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問題36.バージャー(Buerger)病で正しいのはどれか。
1.喫煙者に多い。
2.女性に多い。
3.高齢者に多い。
4.上肢に多い。
解答1
解説
閉塞性血栓血管炎(バージャー病)とは、脚や腕の細い動脈や中間サイズの動脈が、炎症を起こして閉塞する病気である。喫煙は病変の増悪因子であるが、原因不明である。症状は、腕や脚への血流減少による冷感、しびれ、チクチクする感覚、灼熱感などである。治療で最も重要なのは禁煙で、薬剤も有効なことがある。寒さにより血管が狭くなるため(収縮)、寒さへの曝露を回避することが助けになる。
1.〇 正しい。喫煙者に多い。なぜなら、バージャー病は、末梢動静脈に炎症性血栓が形成される疾患で、その発症・進行には喫煙が強く関与していることが知られているため。禁煙により進行が抑えられる。
2.× 「女性」ではなく男性に多い。なぜなら、発症の主因が喫煙であるため。喫煙率が高い男性(特に、20~40歳代)に圧倒的に多い。
3.× 「高齢者」ではなく若年~中年(20~40歳代)に多い。なぜなら、高齢になると動脈硬化による血管病が増えるため。高齢者に多い末梢動脈疾患は「動脈硬化性閉塞性動脈硬化症」であり、バージャー病は40歳以下の若年喫煙者に好発する。
4.× 「上肢」ではなく下肢に多い。なぜなら、足の血管が心臓から遠く細い(血流が悪くなりやすい)ため。さらに、人は歩行や立位で足をよく使うため、血管に負担がかかり炎症の影響が強く出やすい。
問題37.特発性血小板減少性紫斑症で誤っているのはどれか。
1.急性型と慢性型がある。
2.骨髄中の巨核球数が減少する。
3.血小板に対して自己抗体が産生される。
4.ヘリコバクター・ピロリ菌が関係する。
解答2
解説
特発性血小板減少性紫斑病とは、血液中の血小板が減少することにより出血しやすくなる病気である。原因は不明であるが、体の中の免疫反応が過剰になり、自分の血小板を攻撃してしまうために、血小板が減少するといわれている。
1.〇 正しい。急性型と慢性型がある。なぜなら、病態や経過によって大きく異なり、小児に多い急性型はウイルス感染後に発症して自然寛解することが多く、成人に多い慢性型は長期間持続して治療を要することが多いため。
2.× 骨髄中の巨核球数が「減少」ではなく増加する。なぜなら、特発性血小板減少性紫斑症では、血小板が脾臓などで壊されて減ってしまうため。したがって、骨髄ではそれを補おうとして巨核球の数はむしろ増えていることが多い。ちなみに、巨核球減少は、再生不良性貧血や骨髄異形成症候群など別疾患でみられる。
・巨核球とは、骨の中にある骨髄で血小板をつくる大きな細胞である。普通の細胞よりもはるかに大きく、細胞の中から小さなかけらをちぎるようにして血小板を作り出す。
3.〇 正しい。血小板に対して自己抗体が産生される。なぜなら、自己免疫性の血小板破壊が起こるため。血小板膜抗原に対する自己抗体が産生され、脾臓で破壊されることで血小板減少が生じる。
4.〇 正しい。ヘリコバクター・ピロリ菌が関係する。なぜなら、ピロリ菌感染が免疫応答を介して血小板自己抗体産生を促進することがあるため。したがって、成人特発性血小板減少性紫斑症患者でピロリ菌除菌を行うと、約30~40%で血小板数が改善することがある。
問題38.慢性骨髄性白血病の原因はどれか。
1.遺伝子異常
2.ウイルス感染
3.免疫異常
4.代謝異常
解答1
解説
慢性骨髄性白血病とは、骨髄で作られる白血球が異常増殖するタイプの白血病で、フィラデルフィア染色体と呼ばれる遺伝子異常を伴うことが多い病気である。進行はゆるやかで、初期には無症状のまま血液検査などで偶然に見つかることが多い。治療には主にチロシンキナーゼ阻害薬と呼ばれる薬が使われ、効果がある場合は長期管理が可能とされている。
