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問題51.救急蘇生ガイドライン(2006年版)で胸骨圧迫心臓マッサージの圧迫頻度は1分間に何回を目指すのが正しいか。
1.60回
2.80回
3.100回
4.120回
解答3
解説
1~2.× 60回/80回は、胸骨圧迫心臓マッサージの圧迫頻度に該当しない。
3.〇 正しい。100回が救急蘇生ガイドライン(2006年版)で胸骨圧迫心臓マッサージの圧迫頻度である。
・胸骨圧迫心臓マッサージ(胸骨圧迫)は、心肺蘇生法の一部である。胸骨圧迫とは、心停止した傷病者の心臓付近を圧迫することにより脳や心臓に血液の循環を促す心肺蘇生を目的とした一次救命処置である。成人と幼児で適する力の入れ具合や胸骨の沈み具合が異なる。成人では胸骨が、5cmほど沈むように胸骨圧迫をする。一方で、幼児では年齢に応じた体格の差があるため、成人のような絶対値を当てはめることができない。そのため、幼児においては個別の体格を判断したうえで、胸の厚さの1/3程度が沈む強さで胸骨圧迫を行うことが推奨されている。年齢にかかわらず100~120回を目安に行う。
4.△ 120回ではやや速すぎ、圧迫の深さが浅くなりやすい。2006年版では100回/分、2010年以降は100〜120回/分が目標である。
問題52.ジャパン・コーマ・スケールⅢ-300の状態で正しいのはどれか。
1.見当識障害がある。
2.痛み刺激に反応しない。
3.痛み刺激で顔をしかめる。
4.呼びかけで容易に開眼する。
解答2
解説

(※図引用:「意識レベル(JCS:Japan Coma Scale)」堺市HPより)
1.× 見当識障害があるのは、「Ⅰ-20」と判断できる。
2.〇 正しい。痛み刺激に反応しないのは、「Ⅲ-300」と判断できる。
3.× 痛み刺激で顔をしかめるのは、「Ⅲ-200」と判断できる。
4.× 呼びかけで容易に開眼するのは、「Ⅱ-10」と判断できる。
問題53.頭部・顔面外傷で誤っている組合せはどれか。
1.頭蓋底骨折:髄液鼻漏
2.耳下腺部損傷:顔面神経麻痺
3.頬骨弓骨折:開口障害
4.脳実質損傷:急性硬膜外血腫
解答4
解説
1.〇 正しい。頭蓋底骨折:髄液鼻漏
・頭蓋底骨折は、頭蓋冠(椀を伏せた形のドーム型の部分)の線状骨折や陥没骨折とは病態も治療方針も異なる。なぜなら、頭蓋骨の底面である頭蓋底は、でこぼこして多くの孔が開いている複雑な構造をしているため。【頭蓋底骨折の症状】主に①髄液漏と②脳神経麻痺があげられる。①髄液漏とは、頭蓋底骨折をとおしてなかの脳脊髄液がもれ出てくる状態である。出てくるのは耳の穴(髄液耳漏)か鼻の穴(髄液鼻漏)で、髄液漏では頭蓋内(頭蓋骨よりも内側)に細菌が入って髄膜炎を起こす危険がある。また、髄液が流れ出る代わりに空気が頭蓋内に入る気脳症を起こすこともある。②脳神経麻痺について、頭蓋底の孔の多くには、脳から出て顔面や内臓に至る脳神経がとおっている。この孔に骨折が及ぶと、なかをとおっている脳神経を傷つけて脳神経麻痺を来すことがある。
2.〇 正しい。耳下腺部損傷:顔面神経麻痺
なぜなら、顔面神経は耳下腺内を走行し(耳下腺を貫くように分枝)、その部位が損傷すると末梢性顔面神経麻痺を起こすため。
・顔面神経麻痺とは、ある日突然顔の半分、あるいは一部分が思うように動かせなくなる状態である。その中で最も多いのが、「ベル麻痺」、「ハント症候群」という呼ばれるウイルスが顔面神経管の中の顔面神経に感染して生じる。
3.〇 正しい。頬骨弓骨折:開口障害
なぜなら、顎関節の運動を妨げるためである。頬骨弓は、咬筋の起始部である。
・咬筋の【起始】浅側:頬骨弓の前2/3の下縁と内面、深側:頬骨弓の後ろ2/3の下縁、【停止】下顎骨の外面。浅側は咬筋粗面の下部、深側はその上方、【作用】下顎骨を上げて、歯をかみ合わせる(閉口)である。
4.× 脳実質損傷は、「急性硬膜外血腫」ではなく脳挫傷・脳出血などである。
・急性硬膜外血種とは、高所、階段からの転倒や、交通外傷などによって、強く頭部を打撲することで、脳を覆う硬膜という膜と頭蓋骨との隙間に血液が貯留した状態を指す。つまり、脳実質そのものの損傷(脳挫傷・脳出血)とは異なる。
