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問題31.経口感染するのはどれか。
1.A型肝炎
2.B型肝炎
3.C型肝炎
4.D型肝炎
解答1
解説
1.〇 A型肝炎は、経口感染する。
・A型肝炎とは、A型肝炎ウイルス(HAV)感染による疾患である。通常、感染した人の便で汚染されたものを摂取したときに感染する(糞口感染、経口感染)。初期症状は倦怠感や発熱、頭痛、筋肉痛等で、一過性の急性肝炎が主症状であり、治癒後に強い免疫が残る。治療は、通常、安静を含めた対症療法が中心となる。
2.× B型肝炎とは、B型肝炎ウイルスに感染することによって生じる肝臓の病気のことである。B型肝炎ウイルスは主に感染者の血液や体液を介して感染する。たとえば、注射針を感染者と共用した場合や、感染者と性行為をした場合などに感染する。
3.× C型肝炎とは、C型肝炎ウイルス(HCV)に感染することによって起こる肝臓の病気である。C型肝炎ウイルスは、主に感染者の血液や体液から感染する。感染の危険性がある行為としては注射器の使い回しや剃刀(かみそり)の共用などがある。そのほか、妊娠中の母親から胎児への感染や性行為による感染もあるが、感染する確率は低いと考えられている。
4.× D型肝炎とは、D型肝炎ウイルスによって引き起こされる急性および慢性の肝疾患である。D型肝炎ウイルスは不完全なウイルスで、B型肝炎ウイルスを持っている人にだけ感染し、増殖することができる。同時に感染するよりは、B型肝炎ウイルス感染がある人に重ねて感染したときの方が、症状は重く、脳症状がでて短期間に死亡することが多い「劇症肝炎」の原因にもなる。
問題32.右下肋部の疝痛発作を特徴とする疾患はどれか。
1.膵炎
2.肝硬変
3.胆石症
4.虫垂炎
解答3
解説
疝痛とは、波のように強弱を繰り返す痛みのことである。
1.× 膵炎の痛みは、心窩部(みぞおち)から左上腹部にかけて出現する。また、持続的な激痛が特徴である。
2.× 肝硬変の痛みは、ほとんど生じない。
・肝硬変とは、B型・C型肝炎ウイルス感染、多量・長期の飲酒、過栄養、自己免疫などにより起こる慢性肝炎や肝障害が徐々に進行して肝臓が硬くなった状態をいう。 慢性肝炎が起こると肝細胞が壊れ、壊れた部分を補うように線維質が蓄積して肝臓のなかに壁ができる。
3.〇 正しい。胆石症は、右下肋部の疝痛発作を特徴とする疾患である。なぜなら、胆石が胆嚢や胆管を一過性に閉塞すると、胆汁の流出が阻害され、胆嚢壁や胆管が激しく収縮して周期的に強い痛み(疝痛)を起こすため。
・胆石症とは、胆石(胆嚢や胆管にできる結石)によって引き起こされる病気の総称である。肝臓で作られた胆汁は一度胆嚢に蓄えられた後、胆管を通って十二指腸に流れ、その胆汁中の成分が析出することにより、胆嚢で石となるためそれを胆石(胆嚢内結石)と呼ぶ。主に影響を受けるのは、直接ビリルビンである。
4.× 虫垂炎の痛みは、右下腹部(McBurney圧痛点:右上前腸骨棘と臍を結ぶ線を3等分し、右から3分の1)である。
・McBurney圧痛点とは、盲腸炎(急性虫垂炎)の診断に役立つ、腹部の特定の点で感じる圧痛のことを指す。右下腹部(右上前腸骨棘と臍を結ぶ線を3等分し、右から3分の1)に位置する圧痛点である。盲腸炎の疑いがある場合、この点に圧力を加えると患者は痛みを感じる。医師は、この圧痛点に加えて他の診断方法を用いて盲腸炎の確定診断を行う。ほかにも、急性虫垂炎には、ランツ点、キュンメル点、モンロー点という特徴的な圧痛点がある。モンロー圧痛点は右上前腸骨棘と臍を結ぶ線の中間点を指し、腹直筋の外縁と交叉する部位に相当する圧痛点のことを指す。
問題33.狭心症で誤っているのはどれか。
1.運動時に胸痛が生じる。
2.心電図でST低下を認める。
3.血液検査でCKが著しく上昇する。
4.ニトログリセリンが有効である。
解答3
解説
狭心症とは、心臓に血液を供給する血管の狭窄により、心筋が虚血(酸素不足)状態になることによって生じる病気である。治療は、血管を拡張させる薬(硝酸薬)や、狭窄の原因となる動脈硬化や血栓を予防する薬(抗血小板薬)を用いる。
1.〇 正しい。運動時に胸痛が生じる。
・労作性狭心症とは、心臓に栄養を送る血管である冠動脈の一部が動脈硬化によって75%以上狭窄し、血流の流れが悪くなってしまう状態である。症状として、胸痛発作の頻度(数回/周以下)、持続時間(数分以内)、強度などが一定であることや、一定以上の運動や動作によって発作が出現する。その4大危険因子は、「①喫煙、②脂質異常症、③糖尿病、④高血圧」である。そのほかにも、加齢・肥満・家族歴・メタボリックシンドロームなどがある。
2.〇 正しい。心電図でST低下を認める。ちなみに、心筋梗塞では、T波の増高が最も早くみられ、時間の経過と共に【ST上昇→異常Q波→冠性T波】がみられるようになる。
