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問題96.軟部組織損傷と徒手検査との組合せで正しいのはどれか。
1.肘内側側副靭帯損傷:中指伸展テスト
2.スキーヤー母指:パーフェクトOテスト
3.ハムストリング挫傷:下肢伸展挙上テスト
4.膝内側側副靭帯損傷:アプライ圧迫テスト
解答3
解説
1.× 肘内側側副靭帯損傷:中指伸展テスト
・中指伸展テストは、テニス肘(上腕骨外側上顆炎)を見る検査である。患者さんの中指を下に押し、患者さんはその逆に中指を上に持ち上げるようにした時、肘の外側に痛みが出るかを調べる。
2.× スキーヤー母指:パーフェクトOテスト
・perfect O(パーフェクト Oテスト)とは、親指と人差し指の先端をくっつけて丸形を作る検査である。正中神経麻痺でみられる。
・スキーヤー母指とは、母指MP関節尺側側副靭帯損傷ともいい、原因は、親指の先から2番目の関節が、スキー中に転倒した場合などにストックによって外側に強制的に曲げられたときに、靭帯に損傷が起こって生じる。不安定性のほか、物をつまんだり、にぎり動作で痛みが増強する症状がみられる。損傷の程度は、指を横に曲げてみて判定し、軽度の場合は保存的治療法を選択し、過度に横に曲がってしまう場合は手術によって切れた靭帯を再建する必要がある。
3.〇 正しい。ハムストリング挫傷:下肢伸展挙上テスト
・SLRテスト(下肢伸展挙上テスト)は、脊髄後根で圧迫を受ける疾患(坐骨神経痛、椎間板ヘルニアなど)の有無、ハムストリングス損傷や短縮をみる。背臥位で、下肢を挙上し痛みが生じたら陽性である。
4.× 膝内側側副靭帯損傷:アプライ圧迫テスト
・アプレー圧迫テストは半月板損傷、アプレー牽引テストは、側副靭帯損傷を疑う。
問題97.ド・ケルバン(de Quervain)病で誤っているのはどれか。
1.過度な使用により起こる。
2.長母指伸筋腱の腱鞘炎である。
3.橈骨茎状突起部の疼痛がみられる。
4.フィンケルスタインテスト陽性である。
解答2
解説
ド・ケルバン病(de Quervain病、狭窄性腱鞘炎)は、短母指伸筋腱と長母指外転筋腱が原因で起こる腱鞘炎である。母指の使いすぎや妊娠出産期、更年期の女性に多く見られる。手首に腫れと痛みを伴い、母指を小指側に牽引したときに痛みが増強する。また、親指を握って尺屈すると疼痛が出現するフィンケルシュタインテスト(アイヒホッフテスト)で陽性となる。
1.〇 正しい。過度な使用により起こる。母指の使いすぎや妊娠出産期、更年期の女性に多く見られる。例えば、長時間のスマートフォン操作、赤ちゃんを抱く動作(ママの腱鞘炎)、ピアノ演奏、テニス、職業的タイピングなどが誘因となることが多い。特に、産後の女性に多いのは、女性ホルモン変化により腱・腱鞘が浮腫状になることも関係している。
2.× 「長母指伸筋腱」ではなく短母指伸筋腱と長母指外転筋腱の腱鞘炎である。なぜなら、ド・ケルバン病の病変部位は、第1背側コンパートメント(腱鞘区画)にあるため。
・伸筋支帯と橈骨・尺骨との間には、伸筋の腱を通す6つのトンネルがある。各トンネルの問では伸筋支帯の一部が骨に密着して、となり合う腱トンネルを仕切る区画(腱区画)をなす。de Quervain病とは、狭窄性腱鞘炎ともいい、短母指伸筋腱と長母指外転筋腱が原因で起こる腱鞘炎である。
第1管:長母指外転筋と短母指伸筋
第2管:長橈側手根伸筋と短橈側手根伸筋
第3管:長母指伸筋
第4管:総指伸筋と示指伸筋
第5管:小指伸筋
第6管:尺側手根伸筋
3.〇 正しい。橈骨茎状突起部の疼痛がみられる。なぜなら、長母指外転筋腱・短母指伸筋腱は橈骨茎状突起の背側を走行しており、ここで腱鞘が狭窄すると、腱がこすれて炎症が生じるため。
4.〇 正しい。フィンケルスタインテスト陽性である。
・Finkelsteinテスト(フィンケルスタインテスト)の陽性は、長母指外転筋と短母指伸筋の狭窄性腱鞘炎を疑う。患側手の母指を4指に握らせて、さらに手関節を尺屈させる。
問題98.尻上がり現象を呈するのはどれか。
1.大腿四頭筋拘縮(広筋型)
2.テニスレッグ
3.ハムストリングス肉離れ
4.大腿四頭筋肉離れ(中等度)
解答4
解説
Elyテスト(エリーテスト)は、大腿直筋の短縮のテストである。短縮していた場合、腹臥位で膝関節を最大屈曲した際に、股関節が屈曲し、殿部が持ち上がる(尻上がり現象)。
1.× 大腿四頭筋拘縮の場合、「広筋型」ではなく直筋型でみられる。なぜなら、広筋型は股関節の動きに関与しないため。
2.× テニスレッグとは、下腿三頭筋肉離れ、つまりふくらはぎの筋肉(特に内側の)肉離れのことである。ボールに素早く反応して瞬発的に動いた際に、収縮していた筋肉が急激に伸び縮みして、筋線維が割ける。肉離れとは、筋肉が過度に引き伸ばされたり、筋肉が縮んだ状態から引き伸ばされた際に筋線維が切れることである。肉離れの予防として、①柔軟性の向上、②血行改善、③アイシング、④違和感があった際の中断が必要となる。