問題54.40歳の男性。自転車走行中に転倒し右側腹部を打撲した。すぐに歩いて来院したが、待っている間に、冷汗が生じ顔面が蒼白となった。下腿浮腫はみられない。収縮期血圧80mmHg、脈拍120/分であった。
考えられる病態はどれか。
1.心原性ショック
2.出血性ショック
3.敗血症性ショック
4.アナフィラキシーショック
解答2
解説
・40歳の男性。
・自転車走行中に転倒し右側腹部を打撲した。
・冷汗が生じ顔面が蒼白。
・下腿浮腫はみられない。
・収縮期血圧80mmHg、脈拍120/分であった。
→ほかの選択肢の消去できる理由をあげられるようにしよう。本症例は、外傷後に発症しているため、その特徴のショックを選択しよう。
→ショックとは、体液の喪失、心臓機能の低下、血管系虚脱などにより組織への酸素供給が障害され、放置すれば進行性に全身の臓器還流障害から急速に死に至る重篤な病態である。頻度的に最も多いのは出血性ショックである。
1.× 心原性ショックより優先されるものが他にある。
・心原性ショックとは、心ポンプ機能の低下により、全身諸組織における循環不全(安静時における組織代謝需要を満たす血流が供給されない状態)が生じ、低酸素、アシドーシス、毛細血管透過性亢進をきたす重篤な病態を指す。全身および心筋組織の循環不全、低酸素化が生じ、アシドーシス、フリーラジカルの発生、サイトカインの増加、白血球凝集、血管内皮障害、微小循環障害などが生じる。心原性ショックの原因として最も多いのは急性心筋梗塞である。他にも、心臓ポンプ機能の異常による心筋収縮力低下のほか、心筋変性や心タンポナーデによる心室拡張不全、頻脈や徐脈などの不整脈で心拍出量が低下するなど、さまざまな病態が原因になる。
2.〇 正しい。出血性ショックが最も考えられる病態である。なぜなら、腹部打撲によって脾臓・肝臓・腎臓などの実質臓器損傷や後腹膜出血が起こると、外見上は目立たなくても内部で大量出血をきたすことがあるため。例えば、本症例のように、右側腹部打撲 → 肝損傷や腎損傷を疑う。
・出血性ショックとは、外傷や、消化管などからの出血によって血液循環量の低下が原因で起こるショックのことである。術後出血が原因となることもある。
3.× 敗血症性ショックより優先されるものが他にある。
・敗血症とは、感染症への反応が制御不能に陥ることで生命を脅かす臓器機能障害が生じる臨床症候群である。敗血症性ショックでは、組織灌流が危機的に減少する。肺・腎臓・肝臓をはじめとする急性多臓器不全が起こる場合もある。特に、新生児は免疫学的に未熟であるため重症化しやすく、肺炎や髄膜炎を併発することもある。そのため、早期診断、早期治療が極めて重要である。
4.× アナフィラキシーショックより優先されるものが他にある。
・アナフィラキシーショックとは、アレルギー反応で起こるショックのことである。主にⅠ型アレルギー反応の結果、血管拡張や血管透過性の亢進による血漿漏出が生じ、循環血液量の減少をきたすことで起こる。ショックとは、体液の喪失、心臓機能の低下(血圧低下)、血管系虚脱などにより組織への酸素供給が障害され、放置すれば進行性に全身の臓器還流障害から急速に死に至る重篤な病態である。
問題55.力学的にストレス集中が生じにくい部位はどれか。
1.骨嚢腫
2.変形癒合部
3.長管骨骨幹部
4.スクリュー抜去部
解答3
解説
1.× 骨嚢腫は、ストレス集中しやすい部位である。なぜなら、骨嚢腫は、骨梁が菲薄化して力学的強度が低下しているため。したがって、荷重がかかると応力が特定の部分に集中し、病的骨折(骨嚢腫骨折)を起こしやすい。
・骨嚢腫とは、骨内部に液体や空洞を形成する良性病変である。
2.× 変形癒合部は、ストレス集中しやすい部位である。なぜなら、骨折が変形したまま癒合(変形癒合部)すると、骨の軸がずれたり、曲がりが残ったりして、荷重線(力の伝達軸)がずれるため。したがって、特定部位に応力が集中しやすくなる。
3.〇 正しい。長管骨骨幹部は、力学的にストレス集中が生じにくい部位である。なぜなら、骨幹部は骨の中央に位置し、骨皮質が均一な厚さで円筒状に形成されているため。したがって、外力がかかっても応力が骨全体に分散しやすい構造になっている。
4.× スクリュー抜去部は、ストレス集中しやすい部位である。なぜなら、骨に空いたスクリュー孔(ねじ穴)は、断面積の減少と応力集中の起点となりやすいため。抜去後もしばらくは穴が残るため、骨折リスクが高まる。
国試オタク 