦がみられる。

4.× 線分二等分テストは、半側空間無視の評価に用いる。
・線分二等分テストとは、20cm位の線分の左右の真ん中と思うところに目分量で印をつけてもらう検査である。真の中点から1cm以上右にずれていた場合、左半側空間無視と判定する。

 

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