3.× ハムストリングス肉離れは、尻上がり現象を呈さない。
・ハムストリングスとは、3つの筋肉(大腿二頭筋、半膜様筋、半腱様筋)の総称を指す。
4.〇 正しい。大腿四頭筋肉離れ(中等度)は、尻上がり現象を呈する。特に大腿直筋が関与する。大腿直筋は、股関節・膝関節の2関節筋であるため、股関節伸展位のまま膝関節屈曲すると、大腿直筋が伸張しきれず、尻上がり現象がみられる。
大腿直筋の【起始】下前腸骨棘および寛骨臼の上縁、【停止】膝蓋骨、脛骨粗面、【作用】膝関節伸展、股関節屈曲、【支配神経】大腿神経:L2~L4である。
肉離れとは、筋肉が過度に引き伸ばされたり、筋肉が縮んだ状態から引き伸ばされた際に筋線維が切れることである。肉離れの予防として、①柔軟性の向上、②血行改善、③アイシング、④違和感があった際の中断が必要となる。
【好発部位】
大腿四頭筋:太ももの前側(大腿直筋)で起こりやすい。なぜなら、股関節と膝関節の二つの関節の動きに作用する二関節筋であるため。
ハムストリングス:大腿二頭筋(筋腱移行部)で起こりやすい。
下腿三頭筋:筋線維の多くは筋腱移行部での部分損傷で、特に腓腹筋内側頭で起こりやすい。10代からみられ、各年齢層にまんべんなく発生する。受傷機序として、日常生活中やスポーツ現場では階段を下りた際や、ランニングやダッシュの途中などにふくらはぎに鋭い痛みが走り、その後の歩行が困難になるケースがよく見られる。足関節底屈の際、親指のほうが大きく力を発揮するのに適しており、親指側に力が入りやすいため、外側より内側のほうが受傷しやすい。
問題99.圧痛部位の写真を下に示す。
疑われるのはどれか。

1.オスグッド-シュラッター(Osgood-Schlatter)病
2.ジャンパー膝
3.タナ障害
4.鵞足炎
解答2
解説
1.× オスグッド-シュラッター(Osgood-Schlatter)病は、小児の運動後に生じる膝の痛み、膝脛骨結節部の圧痛、さらに脛骨粗面に異常骨陰影を認める。男女比(4:3)で男児に多く発症する。運動などの大きな外力が繰り返しかかることにより、大腿四頭筋の膝蓋腱の脛骨付着部が機械的刺激を受けて、脛骨粗面部の運動時痛と膨隆が生じる。
2.〇 正しい。ジャンパー膝が最も疑われる。なぜなら、写真は、膝蓋靭帯に圧痛があると考えられるため。
・ジャンパー膝とは、ジャンピングなどの繰り返し行動による過度のストレスが膝蓋腱に与えられることにより、膝蓋骨周囲の疼痛や腫脹を生じている状態を指す。バスケットボールやバレーボールなどのスポーツによる膝伸展機構の使いすぎによって起こる。
3.× タナ障害の圧痛部位は、膝蓋骨内側上方部(滑膜ヒダ部)である。
・滑膜ヒダ障害とは、膝関節の関節包内にあるひだ状の部分で、膝の屈伸時にクリック音を触知する特徴がある症状である。つまり、滑膜ヒダが膝関節内で引っかかり、嵌頓症状を引き起こす。ほかにも、運動時に疼痛や違和感を生じる。膝関節の膝蓋内側滑膜ヒダが屈伸運動時に膝蓋骨と大腿骨内側課との間に挟まり機能的刺激を受けて肥厚する。内側滑膜ヒダは関節鏡で見ると棚のようにみえることから、タナ障害とも呼ぶ。
問題100.外脛骨で誤っているのはどれか。
1.足の過剰骨の中で最も頻度が高い。
2.足の舟状骨内側に存在する。
3.前脛骨筋が付着する。
4.骨折との鑑別が必要である。
解答3
解説
・外脛骨とは、足の舟状骨の内側に位置する骨をいう。正常な人の15%程度にみられる足の内側にある余分な骨である。
・有痛性外脛骨とは、その外脛骨が痛みを起こしてしまった状態をいう。スポーツ活動や捻挫などの外傷をきっかけに痛みを起こすことがあり、小児、特に女性での発症が多く、成長期を終えると痛みが治まることが多い。主な症状として、①疼痛(圧痛、運動時痛)、②腫脹(うちくるぶしの下方の腫れ)があげられる。他にも、炎症が強い場合には、熱感も引き起こすことがある。治療として、①薬物療法(鎮痛)、②運動療法、③物理療法(温熱や電気刺激による鎮痛)、④装具療法などがあげられる。
1.〇 正しい。足の過剰骨の中で最も頻度が高い。外脛骨の保有率は15~20%といわれる。
2.〇 正しい。足の舟状骨内側に存在する。外脛骨とは、足の舟状骨の内側に位置する骨をいう。
3.× 「前脛骨筋」ではなく後脛骨筋が付着する。なぜなら、外脛骨はこの舟状骨結節部に存在するため。
・後脛骨筋の【起始】下腿骨間膜の後面上半、下腿骨間膜に接する脛骨と腓骨、【停止】舟状骨粗面、内側、中間、外側楔状骨、立方骨、第2~3中足骨底、【作用】足関節底屈、内返し、【支配神経】脛骨神経である。
4.〇 正しい。骨折との鑑別が必要である。なぜなら、外脛骨はX線で骨片のように見えるため。「舟状骨骨折」との鑑別が必要となる。
国試オタク 