3.× 血液検査でCKが著しく上昇するのは、「心筋梗塞」の特徴である。なぜなら、心筋梗塞では壊死を伴うため。血中CKとは、筋肉にエネルギーを貯めるときに働く酵素で、全身の運動をつかさどる筋肉(骨格筋)や心臓の筋肉(心筋)に多く含まれる。したがって、それらの筋肉が傷害されたときに、血液中で高値となる。
・急性心筋梗塞とは、冠状動脈内に血栓が形成され、動脈を閉塞し心筋が壊死することである。リスクファクターとして、①高血圧、②喫煙、③糖尿病、④脂質代謝異常などである。
4.〇 正しい。ニトログリセリンが有効である。
・ニトログリセリンとは、主に狭心症、他に心筋梗塞、心臓喘息、アカラジアの一時的緩解などに用いる。狭心症は冠動脈の内腔が一時的に閉塞、狭窄する。ニトログリセリンに代表される硝酸薬は血管平滑筋を弛緩させ、血管を拡張させる作用がある。
問題34.本態性高血圧症のリスクとならないのはどれか。
1.やせ
2.ストレス
3.塩分過剰摂取
4.アルコール過飲
解答1
解説
高血圧症とは、①本態性高血圧(原因が生活習慣や環境、遺伝などはっきり特定できないもの:高血圧症全体の9割)と、②二次性高血圧(ホルモン分泌異常や臓器の奇形などで生じ原因が特定できるもの:腎血管性高血圧を含む)に分けられる。
二次性高血圧症の原因として、①腎実質性、②腎血管性、③内分泌性、④血管性、⑤脳・中枢神経性(脳幹部血管圧迫)、⑥遺伝性、⑦薬剤誘発性などがある。②腎血管性高血圧は、腎動脈硬化症や線維筋性異形成、高安大動脈炎、解離性大動脈瘤などによる腎血流低下により腎臓でレニン産生が増加するため高血圧となる。③内分泌性高血圧には、先端巨大症、クッシング症候群、原発性アルドステロン症、褐色細胞腫、レニン産生腫瘍などにより高血圧となる。
1.× やせは、本態性高血圧症のリスクとならない。むしろ、やせは、血圧低めになることが多い。なぜなら、やせでは循環血液量や心拍出量が少なく、末梢血管抵抗も低下しやすいため。
2.〇 正しい。ストレスは、本態性高血圧症のリスクとなる。なぜなら、精神的・身体的ストレスにより交感神経が活性化し、カテコールアミン(アドレナリン・ノルアドレナリン)分泌が増加するため。したがって、心拍数上昇・末梢血管収縮を起こすことで血圧が上昇する。
3.〇 正しい。塩分過剰摂取は、本態性高血圧症のリスクとなる。なぜなら、ナトリウム摂取量が増えると体液量が増加し、心拍出量・血管抵抗が上昇するため。したがって、持続的な血圧上昇を引き起こす。
4.〇 正しい。アルコール過飲は、本態性高血圧症のリスクとなる。なぜなら、アルコールには急性期に血管拡張作用があるが、慢性的な多量摂取では交感神経亢進や心拍出量増加を引き起こし、結果的に血圧上昇をもたらすため。
問題35.急性白血病でみられないのはどれか。
1.発熱
2.出血斑
3.多血症
4.骨髄中の芽球
解答3
解説
急性白血病とは、骨髄の中にある幼若な血液細胞が癌化して白血病細胞となり骨髄の中で急速に分裂して数を増やす疾患である。白血病細胞が骨髄の中で増えてくる結果、骨髄の本来の機能である造血能が著しく障害される。初期症状として、発熱・貧血・出血傾向・骨痛・倦怠感がみられる。
1.〇 発熱は、急性白血病の症状である。なぜなら、骨髄の異常増殖により正常な白血球が減少し、免疫力が低下(易感染性)するため。したがって、細菌・真菌感染により発熱が起こる。
2.〇 出血斑は、急性白血病の症状である。なぜなら、骨髄での異常な芽球増殖により、血小板産生が著しく低下(血小板減少症)するため。したがって、皮下出血・歯肉出血・鼻出血などの出血傾向が現れる。
・皮下出血斑とは、皮下出血(内出血)したときに紫色のアザのことである。紫斑病ともいう。内出血が起こるメカニズムは、何かにぶつかるなど外部からの衝撃が身体に加わることにより皮膚や皮下の組織が壊れてしまい出血が身体の内部だけに溜まることで起こる。つまり、原因としては転倒などによる打撲や打ち身、捻挫が多く、ひどい肉離れなどでみられる。
3.× 多血症は、急性白血病でみられない。むしろ、貧血が特徴である。なぜなら、白血病では骨髄内の白血病細胞が赤芽球系の造血を抑制するため。したがって、赤血球数とヘモグロビンが減少し、酸素運搬能力が低下する。
・多血症とは、血液の中の赤血球やヘモグロビンの量が基準値よりも多くなる病気のことをいう。多血症には、①肥満、高血圧、緊張によるストレス多血症、②アルコール多飲や脱水による循環血症量の減少による相対的多血症、③喫煙や肺疾患による低酸素血症による多血症、④JAK2遺伝子の後天的変異による真性多血症や造血ホルモン産生腫瘍による2次性多血症があげられる。
4.〇 骨髄中の芽球は、急性白血病の症状である。なぜなら、白血病は造血幹細胞の遺伝的異常により、分化できない未熟細胞(芽球)が異常増殖するため。
・幼若芽球とは、形態的に最も幼若な血液細胞である芽球の一種で、未成熟な造血前駆細胞(未熟な白血球)を指す。
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