1.〇 正しい。遺伝子異常は、慢性骨髄性白血病の原因である。慢性骨髄性白血病とは、骨髄で作られる白血球が異常増殖するタイプの白血病で、フィラデルフィア染色体と呼ばれる遺伝子異常を伴うことが多い病気である。
2.× ウイルス感染が原因となる白血病は、成人T細胞白血病である。
・成人T細胞白血病とは、HTLV-Ⅰ(ヒトT細胞白血病ウイルス)というウイルス感染が原因である感染症である。このウイルスに感染した白血球中のT細胞ががん化し、それが無制限に増殖することで発症する。主に母乳を介して母子感染し、長い潜伏期間を経た後、成人T細胞白血病を発症することが多い。日本の西南地方に多いが、原因ははっきりしていない。
3.× 免疫異常が原因となる血液疾患は、特発性血小板減少性紫斑症である。
・特発性血小板減少性紫斑病とは、血液中の血小板が減少することにより出血しやすくなる病気である。原因は不明であるが、体の中の免疫反応が過剰になり、自分の血小板を攻撃してしまうために、血小板が減少するといわれている。
4.× 代謝異常が原因で、白血病が起こるとはいえない(関連性が低い)。ちなみに、代謝異常(例:糖代謝異常、脂質代謝異常)は、糖尿病や高脂血症などの疾患につながる。
問題39.医療面接の方法で誤っているのはどれか。
1.最初に互いに自己紹介を行う。
2.聴き取りは主訴から始める。
3.患者には厳格な態度で接する。
4.患者の話について共感の態度をとる。
解答3
解説
1.〇 正しい。最初に互いに自己紹介を行う。なぜなら、自己紹介を行うことで、信頼関係を築くことができるため。自己紹介により、患者は安心感を得られ、信頼を持ちやすくなる。
2.〇 正しい。聴き取りは主訴から始める。なぜなら、主訴は患者が最も気にしている症状であるため。主訴を明確にしたうえで現病歴・既往歴・生活歴などへ展開することが多い。
3.× 必ずしも、患者には「厳格な態度」で接する必要はない。なぜなら、厳格すぎる態度は患者を萎縮させ、十分な情報を引き出せなくなるため。一般的に、共感と傾聴の姿勢で接する必要がある。
4.〇 正しい。患者の話について共感の態度をとる。なぜなら、共感を示すことで信頼が深まり、より正確かつたくさんの情報が得られるため。
問題40.慢性腎不全患者の血清中で低下するのはどれか。
1.リン
2.カリウム
3.カルシウム
4.クレアチニン
解答3
解説
慢性腎不全(慢性腎臓病とも)は、腎臓の濾過機能が数ヶ月〜数年をかけて徐々に低下していく病気である。その結果血液の酸性度が高くなり、貧血が起き、神経が傷つき、骨の組織が劣化し、動脈硬化のリスクが高くなる。その原因として最も多いのは糖尿病で、次に多いのは高血圧である。尿や血液、腹部超音波検査やCTなどの検査で腎臓機能に異常が見られ、その状態が3カ月以上続いている場合に診断される。
慢性腎不全(CKD)に対する治療は、①生活習慣の改善、②食事療法が重要である。
①生活習慣の改善:禁煙・大量飲酒の回避・定期的な運動・ワクチン接種による感染症の予防・癌スクリーニングなど。
②食事療法:十分なエネルギー摂取量を確保しつつ、蛋白質・塩分・リンの制限。
1.× リンは、上昇する。なぜなら、腎臓はリンを尿中に排泄する役割を持つが、腎不全ではその機能が低下し、血中にリンが蓄積するため。
2.× カリウムは、上昇する。なぜなら、腎臓はカリウムを尿中に排泄して血中濃度を一定に保つが、腎不全では排泄障害により高カリウム血症になるため。
3.〇 正しい。カルシウムは、慢性腎不全患者の血清中で低下する。なぜなら、腎臓で活性型ビタミンDが十分に産生されなくなり、腸管からのカルシウム吸収が低下するため。さらに、高リン血症がカルシウムを血管や骨以外の組織に沈着させ、血中濃度をさらに下げる。
4.× クレアチニンは、上昇する。なぜなら、クレアチニンは、筋肉代謝産物で腎排泄されるが、腎機能低下により蓄積するため。