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問題96.靭帯の損傷はどれか。
1.ベネット損傷(Bennett)損傷
2.パンナー(Panner)病
3.ステナー損傷(Stener)損傷
4.オスグット-シュラッター(Osgood-Schlatter)病
解答3
解説
1.× ベネット損傷(Bennett)損傷とは、軟部組織損傷ともいい、投球動作により上腕三頭筋長頭や肩関節後方関節包に繰り返しの牽引力がかかり起こる骨膜反応である。野球暦の長い選手、特に投手に多く、上腕三頭筋長頭や後方下関節包の拘縮を合併する。炎症を伴うため、疼痛があるときは投球を中止し、初期は、冷罨法、固定、提肘により運動を制限する。疼痛軽減後は、ストレッチ運動や筋力強化訓練を行う。
2.× パンナー(Panner)病とは、肘関節(特に上腕骨小頭)に発生する小児(特に5~10歳)の骨端症である。
3.〇 正しい。ステナー損傷(Stener)損傷は、靭帯の損傷である。
・Stener損傷とは、靭帯の断端が反転して、母指内転筋腱膜の下に挟まっている状態を指す。ステナー障害を発症すると治癒不能となってしまうため靭帯縫合術を行う。
4.× オスグット-シュラッター(Osgood-Schlatter)病とは、脛骨粗面の骨端症(成長期の骨軟骨障害)である。小児の運動後に生じる膝の痛み、膝脛骨結節部の圧痛、さらに脛骨粗面に異常骨陰影を認める。男女比(4:3)で男児に多く発症する。運動などの大きな外力が繰り返しかかることにより、大腿四頭筋の膝蓋腱の脛骨付着部が機械的刺激を受けて、脛骨粗面部の運動時痛と膨隆が生じる。
問題97.末梢神経障害と症状との組合せで正しいのはどれか。
1.後骨間神経麻痺:ティアドロップサイン
2.前骨間神経麻痺:母指球筋の萎縮
3.肘部管症候群:フローマンサイン
4.円回内筋症候群:骨間筋の萎縮
解答3
解説
前骨間神経と後骨間神経は、前腕の橈骨と尺骨という2つ骨の間を繋ぐ骨間膜の前後を走る神経である。両者とも触覚に異常がないのが特徴である。神経炎以外にも、外傷、絞扼性神経障害でも生じる。
【前骨間神経】
・肘の辺りで正中神経から分岐して主に母指(親指)と示指の第1関節を動かす筋肉を支配している。ほかにも、長母指屈筋、方形回内筋を支配する。
→涙のしずくが陽性。
【後骨間神経】
・肘の辺りで橈骨神経から分岐して回外筋にもぐりこみ、指を伸展する筋肉を支配している。
→下垂指(drop finger)となる。
1.× ティアドロップサインは、「後骨間神経麻痺」ではなく前骨間神経麻痺にみられる。
2.△ 母指球筋の萎縮により、母指球筋の萎縮が生じる。
※わかる方いらしたらコメント欄にて教えてください。前骨間神経麻痺は、正中神経の枝である。したがって、母指球の萎縮や Phalen test(ファーレンテスト)陽性となる。
3.〇 正しい。肘部管症候群:フローマンサイン
・肘部管症候群は、尺骨神経が肘関節背面内側にある尺側骨手根屈筋下の肘部管を通過する際に生じる絞拒性障害である。尺骨神経麻痺を来し、指の開閉運動障害や鷲手変形を生じる。
・Froment徴候(フローマン徴候)とは、母指の内転ができなくなり、母指と示指で紙片を保持させると母指が屈曲位をとることである。
4.× 骨間筋の萎縮は、「円回内筋症候群(正中神経絞扼)」ではなく肘部管症候群(尺骨神経絞扼)にみられる。
・円回内筋症候群とは、円回内筋の支配神経で上肢腹側の真ん中を通っている正中神経が、肘関節周辺で圧迫されて痛みや痺れ、筋肉の衰えなどの症状を起こす疾患である。
問題98.TFCC損傷の症状で誤っているのはどれか。
1.前腕回内回外運動でクリックがある。
2.橈屈強制で疼痛が増強する。
3.尺骨頭と手根骨との間に圧痛がある。
4.尺骨頭の不安定性がみられる。
解答2
解説
三角線維軟骨複合体損傷(TFCC損傷)とは、遠位橈尺関節を安定化させている支持組織である。遠位橈尺関節は手関節に隣接して存在し、肘関節に隣接する近位橈尺関節と共に前腕の回内外運動を行う。遠位橈尺関節の安定性と衝撃吸収を担うため、三角線維軟骨複合体損傷は、疼痛や機能障害の原因となる。原因として、外傷である。 手関節部の強い衝撃や手関節への過剰な負荷の繰り返しにより起こるため、野球やテニスなどのスポーツが原因となることが多い。
