第25回(H29年)柔道整復師国家試験 解説【午後11~15】

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問11 リハビリテーションの目的でないのはどれか。

1.病気の治癒
2.機能障害の軽減
3.復職
4.経済的自立

答え.1

解説

国連のリハビリの定義

リハビリテーションは、身体的、精神的、かつまた社会的に最も適した機能水準の達成を可能とすることによって、各個人が自らの人生を変革していくための手段を提供していくことを目指し、かつ時間を限定したプロセスである。

1.× 病気の治癒は、リハビリテーションの目的でない。なぜなら、病気の治癒は、主に医療行為の目的であるため。リハビリテーションは、患者が日常生活を可能な限り自立して過ごすことを目指す。

2~4.〇 正しい。機能障害の軽減/復職/経済的自立は、リハビリテーションの目的である。基本的な日常生活動作(食事、入浴、着替えなど)だけでなく、より高度な日常生活動作(料理、買い物、交通機関の利用など)も含まれる。

リハビリテーションの定義

リハビリテーションとは、医療保険・介護保険でのサービスのひとつであるとともに、技術であり,ひとつの思想でもある。WHO(World Health Organization)は,リハビリテーションを「医学的,社会的,教育的,職業的手段を組み合わせ,かつ相互に調整して,訓練あるいは再訓練することによって,障害者の機能的能力を可能な最高レベルに達せしめることである」と定義している。この定義によって,リハビリテーションは,医学,社会,教育,職業の4つの分野に区分され,それらが組み合わさって総合的に提供されるものであることが明確にされた。(※引用:「リハビリテーション」日本医療・病院管理学会様HPより)

(※画像引用:Job Medley様HPより)

 

 

 

 

 

問12 橈骨神経麻痺で用いる装具はどれか。

1.短対立装具
2.オッペンハイマー型装具
3.MP伸展補助装具
4.PIP伸展補助装具

答え.2

解説

橈骨神経麻痺とは?

橈骨神経麻痺とは、母指背側の感覚障害と上腕三頭筋・腕橈骨筋・長、短橈側手根伸筋、総指伸筋などの伸筋群の麻痺(下垂手)を認める。感覚領域は、親指から中指の背側、手背の橈側(親指側)、前腕の背側、上腕の背側と外側である。

1.× 短対立装具は、正中神経麻痺低位型で適応となる。母指の掌側外転や対立運動の低下のため、第1,2中手骨間を一定に保つ役割を持つ装具である。つまり、母指を対立位に保持し、手関節を保持する。

2.〇 正しい。オッペンハイマー型装具(手関節手指固定装具)は、橈骨神経麻痺で用いる装具である。関節リウマチや痙性麻痺手、橈骨神経麻痺の下垂手の際に用いる。オッペンハイマー型の特徴としては、MP関節の伸展補助機能がある。

3.× MP伸展補助装具(逆ナックルベンダー)は、橈骨神経麻痺低位型に適応となり、MP関節を伸展位に矯正(MP関節屈曲拘縮)することを目的とする。

4.× PIP伸展補助装具は、ボタンホール変形の予防矯正に用いる。ボタンホール変形は、PIP関節の伸筋腱断裂が原因となる。他の原因として、中央索の切創や皮下断裂などで、また、関節リウマチによる PIP関節の滑膜炎もある。ちなみに、ボタンホール変形とは、手指のDIP関節過伸展位、PIP関節屈曲位となる変形である。

 

 

 

 

 

問13 国際生活機能分類(ICF)での活動はどれか。

1.書字困難
2.事務職就職困難
3.上肢麻痺
4.巧緻障害

答え.1

解説

(※画像引用:Job Medley様HPより)

ICFとは?

ICF(International Classification of Functioning, Disability and Health)は、人間の生活機能と障害分類法として2001年5月、世界保健機関(WHO)において採択された。これまでの ICIDH(国際障害分類、1980)が「疾病の帰結(結果)に関する分類」であったのに対し、ICF は「健康の構成要素に関する分類」であり、新しい健康観を提起するものとなった。生活機能上の問題は誰にでも起りうるものなので、ICF は特定の人々のためのものではなく、「全ての人に関する分類」である。

1.〇 正しい。書字困難は、活動に該当する。活動とは、課題や行為の個人による遂行のことである。

2.× 事務職就職困難は、参加に該当する。参加とは、生活・人生場面への関わりのことである。

3~4.× 上肢麻痺/巧緻障害は、心身機能・身体構造に該当する。心身機能・身体構造とは、生物レベル、 生命レベルで、生命の維持に直接関係する、身体・精神の機能や構造で、これは心身機能と身体構造とを合わせたものである。心身機能とは、たとえば手足の動き、精神の働き、視覚・聴覚、内臓の働き など。 身体構造とは、手足の一部、 心臓の一部(弁など) などの、 体の部分のことである(※引用:「心身機能・活動・参加の包括概念」厚生労働省様HPより)。

 

 

 

 

 

問14 日本リハビリテーション医学会および日本整形外科会が制定した関節可動域測定法で、右股関節の関節可動域を測定する際に右膝関節90度屈曲位で計測するのはどれか。

1.伸展
2.外転
3.内転
4.外旋

答え.4

解説
1.× 伸展の【基本軸】体幹と平行な線、【移動軸】大腿骨(大転子と大腿骨外果の中心を結ぶ線)、【測定部位および注意点】①骨盤と脊柱を十分に固定する。②屈曲は背臥位(膝屈曲位で行う)③伸展は腹臥位(膝伸展位で行う)となる。

2~3.× 外転/内転の【基本軸】両側の上前腸骨棘を結ぶ線への垂直線、【移動軸】大腿中央線(膝蓋骨中心を結ぶ線)、【測定部位および注意点】①背臥位で骨盤を固定する。②下肢は外旋しないようにする内転の場合は、反対側の下肢を屈曲挙上してその下を通して内転させる。

4.〇 正しい。外旋は、右股関節の関節可動域を測定する際に右膝関節90度屈曲位で計測する。
外旋の【基本軸】膝蓋骨より下した垂直線、【移動軸】下腿中央線(膝蓋骨中心より足関節内外果中央線)、【測定部位および注意点】①背臥位で、股関節と膝関節を90°屈曲位にして行う。②骨盤の代償を少なくする。

 

 

 

 

 

問15 下腿周径の測定で正しいのはどれか。

1.膝関節裂隙の遠位5cmで測定する。
2.膝関節裂隙の遠位10cmで測定する。
3.内果の近位20cmで測定する。
4.最大周径を測定する。

答え.4

解説
1.× 膝関節裂隙の遠位5cmで測定する。
2.× 膝関節裂隙の遠位10cmで測定する。
3.× 内果の近位20cmで測定する。
これらは、下腿周径の測定で使用しない

4.〇 正しい。下腿周径は、最大周径を測定する。測定時の注意点として、下腿周径の測定時には、特別に下腿後面をベッドに密着させない。下肢全体をリラックスさせたうえで膝を軽度屈曲させ、下腿三頭筋がベッドに接触しないようにする。

 

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