1.〇 正しい。前腕回内回外運動でクリックがある。したがって、ドアノブをひねることが困難となる。なぜなら、三角線維軟骨複合体は、前腕の回内外運動を安定性と衝撃吸収を担うため。
2.× 「橈屈」ではなく尺屈強制で疼痛が増強する。なぜなら、三角線維軟骨複合体は、手関節の尺側支持構造であるため。尺屈動作で三角線維軟骨複合体にストレス(引き伸ばされる・圧迫される)がかかるため疼痛が強くなる。
3.〇 正しい。尺骨頭と手根骨との間に圧痛がある。なぜなら、三角線維軟骨複合体は、尺骨頭と手根骨(三角骨・月状骨)の間に位置するため。
4.〇 正しい。尺骨頭の不安定性がみられる。なぜなら、三角線維軟骨複合体は、遠位橈尺関節の安定化構造として働いているため。
問題99.下記の3条件をすべて満たしているのはどれか。
①:手関節が良肢位、②:MP関節の側副靭帯が緊張する肢位、③:PIP関節は正中索損傷時の固定肢位

1.a
2.b
3.c
4.d
解答2
解説
1.3.× a/cは、①手関節背屈位ではないため誤り。
2.〇 正しい。bは、3条件をすべて満たしている。
①手関節が良肢位は、「手関節背屈位(10~20度)」である
②MP関節の側副靭帯が緊張する肢位は、「MP関節屈曲位(約90度)」である。
③PIP関節は正中索損傷時の固定肢位は、「PIP関節伸展位(~中間位)」である。
4.× dは、③PIP関節伸展位(~中間位)ではないため誤り。
【種類】
①背側脱臼:掌側板損傷する
②掌側脱臼:正中索損傷する(ボタン穴変形)
③側方脱臼:側副靱帯損傷する(側方動揺性)
【固定法】
①DIP・PIP関節:軽度屈曲位
②正中索損傷の場合:PIP伸展位
③側副靭帯損傷の場合:隣接指間にパットを挟み固定
※示指PIP関節背側脱臼で正中索損傷を合併している稀な症例であるが、基本的に正中索損傷する(ボタン穴変形)に対する固定方法を行う。
問題100.膝関節部の障害で誤っているのはどれか。
1.腸脛靭帯炎では屈伸運動時の疼痛を訴える。
2.鵞足炎では高度な腫脹がみられる。
3.ジャンパー膝では尻上がり現象がみられる。
4.タナ障害では膝蓋骨内側縁に圧痛がある。
解答2
解説
1.〇 正しい。腸脛靭帯炎では屈伸運動時の疼痛を訴える。
・Graspingテスト(グラスピングテスト)で確認できる。やり方は、腸脛靭帯を圧迫してテンションをかけた状態で、膝の曲げ伸ばしで症状が再現されるかどうかで判断する。腸脛靱帯炎の原因は、膝の屈伸運動を繰り返すことによって腸脛靱帯が大腿骨外顆と接触して炎症(滑膜炎)を起こし、疼痛が発生する。 特にマラソンなどの長距離ランナーに好発し、ほかにバスケットボール、水泳、自転車、エアロビクス、バレエ等にも多い。
2.× 鵞足炎では高度な腫脹がみられる「とはいえない」。軽度の局所圧痛と運動時痛が主体である。
・鵞足炎とは、膝下の内側にある鵞足部周辺が炎症を起こしている状態である。 鵞足とは、薄筋・縫工筋・半腱様筋がついている部位のことを指す。
3.〇 正しい。ジャンパー膝では尻上がり現象がみられる。なぜなら、ジャンパー膝は、膝蓋腱の慢性炎症であり、疼痛のために膝屈曲を制限する姿勢をとるため。
・Elyテスト(エリーテスト、尻上がり現象)は、大腿直筋の短縮のテストである。短縮していた場合、腹臥位で膝関節を最大屈曲した際に、股関節が屈曲し、殿部が持ち上がる(尻上がり現象)。
・ジャンパー膝とは、ジャンピングなどの繰り返し行動による過度のストレスが膝蓋腱に与えられることにより、膝蓋骨周囲の疼痛や腫脹を生じている状態を指す。バスケットボールやバレーボールなどのスポーツによる膝伸展機構の使いすぎによって起こる。
4.〇 正しい。タナ障害では膝蓋骨内側縁に圧痛がある。
・滑膜ヒダとは、膝関節の関節包内にあるひだ状の部分で、膝の屈伸時にクリック音を触知する特徴がある。ほかにも、運動時に疼痛や違和感を生じる。膝関節の膝蓋内側滑膜ヒダが屈伸運動時に膝蓋骨と大腿骨内側課との間に挟まり機能的刺激を受けて肥厚する。内側滑膜ヒダは関節鏡で見ると棚のようにみえることから、タナ障害とも呼ぶ。
国試オタク 